第 5 章 CdZnTe および CdSeTe エピタキシャル成長
5.3 CdSeTe エピタキシャル成長
5.3.1 組成制御
まずVI族原料の供給量制御によって得られた膜組成がどのように変化するか を調べる必要がある.ここでも,前節のCdZnTeの時と同様に,得られた薄膜の 組成はXRDのCdSeTe(400)のピーク位置より定義した.Table 5-2に今回使用し た代表的な成長条件を示す.
はじめに,VI族原料であるH2SeとDETeの導入量を変化させた場合における 組成を調べた.この時の基板温度は 200 ℃とし,プラズマラジカル源の高周波 出力は70 Wとした.VI族原料の導入量と得られたCdSeyTe1-y膜のy成分の変化
を Fig.5-1 入割合は全 VI 族原料に対するものとし,これを
R2
とにより,Se組成yの変化が見られ,CdTeからCdSeまでの全組成範囲におい るCd0.9Zn0.1Te .このCd0.9
組成はFig.5-1 うに Se組成も
4 に示す.H2Se の導
[ = H2Se / (H2Se + DETe) ]と定義する.ここでH2Seはガスであり,CdTeの作 成条件にH2Seを加える形で供給した.この結果,H2Seの導入割合を増加するこ
5.5 6 6.5
1.5 2 2.5
Lattice constant (Å)
Bandgap, Eg (eV)
ZnSe
ZnTe
CdSe CdTe
Cd0.9Zn0.1Te CdSe0.1Te0.9
GaAs
Table 5-2 Typical growth conditions of CdSeTe film.
DMCd flow rate 24 μmol/min H Se flow rate 0-60 μmol/min
Rf conditions 70 W, 13.56 MHz
Substrate GaAs(100)
2
DETe flow rate 12 μmol/min H2 flow rate (for radical) 10 sccm Substrate temperature 150-200 ℃ Growth pressure 0.2 Torr
てCdSeyTe1-y膜が得られることがわかった.この時の変化の様子は,前節で述べ
たCdZnTeの時とは違い,CdSeTeでは導入量R2の変化と共に組成yも追随して
変化している.これは,VI族原料にH2SeとDETeを用いており,水素ラジカル による有機原料のDETeの分解が効率よく行われながら,反応性の高いH2Seガ スも成長反応に寄与し,Se が膜中に効率よく取り込まれていったためではない かと考えられる.
Fig.5-14 The Se composition y in CdSeyTe1-y layers as a function of the ratio of H2Se/(H2Se+DETe).
1
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0
0.8 0.6 0.4 0.2
H Se/(H
2Se+DETe) Se composition y (in CdSe
yTe
1-y)
2
ここで水素ラジカルの働きを知るために,プラズマラジカル源の高周波出力 を変化させたときの組成を調べた.この実験は,Fig.5-14においてSeが約10 % 含まれているところで行ったものである.Fig.5-15に示されるように,プラズマ ラジカル源の高周波出力の増加に伴いSe組成が少なくなっていることがわかる.
高周波出力の高い,過剰の水素ラジカルの領域でSe原子の取り込みが少なくな るのは,まだ完全に分解されていないであろうDETe原料を水素ラジカルが分解 し,結果的にSeとTeの比率でSeの量が減少したことと考えられる.これより,
ここでも水素ラジカルは組成を決めるのに重要な要素であることが言える.
2 2
y
Te
1-y)
0.1
Fig.5-15 The hydrogen plasma power dependence of Se composition y in CdSeyTe1-y layers; the ratio of H Se/(H Se+DETe) is 0.1.
次に,これら得られたCdSeTeの結晶性を調べてみた.XRDによる半値幅は,
Fig.5-16に示されるようになった.CdSeTe膜中のSe組成が増加するに従い,半
値幅の大きさも大きくなっていることがわかる.バラツキがかなりあり厳密な ことは言えないが,SeとTeの混晶において結晶形成の自由度が増大し,結晶性 の悪化が見られるものと思われる.
50 60 70 80 90 100 0
0.02 0.04 0.06 0.08
Se composition y (in CdSe
rf power (W)
1400
Fig.5-16 The FWHM of XRD as a function of Se composition y in CdSeyTe1-y layers.