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結果および考察

ドキュメント内 i (ページ 102-105)

文  献

6.2.2  結果および考察

1.  フダンソウの葉組織中の結晶

植物中のカルシウムの大部分は不溶性のシュウ酸カルシウムとして液胞中に存 在しているといわれている6.また,アカザ科の植物中に含有されるカルシウム はシュウ酸カルシウムとして安定な状態で存在するとの報告がある13.藤原に よると,フダンソウにおいて子葉に存在していないシュウ酸カルシウムが葉の成 長に伴って結晶を生成すると報告している1 6.本節では,化学成分の測定に用 いた同じ試料を用いて,葉表面からの結晶の観察を行なった.光学顕微鏡により 観察を行なったところ,粒顆状の結晶が観測された.この結晶を藤原1 6や石井1 3 によって報告されたアカザやホウレンソウのシュウ酸カルシウムの形と比較した.

その結果,結晶形はほぼ同じであり,微細な結晶が集合した球顆状であった.ま た,この集合体の周りには小さなギザギザ(切れ込み)がみられた.さらにこの 結晶がシュウ酸カルシウムであるか否かについて前節と同様の定性分析によって 判定した.

  定性分析の結果,この粒顆状の結晶はシュウ酸カルシウムであると判定した.

葉身を脱色し,透明にしたそれぞれの生育過程にある試料3種について光学顕微鏡 を用いて観察した様子をFig. 6-3 に示した.播種20日後の葉(幅1cm,縦2cm)

中には小さな粒子がいくつか集合しつつある様子が観察された.12月の成熟した 葉においてはほぼ同じ大きさの球顆状の結晶が数多くみられた.3月の葉において は12月の試料に見られた大きさの球顆状結晶の他にさらに大きな結晶がみられ,

シュウ酸カルシウムの結晶は葉の中で熟成され,大きくなったものと考えられた.

観察されたシュウ酸カルシウムの結晶は生育初期にはあまり見られず,株が成 熟するにつれ増加したが,カルシウム量としての増加はわずかであった.

以上のことより,成育初期におけるフダンソウ葉中のカルシウムの多くはシュ ウ酸カルシウムとして存在するより溶存性のカルシウムとして存在すると考えら れた.

12月と 3月の試料では,カルシウムの量に変化はなかった.しかし,シュウ酸 カルシウムの結晶形態が大きく変化していた.このことより,フダンソウ葉中の シュウ酸カルシウムの結晶は,株の成熟と老化に伴い大きく成長し,化学的に安 定になると考えられた17 ).成長初期の葉は組織も柔らかく,消化され易いがこの ことはシュウ酸カルシウムの消化についても結晶化が進んでいないため成熟期の ものにくらべると理想的と考えられる1 7 ).これに対し3月に採取した葉中のシュ ウ酸カルシウム結晶は大型化したものが増加し結晶の熟成が行われていた1 7 )

Fig. 6-3. Micrographs of Calcium Oxalate Crystals in Swiss Chard on Growth Process.

Sampling time: (A) September, (B) December, (C) March.

A A

B

C

第 3 節 

タマネギ外皮中のカルシウムの存在形態

  タマネギの加工の際に鱗茎外側の黄色の不可食部(外皮)が廃棄物として多量で てくるために,この外皮の処分が問題となっている.第4章中でタマネギ外皮中 の金属元素の特徴について検討したところ,カルシウムが多量に含まれているこ とがわかった.外皮のカルシウムの存在状態についての知見を得るため,本節で は,外皮に存在するカルシウムの化学形態について検討を行った.

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