2. 粒径および外⼒変化の影響による津波堆積物の形成メカニズム解明のため
2.3 実験結果および考察
2.3.5 複数波による堆積砂量への影響
図2-24(a)〜(c)に同規模複数波(戻り流れなし)による各粒径の砂における波
ごとの堆積砂量を示す.汀線付近の堆積砂量は,波によって堆積砂量がほとんど 影響を受けないことが確認できた.これは2波目以降供給される土砂の量が増 加する一方,捕捉されるまでに戻り流れも発達するためと考えられる.このこと から,汀線付近の堆積砂量は波の外力に依存すると考えられる.中腹付近から先 端は,戻り流れが発達するが供給量が持ち去られる量を上回っているため堆積 砂量が増加すると考えられる.
汀線付近から中腹にかけて波数により,堆積砂量が影響受けない範囲は,粒径 が小さくなるほど大きくなる結果となった.また,遡上先端付近では後続の波に より堆積砂量が増加する傾向がみられ,粒径が小さいほどより遡上先端付近の 増加率が大きくなった.これは,複数波により砂の供給源が変化したことと,そ れぞれの粒径の輸送力の違いが影響していると考えられる.
(b)減衰波
図 2-25(a)(b)に波の収束を想定した減衰波(戻り流れなし,段波波高 1 波目
25 cm,2波目19 cm)による堆積砂量を示す.遡上先端付近では2波目の到達
点までの領域において堆積砂量が増加すること,また粒径が小さいほど遡上先 端付近の砂の増加率が高いことなど,同規模複数波と同様の傾向がみられた.し かし,汀線付近の堆積砂量は,同規模の場合と異なり,一致しなかった.単一波
(段波波高19 cm)の堆積砂量と比較したところ,汀線付近において高い一致率 を示した.このことから,減衰波による汀線付近の堆積砂量は,最後に遡上した 波の外力に大きく影響を受けた堆積物を形成することが確認できた.
よって複数波によって形成される堆積砂は,同規模波・減衰波ともに汀線付近 では,波の外力に依存する共通点が見られた.中腹から先端にかけては,同規模 波または減衰波であるか,また波数および粒径などの条件によって影響される ことが明らかになった.これまでは,実際の堆積物調査では複数波によって全体 の堆積分布が増加していくと考えられ,議論されることが多かった.また,浸水 域の調査では波の到達地点や海岸付近の堆積砂量で規模が判断されている.今 回の実験により浸水域と堆積物の分布から,どのような津波が来襲したかを明
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らかにするにためには,汀線付近は波の外力に大きく影響を受けている可能性 を考慮する必要がある.しかし,本検討においては,完全浸透および低平地氾濫 を想定した戻り流れなしの条件で実施しているため,東北津波では戻り流れが 発達し海岸付近が洗掘される事例が確認されていることからも,今後さらに波 の条件については詳細な検討が必要である.
0 20 40 60 80 100 80
60 40 20 0
x/ DW (%)
Sand deposit (g)
n3n2 n1 Number of waves
0 20 40 60 80 100
x/ DW (%)
Sand deposit (g)
80 60 40 20 0
n2n1 Number of waves
0 20 40 60 80 100 80
60 40 20 0
x/ DW (%)
Sand deposit (g)
n3n2 n1 Number of waves (a) U1
(b) U2
(c) U3
図2-24 同規模複数波の波ごとで形成される堆積砂量の比較
65
0 20 40 60 80 100 80
60 40 20 0
x/ DW (%)
Sand deposit (g)
Single wave(H=19cm) n2(H=19cm)
n1(H=25cm)
0 20 40 60 80 100
x/ DW (%)
Sand deposit (g)
80 60 40 20 0
Single wave(H=19cm) n2(H=19cm)
n1(H=25cm) (a) U1
(b) U3
図2-25 減衰する複数波の波ごとで形成される堆積砂量と
段波波高19cm単一波による堆積砂量の比較