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1.研究の内容

本研究は,保育者養成課程の学⽣を対象に,⼦どもと⾼齢者の間に⽴った「世代間交流 の⽀援」という専⾨性に関する⼒量形成を養うための保育者養成プログラム開発を⽬的と し,以下の通り4章で論⽂を構成した。

第1章では,保育者養成における最近の動向を概観すると共に,保育者養成における

「世代間交流」の位置付けについて明らかにする。次に,国内外における世代間交流の実 践,研究を概観すると共に,その教育的意義についての考察を⾏う。

第2章では,クロス・トレーニング・プログラム(以下,CTP)の本研究における定義 付けを⾏い,世代間交流の⼈材育成の理論的枠組と

CTP

の関係を明らかする。その上 で,CTP の実習計画全体について詳説し,CTP の内容充実を図りつつプログラム開発を

⾏ったことについて,その経過と経緯について述べる。

第3章では,CTP の参加者に対する量的および質的な分析を通して,CTP への参加が 保育者養成課程の学⽣の世代間交流に関する認識にどのような影響を及ぼすのかについて の検討を⾏う。これらの検討を基に

CTP

の検証を進める。

第4章では,本研究の主要部分である第2章「クロス・トレーニング・プログラムの開 発」と第3章「クロス・トレーニング・プログラムの検証」における研究成果を総括し,

CTP

の可能性と今後の課題を述べる。

第1章 第3節

2.研究の方法と対象者

本論の研究⽅法は,第1章では⽂献研究,第2章では第1節第3項が実践研究,同第4 項が調査研究,第2節第2項が実践研究,同第3項が調査研究,第3章第1節が調査研究 となっている。研究⽅法,対象者及び分析⽅法等の詳細は 表2 の通りである。

表2 研究方法,対象者及び分析方法等

章・節・項 研究方法 対象者 分析方法等

1

章第

1

節 ⽂献研究 関連⽂献の整理

1

章第

2

節 ⽂献研究 関連⽂献の整理

2

章第

1

節第

3

項 実践研究 プログラム参加学⽣ プログラムの概要整理 第

2

章第

1

節第

4

項 調査研究 プログラム参加学⽣ 学⽣の⾼齢者観に関する量的分析 第

2

章第

2

節第

2

項 実践研究 プログラム参加学⽣ 再試⾏プログラムの概要整理 第

2

章第

2

節第

3

項 調査研究 プログラム参加学⽣ 学⽣の内省の量的・質的分析 第

3

章第

1

節 ⽐較調査研究 プログラム参加および⾮参加学⽣ 質問紙による量的・質的分析

3.クロス・トレーニング・プログラム開発におけるフェーズについて

クロス・トレーニング・プログラムの開発におけるプログラムの修正・改訂について,

図1 のフローチャートに⽰した。第1フェーズをプログラムの基本的な枠組の構築として 位置付け,第 2 章第 1 節第2項から第2章2節にかけて詳述した。

プログラムの発展,試⾏と再考として位置付けた第 2 フェーズ,期間短縮バージョン としてのラダープログラムを経て,プログラムの安定化と位置付けた第3フェーズに関し ては,第 2 章第3節において修正・変更及び改訂を⾏った部分について述べた。

図1 のフローチャートの内容をより詳細に表した改訂表に関しては, 巻末資料 1

に⽰した。

図1 クロス・トレーニング・プログラムの修正・改訂と各フェーズのフローチャート

第 1 フェーズ 第2フェーズ 第3フェーズ

プログラム修正 2011 年 CTP

評価→ 課題

2012 年 CTP 評価→ 課題

2013 年 CTP 評価→ 課題

プログラム改訂

プログラム改訂

ラダープログラム

2016 年 CTP

⽴案 実施 評価→ 課題 プログラム改訂 2014 年 CTP

評価→ 課題

2015 年 CTP 評価→ 課題

プログラム改訂

2018 年 CTP 評価→ 課題 2017 年 CTP 評価→ 課題

プログラム改訂 基本的な枠組の構築 プログラムの発展

試行と再考

プログラムの安定化

期間短縮バージョン

第1章 第3節

4.用語の統一

(1) 「保育士」と「保育者」の扱い

本研究において対象とする「保育者」とは,保育所・こども園に勤務する保育⼠,幼稚 園・こども園に勤務する幼稚園教諭を総称として使⽤し,「保育者養成課程・カリキュラ ム」「保育者の専⾨性」等に関しても同様の取り扱いとする。しかし⼀部,厚⽣労働省発 出資料等,引⽤⽂献に由来する場合のみ「保育⼠」「保育⼠養成課程・カリキュラム」「保 育⼠の専⾨性」を使⽤する。その場合,該当箇所を⽰すと共に,脚注として同⾴内に引⽤

元を記す。

(2) 「世代間交流」と「多世代交流」の扱い

「世代間交流」という⽤語は,Intergenerational の和訳で,研究者によっては「異世代 間交流」(例えば,上垣内

1

,北村

2

)と使⽤している場合もある。

「多世代交流」という⽤語は,翻訳元の語は

Multigenerational

で,和訳して「多世代交 流」である。この⽤語に関しては,国内における受け⽌められ⽅と国外における考え⽅に 相違が⾒られる。Multigenerational は,多くが社会学,家族学,経済学等の分野で使⽤さ れてきており,Generations United

3

では次のように定義している。

「多世代交流とは,複数の世代がプログラムに関わっているが,必ずしも相互に関わっ ていることではない。多世代交流は,年齢層の多様性を理解し,その差を尊重することで ある」

4

つまり,国外における「多世代交流」の考え⽅は,具体的な世代間の関わり合いという より,概念的な意味合いの⽅が強い。しかし,国内においては「多世代交流」を「世代間 交流」とほぼ同義で受け⽌め,使⽤してきたと考えられる。その根拠の1つが,CiNii に

1

上垣内伸⼦,とっときのとっかえっこ : 幼児と⾼齢者の異世代交流の絵本を読む,幼児の教育 98(8),

pp.8-12, 1999

2

北村安樹⼦,幼⽼複合施設における異世代交流の取り組み‒福祉社会における幼⽼共⽣ケアの可能性,ラ イフデザインレポート (153), pp.4-15, 2003

3 http://www.gu.org/HOME.aspx

4 http://www.gu.org/OURWORK/Programs/MakingtheCase.aspx

おける

Hit

数であり,これまでの国内研究において,「世代間交流」の使⽤が「多世代交 流」よりも圧倒的に多いことが指摘できる

5

⼀⽅,近年は厚⽣労働省

6

,⽂部科学省

7

,総務省

8

,全国市⻑会政策推進委員会

9

等,政 策・⾏政に関わる⽤語が「多世代交流」で統⼀されつつある。

これらを踏まえ,本研究においては「世代間交流」の⽤語を使⽤しながらも,関係省庁 発出資料等,引⽤⽂献に由来する場合のみ「多世代交流」を使⽤する。その場合,該当箇 所を⽰すと共に,脚注として同⾴内に引⽤元を記す。

5.倫理的配慮

本論においては,第2章を中⼼にクロス・トレーニング・プログラムの実際を詳述する ため,臨地実習先の社会福祉法⼈の利⽤者,へき地保育所の園児,プログラム参加学⽣の 写真を使⽤している。これらに関しては,全て「研究協⼒依頼書」を社会福祉法⼈経由で 提出し,対象者個⼈⼜は家族の同意を得て,「研究協⼒同意書」を受けている。

また, 表2 に⽰された実践研究・調査研究の内,質問紙は統計的処理を⾏い,個⼈の特 定がされないこと,回答内容は研究のみに使⽤し,授業や実習の成績には関係しないこと を説明し,同意を得ている。

5 2019

9

⽉現在,CiNii において,「世代間交流」639 Hits,「多世代交流」152 Hits

6 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/index.html(平成27

年版厚⽣労働⽩書)

7 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201701/1389013_010.pdf(⽣涯学習社会の実現)

8 http://www.soumu.go.jp/main_content/000332459.pdf(まち・ひと・しごと創⽣総合戦略について)

9 http://www.mayors.or.jp/p_action/documents/280523tkouryu_houkokusho.pdf(⼈⼝減少社会における多世代交

流・共⽣のまちづくりに関する研究会)

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