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付加情報をもったファイル共有システム

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Academic year: 2021

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平成21年度卒業論文

付加情報をもったファイル共有システム

情報通信工学科 情報通信システム学講座

0620012 古柳 敦士

指導教員 寺田 実 准教授

提出日 2009年 1月29日

(2)

1

概要

研究目的

現在,様々なファイル共有システムが多くのユーザに用いられている.使用目的もユー ザ毎に異なるが,主に他ユーザとのファイルの交換,複数人数での同ファイルの操作,ファ イルの保存等の目的でシステムを用いることが多いだろう.しかし,多くのユーザのグ ループ間でファイルを共有していくことで,ファイルの数が膨大になっていき管理が困難 となっていく. また,共有グループへの新規加入ユーザはファイルの共有目的や内容が参入時点では把 握できておらず,ファイル数が膨大であるほど把握にかかる時間やユーザの負担が大きく なってしまう.そこで,共有ファイルの管理を行いやすくする為のシステムを提案し,実 装,評価を行うことで実際に共有ファイルの管理が容易になったか評価する.

方法

各共有ファイルに対し,ファイル内容についての情報を記録したメタデータを作成する. 共有ファイルと共にファイル情報のメタデータを共有することで,ファイル外部から得ら れるファイルの情報を増加させ,増加した情報を利用することでファイルの検索性を高め, 共有ファイルの管理を行いやすくする.

結論

評価実験の結果から,提示システムの利用により共有ファイル管理の際にファイル名や ファイルの保存位置から得られる情報に加え,ファイルの内容を調べることなくファイル の情報を得ることができ,共有グループへの新規参入ユーザの負担の減少や,共有ファイ ルの管理が容易になることを示せた.今後は更なるユーザの負担の減少や,共有ファイル の管理の容易化のために,システムの機能の改善や,ファイル情報の操作に関する機能の 追加,長期的なシステムの運用による評価も行う必要がある.

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2

目 次

1章 序論 6 1.1 背景 . . . . 6 1.2 問題点 . . . . 6 1.3 研究目的 . . . . 6 1.4 論文の構成 . . . . 7 第2章 関連研究 8 2.1 Annphony . . . . 8 2.1.1 概要 . . . . 8 2.1.2 本研究との対応 . . . . 8 2.2 岩部らの研究 . . . . 8 2.2.1 概要 . . . . 8 2.2.2 本研究との対応 . . . . 8 2.3 ニコニコ動画 . . . . 9 2.3.1 概要 . . . . 9 2.3.2 本研究との対応 . . . . 9 第3章 提案システム 11 3.1 設計 . . . . 11 3.2 付加情報とは . . . . 11 3.2.1 付加情報の性質 . . . . 11 3.2.2 付加情報とファイルの対応 . . . 11 3.2.3 付加情報の記録内容 . . . 12 3.2.4 付加情報を利用した検索 . . . 12 3.2.5 付加情報の統合 . . . . 13 3.2.6 付加情報の統合における問題と解決法 . . . 13 3.3 システムの使用 . . . . 16 3.3.1 付加情報を持つファイル共有システム . . . 16 3.3.2 エクスプローラー. . . . 16 3.3.3 共有システム . . . . 17 第4章 実装 18 4.1 開発環境 . . . . 18 4.2 システム全体の機能 . . . . 18 4.3 付加情報の管理 . . . . 18

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3 4.3.1 付加情報の形式 . . . . 18 4.3.2 付加情報の保存場所 . . . 20 4.4 エクスプローラーの各機能 . . . . 20 4.4.1 付加情報の新規作成 . . . 20 4.4.2 付加情報の編集 . . . . 20 4.4.3 項目の入れ替え . . . . 20 4.4.4 項目の追加 . . . . 21 4.4.5 タグの追加・編集. . . . 22 4.4.6 コメントの追加・編集 . . . 22 4.4.7 通信に関する設定. . . . 23 4.4.8 チャットウインドウ . . . . 23 4.4.9 付加情報を用いた検索 . . . 24 4.5 共有システム . . . . 25 第5章 評価 26 5.1 評価方法 . . . . 26 5.1.1 参加者 . . . . 26 5.1.2 実験内容. . . . 26 5.1.3 回答の方法 . . . . 29 5.2 結果 . . . . 29 5.3 考察 . . . . 30 5.3.1 付加情報利用による検索速度に対する考察 . . . 30 5.3.2 付加情報によるファイル情報の取得に対する考察 . . . 30 5.3.3 ユーザビリティ . . . . 31 第6章 結論と課題 32 6.1 結論 . . . . 32 6.2 今後の課題 . . . . 32 6.2.1 機能の追加 . . . . 32 6.2.2 付加情報作成の補助機能 . . . 33 6.2.3 ファイル本体の取得機能の追加 . . . 33 6.2.4 長期的な使用 . . . . 33 6.2.5 ネットワーク利用範囲の拡大 . . . 34 謝辞 35 参考文献 35

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4

図 目 次

2.1 岩部らの研究で実装されたツール . . . . 9 2.2 ニコニコ動画のタグ編集画面. . . 10 3.1 付加情報の表示 . . . . 12 3.2 付加情報の新規作成画面 . . . . 13 3.3 付加情報のコピー . . . . 14 3.4 付加情報の統合 . . . . 14 3.5 付加情報の統合前 . . . . 15 3.6 付加情報の統合後 . . . . 15 3.7 エクスプローラー画面 . . . . 16 4.1 付加情報の保存形式 . . . . 19 4.2 付加情報の編集 . . . . 21 4.3 項目の入れ替え . . . . 21 4.4 新しい項目名の追加 . . . . 22 4.5 タグの編集・追加 . . . . 22 4.6 コメントの編集・追加 . . . . 22 4.7 ユーザ設定画面 . . . . 23 4.8 通信の設定画面 . . . . 23 4.9 チャットウィンドウ . . . . 23 4.10 タグ検索ワード入力画面 . . . . 24 4.11 タグ検索の結果 . . . . 24 4.12 共有中の画面 . . . . 25 5.1 実験1のファイル指定内容 . . . . 27 5.2 実験1のディレクトリ構造 . . . . 27 5.3 実験2のファイル指定内容 . . . . 28 5.4 実験2,3のディレクトリ構造 . . . 28 5.5 実験3のファイル指定内容 . . . . 29

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5

表 目 次

5.1 実験の結果 . . . . 30 5.2 実験2の結果 . . . . 30 5.3 実験3の結果 . . . . 30 5.4 アンケートの結果 . . . . 30

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6

1

章 序論

1.1

背景

近年では多くの人々がインターネットを利用することが多くなり,ユーザ同士の位置が 離れていてもコンタクトをとる機会が多くなった.そのために様々なコミュニケーション ツールが作成され,ユーザがそれらを用いることによりチャットやファイル交換が可能に なった. ツールの中にはファイルの共有システムも多く存在し,Microsoft Windows XP [1]で は同ネットワークグループ間でのファイルの共有機能が実装されている.共有システムに より,ユーザは自分の持つファイルを相手に公開することが可能になり,ネットワークを 通じて他ユーザとのファイル交換が容易となった.

1.2

問題点

共有システムを用いることで,ユーザは多くのファイルを共有していく.それにより多 くのユーザ間でファイルや情報の交換や閲覧を行うのだが,共有するファイルの数が増加 していくことでファイル群の情報も肥大化していき,各ファイルが共有されている目的や 用途が理解しにくくなり,共有ファイルの管理が困難となってしまう. 管理を容易にするためにはファイルの名称や保存位置を定められたルールに従って設定 していく,といった方法があるがユーザによってルールが異なってしまうため,相手に自 分の定めたルールを教える必要や,共有グループ内でのルールの共通化が必要になってし まう.また,共有しているユーザのグループに新規参入したユーザが,多数ある共有ファ イルを確認する際に各ファイルがどのような内容であるのかをすぐに把握することができ ない.

1.3

研究目的

本研究では,共有ファイルに対して直接操作をすることなくファイルについての情報を 確認することができ,多数あるファイルの中から自分の目的に沿ったファイルを容易に発 見できるシステムの開発を行う.また,ユーザのファイルに対するコメントを情報として 記録することで,各ユーザの共有ファイルに対する評価を得ることを可能とする.記録媒 体として作成されたファイルの付加情報は統合機能を持っており他ユーザの持つ付加情報 と統合していくことで情報が拡張されていく.これにより,各ファイルに対する情報量が 増加し,ファイルについての情報を得ることが容易となっていく.本研究ではこのような システムを作成することで,以下の利点を提供する

(8)

第1章 序論 7 付加情報に記録された情報により,共有ファイルの詳細をファイルの内容を調べる ことなく確認することができる 共有グループへの新規加入者が,加入時点までに共有されていたファイルについて の情報を,他ユーザが作成した付加情報を利用することで,すぐに得ることができる 付加情報が統合されていくことで,一つのファイルに対する付加情報から得られる ファイルの情報が増加する 付加情報にユーザがコメントを記録していくことで,自分や他ユーザが公開したデー タに対する評価が可能になり,その評価を時間に関係なく確認できる 付加情報を利用することでファイルの検索能力上昇させ,検索範囲を拡大させる ユーザの増加に伴い,ファイルの付加情報の拡充が期待でき,上記の効果が高まる

1.4

論文の構成

論文の構成について簡単に説明する. 第2章では関連研究と本研究との対応について説明する. 第3章では研究開発したシステムである“付加情報を持ったファイル共有システム”につ いてシステムの概要を説明する. 第4章では“付加情報を持ったファイル共有システム”の実装について述べる. 第5章では“付加情報を持ったファイル共有システム”に対しての評価の方法や,評価実 験の結果,結果からの考察について述べる. 第6章では評価に基づく結論と今後の課題について述べる.

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2

章 関連研究

2.1

Annphony

2.1.1

概要

Annphony [4]は梶らが構築したアノテーションプラットフォームである.任意のデジタ ルコンテンツに対しアノテーション群により形成されたメタコンテンツを作成する.ユー ザがコンテンツに対しAnnphonyのデータ形式を用いてメタコンテンツを作成しWeb上 に公開,他ユーザはAnnphonyを通してその定義を参照にし,メタコンテンツから元のコ ンテンツの検索等が行える.

2.1.2

本研究との対応

この研究ではメタデータに記録される情報が定義されている.また,メタコンテンツの 生成は個人がそれぞれ行いWebに公開している.本研究ではファイルに与える情報はOS やファイルの形式に依存することなくユーザが自由に定義することができ,ファイルの情 報も共有することで個人ごとの情報の違いから差分をとって統合していき,一つのファイ ルに対する情報を拡張していく.

2.2

岩部らの研究

2.2.1

概要

岩部らの研究[5]ではネットワークを介して地理的に離れた人々同士が構成するプロジェ クトにおける問題に対して,支援を行うためのツール(図2.1)を実装した.コンテンツの 分類や注釈に用いるメタデータのスキーマをRDFスキーマ形式で定義し,共通の語彙で コンテンツの分類や注釈を行うことを可能とし,2つのメタデータ間に対応関係があるか どうかを求めるアルゴリズムを用いて,コンテンツ分類間の対応関係を求めることを可能 とする.

2.2.2

本研究との対応

この研究では一つのメタデータに,複数のファイルを関連付けて分類し,相手からメタ データを受け取ることで特定の名前で分類され関連付けられたファイルの情報を取得でき る.本研究では一つのファイルに対し一つのメタデータを作成し,メタデータのスキーマ を先に定義してユーザ間の互換性を持たせるのではなくユーザ毎に自由な情報を構築し,

(10)

第2章 関連研究 9 図2.1: 岩部らの研究で実装されたツール ネットワークを介した際にユーザ毎の情報の差分をとり共通化することで互換性を持た せる.

2.3

ニコニコ動画

2.3.1

概要

動画配信関連サービスであるニコニコ動画 [6]では配信されている動画に対しタグを10 個登録することができる.動画の内容を指し示すタグを登録することで検索により目的の 動画を容易に探し出せるようになっている.タグの登録や削除は動画の閲覧者全員が自由 に行うことができるが,動画の投稿者は自身の投稿した動画に登録されているタグを5個 までロックし,閲覧者からのタグの編集を不可にできる(図2.2).また,タグはニコニコ 大百科 [7]と連動しており,タグに関する解説や,そのタグをつけられた代表的な動画な どを知ることができる.タグの他にもニコニコ大百科 [7]は動画とも連動しており,動画 に対する解説や,解説が行われている動画に対してのコメント等をユーザが自由に行うこ ともできる.検索機能として,ニコニコ動画 [6]では動画のタイトルや動画投稿者の動画 に対する説明文,およびタグを元に動画を検索することができる.

2.3.2

本研究との対応

動画コンテンツ限定ではあるがコンテンツに付加された情報をユーザで共有し,全員が 自由に編集でき,情報を用いて検索を行える点は同じである.本研究ではコンテンツの種

(11)

第2章 関連研究 10

図 2.2: ニコニコ動画のタグ編集画面,星マークのつくタグが投稿者によりロックされて

いるタグである

類に関係なく情報の登録を可能とし,一つのデータ内にコンテンツの解説やタグ,ユーザ コメント等を記録し,情報の内容を分けずに閲覧することを可能とする.

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11

3

章 提案システム

3.1

設計

本研究では,1章で述べた問題点を解決するために以下のようなシステムを考案する. 共有されている各ファイルに対して,ユーザ自身が付加情報を作成し,作成された付加情 報も同時に共有させる.エクスプローラー上で共有ファイルと共に付加情報の内容を閲覧 することで,共有ファイルに対して直接操作を行うことなくファイルの内容を確認する. これにより,一つ一つファイルを操作して内容を確認する手間が省け,短い時間でファ イルの情報を得ることが可能となる.また,自分の持つファイルを共有ファイルとして公 開した際に,他ユーザがそのファイルに対しどのような評価を持ったか,他ユーザが付加 情報に記録し,その付加情報を見ることで,自分の持つファイルに対する他ユーザからの 評価を容易に得ることができる.

3.2

付加情報とは

3.2.1

付加情報の性質

付加情報は以下のような性質を持っている. 一つのファイルに対して一つ付随するメタデータである データの構造は(項目名,項目値)の集合である ユーザがファイルに対して情報を作成し付加する 情報自体はOSやファイルの種類に依存することは無い 記録内容の編集や追記は各ユーザが自由に行うことができる 各ユーザがそれぞれ保持し,オフラインでも自由に編集ができる

3.2.2

付加情報とファイルの対応

付加情報を作成する際に対象ファイルのハッシュ値を取得し,そのハッシュ値を今後ファ イルとの関連付けに利用する.これにより,ファイル名の変更や,他ユーザとのファイル の保存名が異なっていたとしても付加情報は同じものが参照される.

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第3章 提案システム 12

3.2.3

付加情報の記録内容

付加情報の記録内容は原則自由に項目名や項目の値を設定できる.ただし,付加情報の 新規作成の際は,情報元のファイルの拡張子に大して設定されているテンプレートにより, 自動で複数の項目名が生成される(TEXTファイルであればファイル名やファイル形式だ けだが,PDFファイルであればファイル名やファイル形式に加えてタイトルや内容といっ た項目が新規作成時に存在する). 拡張子が存在しないファイルに対しても,ファイル名,ファイル形式,作成者,タグ,コ メントの項目名が必ず自動生成される.自動生成される項目名の中で,ファイル名,ファ イル形式,タグ,コメントの項目名は削除することはできず,各項目名に対し一つずつ値 を記録できるが,タグ及びコメントの項目名に関しては複数の値を追記することが可能と なっている. 図 3.1: 付加情報の表示,(項目名:項目値)の形で表示される.タグ及びコメントの項目 名のみ例外で,タグに関しては(項目名:値1 値2...),コメントに関しては∼ユーザコメ ント∼の欄以下に値のみが表示されていく

3.2.4

付加情報を利用した検索

付加情報に記録されたファイル情報を用いて,ファイルの検索を行うことができる.特 定の項目名に対して指定された値を持つ付加情報を探しだし,該当する付加情報が存在す る場合,その付加情報と関連付けられているファイルが検索結果として表示される. これによりファイル名に関係なく,ファイルの特徴や内容などからファイルの検索を行 うことができる.

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第3章 提案システム 13 図3.2: 付加情報の新規作成画面,PDFファイルに対して新規作成を選んだので,テンプ レートによりPDF詳細,タイトル,作成日の項目名が自動生成されている

3.2.5

付加情報の統合

付加情報は各ユーザがそれぞれ保管し,オフラインでも作成や編集が可能である.共有 ファイルに対する付加情報を持っていないユーザが付加情報を持つユーザとネットワーク 上で繋がれば,付加情報を持つユーザからコピーされ,付加情報を得ることができ,今後 その情報に対する編集等が可能となる.同じファイルに対し各ユーザが違う記録内容で情 報を作成・編集していた場合,各ユーザがネットワーク上で繋がった際に各ユーザが持つ 付加情報の内容が統合され,共有されているファイルに対する情報の内容が拡張され,各 ユーザは拡張された情報を得ることができる.

3.2.6

付加情報の統合における問題と解決法

問題点 付加情報の統合において,情報統合前に自分のつけていたタグやコメント等が統合操作 が行われた後に削除,編集されてしまう問題がある.各ユーザによって情報の内容の必要 性に差異があるため,各ユーザにとって意図していない情報の操作が行われている可能性 がある.自分のつけたタグやコメントが,他ユーザによって削除された場合において,後 に情報が統合された際に,統合前まではあったタグやコメントが統合後には消えてしまう.

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第3章 提案システム 14 解決法 上記のような問題を解決するため,本研究で作成するシステムにおいては他ユーザのコ メントの編集・削除は行えないようにし,タグにおいてはオフラインで各ユーザ全員が同 じタグを削除していた場合や,ネットワーク上で繋がっている際に削除動作が行われた場 合のみ,統合後にタグが削除されるようにした.だれか一人でもタグを残していれば,付 加情報の統合時にはネットワーク上で繋がっている全員が,そのタグが記録された付加情 報を得ることになる. 図 3.3: 片方のユーザしか付加情報を持っていない場合,相手に付加情報がコピーされる 図 3.4: それぞれが同じファイルに対しての異なる付加情報を持っていた場合,情報が統 合されそれぞれのユーザが統合された情報を持つ

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第3章 提案システム 15

図 3.5: 図3.4の実例,ネットワークで繋がる前はユーザ1及びユーザ2はそれぞれ同じ データに対して別々の付加情報を持っている

図 3.6: ネットワークで繋がった後,情報が統合されユーザ1とユーザ2はお互いの情報

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第3章 提案システム 16

3.3

システムの使用

3.3.1

付加情報を持つファイル共有システム

共有フォルダ内に存在する共有ファイルに対してユーザが作成した付加情報のデータが 別のフォルダに保管されている.付加情報のデータも共有の対象となっており,複数のユー ザと共有していくことで情報の統合が繰り返され,情報が拡張されていく.

3.3.2

エクスプローラー

図 3.7: エクスプローラー画面,上部にファイル一覧,下部に選択したファイルの付加情 報が表示される ファイル及び付加情報の管理を行うGUIとして,エクスプローラーがある.エクスプ ローラーの主な機能として,自分の持つ共有ファイル及び他ユーザの持つ共有ファイルの 一覧がアイコン形式で表示される.アイコンの画像は各ユーザのOSにおいて拡張子毎に 関連付けられた画像がアイコンとして参照され,アイコンをクリックし,選択されたファ イルに関連付けられた付加情報が存在する時,下部のウインドウに付加情報の内容が表示 される.また,ディレクトリを選択した場合は,ディレクトリ内のファイル名一覧が下部

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第3章 提案システム 17 ウィンドウに表示される.アイコンをクリックしてファイルを選択し,選択されたファイ ルに対する付加情報の作成,編集等を行うことができる.

3.3.3

共有システム

共有ディレクトリ内に格納されている共有ファイル一覧の情報が相手に公開される.他 ユーザとネットワークで繋がった際には付加情報の統合・コピーが行われるが,サイズの大 きいファイルを自動的に受信してしまいディスクを圧迫してしまうのを避けるため,ファ イル本体は自動的にはコピーされることはない.相手とネットワークで繋がっている間, 自動的に行われる通信操作としては,付加情報の新規作成や編集が行われた際に,対象と なる付加情報の統合やコピーが繋がっている相手に対して開始される.

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4

章 実装

4.1

開発環境

本システムはJAVA [2]によって作成されている.プログラム言語としてJAVAを選ん だ理由としては 移植性が高く,OS等の環境に依存しないシステムの開発が可能である. 豊富なGUIコンポーネントを利用することができる. ネットワークを利用したシステムの開発において,セキュリティの高い開発が可能 である. といった点が挙げられる.

4.2

システム全体の機能

全体の機能として実装したものは以下の三つである. 付加情報の管理 エクスプローラー 共有システム

4.3

付加情報の管理

4.3.1

付加情報の形式

付加情報のデータ記述にはJSON [3]を用いており,保存されたデータは図4.1のよう な形式で保存されている.JSONテキストのデフォルトの文字コードはUTF-8であるた め,保存された付加情報のデータを異なるOS間でコピー等を行っても文字コードによる 問題は発生しない.

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第4章 実装 19

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第4章 実装 20

4.3.2

付加情報の保存場所

共有ファイルは共有ディレクトリ内に存在するが,付加情報のデータも共有ファイルと して認識されるのを防ぐため,共有ファイルに対する付加情報のデータは違うディレクト リに保存されている.共有ファイルを指定した際に付加情報の保存されているディレクト リにアクセスし,ファイルのハッシュ値に該当する付加情報を探し,該当した場合に付加 情報の内容が表示される.

4.4

エクスプローラーの各機能

エクスプローラーに付加情報を利用するための操作として様々な機能を実装した.

4.4.1

付加情報の新規作成

指定したファイルに対する付加情報の新規作成を行うことができる(図3.2).既に付加情 報が存在されていた場合においては新しい情報に上書きされる.付加情報の作成はファイ ルにのみ限定され,ディレクトリに対する情報の作成は不可能である.ファイルのみに限 定した理由として,ディレクトリに対するハッシュ値はディレクトリ内のファイルによっ てすぐに変動してしまうため,ハッシュ値によって関連づけられ,生成される付加情報に は適さないと判断したためである. 新規作成する際にファイルのハッシュ値及び拡張子を参照し,新規作成ウィンドウが生 成される.生成される際にファイルの拡張子によってテンプレートが選ばれ,新規作成時 の入力項目が変更される.拡張子が存在しないファイル,またはテンプレートが存在した い拡張子のファイルに対してはファイル形式が不明とされたウィンドウが生成される.

4.4.2

付加情報の編集

新規作成時に入力した情報の変更を行うことができる.ただし,ファイル名及びファイ ル形式の項目名については変更はできず,付加情報にこの二つの項目名は必ず存在する. また,ファイル名は,後でユーザがファイル名を変更した場合や,同じデータを持つユー ザがそれぞれ違うファイル名で管理していた場合に対応できるようにするために変更が可 能となっている.指定した項目の削除や項目名の変更,項目に対する値の変更等が可能で, タグやコメントの編集はここでは行うことはできない.

4.4.3

項目の入れ替え

項目の表示位置を変更したい場合に編集機能を用いて項目名の変更や削除を行うのでは なく,項目の入れ替え機能を用いる.入れ替えたい項目をそれぞれ指定し,入れ替えボタ ンを押すことで指定された項目がそれぞれ入れ替わる.

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第4章 実装 21 図4.2: 付加情報の編集,タグやコメントはここでは編集できない 図4.3: 項目の入れ替え

4.4.4

項目の追加

付加情報の新規作成後に新しい項目を追加することができる.項目名及び,値を入力し, 項目を挿入する位置を指定することができる.具体例として0番目を指定すると一番上の 項目になり,存在項目数以上の値を指定した場合,自由な項目の一番下の位置として,タ グ一覧の上に挿入される.なお,同じ項目名の追加はできない.

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第4章 実装 22 図4.4: 新しい項目名の追加

4.4.5

タグの追加・編集

ファイルの特徴を示すタグを自由に追加,編集できる.タグ数には制限がなく,どのユー ザがつけたタグにおいても編集や削除が可能である.ただし,タグの重複は不可能となっ ている. 図4.5: タグの編集・追加

4.4.6

コメントの追加・編集

ファイルに対するユーザのコメントを追加・編集できる.ただし,他ユーザがつけたコ メントに対する編集や削除は不可能である.一番最後に追加されたコメントが一番下に表 示されるが,コメントの編集を行ってもそのコメントの位置は変更されない. 図 4.6: コメントの編集・追加,他ユーザのコメントは編集や削除が不可能になっている

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第4章 実装 23

4.4.7

通信に関する設定

共有システムとして通信を行う際の設定があり,エクスプローラー上にてIPアドレス及 びポート番号を設定できる.また,ユーザ名の変更は自由に行うことができるが,各ユー ザが固有に持つIDは変更されない.コメント表示の末尾にユーザ名及びコメント時間が 表示されるが,ユーザ名の変更を行うと表示されているユーザ名も変更される. 図 4.7: ユーザ設定画面 図4.8: 通信の設定画面

4.4.8

チャットウインドウ

ネットワークで繋がったユーザとチャットを行うことができる.現在接続中のユーザ名 が表示され,接続相手とリアルタイムで情報を交換しながら各ファイルに対する情報の編 集を行うことができる. 図4.9: チャットウィンドウ

(25)

第4章 実装 24

4.4.9

付加情報を用いた検索

各ファイルに対して作成された付加情報を用いて検索を行う.ファイルの特徴を示すタ グに関して,指定したタグが登録されているファイルの検索を行うことが可能である.タ グは複数指定による絞込みの検索も可能で,より精密なファイルの検索を行うこともで きる. 検索を行うと,新しく上部のファイル一覧ウィンドウに検索結果タブが生成され,検索 で見つかったファイルが表示される.検索範囲は自分の共有ディレクトリ内部及び,ネッ トワークで繋がったことがありファイル一覧が取得できているユーザの共有ディレクトリ 内部である.各ディレクトリに同名のファイルがあった場合もそれぞれ表示され,参照す ることができる. 図4.10: タグ検索ワード入力画面 図 4.11: タグ検索の結果,検索結果タブが作成され検索で見つかったファイルが表示さ れる

(26)

第4章 実装 25

4.5

共有システム

ネットワークの構築もJAVAを用いて行っている.また,既存の共有システムは用いず に独自の共有システムを開発した.他ユーザとの通信の際にはエクスプローラーにて設定 したIPアドレス及びポート番号を用いて接続を行う. ネットワーク上で繋がった相手からは付加情報の統合操作の後,相手の共有ディレクト リ内のファイルデータ一覧が送信され,相手の持つファイルの一覧を参照できるようにな る.相手のファイルデータ本体をダウンロードしたわけではないので,相手の持つ共有ファ イルをその場で実行することはできない.相手の持つファイルの一覧を参照する際に,各 ファイルに対する付加情報が存在する場合は付加情報に記録された内容が表示される. 図4.12: ユーザ1とユーザ2がネットワークで繋がった状態,相手のファイルを参照する ことができる

(27)

26

5

章 評価

5.1

評価方法

本システムを利用している5人のユーザがおり(ユーザ名はユーザ1からユーザ5まで), そこへ新しく共有グループへと加わるユーザが本システムを用いるという状況を想定した 実験を行い,各ファイルに対する付加情報を用いることでファイル管理が容易になったか, ファイルの情報を得ることが容易となったかを評価する.

5.1.1

参加者

実験は本大学の生徒13名に協力していただいた.協力した人は全員習慣的にパソコン を利用している.また,実験のタスクは各自のPC上で行った.

5.1.2

実験内容

協力者には本システムの操作を実験の前に行ってもらい,ある程度操作に慣れたところ で,実験を行ってもらった.実験は以下の3つの方法で行ってもらった. 1. 付加情報が存在しない状態での指定されたファイルの検索 2. 付加情報が存在する状態での指定されたファイルの検索 3. 付加情報からのタグ検索を用いての指定されたファイルの検索 各方法でそれぞれ3種類,指定されたファイルの検索を行う.1番の実験中はエクスプロー ラーの付加情報やディレクトリ内を表示するための下部ウインドウが存在しない状態と なっている.1番の実験及び2,3番の実験では検索するディレクトリの構造及びファイル 名が変更されている.構造の深さはほぼ同一であるが,2番,3番の実験時のほうがディ レクトリの構造は複雑となっている. ファイル名やディレクトリ名においても1番の実験においてはファイル名やディレクト リ名からファイルの内容を把握しやすいもの(ファイルの内容を表す名称等)となっている が(図5.2),2番,3番の実験においてはファイル名だけではファイルの内容を把握しづら いもの(連番ファイル名等)となっている(図5.4).また,1番の実験では検索するファイ ルの内容が詳しく書いてあるが(図5.1),2番の実験では検索するファイルの内容を1番よ りも曖昧にしてあり(図5.3),3番の実験では2番よりも曖昧な内容となっている(図5.5). 具体例を述べると,実験番号を選択すると探すべきファイルの内容が指示され(図5.2)), スタートを押した瞬間から時間の測定が開始され,エクスプローラーが表示される.指示 されたファイルのアイコンをダブルクリックしたところで測定を終了する.

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第5章 評価 27 図5.1: 1番の実験で指定されたファイル内容の一つ,ファイルの保存場所やファイル名が 連想しやすい 図5.2: 1番の実験でのディレクトリ内の一部,ディレクトリ名やディレクトリ構造が細か く設定され,ファイル名からファイルの内容を連想しやすい.実験1の時だけ付加情報や ディレクトリ内のファイル名一覧を表示するためのウインドウが排除されている

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第5章 評価 28 図5.3: 2番の実験で指定されたファイル内容の一つ,1番の実験よりファイル名が連想し にくい内容を指示される 図 5.4: 2番及び3番の実験でのディレクトリ内の一部,ディレクトリ名から内部にある ファイルの内容が連想しにくく,ファイル名も連番となっており,ファイル名だけではファ イル内容の細かい情報がわからなくなっている

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第5章 評価 29 図 5.5: 3番の実験で指定されたファイル内容の一つ,3番の実験が最も曖昧な内容となっ ている

5.1.3

回答の方法

実験を行ったあとにアンケートを実施した.アンケートの内容は以下の通りである. 1. 付加情報はファイルの情報を得るのに役に立ったか? 2. タグ検索を用いたファイルの検索は目的のファイルを探すのに役立つと思ったか? 3. 従来のファイルシステムと比べて本システムは使いやすいと思うか? 4. 追加したほうが良い機能,もしくは不要だと思う機能があるか? 5. 本研究のシステムの使用感,及び本研究のシステムに対する意見 質問内容1∼3については5段階での評価及び評価の理由を回答してもらった.(5段階評 価の内容は質問1では1が役に立たなかった,5が役に立った.質問2と3では1が思わ ない,5が思うである)

5.2

結果

ファイルの検索にかかった時間の統計を取り,平均値と分散を算出した結果,表5.1∼ 表5.4のようになった.実験1および実験2のほうでは探すファイルの内容によって時間 にバラツキが見られたが実験3のほうでは3種類のファイル全てにおいて検索にかかる時 間がほぼ同一の結果となった.

(31)

第5章 評価 30 表5.1: 実験1の結果 1-1 1-2 1-3 平均値(ms) 19433 33179 9851 標準偏差(ms) 8873 19371 5030 表 5.2: 実験2の結果 2-1 2-2 2-3 平均値(ms) 34633 32492 15645 標準偏差(ms) 14370 10546 5587 表5.3: 実験3の結果 3-1 3-2 3-3 平均値(ms) 16533 16800 16835 標準偏差(ms) 4298 7396 5126 表 5.4: アンケートの結果 問1 問2 問3 平均 4.08 4.69 3.69

5.3

考察

5.3.1

付加情報利用による検索速度に対する考察

実験1,実験2の結果により,検索対象のファイルの存在場所がファイル名やディレク トリ名から判断できるような場合には目的のファイルの検索時間には付加情報による効果 は薄いと考えられた. だが,ディレクトリの名称やファイルの名称をそれぞれ細かく設定していけば確かに目 的のファイル位置の把握は容易となるが,ディレクトリ数の増加やディレクトリ構造の深 層化を起こしてしまうと考えられる. 実験3の結果より,付加情報を利用した検索を行うことで検索する範囲を縮小すること ができ,ファイル検索に対する効率が上昇し,全ファイルに対する検索時間を減少できる と考えられる.また,ディレクトリ階層の構造やファイルの名称に関係なくファイルの検 索が行えるため,各ファイルやディレクトリに対する名称に対しての定義付けを緩く設定 できることが示せた.

5.3.2

付加情報によるファイル情報の取得に対する考察

付加情報から得られるファイルの情報に関して,表5.4の問1の結果の平均が4.08,問 2の結果の平均が4.69であった.問1に対する意見としてはファイル名に反映されていな い情報を付加情報から得ることができたといった意見や,同じ名称のファイルから目的の ファイルを探すのに付加情報が役立ったという意見があり,問2の意見からは英単語の名 称のファイルを日本語による検索で発見できるのが良かったといった意見や,ファイル名 につきそうにない単語で検索してファイルを発見できるのが良かったという意見があった. これらの意見と,実験2,実験3の結果よりファイルの検索中におけるファイルの情報 の取得においてはファイル名からファイル内容の詳細を得ることが困難な状況において付 加情報を参照することによりファイルの情報を得ることができ,選択されたファイルが目

(32)

第5章 評価 31 的のファイルであるかを判断できると考えられ,ファイルに対する付加情報を利用するこ とで,共有ファイルの詳細を実行することなく確認できることを示せた. また,共有グループへの新規加入ユーザであったとしても共有ディレクトリ内に存在す る共有ファイルの情報をすぐに得ることができ,どのようなファイルであるかを知ること ができることを示せた. ただ,問1の意見の中にはファイルを選択するまでは付加情報を閲覧できないので多少 手間がかかるといった意見も存在し,ファイル検索を行うユーザの負担軽減のために,付 加情報を閲覧するためのUIの改善の必要があると考えられた.

5.3.3

ユーザビリティ

表5.4の問3の結果の平均が3.69であった.この結果より,本システムは従来のファイ ルシステムと比べて,使用する際のユーザの負担を軽減できているとは言い難い.また, アンケートの意見で付加情報の作成がされている必要があるという意見や付加情報を作成 する側の負担が大きいのではないかといった意見が多く,本システムを利用することによ るユーザの負担を減らすためには,ネットワークを利用した付加情報の統合による情報の 拡張の他にも,付加情報の作成に対する補助を行うシステムの実装が必要であると考えら れた.

(33)

32

6

章 結論と課題

6.1

結論

本研究では多くのユーザによる共有グループの中で共有するファイルの数が増加してい くことでファイル群の情報も肥大化していき,各ファイルが共有されている目的や用途が 理解しにくくなり,共有ファイルを管理していくことや,共有グループの新規参入ユーザ が共有ファイルがどのような目的や意図により共有されているかを把握するのが困難と なってしまうという問題を解決するために,新しいシステムを開発することを説明した. 新しいシステムとしてファイルの管理やファイルの情報を得ることを容易とするための 機能を持つ“付加情報を持ったファイル共有システム”の設計を行い,システムの実装,評 価を行った. その結果,本システムは各ファイルの名称に依存することや,ファイルの内容を調べる 必要もなく,ファイルの情報を得ることができ,共有グループに新規参入するユーザが共 有ディレクトリ内にある共有ファイルの情報を得ることが容易となり,ユーザの負担を減 らせることを示すことができた.また,共有ファイルにおいて,各ユーザごとに自由な名 称の設定や保存位置の設定を行うことが可能となり,共有ファイルの管理に対する制限を 緩和し,共有ファイルの管理を容易にできることを示すことができた. そしてこれらの結論より,付加情報を他ユーザと共有し,情報を統合し拡張していくこ とで,更にユーザの負担の減少や,ファイル管理の容易化を図れ,システムの長期的運用 や,ユーザ数の増加によりその効果も一層高まると考えられた.

6.2

今後の課題

6.2.1

機能の追加

共有ファイルの管理の容易化のために,更なる機能の追加が考えられる.いずれも実装 することで,目的のファイルの検索が更に容易になると考えられる. 他項目の検索機能 現時点ではタグによる検索機能しか実装されていないが,付加情報に記録されたコメン トやその他の項目等からも検索を行えるようにし,幅広い範囲でのファイル検索を可能と する. また,複数の項目からの絞込み検索や,特殊な条件の検索(例えば,作成者がユーザ1 とユーザ2のどちらかのファイルを検索,一定サイズ以上の画像のみを検索等) を可能に する.

(34)

第6章 結論と課題 33 ファイル一覧表示での付加情報の表示 ディレクトリが選択された際にディレクトリ内のファイル名一覧が表示されるが,そこ でファイル名の他に各ファイルの付加情報を表示する.表示する内容も限定し,例として タグ一覧のみをディレクトリ選択時は表示するようにする.これによりディレクトリ内に どういったタグがつけられたファイルが存在するかわかるようになり,選択されたディレ クトリがどのような種類のファイルが保管されたディレクトリであるか早く把握すること ができる. ユーザインターフェースの改善 タグ検索を選び,検索したいタグを入力し,検索を開始するだけではなく,付加情報と して表示されているタグ一覧からタグを選択し,選択されたタグについて検索を行う.他 にも,タグの検索するための入力フィールドを常にエクスプローラー画面の右上等に表示 しておく,等の検索機能の改善が考えられる.

6.2.2

付加情報作成の補助機能

ユーザが目的のファイルを探す場合,ファイルの内容から連想されるワードを用いて検 索を行うケースが多く,その検索ワードに関連したタグ等が付加情報に記録されている必 要がある.情報の作成および関連するタグ等の登録はユーザが行う必要があるため,情報 を作成するユーザの負担が大きくなってしまう.そのようなユーザの負担を減少させるた め,付加情報作成の際にユーザを補助するための機能を実装する必要があると考えられる.

6.2.3

ファイル本体の取得機能の追加

従来の共有システムはファイル本体のデータを共有するものである.本研究のシステム では付加情報のデータはネットワークで繋がった相手とコピーや統合が行われ,互いに付 加情報のデータを取得するのだが,ファイルはファイル名及びハッシュ値のみの取得とな り,本体のデータは送受信されないため,相手が目的のファイルを持っていたとしてもそ のファイルを取得するためには別の手段でデータの交換等を行う必要がある. 相手のファイル一覧から指定したファイルを相手からダウンロード,もしくは実行等を 可能にする.これにより,目的のファイルの検索から取得までの過程が容易になると考え られる.

6.2.4

長期的な使用

本来,本研究のシステムは共有システムを長く使用することで起こる問題に対して開発 されていたため,評価に関しては長期的な実験を行う必要があった.今回の評価において はネットワークを利用した状態での評価を行うこともしていない.本研究でのシステムを 長期的に使用することで,ファイルに対する付加情報の変化や,ファイルの管理に関する 変化を調査する必要があると考えられる.

(35)

第6章 結論と課題 34

6.2.5

ネットワーク利用範囲の拡大

本研究のシステムは様々なユーザに利用されることを想定して作成されているが,ネッ トワークでの接続は現時点ではLANでの接続までしか行うことができない.多くのユー ザが自由に本研究のシステムを利用するためには,インターネットを利用した遠く離れた 位置からの接続を可能とする必要があると考えられる.これにより,多数のユーザによる 共有グループが作られ,付加情報の拡張が頻繁に行われ,付加情報から得られる各ファイ ルの情報が増加していくと考えられる.

(36)

35

謝辞

本研究は,電気通信大学情報通信工学科情報通信システム学講座寺田研究室において, 寺田実准教授の御指導の下で,卒業研究として行われました. 寺田実准教授には研究に対しての方針を定めるにあたって多くの御助力を頂き,また, 研究の内容全般においても適切な御指導を多く頂きました.心より御礼申し上げます. 東京大学情報基盤センターの丸山一貴助教にもまた,研究において多くの御指摘,御指 導を頂き,研究全般において様々な御助力を頂きました.心より御礼申し上げます. 初めて扱うJSONに関して,本研究室修士課程二年の平山慧さんには様々な使用方法を 御指導いただき,JSONの導入方法や使用方法は学部四年生の守屋怜くんから御助力を頂 きました.心より御礼申し上げます. また,本研究において様々な御指摘を与えてくださった本研究室 博士課程三年の高須賀 清隆さん,修士課程二年の梅林靖弘さん,奥村俊也さん,修士課程一年の井桁正人さん, 佐藤和哉さん,学部四年の澤野祥史くん,田中英人くん,増子直樹くんに多大なる感謝を 申し上げます.

(37)

36

参考文献

[1] Microsoft Corporation

http://www.microsoft.com/ . [2] Javaテクノロジ - Sun Microsystems

http://jp.sun.com/java/ . [3] JSON http://www.json.org/ . [4] 梶克彦,長尾確 “Annphony:メタコンテンツ処理のためのプラットフォーム”,情報科学技術フォーラ ム(FIT)2006, 2006. [5] 岩部正明,石田亨 “メタデータを用いたコラボレーションコンテンツの共有”,京都大学 工学類 卒業研 究論文. http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/publications/thesis/BH16 iwabu.pdf . [6] ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/ [7] ニコニコ大百科 http://dic.nicovideo.jp/

図 2.2: ニコニコ動画のタグ編集画面,星マークのつくタグが投稿者によりロックされて いるタグである
図 3.6: ネットワークで繋がった後,情報が統合されユーザ 1 とユーザ 2 はお互いの情報 が統合された付加情報を持つ
図 4.1: 付加情報の保存形式

参照

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