第 5 章
第 5章 結論
5.1 ま とめ
日本 防災協会発行 の耐震診 断基準 に示 されている、同基準 の適用限界値未満 の低強度 コン ク リー トが用 い られた場合 の耐震診 断の可能性 を明 らか にす る ことを 目的 に、低強度 コン ク リー トが用 い られたRC梁 に対 して載荷実験 を行 い、既往 の耐 力式 および低強度 コンク リ ー トに対 して示 された既往 の研 究報告 との整合性 に関 して検討す る と共 に、CFRP 補強 の 有効性 について検 討 した。
本研究で確認 された ことを以下 にま とめる。
(1)無補強試験体 においては、山本 らの提案式 を用 いる ことで、低強度 コンク リー トを用 いたRCせん断耐 力を安全側 に評価す る ことができる。
(2)連続繊維補強 コンク リー ト系構造 設計指針(莱)によれ ば、低強度 コンク リー トに対 し て もCFRP補強は安全側 に設計 されて いる。
第5章 結論 ‑58‑
5.1 今後の課題
本研究では、梁部材の曲げ試験を行 うことで、低強度コンクリー トが用いられた RC部材 と低強度 コンクリー トが用い られた RC部材に CFRP補強を施 した試験体の曲げせん断特 性 を評価 し、既往の耐力式および研究報告の妥当性 について検討 したが、まだまだ低強度 コンクリー トに対する資料は少な く、低強度 レベルの建物の耐震診断を精度良 く評価でき るかは疑問である。
そのため、様々な条件 による実験 を行い、更なる実験データの蓄積および耐震診断基準 における低強度 レベルの診断方法の確立が必要である。
【謝辞】 ‑59‑
【謝辞】
低強度 コンク リー トに関す る研究 を進めるにあた り、適切な ご指導 を賜 った畑 中重光教 授な らびに三島直生准教授に深謝致 します。 また、本研究 に際 し、和藤浩氏 (三重大学技 術専門員)および三重大学工学研究科建築学専攻畑 中研究室の皆さんにご助力頂 いた事 を
ここに付記 して謝意を表 します。
【参考文献】 ・60・
【参考文献】
1)(財)日本建築防災協会「2001年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説」
2) (財)日本建築防災協会「2001年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修指針 同解説」
3) 中潰貴生 ,畑 中重光 :三重県内における既存 RC造学校施設のコンクリート強度の分布 に関する調査研究,日本建築学会大会学術講演梗概集,C‑2,pp.635‑636,2005.9
4 )
川上裕住 ,高月行治 ,藤原顕太郎 ,根 口百世 ,南宏一 :低強度コンクリート部材の耐震性能評価 に関する基礎的研究,日本建築学会大会学術講演梗概集,C‑2,pp.333‑342, 2007.8
5)坂巻健太 ,広沢雅也 ,清水泰 ,周建東 :既存鉄筋コンクリート造建築物のコンクリート 強度 に関する研究,日本建築学会大会学術講演梗概集,C‑2,pp.801‑804,2001.9 6)市橋重勝 ,山本泰稔 ,片桐太一 ,秋 山友昭 ,ジム・トムプソン :低強度コンクリートに
装着した接着系あと施 工アンカー筋の挙動 に関する実験的研 究,日本建築学会大会学術 講演梗概集,C‑2,pp.397‑407,2000.9
7)谷 口博亮 ,八十島章 ,荒木秀夫 :低強度コンクリートを用いた RC部材の耐震性能,日 本建築学会大会学術講演梗概集,C‑2,pp.51‑54,2007.8
8) 山本泰稔 ,片桐太一 ,秋 山友昭 ,∫.F.トンプソン :低強度コンクリート中における接着 系アンカー筋の荷重伝達能力,コンクリート工学年次論文集 ,vol.22,No.1,pp.553‑558, 2000
9)伊藤嘉則 ,横谷柴次 ,沢崎詠二 :種々の方法で耐震補強された低強度コンクリートRC 柱の補強効果 に関する研究,日本建築学会構造系論文集 ,No.613,pp.97‑104,2007.3 10)永坂具也 ,東城正晃 ,大川善丈 :極低強度コンクリートの用いられた RC 短柱の耐力と
変形能 に関す る実験 的研 究 ,日本 建 築学会 大会 学術 講演梗 概集 ,C‑2,pp.157‑160, 2005.9
ll)伊藤嘉則 ,横谷柴次 ,橋本敏男 ,沢崎詠二 :低強度コンクリート既存 RC 柱の耐震補 強効果 に関する実験研 究,コンクリート工学年次論文集,vol.25,No.2,pp.199‑204,2003 12)山本泰稔 ,神谷 隆 ,上 田洋一 ,秋 山友昭 ,伴幸雄 ,久世庸 平 :鋼板 内蔵型外付 け
補強工法 による既存低 強度コンクリート造架構 の補強実験,日本建築学会大会学術講演 梗概集,C‑2,pp.571‑580,2005.9
13)永坂具也 ,林禿 ,長谷川匡輔 ,東城正晃 :極低強度コンクリートの用いられた RC梁の 耐力と変形能,日本建築学会大会学術講演梗概集 ,C‑2,pp.225‑228,2004.8
14)山本泰稔 :低強度コンクリート構造 に関する調査 ・研究資料,第 30回建築士事務所全国 大会 (埼玉),2005.8
15)社 団法人 日本コンクリート工学協会 ,担 当 勝俣英雄 :建築 ・土木分野 における歴史
的構造物の診断 ・修復研究委員会報告書,pp.212‑219,2007,6
16)社団法人 日本コンクリート工学協会 中国支部,低強度コンクリートに関する特別研究委員 会 :低強度コンクリートに関する特別研究委員会報告書,2009.2
17)根 口百世、藤原顕太郎、高月行治、南宏一 :低強度 コンクリー トを用いた丸宏を主筋 とする
RC
柱のせん断破壊性状 ,コンクリー ト工学年次論文集 ,Ⅵ
)1. 2 9
,No . 3
, pp.157・162,200718)日本建築学会 :連続繊維補強コンクリー ト系構造設計施工指針案 ,2002
19)水野正、中上貴史、田才晃 :低強度 コンクリー トを用いた
S RS
及びRC
柱に対する 炭素繊維補強 による補強効果 に関す る実験的研究 ,日本建築学会大会学術講演梗概 集 ,C・2,pp.367・374,200620)田村雄一、三島直生、畑中重光 :低強度 コンクリー トを用いた
RC
梁の破壊挙動に関 する実験的研究 ,日本建築学会大会学術講演梗概集 ,C‑2,pp713・714,2008【 梗概】
低 強 度 コンクリー トを用 いた RC梁 の破 壊 挙 動 とCFRPによる補 強 効 果 に関する研 究
畑 中研究室
4 0 8 M41 1
田村 雄一1 .
はじめに日本建築 防災協会 の耐 震診 断基準 1)で は
R C
建築物 に使われて いる コ ンク リー トの最低圧 縮 強度 を13.5N/m2と し、それ以下 の ものは 基本 的 には耐 震補強 の対象外 として いる。 コ ンク リー ト強度 の低 い建築物 で は、保有水平 耐 力が小 さい ことか ら、耐震補強 を施 して も 耐 力の向上が あま り期待 で きな いため、耐震 診 断 の結果、解体 とい う結論 に至 る ことが多 い。 しか し、最低圧縮 強度 が 力学 的な根拠 に よ り定 め られ た もので はな く、 当時 の経済性 を理 由に定 め られた2)ことか ら、コンク リー ト強度 が 13.5N/mm2以下で あって も、適 切な 補 強 を行 えば建物 の耐 震性 を確保 で きる場合 もある と考 え られ る。 また、圧縮 強度 が適用 範 囲外 の場合 にお いて も、現行 の評価 式 を準 用 し、耐 震診 断 ・耐震補強設計 を行 って いる 現 状で あるが、低 強度 コ ンク リー トを用 いた 構造部材 に現行 の曲げ、せ ん断耐 力設計式が 適用 で きるか どうか につ いて の確 証 はな く、
低 強度 コ ンク リー トに着 目した
R C
構造物 に 関す る論文3)〜5)は まだ少な いのが現状で ある。本報 で は、低 強度 コ ンク リー トが用 い られ たRC梁 の耐 力お よび変形特性 を実験 によ り 明 らか に し、既往 の耐 力式 、お よび低 強度 コ ンク リー トに対 して示 され た既往 の研 究報告 との整 合性 に関 して検 討す る と共 に、CFRP 補 強 の有効性 につ いて検 討す る。
表‑5 コンク リー トの調合
義‑1
要
因と 水準コンクリー ト強度[N/mm
2 ]
7,20,30 せん断補強筋 2‑¢6@80,2‑¢6@160(せん断補 強筋比Pw[%]) (0.58)
(
0.29)CFRPの置換
せん断補 強筋比 Pwf[%] 0,0.05,0
. 0 9
,0.19引張側 主筋 2‑D16,4‑Dl6
(引張鉄 筋比pt[%]) (1.95) (3.
5 0 )
義‑2 使用材料
セメント C 普 通ポル トランドセメント 密 度 :3.15g/cm3,比表面積:4000cm2/g 石粉 P 石灰 石微 粉末(CaCO3)
密 度:2.7g/cm3,比表面積:4000cm2/g 細 骨材 S 町屋 川産砂 ,密度:2.59g/cm3
粗 骨材 G 志摩産砕 石 ,密度:2.68g/cm3
混和剤 SP 高性 能AE減水剤 (ポリカルボン酸 系 )
義‑3 主筋 の諸性状
義
‑ 4 C F R P
の諸性状W/C S/a
[%] [%] W C P S
7 128.8 50.6 179 139 51 928 905 20 71.3 50.1 179 252 0 912 907 30 58.0 47.1 180 311 0 820 922
繊維目付 200 伝/m2]
引張強度 3400 [N/mm2]
引張弾性率 2.30×105
[N/mm2]
設計厚さ 0.111
平成21年度 修士論文梗概
山 旦」
ダイヤルゲージ 〜FRP
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(a)側面図
図‑1 試験体形状 および配筋 図 (Type6) 2.実験概 要
表‑1に要 因 と水準 を示す。コンク リー トの 圧縮 強度 につ いて7,20,30【N/mm2】の3水 準、せ ん断補強筋間隔 につ いて80,160【mm]
(Pw :0.58,0.29【%】)の 2水準 、せ ん断スパ ンの CFRP補 強 につ いて置換せ ん断補強筋 比が0,0.05,0.09,0.19【%】の4水準、引張 主筋 比 につ いて 1.95,3.90【%】の 2水準、曲 げスパ ンのCFRP補強 につ いては有 り,無 し の 2水 準 と した。圧 縮 強度 は水 セ メ ン ト比 (W/C)を 変 化 さ せ る こ とで 調 整 し、Fc= 7N/mm2の コ ンク リー トにつ いて は既往 の研 究4)を参考 に石灰石微粉末 を混入 した。
養 生方法 は材齢 14日まで型枠 内封かん養 生 とし、脱型後 は気 中養 生 とした。試験項 目 は同一調合、同一養 生の¢100×200mmの円 柱試験体 による圧縮試験,割裂 引張試験 、お よびRC梁 の曲げ試験 とし、それぞれ材齢28 日に行 った。ただ し Type2Fc7,Type6Fc7 及 び竹pe7,Wpe8の試験体 につ いては、都 合上それぞれ材齢35日および32日に試験 を 行 った。
表‑2に使用材料 を、表‑3,4にそれぞれ使用 した鉄筋 と CFRPの諸性状 を、表‑5にコン ク リー トの調合 を示す 。ス ランプお よび空気
2 5 2 5
400
せん断スパン(400) (a)Type5,7
(b)断面 図
bd.60I〟I〟I 〟I 〟 l6l60.0.MM 20 〝 〝 〝 20 せん断スパン(400)
(b)Type7 図
‑ 2
CFRP施工 図量 は、それぞれ 18±2.5cm、4.5±1.5%とな るよ うに混和剤 の添加量 によ り調整 した。
図‑1にRC梁 の試験体 (補強 Type6)を示 す。試験体 は 120×200mm の長方形断面 を 有す る全長 1700mmのRC梁で、圧縮側主筋 に¢9、引張側主筋 にD16、せ ん断補強筋 と して¢6を図の位置 に配置 し、CFRP補強 を 図のよ うに施工 した。表‑6にそ の他 の試験体 一覧 を示す。竹pelは、せ ん断補強筋 を密 に 配筋 LCFRP補強 は施 さな い試験体で ある。
Type2は、せ ん断補強筋 を疎 に配筋 LCFRP 補強 は施 さな い試験体 である。Wpe3は、せ ん 断 補 強 筋 を疎 に配 筋 し、Pwf
=
0.05の CFRP補強 を施 した試験体 で ある。rⅣpe4は、せ ん断補 強 筋 を疎 に配 筋 L Pwf