• 検索結果がありません。

土地の相続税制度

ドキュメント内 36 (ページ 33-39)

相続税制は,何回かの抜本的な改正を経て現在に至っている.この変遷過 程は付表 2 に示されている.同表にあるように,何回となく細かな改正が実 施されているが,そのなかでも最初の抜本的な改正は 1958 年にあった.58 年以前の相続税制は,シャウプ税制のもとで米国の制度を基礎にしている.

この制度のもとでは,相続税は贈与税と一体化されており,生前の贈与と死 後の寄贈がまったく同一に取り扱われた.

寄贈を受けた,あるいは贈与を受けた相続人には,それぞれについて一定 の基礎控除が認められた.付表 2 にあるように,50 年から 51 年までは,1 人 15 万円であったが,52 年以降 30 万円から 50 万円へと次第に増加してい る.

付表 1 1 譲渡所得税の変遷:1950 2008 年

単位〈100 万円 年度 1950 52 53 64 65 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81

長期保有の定義 なし 3 年以上 5 年以上

課税方法 平均課税 総合課税 分離課税(定率) 分離課税と総合課税

特別控除(100 万円)

宅地 特例なし 10 17 30

農地 1.5 2.5 5

限界税率(%)

所得 0 20

平均課税(*) 総合課税(**) 14 20 26

26 26

20 40

3/4 総合課税 (***)

40 60 1/2 総合課税

(****) 60 80

80 3/4 総合課税

その他特例(特定資産) 優良住宅地

造成譲渡特例

40 20

40 1/2 総合課税(****)

短期保有(分離短期一般資産) 特例無し 5 年以内

税率 52(******)

都市圏にある農地に対する限界税率(%)

所得 0 20

特例なし 14 20

20 20

20 40

40 26 26

出所) 大蔵省『図説 日本の税制』,『日本の土地税制』

注) (*)譲渡所得を 5 年間に平均化したうえで,累進課税.(**)譲渡所得額の 1/2 をその他の所得と合算 して累進税制に基づいて課税される.(***)2,000 万円を超える譲渡所得分のの 3/4 をその他の所得と 合算して上積税額を求め,それと 2,000 万円までの税額(税率 26%)を合算する.(****)4,000 万円を超 える譲渡所得金額の 1/2 をその他の所得と合算して上積税額を求め,それと 4,000 万円までの税額(税 率 26%)を合算する.所得金額が 8,000 万円を超える場合には,その総額の 3/4 を用いて,同じように 上積税額を求め,これらを合計する.(*****)1993 年の税制改正により,相続税の支払いのために土地 を売却した場合には,譲渡所得金額から相続税の支払い額を控除できるようになった.(******)総合課 税による上積税額×110%との多い税額.(*******)分離税率 65%と総合課税による上積税額×120%と の多い税額.

付表 1 2 譲渡所得税の変遷:1950 2008 年(その 2)

単位〈100 万円 年度 82 84 85 87 88 89 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2003 04 2008 長期保有(分離長期

一般資産)の定義 10 年以上 5 年以上

課税方法 分離課税(累進) 分離課税(定率) 分離課税(累進) 分離課税(定率) 特別控除(100 万円)

宅地 30

農地 5 8

限界税率(%) 所得

0 20 26

39(*****)

32.5 26 26

26 20 20 40

40 60

1/2 総合課税 32.5 39 32.5

60 80

80 39 32.5

その他特例

(特定資産) 優良住宅地造成譲渡特例

0 20 20

26 20 20 14

20 40

40 26 26 20

超長期(分離長期軽課資産;82 年創設) 10 年超

0 60 14

60 20

その他特例 居住用財産買い換 え繰り延べ特例

(居住用 10 年超) 同左原則廃止 居住用財産買い換え繰り延べ特例 (居住用 10 年超)復活

短期保有(分離短期一般資産) 5 年以内

税率 52(******) 39

2 年以下の超短期は特例(*******) ― 都市圏にある農地に対する限界税率(%)

所得

0 20 20 26 26

35.5 特例なし

20 40

40 26 32.5 29.5

出所) 付表 1 1 と同じ.

注) 付表 1 1 の注)と共通.

付表 2 1 相続税の変遷:1950 2008 年

単位(100 万円) 年度 1950 1951 1952 1953 1955 1956 1957 1958 1961 1962 1963 1964 1965 1966 基礎控除

定額控除 1.5 2 2.5 4

法定相続人

数比例控除 0.15 0.3 0.5 0.5 0.3 0.5 0.8 限界税率 相続額

10% 0 0.2 0 0.3 0 0.6

15% 0 0.2 0.2 0.5 0.3 0.7 0.6 1.5

20% 0 0.2 0.2 0.5 0.5 1 0.7 1.5 1.5 3 25% 0 0.2 0.2 0.5 0.5 1 1 2 1.5 3 3 5 30% 0.2 0.5 0.5 1 1 2 2 4 3 5 5 8

35% 0.5 1 1 2 2 4 4 7 5 7 8 12

40% 1 1.5 2 3 4 7 7 10 7 10 12 18

45% 1.5 2 3 5 7 12 10 15 10 20 18 30 50% 2 3 5 10 12 20 15 20 20 30 30 50 55% 3 4 10 20 20 30 20 30 30 50 50 75 60% 4 5 20 50 30 50 30 50 50 70 75 100 65% 5 7 50 100 50 100 50 100 70 100 100 150

70% 7 10 100 100 100 100 150

75% 10 15 80% 15 25 85% 25 50 90% 50

特別控除および配偶者に対する税額控除

配偶者控除 実際の相続額の 2 分の 1 特例なし 2

税額控除 特例なし

以下の金額に対する税額の 2 分の 1 を控除 Min[X,配偶者の実際の相続額]

X=Min[1,000 万円,配偶者の法定相続分]

農地相続人に対する特別控除

特例なし 出所) 大蔵省『図説 日本の税制』『日本の土地税制』

付表 2 2 相続税の変遷:1950 2008 年(その 2)

単位(100 万円) 年度 1967 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1987 1988 1991 1992 1993 1994 2002 2003 08 基礎控除

定額控除 4 6 20 40 48 50 50

法定相続人

数比例控除 0.8 1.2 4 8 9.5 10 10

限界税率

10% 0 0.6 0 2 0 4 0 7 0 8 0 10

15% 0.6 1.5 2 5 4 8 7 14 8 16 10 30 20% 1.5 3 5 9 8 14 14 25 16 30 30 50 25% 3 5 9 15 14 23 25 40 30 50

30% 5 8 15 23 23 35 40 65 50 100 50 100 35% 8 12 23 33 35 50 65 100

40% 12 18 33 48 50 70 100 150 100 200 100 300 45% 18 30 48 70 70 100 150 200

50% 30 50 70 100 100 150 200 270 200 400 300 55% 50 75 100 140 150 200 270 350

60% 75 100 140 180 200 250 350 450 400 2000 65% 100 150 180 250 250 500 450 1000

70% 150 250 500 500 1000 2000

75% 500

特別控除および配偶者に対する税額控除

配偶者控除 2 4 6 特例なし

税額控除

以下の金額に対する税額を控除 Min[X, 配偶者の実際の相続額]

X=Min[1,000 万円,配偶者 の法定相続分]

Max [4,000 万円,遺産額 の 2 分の 1]

X=Max [8,000 万 円,配 偶 者 の 法 定 相続分]

X=Max[1 億 6,000 万 円,配 偶 者 の 法 定相続分]

農地相続人に対する特別控除

特例なし 市場価格と農地価格の差額

出所) 付表 2 1 と同じ.

また,この表にはないが,贈与についても 1 年間に 2 万円の控除が認めら れていた.税率も 50 年当時の税率は,最高税率が 90%に達するなどかなり 高い税率であったことも興味深い点である20).この表からわかるように,

このようなシャウプ税制が徐々に税率の低下と控除の増額を認め,次第に姿 を変えていった.

このシャウプ税制が抜本的に改正され,現在の姿になったのは 1958 年以 降である21).以降の相続税制は日本独自のものといえる.この方法は,民 法の規定にしたがって法定相続をした場合に支払われなければならない税額 を最初に計算し,その合計額を実際の遺産額に比例的に分配するという点に 特色がある.

この年以降のもう 1 つの大きな改正点は,配偶者に対する税額控除が導入 されたことである22).1958 年から 66 年まで,配偶者の納める税額の 2 分の 1 が控除されるという制度であったが,67 年以降の税額控除では,実際の配 偶者の取得額が法定相続以下である場合に全額控除が認められ,この場合の 配偶者の税負担はゼロとなった.ちなみに 80 年までは,配偶者の法定相続 分は遺産総額の 3 分の 1 であったのに対し,80 年の法改正によって 2 分の 1 の権利が配偶者に認められることになった.

さらに 1966 年には,課税最低限の大幅な上昇が認められた.すなわち,

定額控除と,法定相続人に対する比例控除額が大幅に引き上げられることに なった.また税率も引き下げられた.66 年以降 72 年まで,定額控除は 400 万円,1 人当たりの控除額は 80 万円に引き上げられた.さらに,この年か ら 200 万円の配偶者控除も認められるようになった.その後,次第に配偶者 控除の拡大があり,74 年当時の基礎控除額は,配偶者と子供 2 人で遺産を 相続する場合に,課税最低限は 1,560 万円まで上昇した.

20) 累進制のもとでは遺贈があるたびに,累進遺贈額から計算される税額と前回までの累積納税 額との差額が徴税される.

21) このようなシャウプ税制が次第に骨抜きにされた経緯については,徴税のコストが著しく高 いという理由があったと考えられる.しかし遺産と相続を一体化して税制を設定することの合理 性は十分にあるように思われる.したがって,納税者背番号制等によって個人の取得した財産が 課税当局によってすぐ捕足できるようになるならば,相続・贈与税を一体とした取得者課税は,

一考の余地があるように思われる.

22) 1953 年から 57 年までは,配偶者に対して相続額の 2 分の 1 を控除するという基礎控除が認 められていた.

その後の大きな改正は 1975 年にあった.75 年から定額控除は一挙に 2,000 万円に引き上げられた.法定相続人 1 人当たりの控除額も 400 万円に 上昇した.またそれと引き換えに配偶者取得分に対する控除は廃止された.

もちろん,税額控除があるために,配偶者が法定相続額以下の金額を相続す る場合には,依然として配偶者は税金を支払う必要はなかった.75 年以降 のこのような基礎控除拡大の背景には,一般的な資産の蓄積とともに,地価 の上昇による土地相続額の増加がある23)

88 年には,さらに定額控除が倍増するとともに,1 人当たりの控除額も 800 万円に拡大した.このときに,税率も最高税率が 75%から 70%に低下 している.税率区分の幅も拡大された 92 年には,さらに基礎控除の拡大と 税率の低下があり,表にあるように,94 年以降では定額控除は 5,000 万円,

1 人当たりの控除として 1,000 万円が認められている.なお,88 年に引き続 き,92,94 年度にも税率区分の幅が拡大され,累進度は緩和された24). 2003 年度には基礎控除は変化していないが,累進度はいっそう緩和され,

現在に至っている.

ドキュメント内 36 (ページ 33-39)

関連したドキュメント