第 6 章 評価 31
6.1.2 結果
非周期タスクとしてAutomotive/qsortアプリケーションを使用したときの,TBSにお ける平均応答時間を1として正規化した平均応答時間を図6.1に示す.横軸が周期タスク の使用率,縦軸が正規化した平均応答時間を示す.全てのUpの場合において,ATBSMに よる平均応答時間は既存の手法による平均応答時間よりも短くなっていることが分かる.
TBSと比較した際,ATBSMによってUp = 75%のときに最大62.3%,ATBSと比較した 際,ATBSMによってUp = 75%のときに最大40.9%短縮された.また,ATBSM+dwcet による平均応答時間はATBSMによる平均応答時間よりも短くなっていることが分かる.
ATBSMと比較した際,ATBSM+dwcetによってUp = 75%のときに最大3.6%短縮された.
全27アプリケーションにおける平均値を図6.2に示す.全ての Up の場合において,
ATBSMによる平均応答時間は既存の手法よりも短くなっており,かつATBSM+dwcet
による平均応答時間はATBSMよりも短くなっていることが分かる.TBSと比較した際,
ATBSMによってUp = 75%のときに最大52.5%,ATBSM+dwcetによってUp = 75%の
のときに最大30.2%,ATBSM+dwcetによってUp = 75%のときに最大31.3%短縮された.
Aut./qsortアプリケーション以外の各アプリケーションにおける結果を,図6.3〜図6.28 に示す.これらの図において,平均応答時間をART(Average Response Time)と表記して いる.
ATBSとATBSMにおけるPETについて考察する.まず,非周期インスタンスの実際
の実行時間と2つの手法によるPETの誤差を比較する.Aut./qsortアプリケーションを 使用したとき,シミュレーションで使用した全ての非周期インスタンス(1セットにつき 100回× 10セット=計1000回の非周期インスタンス)において,ATBSによるPETと実 際の実行時間の誤差の平均値は4.47ティック,ATBSMによるPETと実行時間の誤差の 平均値は0.33ティックとなった.これは,提案手法の予測式を使用した実行時間予測に よって,ATBSの場合よりも誤差を92.6%小さくすることができたことを示す.全27ア プリケーションの平均においては,提案手法によってATBSの場合よりも誤差を77.2%小 さくすることができた.この結果は,提案手法によってATBSよりも高精度に実行時間 予測を行えていることを示す.次に,PET内に終了する非周期インスタンスの割合を比 較する.Aut./qsortアプリケーションを使用したとき,ATBSにおいて70.0%,ATBSM において96.4%の非周期インスタンスがPET内に終了した.全27アプリケーションの平 均においては,ATBSにおいて66.1%,ATBSMにおいて92.0%の非周期インスタンスが PET内に終了した.この結果は,提案手法によってATBSよりも過小見積の数を減らす ことができていることを示す.
次に,dwcetの効果について考察する.ATBSMとATBSM+dwcetにおける,過小見積 時のデッドラインの長さを比較する.すなわち,過小見積時のデッドライン計算において,
WCETを使用する場合とdwcetを使用する場合を比較する.Aut./qsortアプリケーショ ンにおいて,ATBSM+dwcetによる過小見積時のデッドラインの長さが,ATBSMの場合 よりも平均75.0%短縮された.全27アプリケーションの平均においては,平均42.2%短 縮された.以上の結果は,ATBSM+dwcetによって過小見積時の影響を小さくできてい ることを示す.
図 6.1: Aut./qsortにおける平均応答時間
図 6.2: 27アプリケーションの平均値
図 6.3: Aut./susan-ed.におけるART 図 6.4: Aut./susan-co.におけるART
図 6.5: Aut./susan-sm.におけるART 図 6.6: Con./jpeg-enc.におけるART
図 6.7: Con./jpeg-dec.におけるART 図 6.8: Con./lameにおけるART
図 6.9: Con./madにおけるART 図 6.10: Con./tiff2bwにおけるART
図 6.11: Con./tiff2rgbaにおけるART 図 6.12: Con./tiff2ditherにおけるART
図 6.13: Con./tiff2medianにおけるART 図 6.14: Off./ghostscriptにおけるART
図 6.15: Off./rsynthにおけるART 図 6.16: Net./patriciaにおけるART
図 6.19: Sec./rijndael-enc.におけるART 図 6.20: Sec./rijndael-dec.におけるART
図 6.21: Sec./shaにおけるART 図 6.22: Tel./CRC32におけるART
図 6.23: Tel./FFTにおけるART 図 6.24: Tel./IFFTにおけるART
図 6.25: Tel./adpcm-enc.におけるART 図 6.26: Tel./adpcm-dec.におけるART
図 6.27: Tel./gsm-enc.におけるART 図 6.28: Tel./gsm-dec.におけるART