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9 %を研究開発に費やしているという。こうしたイノベーティブな中小企業がドイツには 2,000 社あまりあると言われている 33 。また、自動車などの消費財に比べあまり知名度はないが、ドイツはソフト

ウェアの開発でも世界的に強く、組み込みシステムでは米国、日本についで世界第

3

位である。特に産 業向け組み込みシステムのシェアはさらに高い

34

。従来型のものづくりとソフトウェアの開発の両方の能 力を兼ね備えたドイツは、モノとサービスのインターネットの世界で一歩先を行っていると言っても過言 ではない。

第四に、人間の働き方がインダストリー

4.0

によってどう変わるかという議論が、基盤技術の研究開発と 同時並行で行われていることである。ここに、ドイツ社会に大きな影響力を持つ労働組合が

Industrie4.0

の推進に賛成している理由がある。労働力も重要な資源ととらえ、この資源を省くだけでなく合理的に用 い、またその役割をさらに進化させるという理念である。

最後に、

EU

の存在も大きい。

2014

年時点では、あまりドイツと

EU

の製造業に関する政策やファンデ ィングに連携は見られないが、ドイツが標準化を急ぐのも

EU

の市場が念頭にあるからだ。第

7

次研究枠 組み計画(

FP7

2007-2013

)では、シーメンス社が主導した

IoT@Work

では、

Plug&Play

コンセプトの開 発を進めてきたし、総額

24

億ユーロの技術プラットフォーム

ARTEMIS

に含まれる

8

つのサブプログラ ムには「オートメーションによる製造・生産」および「サイバー

/

フィジカル

/

システム」が含まれていた。さら

30 フラウンホーファー応用研究促進協会 http://www.fraunhofer.de/en.html

31 ドイツ労働総同盟(DGB

32 中小企業の定義は日本と違い、従業員500名未満、売上高5,000万ユーロ/年以下の企業を指す。

33 グローバルビジネスの隠れたチャンピオン ハーマン・サイモン著2009

34 National Roadmap Embedded Systems ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI) 主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

38 38

G-TeC 報告書

主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

23

12

億ユーロ規模のファンディング、官民パートナーシップ(

PPP

)でも

ICT

によるスマート製造分野で 毎年プロジェクトを公募している。その中で、

SAP

社主導の

ActionPlanT

プロジェクトがマニュファクチャ リング

Ver.2.035

を出し、

Horizon2020

2014-2020

)における研究推進のたたき台として活用される。

EU

の先進製造技術の研究開発動向については

4

章を参照。

一方で、

2025

年頃のドイツ製造業がどういう姿になっているか、なり得るかという問いに答えるのは容 易ではない。技術的な側面からいえば、セキュリティ対策と情報保護がロードマップ通り進むか否かが 一つの鍵になると思われる。一つの製品がマーケットで成功すると、常に製品侵害の攻撃にさらされる。

世界的な競争の中で、高所得国の知的所有権(

IP

)保護が重要である。簡単に複製できるソフトウェア やコンフィギュレーションでは、企業・製品ノウハウの模倣も増えてきている。インダストリー

4.0

の場合、

価値創造ネットワークでの企業間協力が大幅に増えるので、

IP

保護がさらに重要である。技術面でも、

企業法、競争法のレベルでも、企業にとって重要な知的所有権を喪失しないで、いかにプラットフォー ム内で企業秘密と透明性を保証できるかという問題を解決しなければならない。また、ネットワークのセ キュリティ対策も大きな矛盾を含んだ、ユーザーフレンドリーなセキュリティ・ソリューションでなければな らないのだ。プロセスとアプリケーションは、一般的にユーザーフレンドリーでなければセキュリティは確 保される。しかし、工場内、工場間がネットワークでつながる以上、最初の設計からエンジニアリング、運 用・保守に至るまで、ユーザーの要請に合わせ、ユーザーフレンドリーなインターフェースで、アプリケ ーションの実行を保証するセキュリティ・ソリューションを開発しなければならない。

前述のロードマップにあるとおり、標準化の次は

IT

セキュリティ技術の開発推進の段階に進むと予想 される。このフェーズの進展度合いによって、ドイツインダストリー

4.0

の成功の可否は左右されるだろう。

ほかにプラットフォーマーとの競争という側面も大きなポイントである。

Google

Amazon

といった米国の 情報サービスビジネスが伝統的なものづくりを大きく変え始めているという危機感がドイツにはある。この まま

Google

Amazon

型のすべての情報がクラウド側に蓄積し、自動車を含め、個々の製品が単なる デザインされた箱という役割になるというシナリオが現実のものになってしまうとしたら、ドイツや日本とい った伝統的なハード産業を得意としている国にとっては死活問題である。つまりドイツがインダストリー

4.0

を世界に先駆け、積極的に推進している理由はここにある。データをすべてクラウドに持たせるので はなく、ハードの側、特にものを作る工作機械の側に残し、この工作機械が生産をコントロールするとい う図式を標準とすることが大きな戦略なのである。

35 http://cordis.europa.eu/fp7/ict/micro-nanosystems/docs/fof-evaluators/actionplan-vision_en.pdf

 ドイツ 主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

39 39

G-TeC 報告書

主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

24 2.5 参考資料

労働政策研究・研修機構

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2004/documents/L-7_03_02.pdf

EU

統計局(

EUROSTAT

http://epp.eurostat.ec.europa.eu/

Industrie4.0

実施勧告提言

http://www.acatech.de/fileadmin/user_upload/Baumstruktur_nach_Website/Acatech/root/de/Material_fuer_

Sonderseiten/Industrie_4.0/Final_report__Industrie_4.0_accessible.pdf

acatech

提言

Cyber-Physical Systems 2011

http://www.acatech.de/fileadmin/user_upload/Baumstruktur_nach_Website/Acatech/root/de/Publikationen/

Stellungnahmen/POSITION_CPS_NEU_WEB_120130_final.pdf

連邦教育研究省

Industrie4.0

未来予想図

http://www.bmbf.de/pubRD/Zukunftsbild_Industrie_40.pdf

2012

年)

Industrie4.0 Whitepaper FuE Themen

2014

年)

http://www.plattform-i40.de

Autonomik for Industrie4.0

http://www.autonomik40.de/

Smartfactory KL

http://www.smartfactory-kl.de/

グローバルビジネスの隠れたチャンピオン ハーマン・サイモン著

2009

National Roadmap Embedded Systems

ドイツ電気・電子工業連盟(

ZVEI

JETRO

日本貿易振興機構

http://www.jetro.go.jp/indexj.html

Handelsblatt

www.handelsblatt.com/

主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向 40

40

G-TeC 報告書

主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

1

3.

英国

英国における次世代製造業を支援する取組は、

2008

年の金融危機後に本格的に発表・実施さ れてきた。人材育成及び拠点整備と並行して、政府が最も力を入れているのが、製造業分野にお ける研究開発の推進である。産学連携の拠点となるべく、既存の

7

研究所を統合して

2011

年に 開所した高価値製造カタパルト・センターでは、研究成果の迅速な商業化が目指されている。学 術界に目を転じると、例えばケンブリッジ大学・製造業研究所は、技術開発、政策研究、教育シ ステムの研究といった、製造業に関する多様なアプローチをアンダー・ワン・ルーフで実施して おり、このような学術界の取組も注目に値する。

3.1 英国製造業の概要

英国では、

2008

年のリーマンショック後に、それまでプラス成長だった実質

GDP

がマイナス に落ち込んだ。

2009

年には-

0.8%

2009

年には-

5.2%

のマイナス成長となり、英国経済は大き な打撃を受けた。このリーマンショックによる金融危機を受け、金融を中心としたサービス業だ けでは国際競争力を維持することが難しいと考えた英国政府は、

18

世紀に始まる産業革命時代 に栄華を誇った製造業も英国経済の礎とすべく再注力し、製造業による国際競争力の盛り返しを 模索し始めた。このような背景には、製造業を中心に景気を改善したいという政府の切実な意向 があったと考えられる。

3.1.1 製造業の位置づけ

英国の製造業は、第二次世界大戦後から現在に至るまで大きな変化を遂げてきた。

1970

年代 の経済停滞を経て、サッチャー政権の発足により、

1980

年代は英国製造業にとって一大試練と 変革の

10

年として位置づけられている。サッチャー首相の自由市場政策において、国営企業の 民営化が図られ、国際競争に生き残れない企業は倒産していったため、伝統的な産業部門の多く は衰退した。同時に、英国への外国資本の進出が促されたことにより、英国は製造業分野の主導 権を外国資本に任せることとなった。現在、英国の製造業の多くが外国資本であるという点は、

日本と英国を比べた場合の大きな相違点と言える。

英国経済では長期に亘り金融サービス業が成長し、その一方で、かつては

GDP

20%

程度の 水準にあった製造業の国内シェアは、

2010

年には約

10%

にまで低下した。これと並行して、製 造業の海外生産移転が促進された。こうして、

1960

年代には

900

万人もあった英国製造業にお ける雇用は、

2014

年現在で約

260

万人まで減少したのである。

3.1.2 英国製造業の特徴と傾向

英国の製造業の特徴と傾向については、第

1

に、製造業と一口に言っても内実は多様で、宇宙 航空、製薬、化学、飲食料品、と幅広く、会社の規模、形態も様々であることが挙げられる。第

 英国

3.英国

主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向

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