第 5 章 測定結果及び評価
5.3 窒素中のアニール温度変化について
スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作製した試料を、
Table5.3.1のような条件でアニールを行い、アニールの温度変化を調べた。
Table5.3.1 アニール条件
5.3.1 XRD測定結果
Fig.5.3.1は、スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作 製し、Tableのような条件でアニール処理を行った試料のXRD測定結果である。
300~600℃アニールでは、回折ピーク強度が低下していることから、結晶性が低下して いると考えられる。
700~900℃アニールでは、逆に回折ピーク強度が向上し、半値幅も縮小していることか ら、結晶性が向上していると考えられる。また、ZnO(002)面へ配向していることがわかる。
これより結晶性向上には、アニール温度900℃以上が効果的と考えられる。
アニール雰囲気 窒素
アニール時間(min) 1 アニール温度(℃) 400~900
0 1000 2000 3000
ZnO(002) ZnO(101) ZnO(110) ZnO(103)
0 1000 2000 3000
0 1000 2000 3000
20 30 40 50 60 70 80
0 1000 2000 3000
アニール無
300℃アニール
400℃アニール
500℃アニール
ZnO(100)
Intensity (cps)
2θ (deg)
0 1000 2000 3000
0 1000 2000 3000
0 1000 2000 3000
600℃アニール
700℃アニール
800℃アニール
900℃アニール
20 30 40 50 60 70 80
0 1000 2000 3000
Intensity (cps)
2θ (deg)
ZnO(100) ZnO(002) ZnO(101) ZnO(110) ZnO(103) ZnO(004)
Fig. 5.3.1 XRD 測定結果(アニール変化)
31 5.3.2 光吸収係数測定結果
Fig.5.3.2は、スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作 製し、Tableのような条件でアニール処理を行った試料の光吸収係数測定結果である。
400~600℃では、低エネルギ ー側にレッドシフトし、700~
900℃では、高エネルギー側に ブルーシフトすることが確認で きる。
このことより、ZnOのバンド ギャップエネルギー3.37eV に 近づく為には、700℃以上のア ニール処理が必要であると考え られる。
5.3.3 PL測定結果
Fig.5.3.3は、スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作 製し、Tableのような条件でアニール処理を行った試料のPL測定結果である。
600℃以下のアニールでは、発光を観測 することができなかった。
3.2eV付近のピークはバンド端発光、2
~3eV 付近のピークは不純物準位による 発光であると考えている。
バンド端発光が最大になり、ディープ な発光が減少していることから、900℃ア ニールが効果的と考えられる。
どの試料も目視では、オレンジ色の発 光を観測できた。
1 2 3
0 5000 10000
15000
スパッタ圧0.75 Pa アニール温度400 ℃ 500 ℃ 600 ℃ 700 ℃ 800 ℃ 900 ℃
1.93 eV 3.17 eV
Photon energy (eV) (Eα)2 (eV2 cm-2 )
2 3
900℃
800℃
700℃
600℃
Photon energy (eV)
PL intensity (arb. units)
1.9 eV
3.2 eV
Fig. 5.3.2 光吸収係数測定結果(アニール温度変化)
Fig. 5.3.3 PL 測定結果(アニール温度変化)
32 5.3.4 Hall効果測定結果
Table5.3.2は、スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作 製し、Table5.3.1のような条件でアニール処理を行った試料のHall効果測定結果である。
Table5.3.2 Hall効果測定結果(アニール温度変化)
アニール温度 (℃) なし 400 500 600 比抵抗 ( ) 5.62 移動度 (cm2V-1s-1) 73.6 4.87 4.12 7.36 キャリア濃度 (cm-3)
スパッタ圧 (Pa) 700 800 900 比抵抗 ( ) 2.27 移動度 (cm2V-1s-1) 7.79 2.84 キャリア濃度 (cm-3)
Si 基板に作製した試料では、基板が影響を及ぼし、測定値が不安定であったため、石英 基板に作製した試料で測定を行った。アニールを行った結果、600 ℃の試料のときが、一 番比抵抗が小さくなった。700 ℃の試料では導通がなく測定できなかった。アニールなし の試料と比べると、アニールを行ったどの試料も比抵抗が小さくなり、導通の改善が期待で きる。
5.3.5 熱起電力測定結果
Table5.3.3は、スパッタ雰囲気N2のみ、スパッタ時間30分、スパッタ圧を0.75Paで作 製し、Table5.3.1のような条件でアニール処理を行った試料の熱起電力測定結果である。
Table 5.3.3 熱起電力測定結果(アニール温度変化)
アニール温度(℃) 400 500 600 700 800 900
Si基板 n n n n n n
石英基板 n n n n n
どの試料もn型の特性を示してしまった。
33
20 30 40 50 60 70 80
0 100 200
アニールなし