第5章 着火したアルミニウム粒子の周辺の温度分布 53
第5章 着火したアルミニウム粒子の周辺の温度分布 54 れる.
図5.5と5.7は粒子を燃焼表面に接近させた場合であり,図5.3との比較を行う.図5.6 と5.8は粒子の側面の温度分布である。
図5.5 温度分布(a),燃焼表面か らx=60µm
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Temperature, T [K]
Distance from burning surface, x [µm]
0.5 Db 1.0 Db 1.5 Db 2.0 Db 2.5 Db 3.0 Db
図5.6 温度分布(b),燃焼表面からx=60µm
図5.7 温度分布(a),燃焼表面か らx=20µm
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Temperature, T [K]
Distance from burning surface, x [µm]
0.5 Db 1.0 Db 1.5 Db 2.0 Db 2.5 Db 3.0 Db
図5.8 温度分布(b),燃焼表面からx=20µm
粒子を燃焼表面に接近させると,上流の高温領域が減少し,側面と下流の高温領域も減 少する.ガスは上流から下流にかけて,粒子の周辺の高温領域に沿って,温度が上昇しな がら流れるので,上流の高温領域が減少すると下流の高温領域も減少する.
図5.6と5.8のように,粒子が燃焼表面に接近するほど,燃焼表面上の温度勾配が増加 する.また,粒子が燃焼表面に接近すると,粒子の上流の温度勾配が増加する.
図5.9に粒子の中心から0.5Db 離れたところの温度分布の比較を示す.
第5章 着火したアルミニウム粒子の周辺の温度分布 55
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Temperature, T [K]
Distance from burning surface, x [µm]
x = 20 µm x = 60 µm x = 100 µm
図5.9 燃焼表面上の温度勾配の比較
粒子が燃焼表面に接近するほど,燃焼表面上の温度勾配が増加している.第4章の燃焼 実験の温度分布と同様な傾向である.粒子の燃焼表面からの距離が x =100µmの場合に は,反応層内の温度は上昇するが,粒子が燃焼表面から離れているので燃焼表面上の温度 勾配は増加しない.
図5.10と5.11に燃焼速度の違いによる高温領域の比較を示す.同じ組成のAP系コン ポジット推進薬で,雰囲気圧力を1 MPaまで上昇させることにより燃焼速度を増加させ,
その実験結果からコンピュータ・シミュレーションした結果である.燃焼表面からの粒子 の距離は x=100µmとした.表5.4と5.5に計算条件を示す.
表5.4 計算条件(1)
粒子の粒径,Db 20×1.5=30µm 粒子の表面温度 3000 K
初期条件・流入条件 0.1 MPa 14 m s−1 600 K
動作流体 窒素
レイノルズ数 8
表5.5 計算条件(2)
粒子の粒径,Db 20×1.5=30µm 粒子の表面温度 3000 K
初期条件・流入条件 1 MPa 6 m s−1 600 K
動作流体 窒素
レイノルズ数 35
第5章 着火したアルミニウム粒子の周辺の温度分布 56
図5.10 温度分布,0.1 MPa,r=1.0mm s−1, Re=8
図5.11 温度分布,1.0 MPa,r=3.5mm s−1, Re=35
雰囲気圧力が上昇し燃焼速度が増加すると,粒子の周辺の高温領域は減少し,高温領域 は主に下流側に集中するようになる.図 5.10の場合のレイノルズ数は 8で,図5.11 の 場合は35である.レイノルズ数の変化によって,粒子の周辺のガス流の変化が高温領域 に影響を与えており,レイノルズ数が大きくなるほど高温領域が減少することを示して いる.
コンピュータ・シミュレーションの結果から,燃焼表面近傍の反応層内で高温の熱源で ある粒子の周辺で形成される高温領域は粒径の3から4倍の範囲で広がり,粒子の周辺の ガスの温度を急上昇させる.粒子が燃焼表面に接近するほど,燃焼表面上の温度勾配は増 加する.また,燃焼速度が増加した場合にはレイノルズ数が増加し,粒子の周辺の高温領 域は減少する.
第5章 着火したアルミニウム粒子の周辺の温度分布 57