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(1)併用禁忌とその理由

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

白血球輸注 白血球輸注中又は直後にアムホテリ シンBを投与した患者に、急性肺機 能障害がみられたとの報告がある。

機序は不明である。

(解説)

本剤と有効成分が同じ注射用アムホテリシンB製剤を参考に設定した。「Ⅷ-2.禁忌内容とその理由(原 則禁忌を含む)」の項参照

(2)併用注意とその理由

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

シスプラチン ペンタミジン

アミノグリコシド系抗生物質 バンコマイシン

シクロスポリン ガンシクロビル タクロリムス

ホスカルネットナトリウム

腎障害が発現、悪化するおそれがある ので、頻回に腎機能検査(クレアチニ ン、BUN等)を行うなど、患者の状態 を十分に観察すること。

両薬剤とも腎毒性をもつ。

副腎皮質ホルモン剤 ヒドロコルチゾン等 ACTH

低カリウム血症を増悪させるおそれ があるので、血清中の電解質及び心機 能を観察すること。

副腎皮質ホルモンは血清カリウムを 排泄する作用がある。

三酸化ヒ素 血清電解質の異常をきたし,左記の薬 剤によるQT延長が発現するおそれが あるので、血清中の電解質及び心機能 を観察すること。

両薬剤とも血清電解質の異常を引き 起こすことがある。

強心配糖体 ジギトキシン ジゴキシン等

ジギタリスの毒性(不整脈等)を増強 するおそれがあるので、血清電解質及 び心機能を観察すること。

本剤による低カリウム血症により、多 量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに 結合し、心筋収縮力増強と不整脈が起 こる可能性がある。

抗不整脈剤 抗不整脈剤の催不整脈作用を増強す るおそれがあるので、血清電解質及び 心機能を観察すること。

本剤による低カリウム血症のため、抗 不整脈剤の毒性が増強される可能性 がある。

非脱分極性筋弛緩剤 ツボクラリン パンクロニウム等

クラーレ様薬剤の麻痺作用を増強し、

呼吸抑制が起こるおそれがある。

本剤による低カリウム血症により、こ れらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強 させる可能性がある。

フルシトシン フルシトシンの毒性(骨髄抑制作用)

を増強させるおそれがある。

アムホテリシンBによるフルシトシ ンの細胞内取り込み促進や腎排泄障 害作用により、フルシトシンの毒性が 増強される可能性がある。

利尿剤

フロセミド等

腎障害を発現、悪化するおそれがある ので、併用する場合は十分に塩類を補 給し、腎毒性の軽減をはかることが望 ましい。

利尿剤によるナトリウム欠乏により、

本剤による腎血流量の減少を助長す る可能性がある。

頭部放射線療法 併用により白質脳症があらわれるお それがある。

頭部放射線照射により血液脳関門に 変化が生じ、アムホテリシンBの神経 毒性が発症する。

(解説)

○腎機能障害性があることが知られている薬剤との併用

・シスプラチン

<参考>

動物(ラット)の併用投与毒性試験において、雌ラットに本剤5mg/kg/日を21日間反復投与し、本剤 投与初日のみシスプラチン6mg/kg/日を単回静脈内投与して、相互作用について検討した結果、シス プラチンの腎臓に対する影響の増強が認められた。

・ペンタミジン

全身性真菌症の治療にアムホテリシンBを投与された後天性免疫不全症候群(エイズ)患者101例の 中で、カリニ肺炎を合併した患者9名についてレトロスペクティブな調査をした結果、ペンタミジン 注射を受けた4名にのみ可逆性の急性腎不全が認められたとの報告がある23)

・アミノグリコシド系抗生物質、塩酸バンコマイシン

アミノグリコシド系抗生物質とバンコマイシンの併用治療を5日間以上受けた105例の患者において、

腎毒性の発生要因を検討した結果、アムホテリシンBの併用がリスク要因の1つであったとの報告が ある24)

・シクロスポリン

骨髄移植を受けた患者において、シクロスポリン単独及び注射用アムホテリシンB製剤とシクロスポ リンの併用による腎障害の比較を行ったところ、血清クレアチニン値は、シクロスポリン単独では 21例中8例で2倍の上昇、併用例では10例中5例で2倍、3例で3倍の上昇が認められたとの報告 がある25)

<参考>

動物(ラット)の併用投与毒性試験において、雌ラットに本剤5mg/kg/日とシクロスポリン(6mg/kg/

日)を21日間静脈内反復投与し、相互作用について検討した結果、本剤とシクロスポリン併用によ り、血漿中アムホテリシンB 濃度の若干の高値が認められた。

・ガンシクロビル、タクロリムス

本剤と併用される可能性が高い薬剤で、両剤とも腎毒性があるため、併用により腎障害が発現、悪化 するおそれがある。

・ホスカルネットナトリウム

アムホテリシンBとホスカルネットナトリウム水和物の併用により、早期に腎障害が発現したとの報 告がある26)

○副腎皮質ホルモン剤(ヒドロコルチゾン等)、ACTHとの併用

本剤と副腎皮質ホルモン剤(ヒドロコルチゾン等)やACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を併用する場 合には、低カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、患者の血清電解質(特に血清カリウム値)

及び心機能を観察すること。本剤の投与時関連反応の予防あるいは治療に用いる場合にも、十分注意 すること。血清カリウム値の低下が認められた場合には、カリウムの補給等を検討すること。

アムホテリシンBとヒドロコルチゾンの併用治療を受けた患者で、低カリウム血症による心肥大が発 症したとの報告がある27)

○三酸化ヒ素製剤との併用

本剤と三酸化ヒ素製剤を併用する場合には、QT延長が発現するおそれがあるので、患者の血清電解 質(特に血清カリウム値)及び心機能を観察すること。

本剤及び三酸化ヒ素製剤で血清カリウム低下が起こることがある。また三酸化ヒ素製剤でQT延長が 文献報告されている28)

○強心配糖体(ジギトキシン、ジゴキシン等)との併用

本剤と強心配糖体(ジギトキシン、ジゴキシン等)を併用する場合には、本剤による低カリウム血症 によりジギタリスの毒性(不整脈等)を増強するおそれがあるので、患者の血清電解質(特に血清カ リウム値)及び心機能を観察すること。血清カリウム値の低下が認められた場合には、カリウムの補 給等を検討すること。

○抗不整脈剤との併用

本剤と抗不整脈剤を併用する場合には、本剤による低カリウム血症のため、抗不整脈剤の催不整脈作 用を増強するおそれがあるので、患者の血清電解質(特に血清カリウム値)及び心機能を観察するこ と。血清カリウム値の低下が認められた場合には、カリウムの補給等を検討すること。

○非脱分極性筋弛緩剤(ツボクラリン、パンクロニウム等)との併用

本剤と非脱分極性筋弛緩剤を併用する場合には、本剤による低カリウム血症により、非脱分極性筋弛 緩剤の麻痺作用が増強され、呼吸抑制が起こるおそれがあるため、患者の全身状態に注意すること。

○フルシトシンとの併用

本剤とフルシトシンを併用する場合には、アムホテリシンBによるフルシトシンの細胞内取り込み促 進や腎排泄障害作用によりフルシトシンの毒性(骨髄抑制作用)を増強させるおそれがあるため、患 者の腎機能、血球数等に注意すること。

クリプトコッカス髄膜炎に対するフルシトシンとアムホテリシンBの併用療法において、アムホテリ シンBの腎機能障害作用によりフルシトシンの血中濃度が上昇し、フルシトシンの毒性(骨髄抑制、

肝障害、消化器障害)が発現することが示唆されている29)

○利尿剤(フロセミド等)との併用

本剤と利尿剤(フロセミド等)を併用する場合には、利尿剤によるナトリウム欠乏により、本剤によ る腎血流量の減少が助長される可能性があるので、患者の腎機能検査を行うとともに、輸液や経口摂 取により十分に塩類を補給すること。

アムホテリシンB投与により、腎毒性の発症を見た患者(35例)と投与されても腎毒性の見られな かった患者(60例)を比較し、腎毒性の危険因子を解析した結果、アムホテリシンBの1日用量の 多い患者、アムホテリシンB投与中に利尿剤を投与した患者、血清クレアチニン値の高い患者でリス クが高かったとの報告がある30)。また、食事による塩分制限と利尿剤の投与を受けていた患者2例に アムホテリシンBを投与したところ、腎機能の悪化が認められ、アムホテリシンB投与の中止、利 尿剤の中止及び食事からの塩分摂取量増加により腎機能が改善され、アムホテリシンB投与の再開が 可能であったとの報告がある31)

○頭部放射線療法との併用

本剤と頭部放射線療法を併用する場合には、白質脳症があらわれるおそれがあるため、患者の全身状 態に注意すること。

急性リンパ性白血病の16歳女性、及び骨髄異形成症候群で骨髄移植を受けた22歳男性が、頭部放射線 照射とアムホテリシンB静注投与を受けたところ、致死的な白質脳症を発症したとの報告がある32)。 機序としては、頭部放射線照射により血液脳関門に変化が生じ、アムホテリシンBの神経毒性が発現 することが示唆されている33)

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