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結論と課題 32

ドキュメント内 付加情報をもったファイル共有システム (ページ 33-37)

6.1 結論

本研究では多くのユーザによる共有グループの中で共有するファイルの数が増加してい くことでファイル群の情報も肥大化していき,各ファイルが共有されている目的や用途が 理解しにくくなり,共有ファイルを管理していくことや,共有グループの新規参入ユーザ が共有ファイルがどのような目的や意図により共有されているかを把握するのが困難と なってしまうという問題を解決するために,新しいシステムを開発することを説明した.

新しいシステムとしてファイルの管理やファイルの情報を得ることを容易とするための 機能を持つ“付加情報を持ったファイル共有システム”の設計を行い,システムの実装,評 価を行った.

その結果,本システムは各ファイルの名称に依存することや,ファイルの内容を調べる 必要もなく,ファイルの情報を得ることができ,共有グループに新規参入するユーザが共 有ディレクトリ内にある共有ファイルの情報を得ることが容易となり,ユーザの負担を減 らせることを示すことができた.また,共有ファイルにおいて,各ユーザごとに自由な名 称の設定や保存位置の設定を行うことが可能となり,共有ファイルの管理に対する制限を 緩和し,共有ファイルの管理を容易にできることを示すことができた.

そしてこれらの結論より,付加情報を他ユーザと共有し,情報を統合し拡張していくこ とで,更にユーザの負担の減少や,ファイル管理の容易化を図れ,システムの長期的運用 や,ユーザ数の増加によりその効果も一層高まると考えられた.

6.2 今後の課題

6.2.1

機能の追加

共有ファイルの管理の容易化のために,更なる機能の追加が考えられる.いずれも実装 することで,目的のファイルの検索が更に容易になると考えられる.

他項目の検索機能

現時点ではタグによる検索機能しか実装されていないが,付加情報に記録されたコメン トやその他の項目等からも検索を行えるようにし,幅広い範囲でのファイル検索を可能と する.

また,複数の項目からの絞込み検索や,特殊な条件の検索(例えば,作成者がユーザ1 とユーザ2のどちらかのファイルを検索,一定サイズ以上の画像のみを検索等) を可能に する.

第6章 結論と課題 33 ファイル一覧表示での付加情報の表示

ディレクトリが選択された際にディレクトリ内のファイル名一覧が表示されるが,そこ でファイル名の他に各ファイルの付加情報を表示する.表示する内容も限定し,例として タグ一覧のみをディレクトリ選択時は表示するようにする.これによりディレクトリ内に どういったタグがつけられたファイルが存在するかわかるようになり,選択されたディレ クトリがどのような種類のファイルが保管されたディレクトリであるか早く把握すること ができる.

ユーザインターフェースの改善

タグ検索を選び,検索したいタグを入力し,検索を開始するだけではなく,付加情報と して表示されているタグ一覧からタグを選択し,選択されたタグについて検索を行う.他 にも,タグの検索するための入力フィールドを常にエクスプローラー画面の右上等に表示 しておく,等の検索機能の改善が考えられる.

6.2.2

付加情報作成の補助機能

ユーザが目的のファイルを探す場合,ファイルの内容から連想されるワードを用いて検 索を行うケースが多く,その検索ワードに関連したタグ等が付加情報に記録されている必 要がある.情報の作成および関連するタグ等の登録はユーザが行う必要があるため,情報 を作成するユーザの負担が大きくなってしまう.そのようなユーザの負担を減少させるた め,付加情報作成の際にユーザを補助するための機能を実装する必要があると考えられる.

6.2.3

ファイル本体の取得機能の追加

従来の共有システムはファイル本体のデータを共有するものである.本研究のシステム では付加情報のデータはネットワークで繋がった相手とコピーや統合が行われ,互いに付 加情報のデータを取得するのだが,ファイルはファイル名及びハッシュ値のみの取得とな り,本体のデータは送受信されないため,相手が目的のファイルを持っていたとしてもそ のファイルを取得するためには別の手段でデータの交換等を行う必要がある.

相手のファイル一覧から指定したファイルを相手からダウンロード,もしくは実行等を 可能にする.これにより,目的のファイルの検索から取得までの過程が容易になると考え られる.

6.2.4

長期的な使用

本来,本研究のシステムは共有システムを長く使用することで起こる問題に対して開発 されていたため,評価に関しては長期的な実験を行う必要があった.今回の評価において はネットワークを利用した状態での評価を行うこともしていない.本研究でのシステムを 長期的に使用することで,ファイルに対する付加情報の変化や,ファイルの管理に関する 変化を調査する必要があると考えられる.

第6章 結論と課題 34

6.2.5

ネットワーク利用範囲の拡大

本研究のシステムは様々なユーザに利用されることを想定して作成されているが,ネッ トワークでの接続は現時点ではLANでの接続までしか行うことができない.多くのユー ザが自由に本研究のシステムを利用するためには,インターネットを利用した遠く離れた 位置からの接続を可能とする必要があると考えられる.これにより,多数のユーザによる 共有グループが作られ,付加情報の拡張が頻繁に行われ,付加情報から得られる各ファイ ルの情報が増加していくと考えられる.

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謝辞

本研究は,電気通信大学情報通信工学科情報通信システム学講座寺田研究室において,

寺田実准教授の御指導の下で,卒業研究として行われました.

寺田実准教授には研究に対しての方針を定めるにあたって多くの御助力を頂き,また,

研究の内容全般においても適切な御指導を多く頂きました.心より御礼申し上げます.

東京大学情報基盤センターの丸山一貴助教にもまた,研究において多くの御指摘,御指 導を頂き,研究全般において様々な御助力を頂きました.心より御礼申し上げます.

初めて扱うJSONに関して,本研究室修士課程二年の平山慧さんには様々な使用方法を 御指導いただき,JSONの導入方法や使用方法は学部四年生の守屋怜くんから御助力を頂 きました.心より御礼申し上げます.

また,本研究において様々な御指摘を与えてくださった本研究室 博士課程三年の高須賀 清隆さん,修士課程二年の梅林靖弘さん,奥村俊也さん,修士課程一年の井桁正人さん,

佐藤和哉さん,学部四年の澤野祥史くん,田中英人くん,増子直樹くんに多大なる感謝を 申し上げます.

ドキュメント内 付加情報をもったファイル共有システム (ページ 33-37)

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