第 4 章 プロジェクトの基本計画
4.2 象地域の概要
4.2.2 社会環境
ディエンビエン省は、表4.2.1にあるように1市、1町、7郡から構成されている。省全体 の人口は約50万人、21部族からなる多様な部族から構成されているといわれ、タイ族(40%)、
モン族(31%)、キン族(20%)が主である。この内、タイ族、モン族は歴史的に当地に居住し てきたベトナム国内では少数民族であり、キン族はベトナムの主要民族である。
貧困対策を主眼としている 30aプログラムは全国で 61の郡で実施されている。そのうち の当省からはMuong An、Dien Bien Dong、Tua Chua及びMuong Nheの4郡16が選定されて いるように、ディエンビエン省は貧困な地域である。
市、町、郡毎の2005年-2010年間の人口動態は、全体の平均では、+1.8%であり、Muong Nhe郡は+8.0%と急激に伸びている。一方、Muong Lay町は3.8%減少しているが、その原
因は、Muong Lay町がソンラ水力発電用ダムの湛水域に係るため他郡へ移動したことによる
といわれており、結果的にMuong Nhe郡の人口の増加はこの影響を受けているものと思わ れる。
ディエンビエン省内の郡域におけるコミューン数は、郡別には10‐19あり、全体で99と なっている。
表4.2.1 人口動態17
ディエンビエン省は平野部がほとんどなく、勾配が急な山間地が多いことから、農業適地
16THE DETAILED SURVEY ON NATURAL LAND AND SOCIO-ECONOMIC CONDITION FOR REDD+ ACTIVITIES IN DIEN BIEN PROVINCE (Aug.25,2011, JICA)
17THE DETAILED SURVEY ON NATURAL LAND AND SOCIO-ECONOMIC CONDITION FOR REDD+ ACTIVITIES IN DIEN BIEN PROVINCE (Aug.25,2011, JICA)を参考に作成した。原典はディエンビエン省統計データである。
は少なく、省全体では農業用地は約14%のみで森林地が79%となっている(表4.2.2 参照)。
産業は農業が主であり、山地高地での焼畑耕作、山地低地での棚田、畑作、低平地での水 田耕作などが見られる。作物は伝統的に穀類、イモ類であるが、近年茶、コーヒー、大豆 なども見られ、ディエンビエン米は特産米となっている。写真4.2.1は、Dien Bien Phu市近 郊においては山頂まで耕作されている様子と郡部においては山頂部には森林が残されてい る様子を示している。
表4.2.2 土地利用区分18 全体を100とした場合の割合(単位は%)
注)省総面積は956,290ha、総林地総面積は760,450ha。
18JICA 資料「Draft REDD+ Strategy for Dien Bien Province を参考に作成。原典は DARD, DienBien,2008。
a. ディエンビエン省DARDから近郊の山を望む b. ディエンビエンフー市近郊の山から市街方向を望む
(Dien Bien Phu市近郊では山頂まで耕作されている)
写真4.2.1 Dien Bien Phu市近郊と郡部の土地利用の違いの例
焼畑耕作は、当該地域の山地での主な耕作手段であるが、ディエンビエン省における焼畑 耕作のローテーションとしては次の事例が報告されている。
事例119:1家族の畑数は2-5カ所、同一畑の連続耕作期間は2-3年、その後次の畑へ移 動。
事例220:1家族の畑数は3-4カ所、同一畑の連続耕作期間は陸稲2-3年、その後メイズ2 年、その後次の畑へ移動。
より条件の厳しい方の事例2を基に、畑を4カ所、2年の陸稲栽培後にメイズを2年耕作 することを想定し、焼畑耕作のローテーションを考察した。模式的に示せば次図のとおり である。
図4.2.1 焼畑ローテーション
まず、陸稲耕作は畑1で1年目、2年目に行い、3年目、4年目には畑2に移る。メイズは 畑1で3年目、4年目に栽培し、畑2では5年目、6年目に栽培する。このパターンを繰り 返すと畑を4カ所所有している場合、9年目で最初の畑 1に戻り 2巡目に入ることとなる。
19THE DETAILED SURVEY ON NATURAL LAND AND SOCIO-ECONOMIC CONDITION FOR REDD+ ACTIVITIES IN DIEN BIEN PROVINCE (Aug.25,2011, JICA)
20SUSFORM-NOW の JICA 専門家からの情報。
c. Dien Bien Phu市からMuong Nhe郡への途上
Muong Cha郡での耕作地の様子(急傾斜地には森林
が残っている)
畑が3か所だけなら7年目で2巡目に入ることとなる。何れにしてもこのような耕作体系で は休耕期間での植生の十分な回復は難しいものと思われ、植生の劣化が進む原因となる。
堆肥あるいは肥料の投入があれば、同一場所での耕作を繰り返すことで休耕期間を延すこ と、あるいは常畑耕作も考えられ、植生の回復も期待できる。しかし、堆肥や肥料の投入 が無いまま、あるいは十分でないままに、耕作を繰り返し短期間に焼畑を巡回しているの が実態ではないかと思われる。