技術･その他のキー要因
方向性はグリーン製造とインテリジェント製造 8 に絞られている。また、５つの最優先課題と 10 の重点技術が指定されている。
8 IM Intelligent Manufacturing、自動的に環境の変化や生産プロセスの調整に適応し、オペレーターから最小限の管理
と援助で多種多様な製品を生産する製造方式のことである。
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主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向
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図表
5-13「科学技術中長期計画」及び「科学技術
12.5計画」における先進製造技術分野とその変遷
出典：「科学技術中長期計画」及び「科学技術12.5計画」
図表
5-13の通り、 「科学技術中長期計画」の技術分野は分化や統合の結果、 「科学技術
12.5計 画」よりも技術分野が明確になっている。ただし、次世代ロボット技術の具体的研究分野におい ては、 「科学技術
12.5計画」には言及されていなかった。また、 「科学技術
12.5計画」には「情 報技術との融合」という表現が消えたが、その代わり「インテリジェント製造」という表現が使 われている。
5.3.3 研究開発プログラム
中国中央政府の研究基金としては、主として科学技術部の「ハイテク発展計画（
863計画） 」 と国家自然科学基金委員会（
NSFC）の先進製造技術の競争的資金があげられる。
2008年から
2014年までの間、科学技術部は「
863計画」で
2億
550万元（約
46億円）を投入した。特筆すべき 点としては、 「
863計画」の資金を受け取るには、研究者が競争的資金と同額の研究資金を自前 で用意しなければならないという点であり、つまり、研究資金総額が倍の
5.1億元（約
92億円）
になるわけである。一方、
NSFCは
2015年までに
2180万元（約
3.8億円）しか投入しなかった が、
2014年に国家航天局の傘下にある中国航天科学技術グループとの協議で、これからの
2年 間で宇宙向けの先進製造技術に
1.5億元（約
27億円）を投入する予定である。これは、先進製 造に関する競争的資金の
35.2%を占め、宇宙技術分野をリードすることが目的といえる。
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図表5-14 863計画及びNSFCが拠出する先進製造に関する競争的資金
研究資金機関 プロジェクト名 総額 期間
科学技術部 863計画
介護型ロボット技術 2200万元（約4億円） 2008年12月 - 2010年10月 埋め込み型人工心臓技術 500万元（約9千万円） 2009年 9月- 2010年12月 MEMS部品設計、製造及び応用技術 8800万元（約15.9億円） 2011年 1月- 2013年12月 高性能四足型ロボット技術 4500万元（約8.1億円） 2011年 1月- 2013年12月 オート-メーション向け無線技術（WIA） 4500万元（約8.1億円） 2011年 1月- 2014年12月 クラウド･マニュファクチャリング向けプラットフォーム技術 5000万元（約9億円） 2011年 1月- 2013年12月 国家自然科学基金委員会（NSFC） 先進的工作機械のマルチボディのダイナミクスと制御技術 1040万元（約1.9億円） 2011年- 2014年
新型オプトエレクトロニクス材料の精密研磨加工技術 1040万元（約1.9億円） 2011年- 2014年
（宇宙局と共同出資）宇宙技術向け先進製造技術 1.5億元（約27億円） 2015年- 2017年
出典：863計画公式サイトとNSFC公式サイト
5.3.4 研究開発拠点
先に述べた、中国科学院のロードマップに合わせて、中国科学院は製造技術レベルが高い地域 の地方政府と連携し、先進製造技術向けの研究機関を多く設立した。例えば、西部大開発の中心 地である重慶に「インテリジェント製造技術研究所（研究者約
100名） 」 、重工業が密集する東北 地域に「東北先進製造と材料･大型設備研究地域センター（研究者
4755名）
9」 「ハルピン産業技 術イノベーションセンター」 、華東工業地域に「寧波先進製造技術研究所（研究者
130名） 」 「合 肥先進製造技術研究所（研究者
255名） 」 「常州先進製造技術研究開発センター（研究者
500名余 り） 」が設置されている。また、吉林省長春市に「光学システム先進製造技術重点実験室」を設 置し、全国各地での先進製造技術を推進をしている。
5.4 その他の動き
2011
年
4月にドイツが発表した「インダストリー
4.0」戦略は中国でも注目を集めており、中 国の製造業のあり方について盛んに議論されるようになった。
2014年
10月、李克強総理がドイ ツを訪問した際に、メルケル首相と「インダストリー
4.0」におけるドイツとの協力を含める「中 独アクションプラン」を発表した。具体的には、両国の企業が中心となり、 「インダストリー
4.0」 を両国における標準化協力委員会のアジェンダにする。そして、両政府は協力のフレームワーク を構築し、支援策を策定する。また、工業•情報化部
(MIIT)、中国科学技術部（
MOST） 、独連邦 経済•エネルギー省（
BMWi） 、独連邦教育研究省（
BMBF）の間でダイアログを設置することな どが合意された。
先進製造への産業界からの参加は今まであまり進んでいなかったが、
2014年
10月の「中独ア クションプラン」の発表が中国においても先進製造技術への注目が集めるきっかけとなった様子 がうかがえる。
9 東北地域にある中国科学院5つの研究所から構成されたバーチャル研究センターのため、研究者数は合計となる。
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統計資料 中国国家統計局資料 中国統計年鑑 ジェトロ統計資料
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