参考資料 / 総合的な学習の時間をめぐる動き
(d) 「盲学校、聾学校及び養護学校、小中学部学習指導要領」文部省告示第 61 号 1999.3.29
第 1 章 総 則
参考資料 / 総合的な学習の時間をめぐる動き
1 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,生徒の実態等に応じて,横断的・
総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものと する。
2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(1) 自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資 質や能力を育てること。
(2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む 態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
3 各学校においては,上記 2 に示すねらいを踏まえ,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じ,
例えば,次のような学習活動などを行うものとする。
ア 国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動 イ 生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について,知識や技能の深化,総合化を図 る学習活動
ウ 自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動
4 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めるものと する。
5 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 自然体験やボランティア活動,就業体験などの社会体験,観察・実験・実習,調査・研 究,発表や討論,ものづくりや生産活動,交流活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極 的に取り入れること。
(2) グループ学習や個人研究などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一 体となって指導に当たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工 夫すること。
6 職業教育を主とする学科においては,総合的な学習の時間における学習活動により,農業,
工業,商業,水産,家庭,情報,調律,保健理療,印刷,理容・美容若しくはクリーニングの各 教科に属する「課題研究」,「看護臨床実習」又は「社会福祉演習」(以下この項において「課題 研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間にお ける学習活動をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができる。また,課題研究 等の履修により,総合的な学習の時間における学習活動と同様の成果が期待できる場合において は,課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間における学習活動の一部又は全部に替えるこ とができる。
第 4 各教科・科目,特別活動,自立活動及び総合的な学習の時間の授業時数等
1 各教科・科目,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間 35 週行うことを標準とし,必 要がある場合には,各教科・科目及び自立活動の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。
2 週当たりの授業時数は,30 単位時間を標準とする。
7 各教科・科目,特別活動,自立活動及び総合的な学習の時間(以下「各教科・科目等」とい
参考資料 / 総合的な学習の時間をめぐる動き
う。)のそれぞれの授業の 1 単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保し つつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。
第 3 款 知的障害者を教育する養護学校における各教科等の履修等 第 2 総合的な学習の時間
総合的な学習の時間の取扱いについては,第 2 款第 3(6 は除く。)に示すところによるものとす る。
第 3 各教科,道徳,特別活動,自立活動及び総合的な学習の時間の授業時数等
1 各教科,道徳,特別活動,自立活動及び総合的な学習の時間(以下「各教科等」という。た だし,1,2 及び 8 において,特別活動についてはホームルーム活動に限る。)の総授業時数は,
各学年とも 1,050 単位時間(1 単位時間は,50 分として計算するものとする。3 において同じ。) を標準とする。この場合,各教科,道徳,特別活動及び自立活動の目標及び内容並びに総合的な 学習の時間のねらいを考慮し,それぞれの年間の授業時数を適切に定めるものとする。
6 総合的な学習の時間に充てる授業時数については,各学校において,学校や生徒の実態に応 じて,適切に定めるものとする。
第 6 款 重複障害者等に関する特例
2 重複障害者を教育する場合には,次に示すところによるものとする。
(2) 重複障害者のうち,学習が著しく困難な生徒については,各教科・科目若しくは特別活 動(知的障害者を教育する養護学校においては,各教科,道徳若しくは特別活動)の目標及び内 容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な学習の時間に替えて,自立活動を主として指導を行 うことができること。この場合,生徒の実態に応じた適切な総授業時数を定めるものとすること。
(3) 校長は,各教科・科目若しくは特別活動の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しく は総合的な学習の時間に替えて自立活動を主として履修した者で,その成果がそれらの目標(総 合的な学習の時間についてはねらい)からみて満足できると認められるものについて,高等部の 全課程の修了を認定するものとすること。
3‑1‑2 時代的・社会的背景
なぜ今教育が見直されるのか。少子高齢化、情報化、国際化などが加速的に進んでいる現代で は、現状の教育システムで対応できないような課題・問題が顕在化してきている。そういった問 題に対して、自ら試行錯誤しながら主体的に問題解決ができる能力こそ、これからの社会に求め られていると言える。そういった社会的背景のもとで、総合的な学習の時間が創設された。
(1) 創造性・生きる力
これまでの日本は欧米社会に追いつき追い越すことが目標であり、それを成し遂げるために画 一化された教育システムを導入してきた。結果、優秀で均一な能力を持った労働者を育てること には成功してきたと言えよう。しかし、その目標がほぼ達成された現在、欧米文化を真似るだけ でなく、新たな文化、価値、秩序を作り出せる創造性が求められるようになってきている。また、
参考資料 / 総合的な学習の時間をめぐる動き
情報技術が発達した今日では、情報を活用する能力は現代を生きていく上で欠かせないと言えよ う。暗記する能力よりも、必要な情報を見極め、検索し、加工し、利用する能力、さらには自分 から新しい情報を創造し、発信する能力が大切になってきている。創造性と問題解決能力とほぼ 同じ物と考えられており、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考えることで、誰もが持ちえる 能力である。この問題解決能力を用いてよりよく問題を解決する資質・能力は「生きる力」の中 核をなすものである。
(2) 学校、家庭、地域一体
いじめ、暴力、不登校、学級崩壊等の児童・生徒を巡る様々な問題は、もはや学校だけで解決 できる問題ではない。いや学校だけで解決するべき問題ではないと言える。児童・生徒が抱える 家庭環境や、ますます希薄になりつつある地域とのつながりの中で考えていかなければならない。
学校がより開かれた存在となり、地域、家庭との協力の中で教育に取り組む必要があるだろう。
(3) 総合的な学習の時間が担う役割
総合的な学習の時間の趣旨は、すでに 1998 年の教育課程審議会の答申で明記されており、創 設の理由として各学校がそれぞれの学校の実態や地域の実情などに応じて、創意、工夫できる教 育を実践できるような時間を確保するためであると説明されている。総合的な学習の時間の創設 の背景には、先述したように、いくつかの社会的な問題の顕在化が考えられる。これらの問題に 共通して言える原因の一つは、従来の知識偏重型の学校教育が考えられる。学校で教えられる知 識は、受験に役に立っても、実生活を豊かにすることができるのか、問い直されている。従来の 硬直化した 学校知 ではなく、児童・生徒の生活に直結し、実生活を生き生きとさせる有機的 な学習として「総合的な学習の時間」へ期待が寄せられている。また、国際化、情報化、高齢化 といった新しい社会構造や各種問題が取りだたされ、日々変化を遂げる現代の日本の社会的背景 を考えると、児童・生徒が変動の激しい 21 世紀の社会を生き抜くために、問題を見据え、主体 的に問題解決ができる「生きる力」を育む教育が社会的にも求められていると言える。総合的な 学習の時間を通して身に付けることができる問題解決能力こそ、この生きる力の中核となる能力 だと言える。
3‑1‑3 実施方法
(1) 時間数・授業計画の組み方
総合的な学習の時間が本格実施となれば、1 年間の単位時間数は以下のようになり、かなりの 時間数が充てられることになる。
表 35:総合的な学習の時間の時間数
小学校 第 3 学年以上。第 3、4 学年 105 単位時間、第 5、6 学年 110 単 位時間。
中学校 第 1 学年 70〜100 単位時間、第 2 学年 70〜105 単位時間、第 3