すなわち,X の確率密度関数(確率関数)が
f(xth) = exp{aθ(x)θˆ −aθ2+bθ+c} なる形に表される。これは指数型分布族になっていることを意味する。
(2) 不等式(6.17)の導出は問15で解説されている。
(3) 不等式(6.18)については,不等式(6.17)を用いると
MSE(θ, δ) =E[(δ(X)−g(θ))2] =E[{δ(X)−E[δ(X)]}2] +{Bias(δ)}2
={(d/dθ)E[δ(X)]}2
In(θ) +{Bias(δ)]2
となる。ここでBias(δ) =E[δ(X)]−g(θ)の両辺をθで微分すると,
d
dθBias(δ) = d
dθE[δ(X)]−g′(θ) となるので,(6.18)の形の不等式が得られる。
1.2. 演習問題の略解 43 Score検定:スコア関数はSn(σ2,X) =nˆσ02/2σ4−n/2σ2と書け,1個のデータのFisher情報量はI1(σ2) = 1/(2σ4)となるので,H0 :σ2 =σ02のもとで,(1/√
n)Sn(σ02,X)→dN(0,1/2σ40) となる。従って,
(2σ04/n){Sn(σ20,X)}2 = (n/2σ40)(ˆσ20−σ20)2> χ21,α がスコア検定になる。
問2. (1) まず,H0 : µ = µ0 v.s. H1 : µ > µ0 の検定問題を考えると,これは片側検定で有意水 準αの棄却域は(√
n/σ)(X−µ0) > zαとなる。あとは,g(µ) = Pµ((√
n/σ)(X−µ0) > zα)とおくとき,
supµ≤µ0g(µ) =αとなることを示せばよい。Z = (√
n/σ)(X−µ)とおくとZ ∼ N(0,1)であり,µ0−µ≥0 に対して
g(µ) =P(
√n σ ( σ
√nZ+µ−µ0)> zα) =P(Z > zα+
√n
σ (µ0−µ))≤P(Z > zα) =α が成り立つ。
(2)まず,H0 :σ2 =σ02 v.s. H1 :σ2> σ02の検定を考える。問1の尤度比検定を参考にすると,nˆσ02/σ20 >
χ2n,αが有意水準αの検定に棄却域である。この検定がH0 :σ2≤σ20 v.s. H1:σ2 > σ20の検定問題において サイズがαとなることを示す。g(σ2) =Pσ2(nˆσ02/σ02 > χ2n,α)とおくとき,supσ2≤σ20g(σ2) =αを示せばよ い。W =nˆσ20/σ2とおくとW ∼χ2nより,σ02/σ2 ≥1に対して
g(σ2) =P(W > σ20
σ2χ2n,α)≤P(W > χ2n,α) =α となる。
問3. (1) 問1より,σˆ2 = n−1∑n
i=1(Xi −X)2, ˆσ02 = n−1∑n
i=1(Xi −µ0)2 とおくと,尤度関数は L(µ, σ2) = (2π)−n/2(σ2)−n/2exp{−(1/2σ2)∑n
i=1(xi−µ)2}= (2π)−n/2(σ2)−n/2exp{−σˆ2/(2σ2)−n(x− µ)2/(2σ2)}と書ける。従って
λ(X) = (ˆσ2/ˆσ20)n/2
と書けるので,σˆ02/ˆσ2 > Cが尤度比検定になる。σˆ02= ˆσ2+ (X−µ0)2より,(X−µ0)2/ˆσ2 > Cなる形に 変形できる。V2 ={(n−1)/n}σˆ2とおくと,H0 :µ=µ0のもとで,√
n(X−µ0)/V ∼tn−1に従うので,
有意水準αの尤度比検定は
√n|X−µ0|/V > tn−1,α/2 もしくはn(X−µ0)2/V2 > F1,n−1,α となる。
(2) Wald検定:√
n(X−µ)→dN(0, σ2),σˆ2→p σ2より,H0 :µ+µ0のもとで,√
n(X−µ0)/ˆσ→dN(0,1) となる。従って,ワルド検定は
n(X−µ0)2/ˆσ2 > χ21,α となる。
Score検定:対数尤度関数はℓ(µ, σ2) =−(n/2) log(2π)−(n/2) logσ2−(1/2σ2)∑n
i=1(Xi−µ)2と書ける ので,スコア関数は
Sα= ∂
∂µℓ(µ, σ2) = 1 σ2
∑n
i=1
(Xi−µ) = n
σ2(X−µ), Sσ2 = ∂
∂σ2ℓ(µ, σ2) = −n 2σ2 + 1
2σ4
∑n
i=1
(Xi−µ)2 となる。(µ, σ2)のFisher情報量を計算すると
I1(µ, σ2) =
(1/σ2 0 0 1/2σ4
)
となる。
1
n(Sα, Sσ2)I1(µ, σ2) (Sα
Sσ2 )
= n
σ2(X−µ)2+ n 2σ4
(1 n
∑n
i=1
(Xi−µ)2−σ2)2
であり,これは,χ22に収束する。スコア検定は,ここにµ,σ2のH0 :µ=µ0のもとでの最尤推定量を代入 して得られる。H0 :µ=µ0のもとでのσ2の最尤推定量はσˆ02 =n−1∑n
i=1(Xi−µ0)2であるから, (µ, σ2) に(µ0,σˆ20)を代入すると,
n ˆ
σ20(X−µ0)2+ n 2ˆσ04
(1 n
∑n
i=1
(Xi−µ0)2−σ20)2
= n ˆ
σ02(X−µ0)2
となり,これはH0のもとでχ21に収束する。一般に,スコア検定におけるカイ2乗分布の自由度は,(非制 約の自由パラメータの個数)ー(帰無仮説の下での自由パラメータの個数)となるので,2−1 = 1となり,
上の結果と一致することがわかる。従って,有意水準αのスコア検定は n(X−µ0)2/ˆσ20 > χ21,α
となる。
(3)まず,H0:µ=µ0v.s. H1:µ > µ0なる片側検定については,上の設問(1)を参考にして,(n/V)(Xo− µ0)> tn−1,αが有意水準αの検定になる。H0 :µ≤µ0のもとで有意水準を保つためには,g(µ) =√
n(X− µ)/V > tn−1,α)とおくとき,supµ≤µ0g(µ) =αを示せばよい。T =√
n(X−µ)/V とおくと,T ∼tn−1で あり,X= (V /√
n)T +µより,µ0−µ≥0に対して g(µ) =P(T > tn−1,α+√
n(µ0−µ)/V)≤P(T > tn−1,α) =α となる。
問4. (1) 尤度関数はL(λ,X) = λnexp{−λ∑n
i=1Xi}より,制約がないときのλの最尤推定量は λˆ =n/∑n
i=1Xi = 1/Xとなる。また帰無仮説H0 :λ≤λ0のもとでの最尤推定量はˆλ0 = min(λ0,λ)ˆ とな る。従って,尤度比は
λ(X) = L(ˆλ0,X) L(ˆλ,X) =
{ 1 (ˆλ < λ0のとき)
λn0exp{−λ0∑
iXi}
ˆλnexp{−n} (ˆλ≥λ0のとき)
と書けるので,尤度比検定の棄却域λ(X)< Cは,λ0/λ < Cˆ もしくはλ0X < Cと表現することができる。
(2)まず,H0:λ=λ0なる帰無仮説を考える。p. 73,命題4.20の分布の再生性より,Ex(λ)はGa(1,1/λ) であることに注意すると,H0 :λ=λ0のもとで∑n
i=1Xi∼Ga(n,1/λ0)に従うことがわかる。更に尺度変換 することにより,2λ0∑n
i=1Xi∼Ga(n,2), すなわちχ22nに従うことになる。従って,2λ0∑
iXi< χ22n,1−α がH0 :λ=λ0v.s. H1 :λ > λ0に対する有意水準αの棄却域になる。次に,帰無仮説をH0 :λ≤λ0に広げ よう。g(λ) =Pλ(2λ0∑n
i=1Xi < χ22n,1−λ)とおき,W = 2λ∑
iXiとおくと,W ∼χ22nであり,λ/λ0 ≤1 に対して,
g(λ) =P(W <(λ/λ0)χ22n,1−α)≤P(W < χ22n,1−α) =α が成り立つ。
(3) 検出力関数はβ(λ) =P(W <(λ/λ0)χ22n,1−α)と書ける。β(λ0) =αであり,β(λ)はλに関して単調 に増加し,limλ→∞β(λ) = 1となることがわかる。
問5. 尤度関数はL(λ,X) =λnXe−nλ/∏n
i=1Xi!と書ける。制約なしのλの最尤推定量はˆλ=Xとな ることがわかる。
尤度比検定:尤度比は
λ(X) = L(λ0,X)
L(ˆλ,X) = (λ0/λ)ˆ nˆλexp{n(ˆλ−λ0)}
と書け,H0 :λ=λ0のもとで−2 logλ(X)→dχ21となるので,有意水準αの尤度比検定は
−2 logλ(X) = 2nλˆ{λ0
λˆ −logλ0
λˆ −1}
> χ21,α
1.2. 演習問題の略解 45 となる。
Wald検定:√
n(X−λ)→dN(0, λ)であり,λˆ=Xがλの一致推定量であるから,有意水準αのワルド 検定は
(n/X)(X−λ0)2 > χ21,α となる。
Score検定:スコア関数はSn(λ,X) =∑n
k=1Xi/λ−nであり,1個のデータのFisher情報量はI1(λ) = 1/λ であるから,nλ(X/λ−1)2→dχ21となる。スコア検定はこれにλ=λ0代入することにより得られるので,
有意水準αのスコア検定は
(n/λ0)(X−λ0)2 > χ21,α で与えられる。
問6. (1) 記号の簡単のためにσ2 =σX2 とおくと,λ=σY2/σ2X より,σY2 =λσ2と書けて,尤度関数は L(λ, σ2) = 1
λm/2 1
(σ2)(n+m)/2 exp{− 1 2σ2
∑n
i=1
Xi2− 1 2λσ2
∑m
i=1
Yi2} と書ける。H0 :λ=λ0のもとでσ2の最尤推定量はσ02= (n+m)−1(∑n
i=1Xi2+λ−01∑m
i=1Yi2)となる。一 方,制約が入っていないときのσ2X,σY2 の最尤推定量はσˆ2X =m−1∑
iXi2, ˆσY2 =n−1∑
iYi2と書けるので,
ˆ
σ2 = ˆσ2X, ˆλ= ˆσ2Y/σˆX2 となる。このことから,尤度比は λ(X,Y) =L(λ0,σˆ02)
L(ˆλ,σˆ2) = (n+m)(n+m)/2
(n+mλ/λˆ 0)(n+m)/2(ˆλ/λ0)m/2
と表される。H0:λ=λ0のもとで−2 logλ(X,Y)→dχ21となるので,有意水準αの尤度比検定は (n+m) logn+mλ/λˆ 0
n+m −mlog ˆλ
λ0 > χ21,α で与えられる。
(2) F = ˆλ= (∑
iYi2/m)/(∑
iXi2/n)がF統計量であるので,上の尤度比検定は (n+m) logn+mF/λ0
n+m −mlog F
λ0 > χ21,α
と表される。これのときの有意水準は近似であるが,F分布に基づいて正確な検定を導出することができ る。尤度比検定の棄却域はF/λ0 < c1,F/λ0 > c2なる形をしていることに注意する。H0 :λ=λ0のもと でF/λ0 ∼Fm,nなるF分布に従うので,これに基づいた検定として,
ˆλ/λ0 < Fm,n,1−α/2, λ/λˆ 0 > Fm,n,α/2 が考えられる。
問7. (1) 分布の再生性より,∑n
i=1Xi ∼Ga(n,1/θ),∑m
j=1Yj ∼Ga(m,1/µ)となる。
(2) 尤度関数はL(θ, µ) =θnµmexp{−θnX−µmY}と書ける。H0:θ=µのもとでのθの最尤推定量は θˆ0 = (n+m)/(nX+mY)であり,制約がないときのθ,µの最尤推定量はθˆ= 1/X,µb= 1/Y であるから,
尤度比は
λ(X,Y) = L(ˆθ0,θˆ0)
L(ˆθ,bµ) = (ˆθ0/θ)ˆn(ˆθ0/µ)b m =(n+m nZ
)n( n+m m(1−Z)
)m
と書ける。H0:θ=µのもとで−2 logλ(X,Y)→dχ21となるので,有意水準αの尤度比検定は
−2nlog(n+m nZ
)−2mlog( n+m m(1−Z)
)> χ21,α
で与えられる。
(3) 2θ∑n
i=1Xi ∼χ22n, 2µ∑m
i=1∼χ22mより,H0 :θ=µのもとで,Z ∼beta(n, m)に従う。尤度比検定 の棄却域はZ < c1,Z > c2のような形になる。これをベータ分布に基づいて有意水準αの正確な検定を求 めると,
Z < c1 もしくは Z > c2 であり,c1,c2は
∫ c1
0
1
B(n, m)zn−1(1−z)m−1dz =α/2,
∫ ∞
c2
1
B(n, m)zn−1(1−z)m−1dz=α/2, の解として与えられる。
問8. パレート分布の確率密度はf(x|α, β) =βαβ/xβ+1,x > α,である。
(1) 同時確率密度関数は
L(α, β) =
∏n
i=1
f(xi|α, β) = βnαnβ (∏n
i=1xi)β+1
∏n
i=1
I(xi> α) であり,∏n
i=1I(xi > α) =I(x(1) > α)と書けるので,(X(1),∑n
i=1logXi)が(α, β)の十分統計量になる。
ただしX(1)は最小統計量である。
(2) αの最尤推定量は明らかにαb =X(1)である。対数尤度関数をβに関して微分にすることにより,β の最尤推定量は βb=n/[∑n
i=1log(Xi/X(1))]となる。
(3) T =∑n
i=1log(Xi/X(1))であり,βb=n/T と表される。尤度比は λ(X) = L(α,b 1)
L(α,b β)b = e−T (n/T)ne−n と書ける。−2 logλ(X)→dχ21より,有意水準αの尤度比検定は
−2 logλ(X) = 2n{T
n −logT n −1}
> χ21,α で与えられる。
問9. 同時確率密度関数はfn(x|λ) =λnexp{−λ∑n
i=1xi}と書ける。
(1) H0 :λ=λ0 v.s. H1 :λ=λ1, (λ1 > λ0), なる検定に関する最強力検定は,Neyman-Pearsonの補題 から,
fn(x|λ1)
fn(x|λ0) = (λ1/λ0)nexp{−(λ1−λ0)
∑n
i=1
xi}> c なる形で与えられる。これは∑n
i=1xi < Cと同値である。ここで分布の再生性から,H0 :λ=λ0のもとで
∑n
i=1Xi ∼Ga(n,1/λ0), すなわち,2λ0∑n
i=1Xi∼χ22nとなる。従って,最強力検定は 2λ0
∑n
i=1
Xi < χ22n,1−α となる。
(2)まずH0:λ=λ0 v.s. H1:λ > λ0なる検定を考えると,(1)で与えられた尤度比検定は対立仮説の点 λ1, (λ1 > λ0),の取り方に依存しないので,一様最強力検定になる。後は,問4と同様にして
sup
λ≤λ0
Pλ(2λ0
∑n
i=1
Xi ≤χ22n,1−α) =α
となることが示される。従って,(1)で与えられた尤度比検定は,H0 :λ≤λ0 v.s. H1 :λ > λ0なる検定問 題に関して一様最強力検定になっている。
1.2. 演習問題の略解 47 問10. (1) H0 :µ = 0 v.s. H1 :µ = µ1, (µ1 > 0), なる仮説検定において,最強力検定は Neyman-Pearsonの補題より
fn(x|µ=µ1)
fn(x|µ= 0) = exp{−∑n
i=1(xi−µ1)2/2} exp{−∑n
i=1x2i/2} > c なる形で与えられる。これは,X > Cなる形と同値である。√
n(X−µ)→d N(0,1)より,最強力検定は
√nX > zαで与えられる。
次に,H0 :µ= 0 v.s. H1 :µ > µ0なる仮説検定を考えると,√
nX > zαの検定はµ(>0)の取り方に依 存しないので,この検定が一様最強力検定になることがわかる。
最後に,H0 :µ≤0 v.s. H1 :µ > µ0なる検定問題に関して,g(µ) =Pµ(√
nX > zα)がsupµ≤µ0g(µ) =α となることを示せばよい。Z =√
n(X−µ)とおくと,Z ∼ N(0,1)より,µ≤0なるµに対して g(µ) =P(Z > zα−√
nµ)≤P(Z > zα) =α となる。
(2) H0 :µ= 0 v.s. H1 :µ̸= 0は,H0 :µ= 0 v.s. H1 :µ >0もしくはµ <0と書ける。√
nX > zαは µ >0の範囲で一様最強力であるが,µ <0の範囲では√
nX < z1−αなる片側検定が一様最強力となって しまう。従って,µ̸= 0の範囲で検出力関数が一様に大きい検定は存在しない。
(3) √
n|X|> zα/2が一様最強力不偏検定になる。実際,この検定が不偏であり,一様最強力不偏検定で あることを示そう。ここでの証明方法は,竹内「数理統計学」,竹村「現代数理統計学」による。
一般性を失うことなく,n= 1とし,X =Xと記すことにする。ϕ(X)を任意の不偏検定の検定関数と する。すなわちϕ(X) = 1ときH0 :µ= 0が棄却され,ϕ(X) = 0のとき受容される。この検定の検出力関 数は
β(µ, ϕ) =Eµ[ϕ(X)] =
∫ ∞
−∞
ϕ(x) 1
√2πe−(x−µ)2/2dx と書ける。β(µ, ϕ)はµの連続関数であり,さらにµでの微分は
d
dµβ(µ, ϕ) =
∫ ∞
−∞
ϕ(x)(x−µ) 1
√2πe−(x−µ)2/2dx となる。検定の不偏性より
β(0, ϕ) =α, β(µ, ϕ)≥α, (µ̸= 0) (1.2.1) を満たすことがわかる。またµ= 0で極小値をとることから
d
dµβ(µ, ϕ)
µ=0=
∫ ∞
−∞
ϕ(x)x 1
√2πe−x2/2dx (1.2.2)
となる。
ここで,
ϕ∗(X) =
{ 1 for|X|> zα/2 0 for|X| ≤zα/2 とおくと,ϕ∗(X)の検出力関数は
β(µ, ϕ∗) =Pµ(X <−zα/2) +Pµ(X > zα/2) =
∫ −zα/2
−∞
√1
2πe−u2/2du+
∫ ∞
zα/2
√1
2πe−u2/2du と書けるので,これをµに関して微分すれば
d
dµβ(µ, ϕ∗) = 1
√2πe−(µ2+zα/2)2(eµzα/2 −e−µzα/2)
となり,この導関数はµ <0のとき負の値,µ >0のとき正の値をとることがわかる。従って,β(µ, ϕ∗)は µ= 0で最小値をとることになるので,ϕ∗(X)は不偏になる。
次に,任意に固定したµに対して,
e−(x−µ)2/2 ≥(a+bx)e−x2/2
とϕ∗(x) = 1とが同値になるようにa,bをとることができる。実際,この不等式は
exµ≥aeµ2/2+beµ2x と書けることに注意し,
e−zα/2µ=aeµ2/2+beµ2(−zα/2), ezα/2µ=aeµ2/2+beµ2(zα/2)
となるようにa,bを定めれば,−zα/2 ≤x≤zal/2に対してはe−(x−µ)2/2 ≤(a+bx)e−x2/2となり,x <−zα/2 もしくはx > zα/2に対してはe−(x−µ)2/2 >(a+bx)e−x2/2となることがわかる。
ここで,Neyman-Pearsonの補題のときと同様の証明方法により
∫ ∞
−∞{ϕ∗(x)−ϕ(x)}{ 1
√2πe−(x−µ)2/2−(a+bx) 1
√2πe−x2/2} dx≥0 となることが示される。これを展開して移行すれば
β(µ, ϕ∗)−aα−b×0≥β(µ, ϕ)−aα−b×0 となることから,β(µ, ϕ∗)≥β(µ, ϕ)が示される。
問11. X = (X1, . . . , XK)∼M ultinK(n, p1, . . . , pK)に従うので,尤度関数は L(p1, . . . , pK) = n!
x1!· · ·xK!px11· · ·pxKK
と書け,piの最尤推定量はpˆi =Xi/nで与えられる。このとき,尤度比は,λ(X) =∏K
i=1(πi/ˆpi)Xiとなり,
H0 :pi =πi,i= 1, . . . , K,のもとで−2 logλ(X)→dχ2K−1に収束する。ここで,
−2 logλ(X) = 2
∑K
i=1
Xilog(ˆpi/πi) = 2n
∑K
i=1
ˆ
pilog(ˆpi/πi) であり,
log(ˆpi/πi) = log(1 + ˆpi/πi−1) = (ˆpi/πi−1)−2−1(ˆpi/πi)2 と近似できるので,
−2 logλ(X)≈2n
∑K
i=1
ˆ
pi(ˆpi/πi−1)−n
∑K
i=1
ˆ
pi(ˆpi/πi−1)2
と書けることがわかる。右辺の第1項についてpˆi= (ˆpi/πi−1 + 1)π =πi(ˆpi/πi−1) +πを代入すると,近 似的に
−2 logλ(X)≈2n
∑K
i=1
πi(ˆpi/πi−1)2+ 2n
∑K
i=1
pi(ˆpi/πi−1)−n
∑K
i=1
ˆ
pi(ˆpi/πi−1)2
=2n
∑K
i=1
πi(ˆpi/πi−1)2−n
∑K
i=1
πi(ˆpi/πi−1)2−n
∑K
i=1
πi(ˆpi/πi−1)3
≈n
∑K
i=1
πi(ˆpi/πi−1)2 =
∑K
i=1
(nˆpi−nπi)2 nπi と書き直すことができる。
1.2. 演習問題の略解 49 1.2.8 第 8章
問1. この問は,7章, 問1で与えられた検定について,その受容域を反転させることによって,信頼 区間が得られる。
(1)尤度比検定,Wald検定,Score検定,いずれも受容域は,(√
n/σ)|X−µ0| ≤zγ/2となるので,これ をµ0に関して解くことにより,信頼係数1−γのµの信頼区間[X−(σ/√
n)zγ/2, X+ (σ/√
n)zγ/2]が得 られる。この信頼区間を簡単のために, X±(σ/√
n)zγ/2とも記すことにする。
(2) 尤度比検定:σ2の信頼区間は
{σ2n{σˆ02
σ2 −logσˆ20 σ2 −1}
≤χ21,γ} なる集合になる。
Wald検定:σˆ20±σˆ2√
2/nzγ/2 Score検定:σ2の信頼区間は
{σ2|(√
n/2/σ2)|σˆ20−σ2| ≤zγ/2} なる集合になる。これをσ2で解くと,
{σ2 ˆσ02 1 +√
2zγ/2/n ≤σ2 ≤ σˆ02 1−√
2zγ/2/n }
なる形で表される。
問2. 7章,問3で得られた検定を反転させればよい。
尤度比検定:X±(V /√
n)tn−1,γ/2 Wald検定:X±(ˆσ/√
n)zγ/2 Score検定:X±(ˆσ0/√
n)zγ/2
問3. 7章,問6(2)で得られた検定の受容域は,Fm,n,1−γ/2≤ˆλ/λ0 ≤Fm,n,γ/2となるので,これを反転 させて, [ˆλ/Fm,n,γ/2, λ/Fˆ m,n,1−γ/2]となる。
問4. 7章,問5で得られた検定の受容域を反転させればよい。
尤度比検定:{λ|2ˆλ{λ/ˆλ−log(λ/λ)ˆ −1} ≤χ21,γ} Wald検定:X±(X/n)1/2zγ/2
Score検定:{λ|√
n/λ|X−λ| ≤zα/2} 問5. √
n(X−p) →d N(0, p(1−p))であり,θ = θ(p) = p(1−p)に対してθ′(p) = 1−2pとなる。
θˆ=θ(X) =X(1−X)とおくと,デルタ法から√
n(ˆθ−θ)→dN(0, p(1−p)(1−2p)2)となり,スラツキー
の定理より √
n(ˆθ−θ)
√θ(1ˆ −2X)
→dN(0,1) となる。従って,信頼係数1−γのθの信頼区間は
θˆ±
√θ/nˆ |1−2X|zγ/2
となる。
問6. 7章,問8の解答を参照するとよい。1個のデータのもつβのFisher情報量を計算すると,I1(β) = 1/β2となるので,βの最尤推定量βb=n/∑n
i=1log(Xi/X(1))の漸近分布は,√
n(βb−β)→dN(0, β2)とな る。スラツキーの定理より,√
n(βb−β)/βb→dN(0,1)となるので,βの信頼区間は βb±
√β/n zb γ/2
となる。
問7. Xのpdfはf(x|θ) =θ−1I(0< x < θ)であり,分布関数は0 < x < θのときF(x) =x/θとな る。従って,最大統計量X(n)のpdfは,fX(n)(x) = (n/θ)(x/θ)n−1I(0< x < θ)と書ける。θの信頼区間と して,[X(n)/b, X(n)/a]なる形の区間を考えると,
P(θ∈[X(n)/b, X(n)/a]) =P(a≤ X(n)
θ ≤b) =
∫ b
a
nyn−1dy=bn−an= 1−γ
を満たす必要がある。bn−an= 1−γをbについて解くと,b= (an+1−γ)1/nとなる。ここで,0< a < b <1 を満たすので,(an+ 1−γ)1/n≤1,すなわちan+ 1−γ ≤1となり,0< a≤γ1/nとなる。ここで区間の 幅を最小にするためには
h(a) = 1 a−1
b = 1
a− 1
(an+ 1−γ)1/n を最小にすることを意味する。
h′(a) =−1
a2 + an−1
(an+ 1−γ)1/n+1 =−1 a2
{1− (an)1/n+1 (an+ 1−γ)1/n+1
}<0
となり,h(a)はaに関して単調減少することがわかる。aの範囲は0< a≤γ1/nとなるので,h(a)を最小 にするaの値はa=γ1/nとなり,そのときのbの値はb= 1となる。従って,θの信頼区間は
[X(n), X(n)/γ1/n] となる。
問8. Beta(θ,1)のpdfはf(x|th) = [B(θ,1)]−1xθ−1であり,B(θ,1)]Γ(θ)Γ(1)/Γ(θ+ 1) = 1/θより,
f(x|θ) =θxθ−1I(0< x <1)と書ける。従って,
{∏n
i=1
f(xi|θ)}
π(θ|a, b) =θn(
∏n
i=1
xi)θ−1 1
Γ(a)b−aθa−1e−θ/b
∝θn+a−1e−θ(1/b−∑ni=1logxi) より,θの事後分布は
θ|x∼Ga(n+a,[1/b−
∑n
i=1
logxi]−1) に従う。これより,θのベイズ推定量は
θˆ= (n+a)/[1/b−
∑n
i=1
logXi] となり,信用係数1−γのθの信用区間は
[ c
1/b−∑n
i=1logXi
, d
1/b−∑n
i=1logXi
]
で与えられる。ただし,c,dは
∫ d
c
1
Γ(n+a)yn+a−1e−ydy= 1−γ を満たす定数である。
問9. 同時確率分布は
f(x|θ)π(θ|a, b) = (n
x )
θx(1−θ)n−x 1
B(a, b)θa−1(1−θ)b−1
∝θa+x−1(1−θ)b+n−x−1