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中京大学法科大学院の稲葉一人教授 17 から, 「日本の調停人養成」と題して,調停 人養成の重要性や,調停人研修の具体的な実施方法,カリキュラム案,注意点等に

4 研修員発表

(1)吉野教授に同席いただき,研修員から以下の発表を受けた。

(2)ADRの現状及び問題点

研修員の発表によると,バングラデシュでは,米国カリフォルニア州の制度を参 考に2000年にADRが正式に導入され,2004年の民事訴訟法改正により,

民事訴訟の裁判官に対し,全ての事件で当事者に調停での解決を促すことが義務付 けられるなどしたほか,労働法,関税法等の特別法でもADRに関する規定がなさ れており,ADR関連の法整備は一応なされているものの,施設不足,弁護士の非 協力,調停人の能力不足,ADRへの不信感,裁判所内でのADR軽視の姿勢等が 要因となり,ADRが積極的に活用されてはいないとのことであった。

そして,その改善策として,法律・司法・国会担当省傘下にADRに関する国家 的な責任主体として国家ADRセンターを創設することや,全国法律扶助機構の施 設,法律扶助官を活用するなどして全国64州にADR事務所を設置することや,

ADRのみを行う個別裁判所を設置することや,裁判官のADRに関する能力向上 を図ることなどを検討しているとのことであった。

(3)裁判所の未済事件滞留の状況,原因

研修員の発表によると,2016年12月末時点における裁判所の未済事件は,

合計315万6878件(①最高裁判所上訴部

18

1万3672件,②最高裁判所高等 裁判部

19

42万4994件,③下級裁判所271万8212件)であり,毎年新受事 件数が処理事件数を上回っている

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ため,状況は年々悪化しているとのことである。

裁判所に多数の未済事件が滞留する要因としては,人口増加・社会構造変化に伴 う裁判事件の増加

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,裁判官に対する研修不足,総合的な事件管理戦略・方針の欠 如,法定期限の不遵守,弁護人の非協力姿勢,国家の土地管理機能の不十分さ,裁 判所施設・設備・システムの不十分さ,関係機関との連携不十分,検事の証人出廷 確保の不十分さなどが挙げられるとのことである。

そして,その改善策として,ADRの積極活用,訴訟手続の整備(書類提出期限

18

三審制の最終審であり,日本の最高裁判所に相当。

19

三審制の二審であり,日本の高等裁判所に相当。

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2016年は,新受事件が140万5002件(①最高裁判所上訴部9945件,②最高裁判所高裁 部7万647件,③下級裁判所132万4410件)で,処理事件が133万3563件(①最高裁判 所上訴部9634件,最高裁判所高裁部3万9878件,③下級裁判所128万4051件)であり,

未済事件の増加は7万1439件である。

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20年前と比べると約3倍とのこと,

の厳格化,有罪答弁・司法取引の創設,期日指定・延期に関する裁判所の裁量の縮 小,不適正な提訴・訴訟活動に対する費用徴収) ,裁判所の組織的な係属事件管理の 強化,研修による裁判官の能力向上,司法行政研修機関の研修能力強化,判決ひな 形の作成等が検討されているとのことであった。

【研修員発表の様子(大阪中之島合同庁舎会議室) 】 5 総括意見交換

研修員と稲葉教授,小松健太JICA国際協力専門員及び当部教官との間で総括意 見交換を実施した。

研修員からは,本研修においては様々なことを学んだが,とりわけ,バングラデシ ュにも迅速な裁判を行うことを目的とした法令,制度は存在しているものの,日本と 異なり,それらが積極的に活用できていなかったことを改めて認識するができ,また,

裁判所の未済事件滞留の問題を解消するためには,訴訟手続における事件管理と,A DRの積極的活用が重要であることを改めて認識した旨の発言があった。また,本研 修を経て改めて認識したバングラデシュの法制度等における具体的な問題点,改善点 としては,訴訟において口頭弁論開始後に当事者が容易に主張を変更しうる点や,裁 判所の訴訟行為に対して判決前に控訴できる点や,公判前整理手続がほとんど活用さ れていない点や,弁護士が迅速な裁判への協力姿勢の不足,能力のある調停人が不足 している点や,ADRに対する社会の理解不足,裁判官への研修不足等が挙げられた。

一方,小松専門員からは,いわゆるロジックツリーを使って問題分析をする手法を 紹介するとともに,小松専門員が試験的に作成したバングラデシュの未済事件滞留等 の問題点に関するロジックツリーを基に研修員と議論した。

さらに,研修員はバングラデシュに帰国後,本研修に関する報告書を作成するとの ことであったため,当職らは研修員に対し,その報告書の共有を依頼するとともに,

テレビ電話会議システムを使って,報告書を踏まえた本研修の総括と,来年度以降の 活動内容の協議を行うことを提案し,いずれも了承を得た。

6 まとめ

本研修はバングラデシュに対する法・司法分野での初めての本邦研修ということも

あってか,バングラデシュ側の期待は大きく,研修員もいずれも非常に熱心に取り組 んでいた。

本研修に関するカリキュラムについては,来年度以降はバングラデシュ側の具体的 ニーズを踏まえつつ絞り込んでいくことを念頭に, まずはある程度幅広く構成したが,

研修員からは肯定的な評価を得た。

来年度,差来年度の本邦研修及び現地セミナーの具体的内容については,今後,研 修員作成の本研修に関する報告書等を踏まえつつ,テレビ電話会議や出張を通じて更 に法律・司法・国会担当省側と協議して決める必要はあるが,本研修等を通じて把握 したバングラデシュ側のニーズと,日本側が提供できるリソースや,本邦研修及び現 地セミナーを実施できる回数の制約等を考慮すると,最初に調停人になる裁判官及び 民間人に対する研修に関する支援や,司法行政研修機構の能力強化に向けた支援が有 益であると思われた。

最後に,本研修の実施に多大な協力をいただいた各講師の皆様,暖かく研修員を受

け入れてくださった訪問先関係者の皆様に心から御礼を申し上げる。本研修がバング

ラデシュに対する法制度整備支援の第一歩として有意義なものとなったことを祈りた

い。

月 曜 10:00 13:30 備考

日 12:00 17:00

12

3 関西空港

12 11:00 12:30 14:00 17:00

/ 4

12 10:00 12:30 17:00

/ 5

12 9:45 12:30 17:00

/ 6

12 10:00 12:30 14:00 17:30

/ 7 12

/ 8

12 財団観光

/ 9 12

/ 10

12 10:00 12:00 17:00

11 稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授)

12 10:00 12:00 13:30 15:30 16:00 17:00

12 赤れんが

12 10:00 12:00 12:20 13:30 14:00 17:00

13 国際協力部教官 石田正範 法曹会館 赤れんが

12 10:00 12:00 17:00

/ 14

12 10:00 12:30 12:30 13:30

15 JICA担当者

12

/ 16

国際法務総合センター 金 総括質疑・意見交換

羽田空港

評価会・修了式

国際法務総合センター

出国

稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授),国際協力部教官

大貫雅晴氏(元日本商事仲裁協会理事) 中之島合同庁舎 国際協力部教官 東尾和幸 中之島合同庁舎

吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授),国際協力部教官

【訪問】 公益社団法人民間総合調停センター 【研修員発表・質疑】 ①ADRの現状・問題点,②バッグログの原因・改善策

中之島合同庁舎 西田 寛(土地家屋調査士・民間総合調停センター理事),黒田 愛(弁護士・民間総合調停センター運営委員)

【講義】 日本の調停人養成

国際法務総合センター 国際法務総合センター

13:30

【講義】 日本の調停人養成 移動(大阪→東京)

第1回バングラデシュ法整備支援研修日程表

月 JICAオリエンテーション

中之島合同庁舎 日

14:00

【講義】 日本の訴訟上の和解

国際協力部教官 東尾和幸 中之島合同庁舎

【講義】 日本の民事手続 入国

9:30

国際協力部オリエンテーション

【講義】 日本の民事調停

吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授) 中之島合同庁舎 吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授)

中之島合同庁舎

中之島合同庁舎 14:00

【講義】 国際商事仲裁・調停 【講義】 日本の家事調停

18:00 財団懇親会

【講義】 日本の刑事手続 法総研所長主催昼食会

稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授)

日 金

【訪問】 東京地方裁判所 【訪問】 最高裁判所

【講義】 日本のサイバー犯罪の現状と取組

中出功氏(警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課課長補佐)

【講義】 日本の民事事件管理 国際協力部教官 東尾和幸

赤れんが

【講義】 日本の刑事事件管理

国際協力部教官 石田正範 国際法務総合センター 大谷剛彦氏(元最高裁判所判事)

13:30

国際法務総合センター

【講話】 日本の裁判所の長期未済事件削減の方策,裁判官の配置上の工夫等

月 曜 10:00 13:30 備考

日 12:00 17:00

12

3 関西空港

12 11:00 12:30 14:00 17:00

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12 財団観光

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12 10:00 12:00 17:00

11 稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授)

12 10:00 12:00 13:30 15:30 16:00 17:00

12 赤れんが

12 10:00 12:00 12:20 13:30 14:00 17:00

13 国際協力部教官 石田正範 法曹会館 赤れんが

12 10:00 12:00 17:00

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15 JICA担当者

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国際法務総合センター 金 総括質疑・意見交換

羽田空港

評価会・修了式

国際法務総合センター

出国

稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授),国際協力部教官

大貫雅晴氏(元日本商事仲裁協会理事) 中之島合同庁舎 国際協力部教官 東尾和幸 中之島合同庁舎

吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授),国際協力部教官

【訪問】 公益社団法人民間総合調停センター 【研修員発表・質疑】 ①ADRの現状・問題点,②バッグログの原因・改善策

中之島合同庁舎 西田 寛(土地家屋調査士・民間総合調停センター理事),黒田 愛(弁護士・民間総合調停センター運営委員)

【講義】 日本の調停人養成

国際法務総合センター 国際法務総合センター

13:30

【講義】 日本の調停人養成 移動(大阪→東京)

第1回バングラデシュ法整備支援研修日程表

月 JICAオリエンテーション

中之島合同庁舎 日

14:00

【講義】 日本の訴訟上の和解

国際協力部教官 東尾和幸 中之島合同庁舎

【講義】 日本の民事手続 入国

9:30

国際協力部オリエンテーション

【講義】 日本の民事調停

吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授) 中之島合同庁舎 吉野孝義氏(弁護士・大阪大学大学院高等司法研究科客員教授)

中之島合同庁舎

中之島合同庁舎 14:00

【講義】 国際商事仲裁・調停 【講義】 日本の家事調停

18:00 財団懇親会

【講義】 日本の刑事手続 法総研所長主催昼食会

稲葉一人氏(中京大学大学院法務研究科教授)

日 金

【訪問】 東京地方裁判所 【訪問】 最高裁判所

【講義】 日本のサイバー犯罪の現状と取組

中出功氏(警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課課長補佐)

【講義】 日本の民事事件管理 国際協力部教官 東尾和幸

赤れんが

【講義】 日本の刑事事件管理

国際協力部教官 石田正範 国際法務総合センター 大谷剛彦氏(元最高裁判所判事)

13:30

国際法務総合センター

【講話】 日本の裁判所の長期未済事件削減の方策,裁判官の配置上の工夫等