● 市場経済と国家・政府・中央銀行の役割
所有権の確立が重要
所有権の侵害に対して罰則を与える力が必要.
このような力を独占的に行使する主体を国家・政府と呼ぶ.
取引を円滑に行うためには貨幣が重要
貨幣が交換の対価として 受け入れることを強制する,または 受け入れる価値があると信用させる主体が必要.
このような主体が中央銀行.
国家権力が弱体化した国では経済活動が立ち行かない
国家権力が脆弱な国(内戦状態の国)では 所有権が守られず
,貨幣価値が安定しない.
国家が経済活動に果たす役割の分析も経済学の目的.
● 取引利益の追求と人類の歴史
国家の範囲やその力は経済活動により変化する
( 世界史)中 東地域にオスマン 帝国により ヨーロッパ・ア ジア貿易の取引費用が増大した.
取引費用 削減のためアジアとの交易路 を求め 大西洋に乗り 出し,アメリカ大陸がヨーロッパの国家に組み込まれた.
(日本史)米の取れない北海道は重要な地域でなかった.
関西地域で 綿花な どの商品作物が活発になったことでニシ ンなどの北海道産の海産物を利用した肥料が注目.
本州と北海道 で米と 海産 物の取引が行われはじめ, 北海道 を日本の領土として組み込む原動力に.
歴 史上の出 来事 も経済学的に分析することが可能.(経済
史)
● 〇〇 経済体制と資源配分のメカニズム
20世紀の歴史は資源配分のメカニズム重要さの教訓
資源配分を市場取引にゆだ ねる国(市場経済体制)と,政府が計 画的に行おうとする国(計画経済体制)に分かれていた.
市場経済体制(資本主義体制)は英,米,日本など .
計画経済体制(社会主義体制)はソ連(ロシア),中国など .
なぜか?
18世紀の産業革命以降,工場や機械設備が重要になった.
希少な機 械設備を所有 する資本家 が多くの所得を得て,労働者 の間で貧富の格差が広がった.
19世紀に機械設備 などの私有 を認めず,政府が衡平 性を重視 し生産・分配を決定する社会主義の考え方が登場.
20世紀に社会主義体制を採用する国が登場.
〇●〇 経済体制と資源配分のメカニズム
市場経済体制はどうなったか?
市場経済体制の国では社会で誰が何をどれだけ欲しがっ ているか を市場で 成立 する価格を手掛 かりに知 ること ができたため,経済を比較的効率的に運営できた.
ある財・サービスの量がそれを欲している人たちに比べて 減ると価格が高くなる.すると,そのような財を生産する 人々が現れる.
価格が資源の希少性のシグナルになる.
経済発展により機械設備が豊富になり資本の価値が下が
り,相対的に労働者の所得が上昇し,衡平性も改善され
た.
〇〇● 経済体制と資源配分のメカニズム
計画経済体制どうなったか?
計画 経済体 制 の 国 では 社会 で誰が何を ど れだけ 欲 し がっているかを 知る仕組みがなく,政府が勝手に決め ていた.
衡平性を重視した結果,労働者が働かなくなった.
その結果,必要なものがない,不要なものが大量にあ る状況になり利用可能な資源の量そのものが不足する 事態になり,経済が崩壊した.
資源配分の効率性の重要さを示す壮大な社会実験.
● 〇 取引費用とさまざまな市場・非市場取引
資源配分の仕組みとして市場取引が重要
取引を実行するのには困難さ(取引費用)がともなう.
現実の経済で観察されるさまざまな制度は取引費用を節 約する仕組みと解釈できる.
貨幣には取引費用を下げる機能がある.
海産物を取引したければ東京築地,家電・ソフトが欲しけ れば秋葉原へというように,市場・ 都市や各種流通形態は 取引費用を節約する仕組み .
お金の貸し借りも取引費用が重要になる市場取引.様々な 金融機関が存在.
人間自身が取引対象となる労働サービスの取引でも市場取
引は大切.取引を仲介する様々な機関が存在.
ドキュメント内
『しっかり基礎からミクロ経済学――LQアプローチ』関連資料 詳細|日本評論社 Ch3
(ページ 33-40)