9.4.1 K/π PID の系統誤差の見積もり
Significance
の計算から、K/π Probability>0.0014
を選別条件とした。このときD ∗ +
の実デー タの再構成効率ϵ data
が0.989、MC
の再構成効率ϵ M C
が0.978
であり、その差0.011
が実データの 再構成効率の誤差∆ϵ data
の0.022
よりも小さい値であった。このためK/π PID
カットに対する系統 誤差は、∆ϵ data
ϵ data =0.022
とした。9.4.2 γ の選別の系統誤差の見積もり
Significance
の計算から、ZernikeMVA>0.66
を選別条件とした。このときπ 0 → γγ
の実データ の再構成効率ϵ data
が0.842、MC
の再構成効率ϵ M C
が0.760
であり、その差0.082
が実データの再 構成効率の誤差∆ϵ data
の0.009
よりも大きい値であった。そこでZernikeMVA>0.66
のときのB 0
とZernikeMVA
のカットなしのB 0
の再構成効率からϵ B
0M C
= 0.988(式 9.3)
と求め、これを用いてデー タで見積もった再構成効率の相対誤差∆ϵ 1 = 0.011(式 9.4)、データとモンテカルロの再構成効率の
違い∆ϵ 2 = 0.098(式 9.5)
と求めた。∆ϵ 2 > ∆ϵ 1
であるからデータとモンテカルロの間に再構成効率 の有意な違いがみられ、∆ϵ2 = 0.098
を系統誤差とした。ϵ B
0M C
= ϵ B
0M C
(ZernikeM V A > 0.66) ϵ B
0M C
(ZernikeM V A
カットなし)(9.3)
∆ϵ 1 =
√( ∆ϵ data ϵ data
)
(9.4)
| − |
9.4.3 K S 0 の選別の系統誤差の見積もり
Significance
の計算から、cosdϕ >0.935
を選別条件とした。このときInclusive
のK S 0
の実データ の再構成効率ϵ data
が0.981、MC
の再構成効率ϵ M C
が0.986
であり、その差0.005
が実データの再構 成効率の誤差∆ϵ data
の0.004
よりも大きい値であった。そこでcos dϕ >0.935
のときのB + → K S 0 π + γ
とcos dϕ
のカットなしのB + → K S 0 π + γ
の再構成効率からϵ (B
+→ K
S0π
+γ)
M C= 0.996
と求め、これを 用いて上と同様に∆ϵ 1 = 0.004
、∆ϵ 2 = 0.005
と求めた。∆ϵ 2 > ∆ϵ 1
であるからデータとモンテカ ルロの間に選別効率の有意な違いが若干みられ、∆ϵ 2 = | ϵ data − ϵ M C |
ϵ data
= 0.005
を系統誤差とした。9.4.4 BDT 、 LR を用いた e + e − → q q ¯ 事象抑制における系統誤差の見積もり
BDT
およびLR
を用いた信号選別における系統誤差の見積りは、本来はB → Dπ
等のコント ロールサンプルを使い、コントロールサンプルに対してBDT
を構築し、BDTカットを変化させた 時のefficiency
を調べることで見積もる必要があるが、現在Belle II
実験Phase II
ランの積分ルミノ シティ0.5 fb − 1
においてはコントロールサンプル候補のB → Dπ
は20
イベント程度しか得られて おらず[22]
、精度よく系統誤差を見積もることができない。そのため本解析で用いたBDT
、LR
の カット値を変化させたときの信号数の変化より、見積りを行った。本研究では、BDTまたはLR
カットの
inefficiency
が半分になるようにカットをかけて比較した。B 0 → K ∗ 0 γ → K + π − γ
の崩壊ではBDT>0.825
のときM bc
フィットから得られるイベント数はN mbc = 1.89
であった。BDT>0.825が選別条件のときの信号MC
のefficiency
が78%、inefficiency
が22%
であるからinefficiency
が半分の11%(efficiency=89%)
になるBDT>0.65
のときの信号事象 数をM bc
フィットし、イベント数N loose
を見積もるとN loose = 2.11
になった。よって系統誤差は 式9.6
より0.022
と見積もった。| N loose × ef f iciency(BDT > 0.825)/ef f iciency(BDT > 0.65) − N mbc | N mbc
= 0.0215 (9.6) B + → K ∗ + γ → K + π 0 γ
の崩壊ではBDT>0.86
のときM bc
フィットから得られるイベント数はN mbc = 0.62
であった。BDT>0.86が選別条件のときの信号MC
のefficiency
が50%、inefficiency
が50%
であるからinefficiency
が半分の25%(efficiency=75%)
になるBDT>0.66
のときの信号事象数をM bc
フィットし、イベント数N loose
を見積もるとN loose = 1.35
であった。よって系統誤差は式9.7
より0.452
と見積もった。図9.8
にBDT>0.66
のときのM bc
と∆E
の2
次元プロットを示す。信号 領域において事象数が増加したために、系統誤差としては大きな値になっている。| N loose × ef f iciency(BDT > 0.86)/ef f iciency(BDT > 0.66) − N mbc |
N mbc = 0.4516 (9.7)
図
9.8: BDT>0.66
のときのB + → K ∗ + γ → K + π 0 γ
のM bc vs ∆E
B + → K ∗ + γ → K S 0 π + γ
の崩壊ではLR>0.54
が選別条件のときの信号MC
のefficiency
が81%、
inefficiency
が19%
であるからinefficiency
が半分の9.5%(efficiency=90.5%)
になるLR>0.32
のとき の信号事象数は0
であった。よって今回はLR
による系統誤差は考慮しない。9.4.5 Mbc フィットパラメータの不定性による系統誤差の見積り
実データの
M bc
のフィットでは、モンテカルロで信号やバックグラウンドの分布の形状を決定し ているが、qq のMC
は統計量が少なくMC
で決定したバックグラウンドの形の不定性が信号数の見 積りに影響する。B 0 → K ∗ 0 γ → K + π − γ
の崩壊では、BDT>0.825のときM bc
フィットから得られるイベント数 はN mbc = 1.89
であった。ARGUS関数のα
は− 35 ± 6
である。ここでα m = − 41、α p = − 29
とし てM bc
フィットで得られる事象数をそれぞれN α
m= 1.75、N α
p= 1.97
と求めた。このとき系統誤差 はN mbc
との差がより大きい方のN α
mを引用して式9.8
より0.074
と見積もった。| N α
m− N mbc |
= 0.0740 (9.8)
B + → K ∗ + γ → K + π 0 γ
の崩壊では、BDT>0.86のときM bc
フィットから得られるイベント数 はN mbc = 0.62
であった。そのフィットのバックグラウンドのARGUS
関数 のα
は− 1.0 ± 13.5
である。ここでα m = − 14.5、α p = 12.5
とする。αm
のときはM bc
フィットで得 られる事象数をN α
m= 0.53
と求められる。α > 0
の領域はフィット不可であるため、α m = − 14.5
の時の事象数と標準値α = − 1.0
の時の事象数を比較し、式9.8
と同様にして0.145
と見積もった。B + → K ∗ + γ → K S 0 π + γ
の崩壊では、信号領域内に信号候補がなかったためフィットを行ってい ない。よってM bc
フィットパラメータの不定性による系統誤差は考えない。9.4.6 系統誤差のまとめ
上で述べた系統誤差について表
9.3
にまとめる。表
9.3:
系統誤差K ∗ 0 γ → K + π − γ K ∗ + γ → K + π 0 γ K ∗ + γ → K S 0 π + γ
K/π ID 0.022 0.022
-γ
選別0.098 0.098 0.098
K S 0
選別- - 0.005
q¯ q
抑制(BDT,LR) 0.022 0.452
-M bc
フィットパラメータ0.074 0.145
-計
0.127 0.485 0.098
9.4.7 系統誤差を考慮した崩壊分岐比
B 0 → K ∗ 0 γ ( → K + π − γ)
の崩壊分岐比の誤差は、表9.3
より0.13 × 2.3 × 10 − 5 = 0.30 × 10 − 5
、B + → K ∗ + γ ( → K + π 0 γ)
の分岐比の誤差は、同様にして0.49 × 4.1 × 10 − 5 = 2.01 × 10 − 5
となる。よって崩壊分岐比は、誤差の第一項を統計誤差、第二項を系統誤差とすると、それぞれ
BF (B 0 → K ∗ 0 γ) = (2.3 ± 2.2 ± 0.3) × 10 − 5 (9.9)
BF (B + → K ∗ + γ) = (4.1 ± 6.7 ± 2.0) × 10 − 5 (9.10)
となった。
ドキュメント内
ARICH 検出器のアライメント
(ページ 108-111)