• 検索結果がありません。

相続税額の計算

ドキュメント内 36 (ページ 39-43)

その後の大きな改正は 1975 年にあった.75 年から定額控除は一挙に 2,000 万円に引き上げられた.法定相続人 1 人当たりの控除額も 400 万円に 上昇した.またそれと引き換えに配偶者取得分に対する控除は廃止された.

もちろん,税額控除があるために,配偶者が法定相続額以下の金額を相続す る場合には,依然として配偶者は税金を支払う必要はなかった.75 年以降 のこのような基礎控除拡大の背景には,一般的な資産の蓄積とともに,地価 の上昇による土地相続額の増加がある23)

88 年には,さらに定額控除が倍増するとともに,1 人当たりの控除額も 800 万円に拡大した.このときに,税率も最高税率が 75%から 70%に低下 している.税率区分の幅も拡大された 92 年には,さらに基礎控除の拡大と 税率の低下があり,表にあるように,94 年以降では定額控除は 5,000 万円,

1 人当たりの控除として 1,000 万円が認められている.なお,88 年に引き続 き,92,94 年度にも税率区分の幅が拡大され,累進度は緩和された24). 2003 年度には基礎控除は変化していないが,累進度はいっそう緩和され,

現在に至っている.

このようにして求められた基礎控除を遺産総額から差し引くことによって,

法定相続分が求められる.次に,各人の法定取得分に適用される相続税率を 用いて,各人の税額を計算する.これらを合計して,相続税の総額が求めら れる.そのうえで,各人の相続税の負担額については,合計された税額に各 人の相続割合をかけることによって求めることができる.

たとえば,配偶者が 2 分の 1 の割合で遺産を相続するのであれば,相続税 の総額に 2 分の 1 をかけた額が配偶者の税額となる.すなわち,法定相続分 に応じて求められた相続税の総額を,各人の実際に相続する遺産額の割合に 応じて配分し,各人の税額を求める.そのようにして求めた税額から,さら に,税額控除を適用して各人の納税額を求める.これで各人の納税額が決定 する.

2000 年現在では,税額控除としては,配偶者の税額控除がもっとも大き い.配偶者が実際に相続した正味遺産総額が 1 億 6,000 万円以下,あるいは 1 億 6,000 万円を超えても正味遺産総額に対する配偶者の法定相続分までは 税額が控除される.したがって,実質的な意味で配偶者は法定相続分を相続 する限りにおいて税額はゼロとなる25)

さらに,1975 年に導入されて,長期営農(生産緑地)制度によって農地 に対する相続税は実質的に免除されるようになった.後で見るように,これ は農地の供給価格に対して顕著な影響を及ぼすことになる26)

参考文献

浅田義久・西村清彦・山崎福寿[2002],「税制変化の影響――地価を不安定化させた土地 譲渡所得税と相続税」,西村編『不動産市場の経済分析――情報・税制・都市計画と地 価』日本経済新聞社,第 4 章 pp. 99 128.

井出多加子[1992],「地価バブルの統計的考察」『住宅土地経済』No. 6, Autumn pp. 17 23.

25) なお,相続税の課税標準を計算する際に,借り入れ,債務等がある場合についてはそれが課 税標準から控除されることはいうまでもない.しかし,以下の計算では負債は相続しないものと 仮定する.

26) 厳密には,全額が免除されるわけではない.相続税制上は農地は農業収益によって評価され る.したがってこの制度によって免除されるのは,農地の市場価格とその農業価値の差額である.

東京近郊における農業所得は農林水産省『生産農業所得統計』(1995 年)によれば,1 m2当たり の農業収入は 173 円である.これを,年率 5%の利子率で計算すると 3,460 円になる.農地の平 均地価は約 50 万円であるから,農地の評価は時価の 0.7%ということになる.

井出多加子[1997],「地価バブルの地域間資本移動」,浅子・吉野・福田編『現代マクロ分 析』東京大学出版会,pp. 219 247.

井出多加子・中神康博[1993],「収束か発散か――日本の地価の場合」『住宅土地経済』

No. 9, Summer pp. 20 28.

伊藤隆敏[1992],「ストック化と土地問題」,伊藤隆敏・野口悠紀雄編『分析・日本経済の ストック化』pp. 57 106.

伊藤隆敏・野口悠紀雄編[1992],『分析・日本経済のストック化』日本経済新聞社.

岩田規久男[1977],『土地と住宅の経済学』日本経済新聞社.

岩田規久男・山崎福寿・花崎正晴・川上康[1993],『土地税制の理論と実証』東洋経済新 報社.

大蔵省主税局調査課長[1998],『図説 日本の税制』平成 10 年度版.

金本良嗣[1994],「土地課税」,野口悠紀雄編『税制改革の新設計』日本経済新聞社,pp.

141 184.

金本良嗣・岡野宏昭・南正明・青柳里子[1988],『土地税制等の経済効果に関する調査報 告書』㈶国民経済研究協会.

経済企画庁[1988],『経済白書 昭和 63 年度』.

経済企画庁[1990],『経済白書 平成 2 年度』.

建設省『都市計画年報』.

厚生省[1998],『人口動態統計 平成 8 年 上・中・下』.

全国農業会議所『田畑売買価格等に関する調査結果』.

総務庁『家計調査報告』.

東京都[2000],『東京の土地 1999』.

中神康弘[1995],「不動産市場における現在価値モデルについて」『住宅土地経済』,16,

pp. 20 27.

西村清彦[1990],「日本の地価決定メカニズム」西村清彦・三輪芳朗編前掲書所収.

西村清彦[1995],『日本の地価の決まり方』築摩書房.

西村清彦・佐々木真哉[1995],「日本の土地の超過収益率:商業地,住宅地,農地」,東京 大学,『経済学論集』,第 61 巻第 3 号,pp. 124 135.

西村清彦・三輪芳朗編[1990],『日本の株価・地価――価格形成のメカニズム』東京大学 出版会.

日本不動産研究所『市街地価指数』.

日本不動産研究所『田畑価格及び小作料調』.

農林水産省『農業経営動向統計』.

農林水産省『生産農業所得統計』各年.

野口悠紀雄[1989],『土地の経済学』日本経済新聞社.

橋本恭之[1989],「資産税制の計量分析」,本間・跡田編『税制改革の計量分析』東京経済 新報社,pp. 116 126.

八田達夫[1988],『直接税改革――間接税導入は本当に必要か』日本経済新聞社.

八田達夫[1993],「巨大都市の経済学混雑対策⑵」『経済セミナー』4 月号.

林宣嗣・橋本恭之・林宏昭・中井英雄[1989],「資産と税制」,本間・跡田編『税制改革の 実証分析』東洋経済新報社,第 5 章,pp. 104 137.

本間正明・跡田直澄・橋本恭之[1991],「資産継承と相続税に関する一試論」『ファイナン シャル・レビュー』March pp. 91 107.

山崎福寿[1999],『土地と住宅市場の経済分析』東京大学出版会.

山崎福寿・浅田義久[2008],『都市経済学』日本評論社.

山崎福寿・井出多加子[1997],「宅地の供給と価格支配力」『日本経済研究』No. 35.pp.

111 13.

Barthold, A and T. Ito, [1992], “Bequest Taxes and Accumulation of Household Wealth: U.

S.-Japan Comparison,” in: T. Ito and A. O., Krueger, (eds.), , Chicago: University of Chicago Press, pp. 235‒290.

Boone, P. and J. Sachs [1987], “Is Tokyo Worth Four Trillion Dollars?: An Explanation for High Japanese Land Prices,” Papers and Proceedings of the Seventh EPA International Symposium, pp. 161‒197.

Idée, Takako [1993], “Land and Rational Bubbles in a Small Open Economy,”

(『季刊理論経済学』),44(4), pp. 339‒360.

Ito, T. [1992], . The MIT Press.

Ito, T. [1994], “Public Policy and Housing in Japan,” in: Noguchi, Y., and J. Porterba, (eds.), , Chicago: University of Chicago Press, pp.

215‒237.

Kanemoto, Y. [1996], “On the Lock-In Effect of Capital Gains Taxation,”

, 40(3), pp. 303‒315.

Kanemoto, Y. [1997], “The Housing Question in Japan,”

, 27(6), pp. 613‒641.

Kanemoto, Y., F. Hayashi and H. Wago [1987], “An Econometric Analysis of a Capital.

Gains Tax on Land”, (『季刊理論経済学』),38(2), pp. 159‒71.

Nishimura, K. G. [1998a], “Expectation Heterogeneity and Excessive Price Sensitivity in the Land Market,” JEA-Nakahara Prize Lecture presented at the Annual Meeting of the Japanese Economic Association, Kusatsu, September 13; forthcoming in Japanese Eco-nomic Review.

Nishimura, K. G. [1998b], “Expectation Heterogeneity and Price Sensitivity,” European Economic Review, 42(3‒5), pp. 619‒629.

Nishimura, K. G., and Shinya Sasaki [1993], “Agricultural Land Reform and the Japanese Farmland Market,” in D. Young Kim and Bruce Koppel, (eds.),

, Honolulu: East West Center, and Seoul: Korea Research Institute for Human Settlements,

Nishimura. K, Yamazaki, F, Idee, T, and Watanabe, T [1999], “Distortionary Taxation, Excessive Price Sensitivity and Japanese Land Prices.” NBER Working Paper Series. No.

7254.

Stone, D. and W. T. Siemba [1993], “Land and Stock Prices in Japan,”

, 7(3), pp. 149‒165.

Takeuchi, Kazuhiko, Kiyohiko G. Nishimura, Dong-Kun Lee and Hitoshi Ikeguchi [1993],

“Land Prices and Japanese City Planning: Evaluating the Effects of LandUse Control,” in:

ドキュメント内 36 (ページ 39-43)

関連したドキュメント