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第 4 章 Pt/Ti/SiO 2 基板上の BaTiO 3 薄膜の低温成長 36

4.4 結言

あった. L. Qiaoらによって作製されたBTO薄膜のJ-E 特性は 200 kV/cm で1.0 × 10−6 A/cm2であった(図中点線)[107]. また, Y. Guoらによって作製されたBTO 薄膜の電流密度は200kV/cm及び-200kV/cmでそれぞれ1 × 10−5 A/cm2及び1 × 10−6 A/cm2と報告されている[110]. 同様にC. H. Wuらは200kV/cmでの電流密度 は1 × 10−4 A/cm2と報告されている[108]. 従って300Cで作製されたBTO薄膜は 絶縁的でなく, 500Cで作製されたBTO薄膜の方が絶縁性が高い.

図4.13は, 300C及び500 Cの基板温度で作製されたBTO薄膜のP-E 特性を示 している. ここでR[O2] 20%, dT−S 30 mmに固定した. 図に示されるように, P-E ヒステリシスの2Pr(Prは残留分極)は300 Cの基板温度で作製されたBTO薄膜 については0.56 μC/cm2に対し, 500 Cでは6.8 μC/cm2の開いた形状が観測され た. 結晶性や表面形態については300 C 及び500 C の基板温度で同様であるが, 図4.11(c)と(d)に示されるように,断面の構造には違いが見られることから, 500C の断面SEM画像中の白い柱状層が図4.7に示されるように(001)比の向上につなが り,P-E 特性におけるヒステリシスを引き起こしていると考えられる.

残留分極(Pr)と抗電界(Ec)が図4.13より推定され, 300 Cの基板温度で作製さ れたBTO薄膜ではPrが0.28 μC/cm2で,Ecが13 kV/cmであった. 500Cで作製 されたBTO薄膜ではPrが3.4 μC/cm2で, Ecが63.5kV/cmであった. L. Qiaoら はBTO薄膜のPr および Ecをそれぞれ, 2.1 μC/cm2 及び 45 kV/cmと[107], T.

Nagatomoらはそれぞれ, 3.2 μC/cm2 及び 12 kV/cm[102], J. B. Xuらはそれぞれ, 2.5 μC/cm2 及び 50 kV/cm[36]と報告している. ゆえに, 基板温度500 Cで得られ たPr及びEcは妥当と考えられる.

 図4.9より, 成膜レートはdT−S が30 mmでは300 Cと500 Cで差が見られず, Ba, Tiの供給量はいずれも同程度であるといえる. しかし, 300 Cで成膜したBTO の絶縁性が劣っていたことは, 酸素欠損が多く存在することを示す. 酸素欠損はド ナーとして機能し絶縁性を劣化させる. 300 Cでは活性酸素の濃度と基板の熱エネ ルギーだけでは酸化が進まず酸素欠損を生じたものと考えられる. 基板温度を上げ ることなく膜質を改善するには, dT−Sを短くする,あるいはRF出力を上げることで 活性種の濃度を上げることが解決の可能性として挙げられる. 一方, 基板温度500C で作製されたBTO薄膜では,活性種の濃度と基板の熱エネルギーによりBaとTiの 供給量に見合った酸化反応が進行したことにより絶縁的な薄膜になると考えられる.

かし, J-E 特性では500 Cの基板温度で成膜されたBTO薄膜の抵抗は, 300 Cで 成膜されたBTO薄膜より高かった. この原因として300 Cの基板温度で成膜され たBTO薄膜では基板温度が低いために酸化反応が十分に促進されなかった点があ げられる. これを解決する方法として, さらにdT−Sを短くする, あるいはRF出力 を上げることで活性種の濃度を上げることが解決の可能性として挙げられる.

20 30 (a) 300 °°°° C

BT O (001) BT O (101)

Intensity [a.u.]

2

20 30

(b) 500 °°°° C

Intensity [a.u.]

2

BT O (001) BT O (101)

0 40 50

R[O

2

] = 0%

R[O

2

] = 10%

R[O

2

] = 20%

BT O (002)

Pt(002)

BT O (1 11)

Pt(111)

[deg.] g

0 40 50

R[O

2

] = 0%

R[O

2

] = 10%

R[O

2

] = 20%

2 [deg.]

BT O (002)

Pt(002)

BT O (1 11)

Pt(111)

図 4.4 種々の酸素流量比(R[O2])で作製されたBaTiO3薄膜のX線回折パターン

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図 4.5 種々の酸素流量比(R[O2])で作製されたBaTiO3薄膜の(001)ピーク強度比( α001)

20 30 (a) 300 °°°° C

BT O (001) BT O (101)

Intensity [a.u.]

2 [

20 30

(b) 500 °°°° C

Intensity [a.u.]

2 [d

BT O (001) BT O (101)

40 50

d

T-S

= 30mm

d

T-S

= 40mm

d

T-S

= 50mm

BT O (002)

Pt(002)

B T O (111 )

Pt(111)

deg.]

40 50

d

T-S

= 30mm

d

T-S

= 40mm

d

T-S

= 50mm

deg.]

BT O (002)

Pt(002)

B T O (111 )

Pt(111)

図 4.6 種々のターゲット・基板間距離(dT−S)で作製されたBaTiO3薄膜のX線回折 パターン

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+-,/.103254%6 87

図 4.7 種々のターゲット・基板間距離(dT−S)で作製されたBaTiO3薄膜における (001)X線回折ピーク強度比 (α001)

ity [a.u.]

R[O

2

] = 20 % d

T-S

= 30 mm

-5 ω ω ω ω

Intens i

300 500

0 5

ω ω ω

ω [deg.]

図4.8 300C(黒)及び500 C(赤)の基板温度で作製されたBaTiO3薄膜の(001)X 線回折ピークのロッキングカーブ

!#"%$'&)(+*-, /.

0

13254-68797;:

図4.9 種々のターゲット・基板間距離(dT−S)で作製されたBaTiO3薄膜の成膜レート

0.6 0.8 1

R atio

0 30 0.2 0.4

Ba /Ti R

d

T-300 ° C 500 ° C

40 50

S (mm)

図 4.10 種々のターゲット・基板間距離(dT−S)で作製されたBaTiO3薄膜のBa/Ti の組成比

(a) R[O2] = 20% (300°C)

μ

(c) R[O2] = 20% (300°C)

μ

(b) R[O2] = 20% (500°C)

μ

(d) R[O2] = 20% (500°C)

μ

図 4.11 (a) 300C及び(b)500Cの基板温度で作製されたBaTiO3薄膜の表面SEM 写真と(c) 300 C及び(d)500Cの基板温度で作製されたBaTiO3薄膜の断面SEM 写真

10

-6

10

-5

10

-4

n sity | [ A / cm

2

]

-200 -100 10

-9

10

-8

10

-7

Electric fiel

| Curr ent de n

0 100 200

300˚C 500˚C

ld [ kV / cm ]

図 4.12 300 C及び500 Cの基板温度で作製されたBaTiO3薄膜の電流密度―電界 強度(J-E)特性

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図 4.13 300 C及び500 Cの基板温度で作製されたBaTiO3薄膜の分極―電界強度 (P-E)特性

5 Pt/C/Pt/Ti/SiO 2 半自立基

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