第 4 章 等温面熱抵抗
4.3 等温面熱抵抗測定と熱モデル校正
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図 4.2-3 等温面熱抵抗の空間分布イメージ
図 4.2-4 等温面熱抵抗の数学ラダーモデル
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今まで部品を構 成する材料 の形状で定義した熱抵抗(図 4.1-2)と違い、等 温面の形 は殆ど構成材料の形と大きく異なるので、等温面の形状を把握するの が難しいことで、等温面の温度と 形状を直接に測定するのは更に困難な作業とな る。
固体内部の温度 測定
温度分布の形状を観測す る技術といえば、まずIR カメラが思い浮かぶが、
このカメラで撮れるのは部品表 面の温度分布で、実際の等温面とは違う。
等温面形状は、部品の構成材料の形 や熱物性(熱 伝導率、単位面積接触 熱抵抗など)に大きく左右される。部品熱抵抗に関わる等温面は殆ど固体内部に あるため、直接 観測す るのは現在の技術では不可能である。
現在の電子デ バイスの業界では、放熱問題が最も深刻になっているのはパ ワーデバイスである。このような部品におい て、支配的な放熱経路は冷却部の金 属材料内 部にあるため、そこの等温面形状が放熱性能に最も影響するが、直接 に観測不可なエリアであるため、大勢の熱設計者を悩ませている。
JEDEC規格やアメリ カの MIL 規格などでは、放熱経路の熱評価をするた
め、固体内部にある場所の温度を計測しなければならないため、コールドプレー トに穴を開け、熱 電対を仕込み プレートに載せた電子部品を放熱しながら底面温 度を測る方法 を提案していた。結果は期待するほど精度を出せず、測定バラツキ や、誤差などの問題 で、業界に抵抗されていた。一箇所だけの測定ですら、これ だけ難しく、精度が取れないようなら、等温 面全体を直接に測定するのは不可能 である。
放熱性能を詳細に検討す る場合、三次元熱流体シミュレー ションのソフトウ ェアは最 近熱設計者の視野に入ってきた。パソコン上で詳細な熱モデルを作成す
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れば、固体内部空間の温度分布や熱流束分布などを可視化させ、等温面の形状 を把握することができるの で、製品設計の欠かせない熱設計ツールとして普及し 始めている。このような仮想技術でパソコン上の可視化した等温 面は現時唯一等 温面形状 を把握できる方法と考えられる。(図 4.2-3 の赤いエリア①は Mentor 製品の三 次元熱流体シミュレー ションソフト FloTHERM で描画し た等温面の例 で ある)
現在の三次元熱流体シミュレー ターは、ソルバー の性能や精度が実用レベ ルになってきているので、シミュレーションモデルの精度さえ良ければ、等温面形 状を高精度に求められる。つまり、熱物性値さえ高精度に得られれば、 シミュレー ション上で等温面を可視化して把握することができると考えられる。
残念なことだが、シミュレー ションモデ ルの精度を上げるのに、部品の構成 材料の熱 物性を高精度に測定することが必要だが、これはまた難しい。熱伝導率 の測定精 度は測定対象物にもよる。金属類 は数%誤差のいい数 値が取れるが、
複合材料 や接合材料、サーマルグリースのような形のない放熱材料など、部品 熱抵抗の 大半を占め る材料の熱物性はまだ大雑把な結果しか把握されていない のが業界 の現状である。
果たして、この課題を解決する方法が無いでしょうか? 答えは“NO、直接な 方法は無いが、間接的な方法はある”となる。この間接的な手法は、第三章に述 べた過渡熱測定から得られる構造関 数を利用して、熱実測と熱シミュレー ション を連携させる方法である。
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図 4.3-1熱実測と熱シミュレーションの連携イメージ
この方法の基本的コ ンセプトを図 4.3-1 で説明する。物理デバイスの過渡 熱測定で得られた“実 測構造関数”と、過渡 熱シミュレーションで得られた“モデル 構造関数 ”を比較し、熱 シミュレーションモデルの熱物性を調整することによって 構造関数 上で一致すれば、モデルの熱物性を“校正”して求めることができる。
実際の手順を次に示す :
1. 物理サンプルに対して、過渡熱測定を行い、“実測構造関数”を算出する。
2. 物理サンプルの寸法情報を正確に取得し、熱シミュレーションモデ ルを作成 す る。
3. 熱流体シミュレーターで過渡シミュレー ションを行い、“モデ ル構造関数” を算 出す る。
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4. モデル構造関数と実測構造関数を比較し、不一致の場合、モデ ルの熱物性 を修正し、3に戻る。
5. 実測とモデルの構造関数が一致したら、熱シミュレーターで温度分布や熱流 束分布などを可視化して熱解析を行う。
つまり、直接に測定できない 等温面は、構造関数を媒介にして熱 モデルを
“校正”すれば、モデ ルの解析結果から間接的に等温面を“測定”することはでき る。これで、等温面熱抵抗の定義から実測するまでの技術として完結し、高精度 な熱設計のソリュー ションとして成立した。