4 研究課題 1 : 歩行運動中の運動誘発電位を高精度で計測可能にする磁気刺激コイル定位システ
4.1 目的
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4 研究課題 1: 歩行運動中の運動誘発電位を高精度で計測可能にする磁気
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図 4.2 一次運動野の機能局在図.(基礎運動学 第5版)
一般的に,一次運動野にはその部位ごとに支配する身体部位が異なる性質(機能局在性)がある 事が古くから知られている(Woolsey et al., 1979,図4.2).そして特定の身体部位の運動に関わる 筋を支配する錐体路細胞は不均一な密度で集団を形成し一次運動野内で存在することが知られて おり(Asanuma, 1981; Andersen et al., 1975,図4.3),このことはTMSを用いて皮質脊髄路興 奮性を調べる研究において重要である.すなわち,対象とする筋を支配する錐体路細胞が不均一に 分布しているということは,TMS を行う位置が異なれば磁気刺激によって動員される錐体路細胞 の数が大きく変化することを意味している(図4.4).そのため,TMS を用いた研究において刺激 用コイルが常に頭皮上の同じ場所に置くことは最も注意を払われている.
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図 4.3 ヒヒの一次運動野に分布する錐体路細胞から脊髄運動ニューロンへの投射を表した模式図.
白と黒の三角形はそれぞれ別の筋を支配末う錐体路細胞を表す.(図はAndersen et al., 1975, Figure 12より転載)
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図 4.4 一次運動野の様々な部位に対しTMSを行った時に得られるMEP波形(各部位15波形の重
ね書).磁気刺激は安静時閾値の1.2倍の強度を用い,橈側手根屈筋(FCR)の至適刺激部位(Hot spot) を中心に前後-左右に 1cm間隔で刺激部位を変化させた.同じ刺激強度を用いても部位ごとに FCR を 支配する錐体路細胞の分布密度が異なるため,MEPはHot spotから離れるに従って小さくなる.(図 は筆者の修士研究のデータより)
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近年において歩行やペダリング運動のような動的運動における神経制御の解明を目的TMSが使 われるケースも多い(Schubert et al. 1997; Petersen et al., 2001; Barthelemy and Nielsen, 2010;
Sidhu et al., 2012).このような研究においては,当然のように頭部の動揺が予測されそのことが 正確なコイルの定位を難しくしている.そのためこれらの研究では様々な方法でコイルの定位を達 成しようとしている.たとえば,Sidhu et al.(2012)は下肢ペダリング運動中にTMSを正確に行う ために被検者の顎を台の上に載せて頭部の安定化を図っている(Sidhu et al., 2012,図1.3A).ま た,Schubert et al. (1997)はヘルメットとフレーム,さらにはマウスピースを使って頭部と上体を 固定し,さらにフレームの上に刺激用コイルを固定している(Schurbert et al., 1997,図1.3B). 我々の研究室でも図1.3にあるような固定用のヘルメット作成している(図1.3C).しかしながら,
頭部を空間的に固定してしまう方法(Sidhu et al., 2012)や上体と完全に固定してしまう方法
(Schurbert et al., 1997)は研究対象としたい歩行やペダリング運動にとって外乱となる可能性が ある.またヘルメットを用いた方法では被検者の頭部形状の個人差から,標的としたい部位にうま く当たらない可能性があった.
また,これまでの研究ではTMSを行った際の頭表面上におけるコイル位置データが存在しなか ったため,実際にコイルの定位が正しくなされたのか分からなかった.このTMSを行った時のコ イル位置データはこれからの歩行の電気生理学データの信頼性を語る上で極めて重要になってく ると考えられる.したがってコイルの定位を簡便に達成でき,かつ客観的なコイル位置データを記 録できるシステムが歩行の神経機序を明らかとする電気生理学研究において必要とされている.
本研究では歩行のように頭部の大きな動揺を伴う運動中においてもTMS用コイルを高精度に同 じ場所に定位できるように検者を支援し,かつ刺激時のコイルの位置データを記録できる定位シス テムを構築しシステムの評価を行った.