第2目 資金の公募によらない設立
§2.一CONSTITUTIONSANSAPPELPUBLICAL EPARGNE。
第84条〔資金の公募によらない設立〕
資金を公募しないときは,第74条,第76条,第79条,第80条第2項,
第3項および第4項,第81条ならびに第82条の規定をのぞき,前記第1 目に定める規定を適用する。
Loi Art.84.一Lorsqu il n est pas fait publiquement appe1ゑ 1 6pargne, 1es dispositions du paragraphe le「ci−dessus sont apP1i−
cables,ゑ1 exception des articles74, 76, 79, 80, alin6as 2, 3 et 4,
81et82.
令第72条〔資金の公募によらない設立〕
資金を公募しないとぎは,命令第62条・第63条第1項 第64条・第68条および 第70条の規定にかぎり,これを会社の設立に適用する。
D6c.Art.72.一Lorsqu il nラest pas fait publiquement appel a1 6pargne,
sont seules apPlicables a la constitution de la soci6t(…,1es dispositions des articles62,63,alin6a ler,64,68et70.
〔解 説〕
1.総説 株式会社カミ相互に知り合った株主の間で設立される場合には資 金公募の方法に訴える必要はなく,この場合の設立は一般に同時設立(constitution instantan6e)とよばれて,資金を公募する方法による漸次設立(constitution
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株式会社の設立(非公募会社の設立)
successive)と対比される。この場合の設立においても,資金公募の方法による設 立についてすでにみた若干の手続と同種の手続を必要とするものがあり,言葉の本 来の意昧で同時設立ということはでぎないが(Vuillermet et Hureau,p.330),
その他の手続はいちじるしく簡易化され,有限会社の設立を想起させるものがある。
まず,公募の場合において株式引受人にたいし情報を開示する目的をもって定 められた手続,すなわち商事裁判所の書記局に定款案を提出し,設立趣意書を公示 するなどの諸手続(法74条,令58条,59条,60条)は,公募によらない設立の性質 からいって当然に適用されない。
つぎに,社員となろうとする者(futurs associ6s)は株式を引受け,その出資 が会社の資本を構成する。この株式の引受について法律は株式申込証に署名する方 法を無用のものとして採用しなかったが,すべての株式会社の設立に共通して株式 引受人および会社債権者を保護するために欠くことのできない制度は,若干の相違 を付したうえこれを維持している。すなわち,資本の全額引受,金銭出資による株 式の4分の1以上の払込,現物出資の評価にたいする監督および公正証書による株 式払込の申告などの制度がこれである。
資金を公募しない場合には創立総会の制度も存在しない。これに代わるものと して,株主となろうとする者全員が定款(定款案でない)に署名することを要し,
この点では有限会社の場合と同様である。
最後に定款が公示され,商業登記簿に設立の登記がなされることによって会社 は法人格を取得する。
さて本条は,法第74条(資金公募前の手続としての定款案の提出・設立趣意書 の公告),第76条(株式申込証による株式の引受),第79条(創立総会の招集),第 80条第2項・3項・4項(株式引受人による現物出資・特別利益の監督),第81条 および第82条(創立総会における決議)の諸規定はこれをのぞぎ,その他の規定は 資金を公募しない会社の設立にもこれを適用するものと定めている。これにたいし 命令第72条は,まったく逆の規定の仕方により,第62条(払込金の寄託および株式 引受人名簿の公開),第63条第1項(株式の引受および払込に関する申告について 引受人名簿の添付),第64条(出資検査役の選任),第68条(取締役による会社指揮
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第 84条 者の選任),第70条(株式払込金の払戻)の規定にかぎって,これを非公募会社の 設立に適用するものと規定している。この規定の仕方についてみられる差異は,公 募会社と非公募会社の設立に共通する規定が命令の中には法律におけるよりも比較 的少ないという事実によって理解される(H6mard et a1・,P・671)。
2.法第74条の適用除外から生じる問題 非公募会社の設立について本条 が法第74条の適用を除外していることから,つぎの2つの問題が生じる。
(1)定款案の作成 法第74条第1項は,発起人は定款案(projet d−es statuts)
を作成して署名し,その正本1通を商事裁判所の書記局に提出すべきことを命じて いる。しかし非公募会社の設立には同条の適用がない結果,定款案の作成は要求さ れず,しかも株主またはその代理人による定款の署名は株式の引受および払込後に 行なわれることになっている(法87条)。しかし実際上,株主となろうとする者が 定款の重要な条項を知らないで株式の引受および払込をするというようなことは考 えられない(Mercad&1et a1.,P.325)。また株式の引受が現物出資をもって行な われ,あるいは特別利益が約定されている場合には出資検査役はその検査のために 定款案の作成を求めるであろう(H6mard et a1。,P.673)。このような実際上の必 要から,非公募会社においても定款案が作成され,さらにまた資金を受入れるに当 っては事前に,いわば会社契約の予約(promesse de soci6t6)ともいうべき契約 の締結を必要とする(Mercadal et a1。,p.325)。
(2)発起人の資格 公募会社の設立の場合と異なり非公募会社の設立におい ては,法律も命令も発起人(fondateurs)に関する規定を設けていない。しかし,
株式会社にかぎらずすべての会社において,だれかがその設立のイニシャティブを とり,定款案を作成し,設立に必要なすべての手続を履践しなければならない筈で ある。たとえ法律によって発起人とよばれていなくとも,これらの者は発起人たる 資格を有し,またその資格より生ずる責任を負わなけれぽならないのである (Mer−
cadal et a1.,p.325)。
ところで法第74条第3項は,会社の業務執行権を剥奪された者またはその職務 の執行を禁止された者は発起人となることができないと定めている。しかし非公募 会社の設立には法第74条のすべての規定が適用除外となる結果,このような者が会 435
株式会社の設立(非公募会社の設立)
社を設立することは妨げないこととなる。果してこのような解決で危険がないか疑 問がもたれている(H6mard et aL,P.673)。
法第85条〔公正証書による株式払込の申告〕
株式の払込は,公正証書をもってする1人または数人の株主の払込を 確認する旨の記載のある申告書によってこれを証明しなければならない。
公証人は,各株主による払込金額の記載のある株主の名簿の提出にもと づき,第78条に定めるところと同じ手続を行なわなければならない。
:Loi Art.85.一:Les versements sont constat6s par une d6claration d un ou plusieurs actionnail es dans un acte notari6。Sur pr6sen・
tation de la liste des actionnaires,mentionnant les sommes vers6es par chacun dシeux,1e notaire procさde comme il est ditゑ1 article
78.
〔解 説〕
1.資本と株式の引受 資金を公募しない会社の資本にもその最低額の制 限が設けられ,その資本は10万フランを下ることができない。社員の数は,有限会 社の場合と異なり(法36条),法律上の制限はないが,非公募会社の性質上,かな
り少ないのが実際である。
会社法第75条は株式会社の設立方法のいかんを問わず適用される規定であるか ら,非公募会社にあっても資本の全額引受の原則は遵守されなければならない。こ こにいう資本とは,のちに株式引受人によって署名される定款の中で確定される金 額である。したがって公募会社の設立の場合と異なり,株式引受人がその払込を履 行しなかったとしても,定款案に当初定められた資本の額を減額しなければならな いという不都合は生じない。しかし株式の引受は現実かつ真正に行なわれることを 要し,仮装の引受は許されず,また条件を付することはできない。
第85条 非公募会社の設立においては株式の引受を証明するために株式申込証を作成す
る必要はなく,株式引受人の義務は定款の署名によって生じる。ただ若干の株式引 受人が遠方の地にいるとか,現物出資が行なわれる場合に特殊の手続による必要な どの理由から会社を速かに設立することができない場合には,定款案の重要な条項 を転記した略式の株式申込証(bulletin de souscription si斑pli飴)によって株式 引受人の義務を確認するのが適当である(Mercadal et aL,P.326)。しかしこの 手続がとられる場合においても,株式申込証に署名した者が後目定款に署名するこ とを強制されるものではない。公募会社に適用される制度と異なり,会社に参加す べき義務を負うのは定款に署名をした者にかぎられる。したがって株式申込証に署 名した者が正当の理由なくして定款への署名を拒んだとしても,他の株式引受人は
この者にたいして損害賠償を請求しうるにすぎない。
2.株式の払込 株式を引受けた者は,会社の設立にさいして払込むべぎ 資本の部分に相当する金額の支払をしなければならない。この資本の部分は,株主
となろうとする者の間の合意によって決定されるが,株式の券面額の4分の1を下 ることができない(法84条,75条2項)。残余の払込は,会社の成立後5年以内に 1回または数回に分けて,取締役会または董事会の払込請求にもとづいて行なわれ る(75条2項)。
3.払込金の寄託 株式払込金を受領した者は,設立中の会社の計算にお いてこれを公証人,銀行または預金供託金庫に寄託することを要し,この際,株式 引受人の氏名・住所および払込金額を記載した株式引受人名簿を添付しなければな らない(法84条,77条,令62条)。払込金の保管者は,その払込金の払戻が行なわ れるまで,すべての株式引受人にたいして上記の名簿を閲覧させなければならない
(令72条,令62条)。
4.公正証書による株式払込の申告 株式の払込があったことは,1人ま たは数人の株主(将来の株主)により,公正証書をもって確認されなければならな い。法第85条の規定の文言からみて,申告書により確認されなければならないのは,
株式の払込が法律および定款にしたがって行なわれたことだけであり,公募会社の 場合と異なり(法78条参照),資本が全額引受けられたことまで申告書に記載する 437