第 3 章 実験
3.4 システム全体動作実験
3.4.2 結果と考察
まず,システムに音声で次のような依頼をした.
「手袋を取ってきて」
この時点でシステムが蓄積していた,手袋に関する存在履歴は以下のようになっていた.
表 表
表表 6666 実験時実験時実験時実験時のののの手袋手袋手袋手袋にににに関関関関するするするする履歴履歴履歴履歴
場所名 存在回数
テーブル 3
ダンボール 2
黒い机 1
ここから,実験3.2で示した対話モデルの式を利用して対話コストを計算すると,自動:
5.5,確認:3.5,選択:2.67,問返し:3.0 となり,システムは選択肢を与える対話を返す
行動を実行した.
「テーブルにありますか.それともダンボールにありますか」
これに対して「テーブル」と返すと,システムは過去の探索によって得た位置情報によ って移動を開始した(今回はシミュレーションフィールド上の移動となった).移動後のシ ミュレーション上でのロボットの位置,および取得した画像を下図に示す.
図 図図
図 535353 53 移動処理後移動処理後移動処理後の移動処理後のの代替の代替代替モジュール代替モジュールモジュール外観モジュール外観外観外観
図 図図
図 545454 54 取得取得取得した取得したした画像した画像画像 画像
この画像に対し,かつてテーブルで手袋を探索した際に成功した処理手順を履歴から検 索して実行した.履歴に残されていた処理手順と,それにより得られた画像を以下に示す.
彩度フィルタ
(なし)
明度フィルタ
(I > 80カット)
色領域検出
(105 < H < 130)
雑音除去フィルタ
(1回適用, 2回適用)
四角形検出
図 図図
図 555555 55 履歴履歴履歴により履歴によりにより導により導導かれた導かれたかれた処理手順かれた処理手順処理手順処理手順
○ 総試行回数:16回
○ 候補領域検出:14回
○ 有効図形検出:13回
○ 検出した図形と「手袋」との一致:13回
(a) (a) (a)
(a) ((((b)b)b)b)
図 図図
図 565656 56 処理処理処理の処理のの結果の結果結果 結果
結果として,極めて少ない試行回数で目的物体を検出することに成功した.今回は,初 期の音声情報で「手袋」以外の情報を与えなかったが,過去の探索履歴から,手袋はテー ブルかダンボールにある確率が高いとシステムが予測し,選択による対話を返すことで対
象場所を確定した.また,色に関する情報についても与えていないが,過去の探索で色相
値105 < H < 130(色名称では緑〜青緑)での探索で発見されているため,この値を利用す
ることで手袋を発見することが出来た.これにより,過去の探索履歴を用いて画像処理手 順を構築することの有用性が示せたといえる.
ただし,別の取得画像での実験においては,このように上手く処理手順構築が働かない 状況もあった.一例としては,背景ではなく照明および環境光の効果によって得られる色 相値自体が大幅に変化してしまった場合である.図57の場合は環境光の影響により,取得 画像全体が赤みを持ち,色相値を大幅に変化させている.
図 図図
図 575757 57 物体検出物体検出物体検出が物体検出がが上手が上手上手く上手くく働く働働かなかっ働かなかっかなかったかなかったたた画像画像画像画像のののの一例一例一例一例
このような場合に対しても履歴を上手く利用して検出を行うためには,[9]が示している ような,照明変化に不変な量を考えに含め,その値も履歴情報に加えることでより変化に 強い物体探索が可能になるのではないかと考えられる.今後の課題としていきたい.