第4章 結論
逆比例し、 コンパータのリアクトjレ電流に比例する。 従って、 スナパ・
キャパシタンスを大きくすることによって、 トランジスタに加わるサー ジ電圧を低減できるが、(i)で述べたLCスナパが昇降圧コンパータの静 特ttに与える影響のひとつとして、 同時にサージ電圧を増大させるリア クトル電流を増加させるため、 スナパ・ キャパシタンスの増加によるサ ージ電圧の低減には限界がある。
(iii) 昇降圧コンバータに対するLCスナパの設計規範として、 主スイッチへ のサージ電圧, 王スイッチの電力損 LCスナパの動作条件を選んだ。
このうち、 サージ電圧については結論(ii)から、 スナパ・ キャパシタンス をある程度大きくするとサージ電圧の低減効果が飽和してしまうので、
スナパ・ キャパシタンスはそのときの値よりも大きく選べばよく、 これ は緩やかで達成しやすい規範である。 次のトランジスタの電力損は、 l スイッチング周期中のトランジスタの状態を4つに分け、 それぞれにつ いてエネルギー損を評価した。 その結果、 各状態のエネルギー損のうち ターンオフ時の損失とオン時の損失が支配的であること、 主スイッチの 全エネルギー損はスナパ・ キャパシタンスにのみ依存しスナパ・ インダ クタンスには依存しないこと、 さらに、 全エネルギー損を最小にするよ うなスナバ・ キャパシタンスが存在することがわかった。 従って、 スナ パ・ キャパシタンスは主スイッチの電力損を最小にするように選び\最 初のサージ電圧に関する規範を満足するか検討すればよい。 最後のLC スナバの動作条件として、 スナパ回路が正常動作するための時間的制約 およびLCスナパによりスイッチに流れる共振電流のピーク値を考えれ ば、スナバ・ インダクタンスの取りうる値の範囲が決定される。 以上の 手順により、 昇降圧コンパータに対するLCスナバの設計を行なうこと
-115-第4章 結論
ができた。
(iv)昇降圧コンバータと同様にフォワードコンパ-タにLCスナバを迎用し た。 このとき、 フォワードコンパータの変圧器の励磁電流はLCスナパ により処理されるので、 フォワードコンパータの回生巻線を省略で きた。
フォワードコンパータの場合には、 LCスナパを付加したことによりコ ンパータの基本特れはほとんど影響を受けない。 これは、 昇降圧コンパ
ータにおいては、 エネルギ一帯積用リアクトルにLCスナパが接続され ていたが、 フォワードコンパータでは変圧器にLCスナパが接続されて
おり、 フォワードコンバータの基本特性が影響を受けにくいためである。同じ理南で、 フォワードコンパ-タにおけるLCスナバの動作は、 昇降 圧コンパータのそれとは全く異なり、 2つの動作モードが存在する。
(v)
LCスナバを付加したフォワードコンパータの主スイッチへのサージ電
圧は、 スナパ・ キャパシタンスの平方根に反比例し、 変圧器の漏れイン ダクタンスの幸子積エネルギーおよび励磁インダクタンスの容積エネノレギ ーの和の平方根に比例する。 励磁インダクタンスの苓積エネルギーが関 係するのは、 変圧器の励磁電流をLCスナバに より処理するためで、 二 つのエネルギーのうち励磁インダクタンスのエネルギーが支配的である。
また、 昇降圧コンパータの場合と同様にしてトランジスタの電力損を評 価した。 その結果、 各状態のエ不ルギー損のっちターンオフ時の損失と オン時の損失が支配的であること、 主スイッチの全エネルギー損はスナ パ・ キャパシタンスにのみ依存しスナパ・ インダクタンスには依存しな いことなど、 昇降圧コンバータの場合と同様な結果が得られた。 さらに、
二つの動作モードの境界でコンパータが動作するとき、 主スイッチの全 エネルギー損が最小になり、 このときのサージ電圧は電源電圧の2倍と
第4章 結論
なることがわかった。
(vi)昇降圧コ ンバータの場合と同様に、 フォワードコ ンパータに対するLC スナパの設計規範主として、 主スイッチへのサージ電圧 主スイッチの 電力損, L Cスナバの動作条件を選んだ。 このうち、 サージ電圧につい ては結論(v)から、 主スイッチの電力損を最小にすれば入力電圧の2倍程 度に抑えられ、 これは主巻線と同じ巻数の回生巻線を持つフォワードコ ンパータにおいて電圧サージが発生しない理想的な場合と同程度である。
従って、 主スイッチの電力損を最小にすることにより、 十分なサージ電 圧の低減効果が得られることになる。 次の主スイッチの電力損について は、 これが最小になる動作モードの境界は、 スナパ・ キャパシタンスと
出力電流の影響を受けるため、 出力電流の全範囲にわたってトランジス タのエネルギー損失を最小にするようなスナバ・ キャパシタンスは存在 しない。 そこで、 トランジスタのエネルギー損失の正規化表現を導入し、
出力電流の範囲内でなるべくスイッチの電力損を小さくするような準最 適なスナパ・ キャパシタンスを選んだ。 最後のLCスナパの動作条件と して昇降圧コ ンパータの場合と同様な条件を考え、 スナバ・ インダクタ ンスの取りうる値の範囲を決定した。 以上の手順により、 フォワードコ ンバータに文すするLCスナパの設言十を千子なうことカぎできた。
本論文では、 対象としたLCスナバを昇降圧コ ンパータおよびフォワードコ ンバータに付加した場合について考察したが、 ここで述べた設計手順は、 他の
LCスナバに対しても迎用可能で、ある。
また、lMHzで、動作するフォワードコ
ンパータを試作し、LCスナパはスイッチンク'周波数lMHz�こおいて従来のR
Cスナパに比べ十分有効であることが実験的に確認できた。 従って、 スイッチ-117
-第4章 結論
ング周波数lMHzまでは、 ここで取り上げたLCスナバにより、 スイッチング レギュレータの高周波化に対応できるものと思われる。
謝辞
謝 辞
本研究の題目を与えられ、 その後、 終始ご指導頂いた九州大学工学部電子工 学教室 二宮保教授に心から感謝の意を表わします。 また、 本研究の遂行にあ たって、 終始有益な御討議, 御鞭撞頂いた九州大学工学部電子工学教室 原田 耕介教授、 本論文を凶読して頂き有益な御助言を頂いた九州大学工学部電気工 学教室 野中作太郎教授, 九州大学工学部情報工学教室 西有生教授に謹んで 感謝の意を表します。
最後に、 本研究の遂行にあたって、 終始ご協力, 励ましを頂いた二宮研究室 と原田研究室の助手, 技官, 大学院生の諸兄に感謝いたします。
-119
-参考文献
参考文献
[1
]
二宮 : “スイッチングレギュレータの基本特性と問題点, " 電学誌, 100 巻, 6号, pp. 29-36, 昭和55年6月.[2] K. Harada, T. Ninomiya:“Noise Generation of a Switching Regulator," IEEE Trans. on Aerospace and Electronic Systems, Yol. AES-14, No. 1, January 1978.
[3] T. Ninomiya, K. Harada:“Common-Mode Noise Generation in a DC-to-DC converter," IEEE Trans. on Aerospace and Electronic Systems, Yol. AES-16, No.
2, March 1980
[4] M. Nakahara, T. Ninomiya, K. Harada:“Surge and Noise Generation in a Forward DC-to-DC Converter," IEEE Trans. on Aerospace and Electronic Systems, Yol.
AES-21, No. 5, September
1985.
[5]
T. Ninomiya, M. Nakahara, H. T勾ima,K. Harada:“Backward-Noise Generation in Forward DC-to-DC Converters," IEEE Trans. on Power Electronics, Yol. PE-2,No. 3, July 1987.
[6] W. McMurray:“Selection of Snubbers and Clamps to Optimize the Design of Transistor Switching Converters," IEEE PESC '79 Record, pp. 62-74, June 1979.
[7]S. Cuk, R. D. Middlebrook:“A New Optimum Topology Switching DC-to-DC Converter," IEEE PESC '77 Record, pp. 160-179, June 1977.
[8] K. Liu, R. Oruganti, F . C. Lee:“Resonant Switches-Topologies and Characteristics," IEEE PESC '85 Record, pp. 106-116, June 1985.
[9] T. M. Undeland:“Snubbers for Pulse Width Modulated Bridge Converters with Power Transistors or GTOs," Procs. of IPEC-Tokyo '83, pp. 313-323, March 1983.
[10]二宮, 潮崎, 田中, 原田: “RCDスナバ回路の動作解析, " 信学技報,
Yol. 87, No. 281, PE87-41, 昭和62年11月.
参考文献
[11J
D. L. Cronin, J. J. Bless:“Nondissipative Power Loss Suppression Circuit for Transistor Controlled Power Converters," U.S. Patent 3,628,047, December1971.
[1
2J E. T. Callくin, B. H. HaIni lton, F. C. La Porta:“Switching Regu]ator with High Efficiency Turnoff Loss Reduction Network," U.S. Patent 3,736,495, May1 973.
[13JG.
L. Mattson, L. P. Segar:“Protective Circuit for Semi-Conductor Switch," U.S Patent3,818,311,
June1974.
[14J
W. J. Shaughnessy:“Model1ing and Design of Non-Dissipative LC Snubber Networks," Procs. of Powercon 7, G4-1 - G4-9, March1980.
[15J
M. Domb, R. Redl, N. O. Sokal:“Nondissipative Turn-Off Snubber Alleviates Switching Power Dissipation, Second-Breakdown Stress and Vce Overshoot:Analysis, Design Procedure and Experimental Verification," IEEE PESC
'82
Record, pp. 445-454, June
1982.
[16J
P. O. Lauritzen, H. A. Slnith:“A Nondissipative Snubber Effect1ve Over a Wide Range of Operating Conditions," IEEE PESC'83
Record, pp.345-354,
June1983.
[
1
7J
K. Harada, T. Ninomiya, M. Kohno:“Optimum Design of RC Snubbers for Switching Regulators," IEEE Trans. on Aerospace and Electronic Systems, Vol.AES-15, No. 2, pp.
209-218,
March1979.
[ 18J潮崎: “スイッチングコンパータにおけるR-C-Dスナバ回路の最適設 計, " 九州大学大学院工学研究科修士論文(電子工学専攻) , 昭和63年2 月.
[ 19]二宮, 田中, 原田: “LCスナパを付加した昇降圧形コンパータの安定性 について, " 信学技報, Vo1.85, No.206,
PE85-46, 昭和60年11月.
[20J二宮, 原田, 中原: “昇圧形及び昇降圧形DC一DCコンパ一夕の安定干 角解写析, " 信学論誌, Vol. J66-C, No.1, pp. 1-8, 昭和58年1月.
[21 ]二宮, 田中, 原田: “高周波スイッチングコンパータにおけるLCスナパ
の最適設計について, " 信学技報,
Vol.84,
No.292, PE84-40, 昭和60年2 月.
121
-参考文献
[22J
T. Ninomiya, T. Tanaka,
K.Harada:“Optimum Design of Nondissipative Snubbers by the Evaluation of Transistor's Switching Loss, Surge Voltage, and Surge
Cuπent," PESC '85 Record, pp. 283-290, May 1985.
[23J T . Ninomiya, T. Tanaka,
K.Harada:“Analysis and Optimization of a
Nondissipative LC Turn-off Snubber," IEEE Trans. on Power Electronics, Vol. 3,
No. 2, pp. 147-156, April 1988.
[24J M. Domb, R. Redl:“Nondissipative Turn-Off Snubber in a Forward Çonve口er:
Analysis, Design Procedure, and Experimental Verification," PCI '85 Procs., pp.
54-68, October 1985.
[25J L. Salazar, P . D. Ziogas:“A Single Ended Si\在R Converter Topology with
Optimized Switching Characteristics," IEEE PESC '87 Record, pp. 414-423, June 1987.
[26J田中, 二宮, 原田: “フォワードコンバータにおけるLCスナパの動作解
析, " 信学技報, Vol. 87, NO. 22, PE87-7, 昭和62年5月.
[27J久保: “LCスナバによる昇圧形コンパータのサージ抑制と低損失化につ いて, " 九州大学工学部電子工学科卒業論文, 昭和63年2月.
[28J T. Tanaka, T. Ninomiya,
K.Harada:“Design of a Nondissipative Turn-off Snubber in a Forward Converter," PESC '88 Record, pp. 789-796, April 1988.
[29J田中, 二宮, 原田: “フォワードコンパータにおけるLCスナパの設計に ついて, " 九大工学集報, Vol. 62, No. 1,
pp.
33-40, 平成元年1月.[30J二宮, 田中, 原田: “フォワードコンバータにおける無損失LCスナパの
設計, " 信学論(B-I),