• 検索結果がありません。

三 節

易 行 道 に お け る 自 力

・ 他 力 に つ い て

第 一 項

問 題 の 所 在 前 述 し た よ う に

、 難 易 二 道 判 と い う 同 様 の 教 説 を 提 示 し な が ら も

、 難 易 を 区 別 す る 基 準 に お い て 相 違 が み ら れ た 曇 鸞 と 道 綽 で あ る が

、 こ う し た 教 判 論 に 関 連 す る 問 題 と し て

、 本 節 で は 両 者 の 自 力

・ 他 力 に つ い て も 論 究 し た い

。 日 本 浄 土 教 に お い て は

、 法 然 が

『 選 択 集

』 第 一 章 段 で

『 往 生 論 註

』 所 説 の 難 易 二 道 判 を も と に 自 力

・ 他 力 の 区 別 を 行 い

、 さ ら に

『 浄 土 宗 大 意

』 で は 聖 浄 二 門 判 と 関 連 さ せ て

、 浄 土 宗 ノ コ コ ロ ハ

、聖 道 浄 土 ノ 二 門 ヲ タ テ テ

、一 代 ノ 諸 教 ヲ オ サ ム

。聖 道 門 ト イ フ ハ

、 娑 婆 ノ 得 道 ナ リ

、 自 力 断 惑 出 離 生 死 ノ 教 ナ ル カ ユ ヘ ニ

、 凡 夫 ノ タ メ ニ 修 シ カ タ シ

、 行 シ カ タ シ

。 浄 土 門 ト イ フ ハ

、 極 楽 ノ 得 道 ナ リ

、 他 力 断 惑 往 生 浄 土 門 ナ ル カ ユ ヘ ニ

、 凡 夫 ノ タ メ ニ ハ

、 修 シ ヤ ス ク 行 シ ヤ ス シ

と 述 べ た こ と に よ り

、自 力 は 聖 道 門

、他 力 は 浄 土 門 を 表 す 言 葉 と し て 広 く 認 識 さ れ て い る

。 こ の よ う な 自 力

・ 他 力 に 関 し て

、 法 然 が 聖 浄 二 門 判 の 典 拠 と し た

『 安 楽 集

』 か ら の 直 接 的 な 影 響 を み る こ と は で き な い

。 し か し な が ら

、『 安 楽 集

』 に も 自 力

・ 他 力 に 関 す る 用 例 は 少 な か ら ず 確 認 す る こ と が で き

、 な お か つ

、 そ こ に は 曇 鸞 や 後 世 の 法 然 と は 異 な っ た 概 念 を 有 す る 自 力

・ 他 力 が 提 示 さ れ て い る よ う に 思 わ れ る

。 以 下

、 先 行 す る 曇 鸞 と の 比 較 を 通 じ て

、 道 綽 に お け る 自 力

・ 他 力 の 独 自 性 に つ い て 考 察 し て ゆ く

第 二 項

曇 鸞 に お け る 自 力

・ 他 力 曇 鸞 の 自 力

・ 他 力 に 関 す る 用 例 は

、『 往 生 論 註

』 冒 頭 の 難 易 二 道 判

、 な ら び に 巻 下 末 尾 の 三 願 的 証 に お い て 確 認 す る こ と が で き る

。 ま ず 冒 頭 の 難 易 二 道 判 で は

、 菩 薩

、 求 阿

毘 跋 致 有

二 種 道

。 一 者 難 行 道

、 二 者 易 行 道

。 難 行 道 者

、 謂 於

五 濁 之 世

、 於

無 佛 時

阿 毘 跋 致

。 此 難 乃 有

多 途

粗 言

五 三

以 示

義 意

。 一 者 外 道 相 善

、 亂

菩 薩 法

。 二 者 聲 聞 自 利

、 障

大 慈 悲

。 三 者 無 顧 惡 人

、破 他

勝 徳

。四 者 顛 倒 善 果

、 能 壞 梵

五 者 唯 是 自 力 無 他

力 持

。如 斯

等 事

、 觸

目 皆 是

。 譬 如

陸 路 歩 行 則 苦

。 易 行 道 者

、 謂 但 以

信 佛 因 縁

生 淨

、 乘

佛 願 力

便 得

生 彼 清 淨 土

佛 力 住 持 即 入

大 乘 正 定 之 聚

正 定 即 是 阿 毘 跋 致

。 譬 如 水

路 乘 船 則 樂

と 述 べ

、 菩 薩 が 阿 毘 跋 致 を 求 め る 二 種 の 方 法 と し て

、 難 行 道 と 易 行 道 を 提 示 し て い る

。 そ し て 五 濁 の 世

、 無 仏 の 時 代 に 阿 毘 跋 致 を 求 め る こ と を 難 行 道 と し

、 そ の 根 拠 と し て 五 つ の 理 由 を あ げ て い る

。 特 に 第 五 の

「 唯 是 自 力 無 他

力 持

」 で は

、 自 力 に よ る 菩 薩 道 の 実 践 が 困 難 で あ り

、 他 力 を 受 持 す る こ と が 必 要 と な る こ と を 明 か し て お り

、 こ こ に 自 力 の 難 行 道

で は な く

、 他 力 の 易 行 道 に 依 る べ き で あ る と す る 曇 鸞 の 意 図 を う か が う こ と が で き る

。 続 い て

、 曇 鸞 は 阿 弥 陀 仏 を 信 ず る 心 を 因 縁 と し て 往 生 を 願 い

、 阿 弥 陀 仏 の 本 願 力 に よ っ て 浄 土 へ 往 生 し

、 往 生 し た 後 に 速 や か に 阿 毘 跋 致 を 得 る と い う 道 程 を 易 行 道 と し て い る が

、 こ こ で い う 仏 願 力

、 さ ら に は 阿 毘 跋 致 を 得 る 際 に は た ら く 阿 弥 陀 仏 の 本 願 力 が 他 力 で あ り

、 他 力 は 自 力 の 対 概 念 と し て 提 示 さ れ て い る

。 次 に 巻 下 末 尾 の 三 願 的 証 で は

、 若 非 佛

、 四 十 八 願 便 是 徒 設

。 今 的 取 三

用 證

義 意

。 願 言

、「 設 我 得

、 十 方 衆 生

、 至 心 信 樂 欲

我 國

、 乃 至 十 念

、 若 不

生 者 不

正 覺

唯 除

五 逆 誹 謗 正 法

」。 縁

佛 願 力

、 十 念 念 佛 便 得

往 生

。 得 往

、 即 免 三

界 輪 轉 之 事

輪 轉

、 所 以 得 速

。 一 證 也

。 願 言

、「 設 我 得

、 國 中 人 天

、 不

正 定 聚

必 至

滅 度

者 不

正 覺

。 縁

佛 願 力

、 住

正 定 聚

正 定 聚 故

、 必 至 滅

諸 迴 伏 之 難

、 所 以 得

。 二 證 也

。 願 言

、「 設 我 得

、 他 方 佛 土 諸 菩 薩 衆

、 來

生 我 國

究 竟 必 至

一 生 補 處

除 其

本 願 自 在 所

、 爲 衆

生 故

、 被

弘 誓 鎧

積 累

徳 本

、 度

脱 一 切

遊 諸

佛 國

菩 薩 行

養 十 方 諸 佛 如 來

、 開

化 恒 沙 無 量 衆 生

使

無 上 正 眞 之 道

。 超

出 常 倫

諸 地 之 行

、 現 前 修

習 普 賢 之 徳

。 若 不

爾 者 不

正 覺

」。 縁

佛 願 力

、 超

出 常 倫

諸 地 之 行

、 現 前 修

習 普 賢 之 徳

超 出

常 倫

諸 地 行

、 所 以 得

。 三 證 也

と あ る よ う に

、『 無 量 寿 経

』 の 第 十 八

、 十 一

、 二 十 二 願 を あ げ て 他 力 の 経 証 と し

、 こ れ ら 三 願 に も と づ く 菩 薩 の 往 生 の 過 程 を 明 か し て い る

。 す な わ ち

、 曇 鸞 は 阿 弥 陀 仏 の 本 願 力 に よ り

、 十 念 の 念 仏 に よ っ て 浄 土 へ 往 生 し

( 第 十 八 願

)、 往 生 し た 後 に 速 や か に 正 定 を 得 る

( 第 十 一 願

) と い う 大 乗 菩 薩 道 を 易 行 道 と し て 提 示 す る の で あ る

。 ま た 曇 鸞 は 三 願 的 証 の 直 後 に

、 以

斯 而 推

他 力

增 上 縁

。 得

然 乎

。 當

復 引

例 示

自 力 他 力 相

。 如

人 畏

三 塗

故 受

持 禁 戒

。 受

持 禁 戒

故 能 修 禪

。 以

禪 定

故 修

習 神 通

。 以

神 通

故 能 遊

四 天 下

。 如

是 等 名 爲

自 力

。 又 如

劣 夫 跨

驢 不

、 從

轉 輪 王 行

、 便 乘

虚 空

四 天 下

障 礙

。 如 是

等 名 爲

他 力

。 愚 哉

、 後 之 學 者

、 聞

他 力 可

、 當 生

信 心

。 勿 自

局 分

と 述 べ

、 他 力 を 増 上 縁 と す る か ら こ そ

、 速 や か に 浄 土 へ 往 生 し て 阿 毘 跋 致 を 得 る こ と が で き る と 説 い て い る

。 併 せ て

、 自 力 と は 三 悪 道 に 堕 す る こ と を 畏 れ て 自 ら 仏 道 修 行 を き わ め て ゆ く こ と で あ り

、 他 力 と は 力 の 劣 っ た 者 が 転 輪 聖 王 の 行 幸 に 従 事 し て あ ら ゆ る 世 界 を 自 在 に 往 来 す る よ う な も の で あ る と 例 示 し

、 そ の う え で 後 学 の 者 が 他 力 に 乗 ず べ き こ と を 聞 い た な ら ば

、 必 ず 信 心 を 発 す べ き で あ る と 主 張 し て い る

。 こ こ か ら 曇 鸞 に お け る 難 易 二 道 判 と 自 力

・ 他 力 と の 関 係 を 図 示 す る と 次 頁 の よ う に な る

。 す で に 指 摘 し た よ う に

、 曇 鸞 は 阿 毘 跋 致 獲 得 の 難 易 性 を 基 準 と し て 難 行 道 と 易 行 道 を 区 別 し て お り

、 娑 婆 世 界 で 阿 毘 跋 致 の 獲 得 を 目 指 し

、 自 ら の 力 に よ っ て 仏 道 修 行 を き わ め て ゆ く こ と を 自 力 と し て い る

。 一 方

、 他 力 と は 十 念 に よ る 往 生 と

、 往 生 以 後 の 速 や か な る 阿 毘 跋 致 の 獲 得 を 可 能 に す る 阿 弥 陀 仏 の 本 願 力 そ の も の で あ り

、 両 者 は 互 い に 相 対 関 係 に あ る と 考 え ら れ る

五 濁 の 世

、 無 仏 の 時 代

〔 難 行 道

阿 毘 跋 致 獲 得 自

力 他

〔 易 行 道

往 生

阿 毘 跋 致 獲 得 十 念

第 三 項

道 綽 に お け る 自 力

・ 他 力 道 綽 は 第 三 大 門 の 冒 頭 で

『 往 生 論 註

』 所 説 の 難 易 二 道 判 を 引 用 し

、 易 行 道 に つ い て 次 の よ う に 述 べ て い る

。 言 易

行 道

、 謂 以

信 佛 因

縁 願

生 淨

、 起

心 立 徳

修 諸

行 業

、 佛 願 力 故 即 便 往 生

。 以

佛 力 住 持

即 入

大 乘 正 定 聚

正 定 聚 者 即 是 阿 毘 跋 致 不 退 位 也

。 譬 如 水

路 乘 船 則 樂

。 故 名

易 行 道

こ こ で は 曇 鸞 と 同 様

、 信 仏 を 因 縁 と し た 願 生 を 顕 示 し つ つ も

、『 往 生 論 註

』 に は み ら れ な か っ た 波 線 部

① を 付 加 す る こ と に よ り

、 易 行 道 に お け る 発 菩 提 心 と 実 践 行 の 必 要 性 を 強 調 し て い る

。 ま た 道 綽 は 難 易 二 道 判 を 提 示 し た 直 後 に

、 以 下 の よ う な 問 答 を 設 け て い る

【 問

】 曰

、 菩 提 是 一

。 修 因 亦 應 不

何 故 在

此 修

因 向

佛 果

名 爲

難 行

、 往

生 淨 土

大 菩 提 乃

易 行 道

【 答

】 曰

、 諸 大 乘 經 所

辨 一 切 行 法

、 皆 有

自 力 他 力

、 自 攝 他 攝

。 何 者 自 力

。 譬 如

人 怖

畏 生 死

、 發 心 出 家 修

、 發

通 遊

四 天 下

名 爲

自 力

何 者 他 力

。 如

劣 夫

己 身 力 擲

驢 不

。 若 從

輪 王

即 便 乘

空 遊

四 天 下

即 輪 王 威 力

。 故 名

他 力

こ の 問 答 で は

「 菩 提 は 一 つ で あ り

、 修 す べ き 因 も ま た 二 つ と な い は ず で あ る

。 何 故

、 こ の 娑 婆 世 界 に お い て 修 行 し

、 仏 果 を 求 め る こ と を 難 行 道 と い い

、 浄 土 に 往 生 し て 大 菩 提 を 期 す る こ と を 易 行 道 と い う の か

」 と い う 問 い に 対 し

、 曇 鸞

『 略 論 安 楽 浄 土 義

』 の 一 文

( 波 線 部

を 引 用 し て

、 諸 の 大 乗 経 典 に 説 か れ る す べ て の 行 法 に は 自 力 と 他 力

、 自 摂 と 他 摂 と い う 二 つ の 側 面 が あ る と 答 え て い る

。 さ ら に

、 先 に あ げ た

『 往 生 論 註

』 の 三 願 的 証 に 付 随 す る 文 を 取 意 引 用 し

、 同 じ く 譬 喩 的 表 現 を 用 い て 自 力

・ 他 力 を 説 明 し て い る

。 従 来 の 研 究 で は

、こ の 一 段 を も っ て 直 ち に「 難 行 道

= 自 力 自 摂 の 法 門

「 易 行 道

= 他 力 他 摂 の 法 門

」 と 解 釈 さ れ て き た

。 と こ ろ が

、『 安 楽 集

』 の 本 文 を 確 認 す る と

、 道 綽 は 上 記 の よ う に 曇 鸞 の 著 作 を も と に 自 力

・ 他 力 を 例 示 し た 後

、 衆 生 亦 爾

。 在

此 起

心 立

行 願

淨 土

。 此 是 自 力

。 臨

命 終 時

、 阿 彌 陀 如 來

、 光 臺 迎 接 遂 得

往 生

即 爲

他 力

関連したドキュメント