第 4 章 Pt/Ti/SiO 2 基板上の BaTiO 3 薄膜の低温成長 36
4.2 実験方法
本研究では通常のRFマグネトロンスパッタリング法において,ターゲット―基板 間距離(dT−S)を短くし, 成膜基板を活性酸素の多いプラズマ中にさらして結晶の酸 化を促進することで, BTOの低温成膜を行った. 低温しかも, プラズマ中でのBTO 成膜条件, 特に酸素流量比及びターゲット・基板間距離が, BTOの配向性と電気特 性に及ぼす影響について明らかにした.
4.2.1 ターゲット作製
図4.1と図4.2はBaTiO3薄膜作製用の焼結体ターゲットの作製工程とターゲット 焼成のための温度推移を示している.
!#"%$#&
!#"%$#&
!#"%$#&
!#"%$#&
')(
*+-,.
*+-,.*+-,.
*+-,.
' (
/10
2 4576689;:=<?>A@CB2ED576F8G;:=<
@CBIHJE
KAMONPBQ
R99TSUKAM7VWN
D
>XGNPBQ
Y-Z Y-ZY Z
Y-ZY-Z
Y Z [ G N N > ] ^] ^] ^] ^ [ N N
`G9 abc>XdTegfXhUi
図 4.1 ターゲット作製の工程
原材料にはBaCO3(99.0%), TiO2(98.5%)の粉末試薬(和光純薬製)を用いた. 組 成比Ba : Ti = 1 : 1となるようにモル比計算を行い, 算出した重量を電子天秤を用
いて1/1000g単位でそれぞれ計量を行った. その後, 加熱処理時の反応を促進するた
め, 混合物の組成が均一になるように乳鉢内で約1gあたり1分間混合を行った. 計 量, 混合を終えた原材料をプレス機を用いてプレス成型を行った. 加圧条件は, 200 kg / cm2 で, 5分間加圧した. その後, 急激な圧力の変化によるペレットの変形を防 ぐため5分間かけて減圧を行った. プレス成型したペレットを電気マッフル炉を用 いて大気中, 1150◦Cで4時間焼成を行った. BaTiO3ターゲット作製にはターゲット の焼結化のため1150◦Cまで昇温する必要があり, その際の急激な温度変化によりペ レットの変形または組成ずれを引き起こすため図4.2に示される温度推移で焼結を 行った.
図4.3は,上記の方法により作製されたBaTiO3粉末ターゲットのXRDパターン を示している. 図に示されるように, 本手法により作製されたBTO ターゲットは BTO 特有のXRDパターンを示し, RFマグネトロンスパッタ法によるBTO薄膜作 製に適したターゲットが得られた.
!" !#
$'&
$'&
$'&
$'& (*),+
図 4.2 ターゲットの焼結体作製のための温度推移
"!$#&%')(
図 4.3 BaTiO3粉末ターゲットのX線回折パターン
4.2.2 BaTiO
3薄膜の作製
BTO薄膜は基板, Pt(100 nm)/Ti(20 nm)/SiO2(100 nm)上にRFマグネトロンス パッタ法により成膜された. 表4.1は, 本研究で用いられたBTO成膜条件を示して いる. BTO薄膜は300 ◦C及び500 ◦Cの基板温度で成膜された. 500◦Cは前述した ように, 一般的にBTO薄膜の成膜に用いられている温度で, 300◦Cはほとんど報告 されていない低い温度である. 本研究では全圧, ガス流量, RF出力は一定で行われ, それぞれ1.3 Pa, 20 sccm, 100 Wであった. R[O2]は0 〜 20 %, dT−Sは30 〜 50 mmの範囲で変えて行われた. アルゴン, 酸素の流量制御はニードルバルブ付き流量 計にて行い,全圧の制御はメインチャンバーのゲートバルブで行った. ターゲット―
基板間は対向式で,酸化物焼結体ターゲットのサイズと組成はそれぞれ3インチ と モル比Ba : Ti = 1:1であった. 成膜したBTOの膜厚は1± 0.3 μmであった.
表 4.1 BaTiO3の成膜条件
[ ° C ]
[ Pa ] [sccm]
[% ] RF
[ W ]
"!#
[ mm ]
$%