問1. 自然母数ηと期待値母数E[t(X)]の値 (1) Bin(n, p): (
n x
)
px(1−p)n−x = (n
x )
(1−p)nexp{xlog p 1−p} より,η= log(p/(1−p)), E[X] =np
(2) P o(λ):
λx
x!e−λ = 1
x!e−λexp{xlogλ} より,η= logλ,E[X] =λ
(3) Geo(p):
p(1−x)x=pexp{xlog(1−p)} より,η= log(1−p), E[X] = (1−p)/p
(4) N B(r, p): (
r+x−1 x
)
pr(1−p)x=
(r+x−1 x
)
prexp{xlog(1−p)} より,η= log(1−p), E[X] =r(1−p)p
(5) N(µ, σ2):
√1
2πσe−(x−µ)2/(2σ2)= 1
√2π 1
σe−µ2/(2σ2)exp{µ
σ2x− 1 2σ2x2} より,(η1, η2) = (µ/σ2,−1/(2σ2)), (E[X], E[X2]) = (µ, µ2+σ2)
(6) Ga(α, β):
1 Γ(α)
1
βαxα−1e−x/β = 1 x
1
Γ(α)βα exp{αlogx− 1 βx} より,(η1, η2) = (α,−1/β), (E[logX], E[X]) =ψ(α) + logβ, αβ)となる。ここで,
ψ(α) = d
dαlog Γ(α)
であり,digamma function(ダイガンマ関数)という。E[logX]を求めるには,スコアー関数を利用する。
対数尤度関数は
ℓ(α, β|x) =−log Γ(α)−αlogβ+ (α−1) logx−x/β と書けるので,これをαで偏微分すると,αに関するスコア関数はb
∂
∂αℓ(α, β|x) =−ψ(α)−logβ+ logx
となる。命題6.17(1)の証明と同様にしてスコア関数の期待値は0になる。すなわち 0 =E[ ∂
∂αℓ(α, β|X)] =−ψ(α)−logβ+E[logX]
となるので,E[logX] =ψ(α) + logβとなる。
(7) Beta(a, b):
1
Beta(α, β)xα−1(1−x)β−1 = 1 x(1−x)
Γ(α+β)
Γ(α)Γ(β)exp{αlogx+βlog(1−x)}
より,(η1, η2) = (a, b), (E[logX], E[log(1−X)]) = (ψ(α)−ψ(α+β), ψ(β)−ψ(α+β))となる。実際,対 数尤度は
ℓ(α, β|x) = log Γ(α+β)−log Γ(α)−log Γ(β)−logx(1−x) +αlogx+βlog(1−x) と書けるので,このスコア関数は
∂
∂αℓ(α, β|x) =ψ(α+β)−ψ(α) + logx,
∂
∂βℓ(α, β|x) =ψ(α+β)−ψ(β) + log(1−x) となる。このことから,E[logX],E[log(1−X)]の値が求まる。
問2. ∏n
i=1f(xi |θ) =θn(∏n
i=1xi)θ−1 =θnexp{(θ−1)∑n
i=1logxi}と書けるので,因子分解定理よ りθの十分統計量は∏n
i=1xiもしくは∑n
i=1logXiとなる。また対数尤度は ℓ(θ|x1, . . . , xn) =nlogθ+ (θ−1)
∑n
i=1
logxi と書けるので,θに関して微分すると,尤度方程式は
d
dθℓ(θ|x1, . . . , xn) = n θ +
∑n
i=1
logxi = 0 となるので,θのMLEはθˆ=−n/∑n
i=1logXiとなり,ξ= 1/θのMLEは, ˆξM L =−n−1∑n
i=1logXiとな ることがわかる。
Y1=−logX1とおくと,E[Y1] =ξ,E[Y12] = 2ξ2となるので,Var(Y1) =ξ2となる。従って,
Var( ˆξM L) = Var(n−1
∑n
i=1
Yi) = Var(Y1)/n=ξ2/n
1.2. 演習問題の略解 35 と書けるので,分散は0に収束する。
問 3. ∏n
i=1f(xi|θ) = θnexp{−(θ + 1)∑n
i=1log(1 + xi)}と書けるので,因子分解定理よりT =
∑n
i=1log(1 +Xi)がθの十分統計量になる。また,
E[log(1 +X1)] =
∫ ∞
0 {log(1 +x)} θ
(1 +x)θ+1dx=
∫ ∞
0
1
(1 +x)θ+1dx= 1 θ より,E[T] =n/θとなる。また
E[{log(1 +X1)}2] =
∫ ∞
0 {log(1 +x)}2 θ
(1 +x)θ+1dx= 2
∫ ∞
0 {log(1 +x)} 1
(1 +x)θ+1dx= 2 θ2 より,
E[T2] =nE[{log(1 +X1)}2] +n(n−1)E[log(1 +X1)]E[log(1 +X2)] = n2+n θ2 となる。従って,
Var(T) = n2+n θ2 −n2
θ2 = n θ2 となる。
問4. (1) T =X(n) がθの十分条件になることは,p.118,例6.4で示されている。
(2)fX(n)(x) = (n/θn)xn−1, 0< x < θ,より,E[X(n)] ={n/(n+1)}θとなるので,θˆU1 = [(n+1)/n]X(n) が不偏推定量になる。またE[X] = θ/2より,θˆU2 = 2Xも不偏推定量になる。E[X(n)2 ] ={n/(n+ 2)}θ2 より,M SE(θ,θˆU1) =θ2/[n(n+ 2)]となる。また M SE(θ,θˆU2) =θ2/(3n)となるので,M SE(θ,θˆU2) ≥ M SE(θ,θˆU1) なる大小関係が成り立つ。
(3) 尤度関数はθ−nI(x(1)>0)I(x(n) < θ)より,θのMLEはθˆM L =X(n)となる。また,Bias(ˆθM L) =
−(n+ 1)−1θ,M SE(θ,θˆM L) = 2[(n+ 1)(n+ 2)]−1θ2となる。
問5. 対数尤度は
ℓ(p1, . . . , pk|x) = logn!−logx1!− · · · −logxk! +x1logp1+· · ·+xklogpk
と書けるので,p1+· · ·+pk= 1なる制約の下で対数尤度を最大にするpiを求めることになる。ラグラン ジェの未定乗数法により
H(p1, . . . , pk) =ℓ(p1, . . . , pk|x)−λ(p1+· · ·+pk−1) とおき,piで偏微分すると,
∂
∂pi
H(p1, . . . , pk) = xi pi −λ
となる。(∂/∂pi)H(p1, . . . , pk) = 0の解はpi = xi/λとなるので,これを制約式に代入すると,1 = p1 +
· · ·+pk= (x1+· · ·+xk)/λ=n/λとなので,λ=nが得られる。従って,piのMLEはpˆi =Xi/nとなる。
問6. f(x|η) =h(x)c∗(η) exp{∑k
j=1ηjtj(x)}より
∂
∂ηi
f(x|η) ={ti(x) + ∂
∂ηi
logc∗(η)}f(x|η) となることに注意する。1 =∫
f(x|η)dxの両辺をηj で偏微分すると,
0 =
∫
{ti(x) + ∂
∂ηi
logc∗(η)}f(x|η)dx となるので,
E[ti(X)] =− ∂
∂ηi logc∗(η)
が成り立つ。ちなみに,さらにηjで偏微分すると 0 =∫ { ∂
∂ηi∂ηj logc∗(η) +{ti(x) + ∂
∂ηilogc∗(η)}{ti(x) + ∂
∂ηj logc∗(η)}}
f(x|η)dx と書けるので,
Cov(ti(X), tj(X)) =− ∂
∂ηi∂ηj logc∗(η) となる。
X1, . . . , Xnがf(x|η)からのランダム標本とする。x= (x1, . . . , xn)における対数尤度は ℓ(η|x) =
∑n
i=1
logh(xi) +nlogc∗(η) +
∑k
j=1
ηj
∑n
i=1
tj(xi) と書けるので,ηのMLEは
n ∂
∂ηalogc∗(η) +
∑n
i=1
ta(Xi) = 0, a= 1, . . . , k すなわち
1 n
∑n
i=1
ta(Xi) =− ∂
∂ηalogc∗(η), a= 1, . . . , k の解として与えられる。ηのモーメント推定量は
E[ta(X)] =− ∂
∂ηalogc∗(η), a= 1, . . . , k より,
1 n
∑n
i=1
ta(Xi) =− ∂
∂ηalogc∗(η), a= 1, . . . , k の解として与えられるので,MLEと一致することがわかる。
問7. (1) ベイズの定理から事後分布を計算することになる。そのためには,f(x|p) ∼ Bin(n, p),
π(p)∼Beta(α, β)において同時確率f(x|p)π(p)をpについてのみ書き出し,そこからpの分布を見つけ出 していけばよい。X =xを与えたときのpの事後分布は
π(p|x) =f(x|x)π(p)/
∫ 1
0
f(x|x)π(p)dp
∝px(1−p)n−xpα1(1−p)β−1
=p(x+α)−1(1−p)(n−x+β)−1 より,π(p|x)∼Beta(x+α, n−x+β)となる。
(2) ベイズ推定量は事後分布の平均であるから ˆ
pB =E[p|X] = (X+α)/(n+α+β) となる。これを変形すると与式が得られる。
問8. (1) 因子分解定理を用いると, Y = X1 +· · ·+Xnがλの十分統計量になることが確かめ
られる。Y の分布はP o(nλ)に従うことに注意する。事後分布は十分統計量の分布を考えればよいので,
f(y|λ)π(λ|α, β)についてλの部分のみを取り出すと f(y|λ)π(λ|α, β) = (nλ)y
y! e−nλ 1 Γ(α)
λα−1
βα e−λ/β ∝λy+α−1exp{−1 +nβ β λ} となる。これは,λの事後分布がλ|y∼Ga(y+α, β/(1 +nβ))に従うことを意味する。
1.2. 演習問題の略解 37 (2) λの事後分布がGa(y+α, β/(1 +nβ))に従うことから,E[λ|y] = (β(y+α)/(1 +nβ) = β(nβ + 1)−1y+ (nβ+ 1)−1αβ, Var(λ|y) = (y+α)β2/(nβ+ 1)2となる。
問9. (1) E[∑k
j=1ajθˆj] =∑k
j=1ajθ=θより,不偏推定量になるための条件は∑n
j=1aj = 1 となる。
(2) ∑n
j=1aj = 1のもとで∑k
j=1ajθˆj の分散は Var(
∑k
j=1
ajθˆj) =E[{
∑k
j=1
aj(ˆθj −θ)}2]
=
∑k
j=1
a2jE[(ˆθj−θ)2] +
∑k
i=1
∑k
j=1,j̸=i
aiajCov(ˆθi,θˆj)
=
∑k
j=1
σ2ja2j と書ける。∑k
j=1aj = 1なる制約の下で分散を最小にする解を求めるにはラグランジュの未定乗数法を用 いる。
H(a1, . . . , ak) =
∑k
j=1
σ2ja2j −λ(
∑k
j=1
aj−1) をaiに関して偏微分すると
∂
∂ai
H(a1, . . . , ak) = 2σi2ai−α, i= 1, . . . , k となるので,これを0とおくと
ai = λ/2
σ2i , i= 1, . . . , k が得られる。これを∑k
i=1ai= 1に代入すると,λ/2 = 1/∑k
j=1σ−j2となるので,結局 ai= σi−2
∑k j=1σ−j2 となる。従って,最良線形不偏推定量(BLUE)は
θˆBLUE=
∑k
i=1
σi−2
∑k j=1σ−j2
θˆi
で与えられる。またこのときの分散は,最適なaiの値を上の分散の式に代入することにより Var(ˆθBLUE) = 1
∑k j=1σ−j2 となる。
問10. X1, . . . , Xn, i.i.d.∼f(x|µ, σ)であり,
f(x|µ, σ) = 1
σ exp{−x−µ
σ }I(x > µ) である。
(1) xi−µ=xi−x(1)+x(1)−µと書けるので
∏n
i=1
f(xi|µ, σ) = 1
σnexp{−1 σ
∑n
i=1
(xi−µ)}I(x1 > µ, . . . , xn> µ)
= 1
σnexp{−n
σ(x(1)−µ)− 1 σ
∑n
i=2
(x(i)−x(1))}I(x(1) > µ)
= 1
σnexp{−n
σ(U−µ)− 1
σT}I(U > µ)
となる。因子分解定理より,(U, T)が(µ, σ)に対する十分統計量になることがわかる。
(2) 順序統計量の同時確率密度関数は fX(1),...,X(n)(x(1), . . . , x(n)) =n!× 1
σnexp{−n
σ(x(1)−µ)− 1 σ
∑n
i=2
(x(i)−x(1))}I(x(1) > µ) と書ける。ここで
z1 = (x(1)−µ)/σ, z2 = (x(2)−x(1))/σ, . . . , zn= (x(n)−x(1))/σ とおくと,z2< z3 <· · ·< znであり,ヤコビアン
J((z1, . . . , zn)→(x(1), . . . , x(n))) =σn となるので,z1, . . . , znの同時確率密度関数は
fz1,...,zn(z1, . . . , zn) =n! exp{−nz1−
∑n
i=2
zi}I(0< z1)I(0< z2 <· · ·zn)
=ne−nz1I(z1 >0)×(n−1)!e−∑ni=2ziI(0< z2 <· · ·< zn)
と書ける。この表現は,z1と(z2, . . . , zn)が独立であることを示している。従って,n(U −µ)/σ=nz1と T /σ =∑n
i=2ziは独立に分布する。n(U−µ)/σ∼Ex(1)となることは明らかなので,2T /σの分布を求め てみよう。
f(z2, . . . , zn) = (n−1)!e−∑ni=2ziI(0< z2<· · ·< zn)より, 2T /σの積率母関数は E[et2T /σ] =E[e2t∑ni=2zi] =
∫ ∞
0
dz2
∫ ∞
z3
dz3· · ·
∫ ∞
zn−1
dzn(n−1)e−(1−2t)∑ni=2zi と書ける。これをznから順に積分していくと
∫ ∞
zn−1
e−(1−2t)zndzn= 1
1−2te−(1−2t)zn−1 となり,次にzn−1に関して積分すると
∫ ∞
zn−2
e−2(1−2t)zn−1dzn−1= 1
2(1−2t)e−2(1−2t)zn−2 となる。これを繰り返していくと
E[et2T /σ] = (n−1)! 1
(n−1)!(1−2t)n−1 = 1 (1−2t)2(n−1)/2 と書ける。これは,2T /σ∼χ22(n−1)に従うことを示している。
(3) T = nX −nX(1) と書けることに注意する。2T /σ ∼ χ22(n−1) より,E[2T /σ] = 2(n−1), すなわ ちE[T /(n−1)] = σと書けるので,σ の不偏推定量はσˆ = (X −X(1))n/(n−1)で与えられる。また E[n(U −µ)/σ] = 1より,E[U] =σ/n+µと書けるので,σの不偏推定量σˆを代入すると, µの不偏推定 量は
b
µ=U −σˆ
n =X(1)−X−X(1)
n−1 = nX(1)−X n−1 となる。
問11. (1) X∼Bin(n, p)において,pのMLEはpˆ=X/nとなるので,θ=p(1−p)のMLEは θˆM L= X
n(1−X
n) = X(n−X) n2
1.2. 演習問題の略解 39 となる。一方,命題3.1の証明よりE[X(X−1)] =n(n−1)p2よりE[X(X−1)/{n(n−1)}] =p2となる ので,θ=p(p−1) =p−p2の不偏推定量は
θˆU = X
n −X(X−1)
n(n−1) = X(n−X) n(n−1) となる。
(2) まず√
n(X/n−p) →d N(0, p(1−p))となることに注意する。θ=g(p) =p(1−p)よりデルタ法を 用いると,g′(p) = 1−2pより,p̸= 1/2に対して
√n(ˆθM L−θ)→dN(0, p(1−p)(1−2p)2) となる。p(1−p)(1−2p)2 =θ(1−4θ)と書いてもよい。一方,
θˆU = n
n−1θˆM L= ˆθM L+ 1 n−1θˆM L と書けるので,
√n(ˆθU−θ) =√
n(ˆθM L−θ) +
√n n−1θˆM L と表される。第1項は√
n(ˆθM L −θ) →d N(0, p(1−p)(1−2p)2) である。第2項については,θˆM L は θに確率収束し,√
n/(n−1) → 0より,第2項は0に確率収束する。従って,スラツキーの定理より,
√n(ˆθU −θ)→dN(0, θ(1−4θ))となる。
問12. (1)Y =∑n
i=1Xiとおくと,MY(t) =E[etY] =E[etX1+···+tXn] ={E[etX1]}n ={MX(t)}n = {eλ(et−1)}n=enλ(et−1)となるので,Y ∼P o(nλ)となることがわかる。
(2) (d/dλ) logf(x|λ) =x/λ−1, (d2/dλ2) logf(x|λ) =−x/λ2となるので,I1(λ) =E[X1]/λ2 = 1/λと なり,In(λ) =nI1(λ) =n/λとなる。従って,クラメール・ラオの下限はVar(ˆθ)≥λ/nとなる。
(3) (d/dλ)ℓ(λ) =∑n
i=1xi/λ−nより,(d/dλ)ℓ(λ) = 0を解いて,λのMLEはλˆ=Xとなる。またその
分散はVar(X) =λ/nとなり,クラメール・ラオの下限に一致することがわかる。
問13. (1) In(θ) =n×I1(θ)に注意する。logf(x|θ) =−(1/2) log(2πθ)−x21/(2θ)より d2
dθ2logf(x|θ) =− 1 2θ2 −x21
θ3 + 1 θ2
となる。I1(θ) = E[−(d2/dθ2) logf(X1|θ)], E[X12] = θより, I1(θ) = 1/(2θ2)となる。従って,In(θ) = n/(2θ2)となる。クラメール・ラオの不等式より, Var(ˆθ)≥2θ2/nが成り立つ。
(2)ℓ(θ) =−(n/2) log(2πθ)−∑n
i=1x2i/(2θ)をθに関して微分すると,ℓ′(θ) =−n(2θ) +∑n
i=1x2i/(2θ2)と なるので,ℓ′(θ) = 0の解を求めると,θのMLEはθˆ=∑n
i=1Xi2/nとなる。その平均と分散は,E[ˆθM L] = E[X12] =θ, Var(ˆθM L) = Var(X12)/n=E[X14−θ2]/n= (3θ2−θ2)/n= 2θ2/n となる。
(3) Xi2/θ∼χ21より,nθ/θˆ ∼χ2nとなる。
(4) X12, . . . , Xn2, i.i.d.∼(θ,2θ)より,中心極限定理を用いると,√
n(ˆθ−θ)→dN(0,2θ2)となる。
問14. X1, . . . , Xn, i.i.d.∼ N(0, θ)なるモデルを考える。
(1)E[|Xi|] =E[(Xi2/θ)1/2]√
θと書ける。ここでXi2/θ∼χ21より,第3章の問18(1)よりE[(Xi2/θ)1/2] =
√2Γ(1/2 + 1/2)/Γ(1/2) =√
2/πとなるので,E[|Xi|] =√
2θ/πとなる。
(2) E[|Xi|√
π/2] =√
θより,√
θのモーメント推定量は
√θ˜= 1 n
∑n
i=1
|Xi|√ π/2 で与えられる。この漸近分布を求めるには,
Var(|Xi|√
π/2) =E[Xi2]π/2−(√
θ)2 = (π/2−1)θ
となることに注意すると,|X1|√
π/2, . . . ,|Xn|√
π/2, i.i.d.∼(θ,(π/2−1)θ)であり,中心極限定理により
√n(√ θ˜−√
θ)→dN(0,(π/2−1)θ) となることがわかる。一方,θのMLEはθˆ=∑n
i=1Xi2/nであり,上の問13(4)より√
n(ˆθ−θ)→dN(0,2θ2) である。デルタ法を用いると,g(θ) =√
θ,g′(θ) = 1/(2√
θ)より,漸近分散は2θ2/(4θ) =θ/2となるので
√n(√ θˆ−√
θ)→dN(0, θ/2) となる。両者の漸近分散を比較すると
(π
2 −1)θ−1
2θ= π−3 2 θ >0
となるので, MLEの方が漸近分散が小さいことがわかる。このことは,MLEが漸近有効性を持つという 一般論からも示される。
問15. p.131の証明に習って示すことができる。X = (X1, . . . , Xn)に対してˆh= ˆh(X)はh(θ)の不偏 推定量であるから,コーシー・シュバルツの不等式より
{E[(ˆh(X)−h(θ))Sn(θ,X)]}2
≤E[(ˆh(X)−h(θ))2]E[{Sn(θ,X)}2] = Var(ˆh)×In(θ) となる。ここで,
E[(ˆh(X)−h(θ))Sn(θ,X)] =E[ˆh(X)Sn(θ,X)] =
∫ ˆh(x)(d/dθ)fn(x|θ)
fn(x|θ) fn(x|θ)dx
=d dθ
∫ ˆh(x)fn(x|θ)dx= d
dθh(θ) =h′(θ) と書けるので,{h′(θ)}2≤Var(ˆh)In(θ),すなわち
Var(ˆh)≥ {h′(θ)}2 In(θ) が成り立つ。
問16. (1) 対数尤度関数は
ℓ(µ1, . . . , µn, σ2) =−nlog(2πσ2)− 1 2σ2
∑n
i=1
{(xi−µi)2+ (yi−µi)2} と書けるので,
∂
∂µiℓ(µ1, . . . , µn, σ2) = 1 σ2
∑n
i=1
{xi−µi+yi−µi}= 0, i= 1, . . . , n,
∂
∂σ2ℓ(µ1, . . . , µn, σ2) =− n σ2 + 1
2σ4
∑n
i=1
{(xi−µi)2+ (yi−µi)2}= 0 を解くと,µi,σ2のMLEとしてµbi= (Xi+Yi)/2, ˆσ2 =∑n
i=1(Xi−Yi)2/(2n)が得られる。
(2)X1−Y1, . . . , Xn−Yn, i.i.d.∼ N(0,2σ2)であるので,大数の法則から∑n
i=1(Xi−Yi)2は2σ2に確率 収束することがわかる。従ってσ2のMLE ˆσ2はσ2の一致推定量になる。
(3) µ=∑n
i=1µi/nとおくとき,Xi−X = (Xi−µi)−(X−µ) + (µi−µ)と書けるので,(Xi−X)2 = (Xi−µi)2+ (X−µ)2+ (µi−µ)2−2(Xi−µi)(X−µ)−2(µi−µ)(X−µ) + 2(µi−µ)(Xi−µi)となる。
従って,
1 n
∑n
i=1
(Xi−X)2 = 1 n
∑n
i=1
(Xi−µi)2−(X−µ)2+ 2 n
∑n
i=1
(µi−µ)(Xi−µi) + 1 n
∑n
i=1
(µi−µ)2
1.2. 演習問題の略解 41 と書けることがわかる。ここで,µ1, . . . , µnは未知の母数であり,
nlim→∞
1 n
∑n
i=1
µi =a0, lim
n→∞
1 n
∑n
i=1
(µi−µ)2=b0>0 なるa0,b0が存在すると仮定する。このとき
1 n
∑n
i=1
(Xi−µi)2→pσ2, X−µ→p0, 1 n
∑n
i=1
(µi−µ)(Xi−µi)→p0 となることがわかる。従って,
1 n
∑n
i=1
(Xi−X)2 →p σ2+b0 となる。同様にして
1 n
∑n
i=1
(Yi−Y)2 →p σ2+b0 となるので,{∑n
i=1(Xi−X)2+∑n
i=1(Yi−Y)2}/(2n)→p σ2+b0となり,b0 = 0でない限り一致性をも たないことがわかる。逆に,上のa0が存在してb0 = 0のときには一致性を持つことになる。
問17. この問題については,Xi,Yiの分散をVar(Xi) =σ12, Var(Yi) =σ22,共分散をCov(Xi, Yi) =ρσ1σ2 に訂正して下さい。
(1) 大数尤度は
ℓ(ρ, σ1, σ2) =−n
2log(2π)−n
2log(1−ρ2)−nlogσ1−nlogσ2
− 1
2(1−ρ2)
[∑ix2i σ12 −2ρ
∑
ixiyi σ1σ2 +
∑
iy2i σ22
]
と書けるので,
∂ℓ(ρ, σ1, σ2)
ρ = 0, ∂σ1(ρ, σ1, σ2) σ1
= 0, ∂σ2(ρ, σ1, σ2) σ2
= 0 の解を求めると,ρˆ=∑
ixiyi/√∑
ix2i ∑
iyi2が得られる。
(2) ˆρ=rとおく。rは平均を既知としたときの相関係数であり,rの確率密度関数は
f(r) = (1−ρ2)n/2(1−r2)(n−3)/2
√π{Γ(n/2)}2
∑∞
k=0
(2ρ)k
k! {Γ((n+k)/2)}2
となる。証明は,竹村著「多変量推測統計の基礎」p.68を参照。また誤植と追加説明のファイルM athStattypo.pdf に中にも詳しい説明が与えられているので,参照して下さい。
(3)√
n(ˆρ−ρ)→dN(0,(1−ρ2)2)となる。証明は,竹村著「多変量推測統計の基礎」p.70を参照。また誤 植と追加説明のファイル M athStattypo.pdf に中にも詳しい説明が与えられているので,参照して下さい。
問18. (1) 不等式(6.10)において等号が成立することは,命題6.18の証明の中のコーシー・シュバル
ツの不等式において等号が成り立つことを意味する。コーシー・シュバルツの不等式の不等式において等 号が成立することは一方の関数が他方の関数の線形の形で書けることが必要十分条件なので,
Sn(θ,x) =a(ˆθ(x)−θ) +b と書けることを意味する。すなわち
d
dθlogf(x|θ) =aθ(x)ˆ −aθ+b であるので,両辺を不定積分すると
logf(x|θ) =aθ(x)θˆ −aθ2+bθ+c
すなわち,X の確率密度関数(確率関数)が
f(xth) = exp{aθ(x)θˆ −aθ2+bθ+c} なる形に表される。これは指数型分布族になっていることを意味する。
(2) 不等式(6.17)の導出は問15で解説されている。
(3) 不等式(6.18)については,不等式(6.17)を用いると
MSE(θ, δ) =E[(δ(X)−g(θ))2] =E[{δ(X)−E[δ(X)]}2] +{Bias(δ)}2
={(d/dθ)E[δ(X)]}2
In(θ) +{Bias(δ)]2
となる。ここでBias(δ) =E[δ(X)]−g(θ)の両辺をθで微分すると,
d
dθBias(δ) = d
dθE[δ(X)]−g′(θ) となるので,(6.18)の形の不等式が得られる。