→ Time
C. 磨耗故障に対するワイブル分布関数の拡張
第2章 産業プラントの全体信頼度と電気設備個別の信頼度との関係
0 0.2 0.4 0.6 0.8
0 Time
Cumulative Failure Rate
m=1 m=0.5
m=2
図 2-8 形状パラメータと累積故障率 Fig. 2-8 Shape Parameter and Cumulative Failure Rate
尺度パラメータ α は、ワイブル分布関数の横軸の時間尺度単位を規定するパラメー タである。尺度パラメータαの値を小さくすると、ワイブル分布関数の分布時間幅が 小さくなるため、累積故障率の最高値が高くなる。逆に、尺度パラメータαの値を大 きくすると、α の値を変えたとしても、ワイブル分布関数の分布時間幅が大きくなる ため、累積故障率の最高値が低くなる。これは、累積故障率を与えるワイブル分布関 数の総面積はαに関わらず一定であるためである。また、同じmの値に対しては、ワ イブル分布関数は同じ分布形を持つ。
第2章 産業プラントの全体信頼度と電気設備個別の信頼度との関係
⎪⎩
⎪ ⎨
⎧
− ≥
−
−
= <
) (t ]
) (
exp[
1
) (t
0
)
( γ
α
γ γ
t
mt
F
(2-5)本論文では、上式のγ 以前の時間領域を故障率が 0 の領域としてではなく、磨耗故 障のワイブル分布に従わない領域として考えた。現実には、新規導入からわずかずつ ながらも電気設備の経年劣化は進行しており、それに伴い信頼度も低下しているはず である。この現象を表現するために、本論文では時刻γまでの期間に電気設備の信頼 度が 0 から rdまで線形に低下すると仮定して、式(2-5)を次式の通りとして検証を行 った。
⎪ ⎪
⎩
⎪⎪ ⎨
⎧
− ≥
−
−
−
<
= −
) (t ]
) (
exp[
1
) (t
t 1
) (
d
α γ γ γ γ
m d
r t r t
F
(2-6)
ここで、
rd :電気設備の磨耗故障期間突入時の信頼度
本論文では、時刻 γ を導入時から設計寿命までの時期を目安として設定し、rdを設 計寿命時の電気設備の信頼度を目安として設定している。
表 2-4 に、式(2-5)で表されるワイブル分布のパラメータ設定例を示す。また、図 2-9、2-10 に変圧器および遮断器のワイブル分布近似による信頼度曲線を示す。
続いて表 2-5 に式(2-6)で表される拡張型ワイブル分布のパラメータ設定例を示す。
また、図 2-11、2-12 に変圧器および遮断器の拡張型ワイブル分布近似による信頼度曲 線を示す。
表2-4 ワイブル分布パラメータ設定例 Table 2-4 Parameter for Weibull Distribution Example
No. Equipment Name m α γ
1 Transformer 6.0 51.0 18 mths
2 Circuit Breaker 6.0 36.0 15 mths
第2章 産業プラントの全体信頼度と電気設備個別の信頼度との関係
0 0.5 1
0 6 12 18 24 30 36 42 48
Time(month) Reliability
図 2-9 変圧器の信頼度曲線(ワイブル分布関数近似)
Fig. 2-9 Transformer Reliability Curve (Weibull Distribution Function)
0 0.5 1
0 6 12 18 24 30 36 42 48
Time(month) Reliability
図 2-10 遮断器の信頼度曲線(ワイブル分布関数近似)
Fig. 2-10 Circuit Breaker Reliability Curve (Weibull Distribution Function)
第2章 産業プラントの全体信頼度と電気設備個別の信頼度との関係
表2-5 拡張型ワイブル分布パラメータ設定例
Table 2-5 Parameter for Extended Weibull Distribution Example No. Equipment Name m α γ rd
1 Transformer 3.5 1000 1000 dys 0.02 2 Circuit Breaker 4.0 700 1000 dys 0.02
0.9 0.925 0.95 0.975 1
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300
Time (days)
Reliability
図 2-11 変圧器の信頼度曲線(拡張型ワイブル分布関数近似)
Fig. 2-11 Transformer Reliability Curve (Extended Weibull Distribution Function)
0.9 0.925 0.95 0.975 1
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300
Time (days)
Re liab ility
図 2-12 遮断器の信頼度曲線(拡張型ワイブル分布関数近似)
Fig. 2-12 Circuit Breaker Reliability Curve
(Extended Weibull Distribution Function)
第2章 産業プラントの全体信頼度と電気設備個別の信頼度との関係
2.3 まとめ
本章では、最初に電気設備メンテナンス計画の検討を進めるに際して重要な要素と なる、信頼度の基礎的な考え方を述べ、次に電気設備の寿命の考え方について整理し、
電気設備が産業プラント全体の信頼度に与える影響と、個々の電気設備それぞれの信 頼度の状況とその表わし方について明らかにした。
まず 2.1 節にて、電気設備の寿命と信頼度の経年変化の関係について述べ、本論文 における電気設備の信頼度並びにプラント全体の信頼度の考え方を定義した。電気設 備の寿命においては、電気学会技術報告書を参照することでバスタブカーブを照会し、
電気設備のメンテナンスを考える上で寿命の点からの用語を整理すると共に、どの範 囲を検討対象とするかを明確にした。
続いて、産業プラントが定常状態として運転を継続できているか、もしくは事故ま たは故障の発生から定常に運転を継続できない状態となっているかの観点で、プラン ト全体としての信頼度と、プラント内に設置されている個別の電気設備の信頼度との 関係について述べた。
2.2 節 で は 、 個 別 の 電 気 設 備 の 信 頼 度 に つ い て の 信 頼 度 曲 線 作 成 手 法 に つ い て 、
Sigmoid 関数とワイブル分布関数による定式化を行ない、信頼度曲線作成の理論的背
景を明らかにすると共に、実際の電気設備を例にそれぞれの関数におけるパラメータ 設定を行なった。
この章で述べたプラントの信頼度および電気設備の信頼度曲線は、第3章以降の定 式化およびモデル検証の基礎となる考え方である。