第 5 章 CdZnTe および CdSeTe エピタキシャル成長
5.3 CdSeTe エピタキシャル成長
5.3.2 n-BuI によるドーピング
1400
Fig.5-16 The FWHM of XRD as a function of Se composition y in CdSeyTe1-y layers.
Fig.5-17 The resistivity of n-type CdSeTe layers as a function of the substrate
Fig.5-18 The resistivity of n-type CdSeTe layers as a function of the n-BuI flow rate;
The substrate tem temperature.
perature is 150 ℃.
10 140
-210
-1160 180 200 220
Ω cm)
n-BuI: 1.17 µmol/min
Substrate temperature (ºC)
Resistivity (
0 0.5 1 1.5
10
-210
-110
010
1n-BuI flow rate (µmol/min)
sub=150 ºC
Resistivity ( Ω cm)
T
次にヨウ素の導入量を変化させたときの抵抗率を示す.まず,基板温度が 150 ℃の時のグラフをFig.5-18に示す.抵抗率はn-BuIの流量が 1.17 μmol/min の時に最小値を取る結果が得られた.この場合,始めわずかに抵抗率が上昇し,
そ
Fig. te;
The substrate temperature is 170 ℃.
Fig.5-19に基板温度を170 ℃として,同様にヨウ素の流量に対する抵抗率の変
化
の後急激に減少していることがわかる.この上昇する原因はわかっていない が,チャンバー内に残留するアクセプタ不純物とのヨウ素の補償がおこり,n-BuI の流量が 0.7 μmol/min あたりから有効なドーピングとなり抵抗値が下がる結果 となった可能性が考えられる.また過剰なドーピングでは,格子間にもヨウ素 原子が入り込み,欠陥として働いているため抵抗値が上昇するものと考えられ,
3章で述べたZnSeへのヨウ素ドーピングの結果と同じである.抵抗率が最小と なったときの電子濃度は,ホール効果の測定により2.0×1018 cm-3の値を示し,こ の時の抵抗率は3.7×10-2 Ωcmであり,電子移動度は約90 cm2/V-sであった.
5-19 The resistivity of n-type CdSeTe layers as a function of the n-BuI flow ra
を測定した.少しばらつきはあるが,同じようにヨウ素の導入量を増加させ ると抵抗率が下がり, n-BuIの流量が1.17 μmol/minの時に抵抗率は最小値を持
0 0.5 1 1.5
10
-210
-110
010
110
2n-BuI flow rate (µmol/min)
Resistivity ( Ω cm)
Tsub=170 ºC
った.このことから,170 ℃以下の基板温度であれば,ヨウ素の導入量によっ て抵抗率は変化し,Se組成を約10 %とした条件下で十分低抵抗n の型CdSeTe 膜が得られることがわかった.
最後にプラズマラジカル源の高周波出力を変化させて,導入する水素ラジカ ルの量を変化させたときの抵抗率変化を Fig.5-20 に示す.この時の基板温度は 17
ヨウ素 を
水素ラジカルを成長過程に導入することにより,GaAs基板とは格子不整合が
7 %以上と大きいにも関わらず,200 ℃以下の基板温度という低温で良好なエピ
0 ℃とし,n-BuIの流量は先に低抵抗が得られた1.17 μmol/minとした.この
場合もFig.5-11の窒素ラジカルドーピングの時と同様に,プラズマラジカル源の
高周波出力が70 Wの時に谷となるように抵抗率が変化している.プラズマラジ カル源の高周波出力増加に伴い水素ラジカルが増加するため,有機ヨウ素を効 率よく分解しCdSeTe膜中に取り込んでくれるが,過剰にある状態では水素ラジ カルによるエッチング効果の影響が大きくなり,かえって不純物である
脱離し,取り除く働きが作用したものと考えられる.
Fig.5-20 The resistivity of n-type CdSeTe layers as a function of the rf power.