第 4 章 パ—キンソン病モデルラットの運動特性
4.4 目標到達課題に対する 6-OHDA の影響
4.4.1 成功率 (図27)
PREと比較しPOST1にて有意な低下を認めた.このことから6-OHDA の注入が RT の運動要素に影響を与えることがわかった (PRE:69.2.±
3.5% POST1:40.5±4.6%.統計的検定法:対応のあるt検定) .
4.4.2 最大距離
第2指と第 5指の開閉距離において,PRE と比較しPOST1 にて軽度 の減少傾向を認めたが有意な差を認めなかった.このことから 6-OHDA が指の開閉運動に与える効果は少ないと考えられた (PRE:18.8±0.5 mm POST1:18.1±0.7 mm.統計的検定法:対応のあるt検定 p=0.29) .
4.4.3 回旋運動 最大角度・最小角度・運動範囲 (図28)
第 2 指と第 5 指を結んだ直線と水平線からなる回旋運動角度において,
最大回外角度を示す最大角度では,PREと比較しPOST1にて有意な増加 を認めた (PRE:58.1±2.7° POST1:64.3±2.6°.統計的検定法:対 応のあるt検定) .
最小回外角度を示す最小角度ではPREと比較しPOST1にて有意な増加 を認めた (PRE:13.2±1.8° POST1:19.1±2.7°.統計的検定法:対 応のあるt検定) .
最大角度から最小角度を減じた回旋運動の運動範囲では有意な差は認め
応のあるt検定 p=0.99) .
これらの結果から,回旋運動は最大角度,最小角度ともに約 6°増加し,
一方で運動範囲は変化を認めていない.このことから,6-OHDAの効果と して,前肢運動の回旋角度が全体的に鉛直方向に偏移していることが考え られた.
4.4.4 頭部傾斜角度 (図29)
手がペレットに触れた瞬間の両涙嚢切痕を結んだ線と水平線からなる 頭部傾斜角度は,PRE と比較しPOST1 において有意に増加し,RTを行 う優位な前肢側へ傾斜していた.このことから,6-OHDAの効果として姿 勢保持に対する影響が認められた (PRE:20.2±1.2° POST1:24.6±
1.6° .統計的検定法:対応のあるt検定) .
4.4.5 ペレットと各指との直線距離 (図30)
(1) 第1指
PRE と比較し POST1 にてペレットとの距離が有意に増加した (PRE:
9.1±0.3 mm POST1:10.1±0.3 mm.統計的検定法:対応のあるt検 定) .
(2) 第2指
PREと比較しPOST1にてペレットとの距離は減少したが有意な差は認
めなかった (PRE:9.1±0.5 mm POST1:8.3±0.5 mm.統計的検定 法:対応のあるt検定 p=0.18) .
(3) 第3指
PREと比較しPOST1にてペレットとの距離が有意に減少した (PRE:
8.7±0.4 mm POST1:7.2±0.4 mm.統計的検定法:対応のあるt検 定) .
(4) 第4指
PREと比較しPOST1にてペレットとの距離が有意に減少した (PRE:
7.1±0.4 mm POST1:5.4±0.6 mm.統計的検定法:Wilcoxon検定) .
(5) 第5指
PRE と比較し POST1 において有意な差は認めなかった (PRE:6.6±
0.6 mm POST1:6.7±0.7 mm.統計的検定法:対応のある t 検定 p=0.82) .
(6) まとめ
ペレットと各指との直線距離の結果として第1指ではPOST1にて有意 にペレットより離れ,第3・4指では有意に近づく結果となった.
4.4.6 まとめ
RTを用いて6-OHDA注入によるPDモデルラット作成前後の運動要素を
測定した.その結果,成功率は POST1 にて有意に低下した.正面画像の解 析からは,回旋運動で最大角度・最小角度ともに POST1 で有意に増加する 結果を得た.頭部傾斜角度は POST1 で優位な前肢側に有意に傾斜角度が増 加することが示された.
床面画像の解析からは,ペレットと各指における相対距離において第 1 指 では有意にPOST1 にてペレットとの距離が離れ,第 3指,第4 指において
は有意にPOST1 において近づく結果となった.
PREとPOST1における特徴的な画像を示す (図31•32) .