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第1節 研究の結論

本研究では、第一年次の研究成果を踏まえて、7園子で構成した「自然体験活動の 指導に求められる学校教員の資質能力(「第1因子:共通理解と集団指導力」、「第2 因子:安全管理・安全指導の能力・知識」、「第3因子:自然体験活動の知識」、「第4 因子:企画・指導技術」、「第5因子:状況予測力と対人関係能力」、「第6因子:関心・

意欲」、「第7因子:元気・体力」)」が実際の子どもの成果にどの程度裏打ちされたも のであるのかを明らかにしようとした。具体的には、7因子から作成した「教員用評 価尺度」と「子ども用評価尺度」を用いて ̄、「自然学校」における小学校教員の回答

と子どもの反応との間にどの程度対応関係にあるのかを分析し、7因子で構成した

「自然体験活動の指導に求められる学校教員の資質能力」が実際の指導場面で妥当性 があるのかどうかを明らかにしようとした。

ところが、それぞれの評価尺度から得られた得点を分析した結果、自然学校では、

「教員用評価尺度」と「子ども用評価尺度」の得点結果は、必ずしも対応関係にない ことが明らかになった。つまり、「教員用評価尺度」の得点が高い事例よりも低い事 例の方が、「子ども用評価尺度」の得点が高かったのである。このように双方の値が 運転している因子が多かった中で、唯一対応関係にあったのは、「第4因子:企画・

指導技術」であった。

そこで、活動事例の中から、「教員用評価尺度」の得点と「子ども用評価尺度」の 得点とが大きく運転している事例を抽出し、その運転した理由を指導場面における教 員の教授行動の分析から明らかにしようとした。また、「子ども用評価尺度」の得点 が特に高かった活動事例を抽出し、「集団指導の仕方」、「安全指導の仕方」、「活動の 指導技術」、「子どもの人間関係づくり」の観点から、その事例の指導場面における教 員の教授行動について分析を行い、7因子で構成した「自然体験活動の指導に求めら れる学校教員の資質能力」の妥当性を検証しようとした。

まず、逆転事例のうち、「教員用評価尺度」の得点が低く、「子ども用評価尺度」の 得点が高かった事例では、教員の教授行動は、7因子で構成した「自然体験活動の指

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導に求められる学校教員の資質能力」によって裏付けられるものであった。しかし、

実際の教員の評価はかなり低く評価されていたようであった。この事例では全体指導 における集団指導の仕方が子どもとのルールに基づいて実にうまく展開されており、

プログラム自体も半日かけてじっくりと活動に取り組むという計画になっていたが、

子どもの自主性に任せた結果、予想以上に子どもが戸惑い、時間がかかってしまった。

しかも、料理の出来映えも各班で様々であり、必ずしも時間をかけた班の料理が良く できたわけでもなかった。そうしたことが原因となって、教員は自分が子どもに直接 指導せずに、子どもたちに合ったプログラムも提供できていなかったと自己省察し、

アンケートには全体的に低い評価を付けたものと思われる。しかしながら、そうした 教員の思いとは裏腹に、体験した子どもたちは自分たちの力で料理ができたという意 識から、アンケートには高い自己評価を付けていた。この双方の意識のズレが逆転結 果につながったと考えられる。

他方、「教員用評価尺度」の得点が高く、「子ども用評価尺度」の得点が低かった事 例においても、指導場面における教員の教授行動は、7因子で構成した「自然体験活 動の指導に求められる学校教員の資質能力」によって裏付けられるものであったが、

実際の教員の評価は幾分高く評価されていたようである。確かに教員が回答していた ように、教員の指導は活動上の安全性とスムーズな活動展開を重視したものであった が、それ故に、子どもが自らの関心や考えに基づいて工夫を凝らしたり、自分が作っ たと思えるような活動過程を体験したりすることを制限させていた可能性が高く、そ のことが逆転要因につながったと考えられる。

次に、「子ども用評価尺度」の得点が特に高かった2つの事例を抽出し、指導場面 における教員の教授行動を分析した結果、1つめの事例における教員の教授行動は、

「自然体験活動の指導に求められる学校教員の資質能力」の第1因子「共通理解と集 団指導力」、.第2因子「安全管理・安全指導の能力・知識」、第3因子「自然体験活動 の知識」、第5因子「状況予測力と対人関係能力」によって裏付けられるものであっ た。特に、1つめの事例では、野外炊事における安全管理・安全指導を集団指導の中 で徹底させることに指導の重点が置かれていた。

また、2つめの事例における教員の教授行動は、「自然体験活動の指導に求められ る学校教員の資質能力」の第1因子「共通理解と集団指導力」、第2園子「安全管理・

安全指導の能力・知識」、第4因子「企画・指導技術」、第5因子「状況予測力と対人

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関係能力」によって裏付けられるものであった。特に集団指導を通じて子どもたちが 自発的に行動できるように促したり、プログラムの中に3回の野外炊事を設け、3回 目のメニューの計画を子ども自身に立てさせるなどプログラムの組み方にも工夫が見 られた。

以上の分析結果より、「教員用評価尺度」による値と「子ども用評価尺度」による 値との間にはほとんど対応関係が見られなかったが、その数値結果から活動事例を抽 出し、「集団指導の仕方」、「安全指導の仕方」、「活動の指導技術」、「子どもの人間関 係づくり」の観点から指導場面における教員の教授行動を分析したところ、その教授 行動は7因子で構成した「自然体験活動の指導に求められる学校教員の資質能力」に よって裏付けられることが明らかになった。特に、子どもの成果が高かった事例に共 通することは、活動前の全体指導の場において、その学校の教員が自分たちの子ども に集団指導を行い、子どもに活動への心構えとその子なりのめあてを持たせようとし ていたことである。そうしたことは、自然学校に限らず、普段の学校における学級指 導、学級経営の在り方と共通していた。

したがって、7因子で構成した「自然体験活動の指導で求められる学校教員の資質 能力」は、子どもの成果と対応関係にあり、妥当性があると判断できた。

第2節 研究の課題

今回の研究の課題として、以下の点を挙げておきたい。

第一に、今回の研究で取り扱った調査データは19事例であり、調査の精度から言 えば十分なデータが集まったとは言えない。したがって、より精度を高めるためには さらに調査データが必要である。しかし、調査データを収集する際に注意すべきこと は、「自然学校」の実施時期が1学期と2学期とでは当該学校の子どもたちの状態が 異なってくる点である。教員の回答と子どもたちの回答との整合性を確保するために は、教員の子ども理解と子ども同士の人間関係がある程度形成された状態で調査する ことが望ましい。

また、第一年次に引き続き、今回の調査においても「自然学校」をフィールドにし て実地調査を行ったが、自然学校では様々な制約があり、子どもの成果が必ずしも一

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人の教員の資質能力によって影響を受けているわけではなく、厳密に言えば、複数の 教員や指導補助員の指導力の影響を受けている。そうした厳密な意味で言えば、自然 学校をフィールドにしたことによって、「自然体験活動の指導に求められる学校教員 の資質能力」の妥当性を検証する上で正確性を欠いた面もある。しかしながら、今回 の調査では、あくまで学校教育における自然体験活動の一事例として「自然学校」に 注目した。この7因子で構成した「自然体験活動の指導に求められる学校教員の資質 能力」の妥当性の精度を高めていくためには、学校教育における様々な自然体験活動 を調査対象にして研究を進めていく必要があるというのが第二の研究課題である。

第三に、この調査研究を研究レベルで留めないことである。第三年次の研究では、

7因子で構成した「自然体験活動の指導に求められる学校教員の資質能力」と今回の

「自然学校」の実地調査で得た活動事例に基づいて、学校教員が子どもに自然体験活 動を指導する上で役に立っ「リーフレット」を作成し、その有効性を明らかにする予 定である。そして、この「リーフレット」を活用して、本学の実地教育Ⅱ(社会教育 施設での観察参加実習)における学生の経験的理解を理論的、技術的に深めることに 役立てようと考えている。

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