出200 覆150
3. 糸吉果と考察
3−1 簡易比濁計(兼比色計)
簡易比濁計(兼比色計)の設計、製作にあたり、児童や生徒が使用すること を念頭に置いて行った。できるだけ身近な物を材料として使うことを考え、小 学校3年生の理科の教科書に出てくる光電池を受光部に使用し、光源として豆 電球を使用した。但し、比色計として使用する場合には、発光ダイオードを用 い単色光を光源とした。
製作費は、約500円(豆電球使用)であった。また、発光ダイオードは、
一個30円から500円までと、普通の輝度から超高輝度の製品までいろいろ である。これから更に、半導体・電子工学が進歩することで、光電池や発光ダ イオード等が安価になると同時に、高性能になっていくと考えられるので、受 光部と光源を取り替えることで、より精度をあげることが可能であると思われ
る。
また、今回使用した自作の簡易比濁計(兼比色計)の精度については、「3
−2濁度の測定」から「6今後の課題」で、操作性はについては、第皿章の「3 授業分析」で、児童や生徒による測定後のアンケートから報告する。
一56一
3−2 濁度の測定
濁度の測定においては、光源の光度により測定できる範囲が異なってくる。
豆電球を光源とした場合は、0度から500度までは、検量線に直線性が見ら
れた(図4)[E=一〇.189T+366.57, R2(相関係数の二乗)臨0.9980コ口また、発光
ダイオードを使用する場合については、0度から100度までは、検量線に直
線性が見らた(図5)[E=一〇.3936T+203.41, R2=0.9909]。光度の大きさで測定可
能な範囲(検量線に直線性が見られる範囲)と測定糟度が決まってくると考え
られる。
3−3 pHの測定
pHの測定においては、 pHLO〜pH6.0の範囲において検量線に直線性
が見られた(図6)[E=15.146x+166.74, R2=0.9949緑色超高輝度LED(波長
525㎜)]。今回は、酸性雨の測定を目的とした混合指示薬(重量比メチル レッド:チモールブルーメチルオレンジ=1:4:1)を考えたが、測定する pHの範囲を限定すれば、精度は上げることが可能であると思われる。また、
指示薬の混合比を変えることで、測定するpHの範囲を変えられると思う。図 7は指示薬の混合比(重量比)を少しずつ変えた時の起電圧の変化の様子であ
る。
3−4カルシウムイオンの測定
カルシウムイオンの測定においては、0から100ppmまでは、グラフに
直線性が見られた(図8)[Eコ・2.2164C+350。18, R2=0,9973]。 シュウ酸ナトリ
ウムを使用しても測定は可能だが、カルシウムイオン10ppmあたりの起電
圧の変化が約5mVで、ラウリン酸ナトリウムを使用した場合は10ppmあ
たり約20mVの差となるので、ラウリン酸ナトリウムの方が精度よく測定で きた。また、マグネシウムイオンもラウリン酸ナトリウムと沈殿を作るが、図 8の表のCa+Mgの値(カルシウムイオンと同量のマグネシウムイオンを含む 場合)に見られるように、8Mの水酸化カリウムを加えることで、 M92++20H一57.
→Mg(OH),↓ 水酸化マグネシウムとして沈殿させることで、カルシウムイ オンの測定にほとんど影響はなかった。ラウリン酸ナトリウムは、0.1Mより も濃度をうすくすると、安定しないで白濁してくる。
3−5 マグネシウムイオンの測定
マグネシウムの測定においては、0から20ppmまでは、グラフに直線性
が見られた(図9)[E嘱一2.8773C+368.86, R2=0,9934]。また、カルシウムイオン
もラウリン酸ナトリウムと沈殿を作るが、図9の表のMg+Caの値(マグネシ ウムイオンと同量のカルシウムイオンを含む)に見られるように、最初にα5 Mのシュウ酸ナトリウムを05ml加え、カルシウムイオンを沈殿させ、ろ過す
ることで取り除くことができた。
また図10(a)は、チタンエ下目を用いて、マグネシウムイオンの測定を 試みたものである。マグネシウムイオンだけであれば、光源に緑色超高輝度発 光ダイオード(波長525nln)を使用することで、チタンエローでも測定は可能な のだが、カルシウムイオンが含まれると、チタンエローの発色が鋭敏になりう まくいかなかった(図11)。シュウ酸ナトリウムを用いる方法も試みたが、
マグネシウムイオンが10ppm以下では、シュウ酸ナトリウムの影響が出た
(図12)。図10(b)に、チタンエローとマグネシウムイオン(1mM)
で呈色したチタンエローの吸光度を示した。図から二つのグラフの差が大きい ほど測定精度が上がると考えられるので、緑色超高輝度発光ダイオードを使用 することで精度良く測定できることが分かる。
3−6 銅イオンの測定
0から0.015mM(0.95ppm)までは、グラフに直線性が見られた[図13(a)]
[E=一23.182C+295.95, R2=0.9943緑色超高輝度LED(波長525㎜)使用]。試料 水101n 1に対して0.01%のPANメタノール溶液を05m1加えたが、0.25mlで
も測定は可能である。しかし、0,25ml加えたときは、銅イオン濃度が0と
0,015mMとの起電圧の差が35mVで、0.5ml加えたときの差が45mVであ
一58一
るから測定精度は少し落ちると考えられる。0.1%のPANメタノール溶液を 用いると、水に難溶性のコロイド状沈殿を生成するので、測定できなかった。
また、Ni2+、 Zn2+もPANメタノール溶液と反応しキレート化合物を生成するが、
酢酸ナトリウム・酢酸緩衝液を加えpH2.5〜6.0にすることで影響はでなかっ
た。図13(b)にPANとCu−PANの吸光度を示した。二つのグラフの差が
大きいほど、精度良く測定できると考えられるので、より精度良く測定するに は、波長550nmの発光ダイオードが、良いと思う。アンモニア水を用いて、銅イオンの測定を試みた「3−6−3」。定量限度
は落ちるが、1mMから10mMの範囲であれば、アンモニア水を用いても測
定可能である[図14(a)][E馬5.5091C+250.36, R2=0.9985緑色超高輝度LED使 用]。図14(b)に塩化銅と銅アンミン錯体の吸光度を示した。グラフより、赤 色超高輝度発光ダイオードが精度良く測定できるが、緑色超高輝度発光ダイオ ードでも測定可能であると考える。
3−7 鉄(巫)イオンの測定
0から0.08mM(4.5ppm)までは、グラフに直線性が見られた[図15(a)]
[E=一12756C+317.56, R2=09982緑色超高輝度:LED(波長525㎜)使用]
[E=一273.71C+298.9, R2=0.9972青色超高輝度LED(波長470㎜)使用]。図15(b)
に鉄巫イオンで呈色した1,10一フェナントロリンの吸光度を示した。これから も青色高輝度発光ダイオードが精度よく測定できると考えられるが、緑色でも 測定可能である。 鉄(皿)イオンについても、塩化ヒドロキシルアンモニウ
ム等の薬品を用いることで、鉄(1【)イオンに還元すれば、測定が可能である と考えられる。
一59.
3−8 塩化物イオンの測定
0から50ppmまでは、グラフに直線性が見られた(図16)
[E=一〇5309C+377.27, R2=0.9989豆電球使用][E=一〇.9345C+403.36, R2コ0.9949赤色
超高輝度LED(波長660㎜)使用]。塩化銀が光によって遊離して黒紫色に変わ るので、時間とともに起電圧は落ちてくる(図17)ので測定時の条件を統一 することが重要になってくる。また、豆電球より赤色超高輝度発光ダイオード
を使用する方が、塩化物イオン濃度の変化による起電圧の差は大きくなるが、
値は安定しなかった。 豆電球では安定しているが、赤色超高輝度発光ダイオ ードでは安定しないのは、生成した塩化銀の沈殿が均一な大きさになっていな いのではと考えられる。
豆電球を光源とした場合、10ppmの違いで、起電圧で約5mVの差しか
出ないので、1ppm単位で測定するために、遮光して12時聞後に測定する方法も試みた(図18)[E=一2.0298C+376.42, R2瓢0.9953豆電球使用]。しかし、
この場合は温度による影響を受けるのではないかと考えられる。同じ温度条件 の下では、同じ値を示したが温度を変えることで値が変化した。この点を克服 すれば、より精度が上げられるのではないかと考える。
3−9 硫酸イオンの測定
0から50ppmまでは、グラフに直線性が見られた(図19)
[E謹一〇.4091C+369.68, R2臨0.9903豆電球使用][E=一〇.4836C+327.36, R2=0.9773赤色
超高輝度LED(波長660nm)使用]。光源として、豆電球を使用すると、硫酸イ
オン濃度が0と50ppmの時で起電圧の差が、21mVで、赤色超高輝度発
光ダイオードを使用しても、25mVとなり、殆ど差がなかった。児童や生徒 が使うことを考えると豆電球の方が馴染みがあり良いと考える。一60一
3−10 亜硝酸イオンの測定
0から1.Oppmの範囲での亜硝酸イオンの検量線を図20(a)
⊂E=一20。182C+357.91, R2=0.9920青色超高輝度LED(波長470mn)使用]
[E=一73.818C+341.55, R2』0.9996緑色超高輝度LED(波長525nm)使用]に示した。
また、図20(b)にザルツマン試薬と亜硝酸イオンをザルツマン試薬で呈色し たものの吸光度を示した。これからも分かるように、膏色超高輝度の発光ダイ オードより緑色超高輝度発光ダイオードの方が、測定精度は高くなる。
しかし、図21より緑色超高輝度発光ダイオードでは、0.05mM(2,3
ppm)までしか直線性が見られないが、青色超高輝度発光ダイオードの場合 は、0。1mM(4.6ppm)まで、グラフに直線性が見られた。「3−10−3」の方法により、ヨウ素デンプン反応によって亜硝酸イオンの 測定が可能か試みた(図22)。ザルツマン試薬よりも生徒に馴染みがあり教 育現場ではいいのではないかと考える。ただ、Nσの酸化作用を利用してrを 単体の1、に酸化するので、この反応が進んでしの生成する量に応じて変色す る。遮光して安定するまで約6時間かかる点で、授業の中で結果を出す場合は、
ザルツマン試薬の方がよいと思う。図22のグラフより亜硝酸イオン濃度が
0.15ppmまでは、グラフに直線性が見られた[E馬336C+348.7, R≒0.9987]。亜硝
酸イオン濃度が0.15ppm以上は、対数をとればグラフが直線になる
[E=一17.343Ln(C)+26495,好=0.9949]。亜硝酸イオン濃度が0と0、15ppmとの起
電圧の差は、50mVあるので、亜硝酸イオン濃度が0.15ppm以下であれば小 学生や中学生にも使用可能であると考える。高校生であれば原理が分かり幅広 い範囲で定量が可能になると考える。
一61.