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睡眠時無呼吸症候群の解析方法

ドキュメント内 学位論文 博士(工学) (ページ 62-66)

第 3 章 提案システムと計測手法

3.10 睡眠時無呼吸症候群の解析方法

3.9.2 1 呼吸における体積変動量の算出

本装置では、1 フレーム前の輝点位置と現在のフレームの輝点位置の比較し、各輝点の 移動量を算出し、実空間における体積変動を測定する。

毎フレームの体積変動の値から、図3.23のような体積変動波形を作成することができる。

人間の呼吸は、吸気と呼気の繰り返しによって成り立っており、図3.23における1周期の 波形は呼気運動と吸気運動を表す。

吸気開始から呼気終了までを一呼吸とし、体積変動量を算出する。図3.23の縦軸は呼吸 運動の速度を表す。そのため波形の積分値が体積変動量となる。但し、体積変動量は、吸 気により変動した量と、呼気により変動した量を加算した半分の値とする。

なお、就寝中の被験者を測定する場合には、10秒以上、呼気速度又は吸気速度が常に基 準値以下であれば、無呼吸状態であると判定し、体積変動量を0として換算するのが好ま しい。

図3.23 体積変動量の算出

3.10 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 の 解 析 方 法

ここで被験者を就寝者とし、睡眠時無呼吸症候群を解析するための手法について述べる。

睡眠時無呼吸症候群を解析するために、測定範囲の自動領域分割を行う。本処理により、

呼吸により身体上のどの部位が上下動しているかを知ることできる。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、図3.24に示すように睡眠時に喉が詰まってい る状態であり、呼吸努力を行うため腹部が運動するが、気流が流れていないという現象が おきる。そのため、図3.25に示すように、腹部が上がれば胸部が下がるというように、腹 部と胸部で逆の運動を行う様子が見られる。

そこで位相が反転する部位から、腹部領域と胸部領域の境界を自動で求め、領域分割し 呼

吸 運動 の 速 度

時間 t

て呼吸測定を行うこととした。ここで領域分割を自動で行うこととしたのは、腹部と胸部 の境界を手動で設定すると、被験者が動くことによって境界の位置がずれてしまう場合が あるためである。

図3.24 閉塞型睡眠時無呼吸症候群の場合の模式図

図3.25 閉塞型睡眠時無呼吸において呼吸努力を行っている場合

したがって、以下の手順により胸腹部の境界を定める。

1. 呼吸による各輝点のΔZ1(>0)が閾値以上であり、近傍で同様の輝点があれば、

ラベリングを行い、同一の輝点群とする。ラベリングされた輝点個数が最大 となったものを使用する。

2. 手順1と同様の処理を、ΔZ1(<0)についても行う。

3. 手順1で選び出された輝点群の平均位置g1(x)を求める。

輝点の個数をBとし、各輝点の3次元座標を(

X

i

, Y

i

, Z

i)として、以下の計算

横隔膜

肺 閉塞

横隔膜

3.10 睡眠時無呼吸症候群の解析方法

を行う。

xX

i

SUM

(3.22)

輝点の平均座標をg(

x

1

, y

1)として

x

1

=

B

x

SUM_

(3.23)

を求める。

4. 手順3と同様の処理を、手順2で選び出された輝点群に対して行う。

重心座標をg(

x

2

, y

2)とし、

x

2を求める。

5. 手順3及び4で求めた各重心x座標x1,x2から、中点x3を求める。

2

2 1 3

x x x

(3.24)

x

3を胸部と腹部の境界点とする。

6. 境界点よりX軸に垂直に境界線を引き、胸部と腹部を分割し、それぞれの領 域での身体形状の変化を測定する。

上記の方法により胸腹部の分割がなされ、胸腹部で合算により、10秒以上、体全体での 呼吸運動がほとんどない場合には、閉塞型睡眠時無呼吸症候群であるものとして計測する。

胸腹部の分割がなされず、すなわち腹部および胸部の両方に呼吸運動がみられない場合 であれば、図脳からの呼吸運動をする旨の指示がない、中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSAS)

であるものとして計測する。

図3.26 中枢型睡眠時無呼吸症候群の場合の模式図

横隔膜

脳 肺

3.11 1 秒 量 ・ 1 秒 率 の 解 析

また、医療現場における呼吸測定では、1 秒量、1 秒率という指標を用いて呼吸の解析 が行われている。ここで1秒量とは、強制呼気を行った際に1秒間に呼出することができ る量のことである。1 秒率とは、強制呼気を行った際に呼出することができた量(努力肺 活量)のうち、1 秒間に何%を呼出することができたかを示すものである。ここで強制呼 気とは、測定者の指示に基づき被験者が可能な限り吸気し、その後、可能な限り呼気を行 うものである。正常な被験者であれば、1秒率は70%以上となることが知られている。

前述の通り、本システムでは呼吸運動の速度波形を生成している。1 秒量・1 秒率を算 出するため、呼吸運動の速度波形を積分して、縦軸を胸腹部の運動量とする呼吸運動波形 を作成する。

1秒量・1秒率の算出は、典型的には以下の手順で算出する。

まず、胸腹部の運動量を平滑化する。次に、吸気量にあたる体積変動量を換算する。一 意的に吸気が行われ、吸気にあたる体積変動量が一定値を超えたときに強制呼気の測定を 行っているものと判定する。次に吸気から呼気に切り替わる時間を検索し、その時間から 1秒間の呼気量に当たる体積変動量を算出する。これが1秒量となる。

さらに、強制呼気により呼気から吸気に変わる時間を検出し、その間の体積変動量を努 力肺活量とする。1秒量を努力肺活量で除算した値が、1秒率となる。

なお、必ずしも1秒でなくてもよく、例えば2秒量・2秒率としてもよい。

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