(1)監査の種類
地方自治法(以下、「法」という。)第252条の37に基づく包括外部監査
(2)監査対象(選定した特定の事件)
臨海地域開発に関する事業の管理及び財務事務の執行について
(3)監査対象を選定した理由
東京都は、その前身である東京府、東京市の時代から、さらに遡れば江戸幕府の 時代からそれぞれの時代の要請に従って東京港の埋立事業を実施しており、第2次 世界大戦後も、東京港の施設の充実、廃棄物の処理、都市再開発、都市施設のため の用地確保など、様々な目的で埋立事業を実施してきた。
東京港第6次改訂港湾計画(平成9年4月策定、平成10年4月一部変更)によ れば、埋立地の開発・処分の総面積は2,739ha であり、平成17年 3月末現在で、
このうち2,330ha が既処分地であり409haの埋立地が今後処分する必要があると
されている。
また、臨海副都心開発事業は、当初計画の策定後、バブル経済崩壊、長引く景気 低迷などにより、当初計画の一部見直しを余儀なくされており、主として臨海副都 心地域の開発に伴い発生した、臨海地域開発事業会計の企業債残高は、平成17年 3月末で5,624億円に上っている。
東京都は平成14年3月に「臨海地域開発財政基盤強化プラン」を策定し、単年 度の経常的支出を経常的収入で賄えるよう、徹底した収入の確保と支出の抑制を図 ると同時に、起債償還を含めたすべての施設整備費について土地売却による早期完 済を目指すこととしており、このプランの着実で効率的な執行は、東京都の財政に 大きな影響を与えるものであるため、監査対象とすることが有用と判断した。
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(4)包括外部監査の方法
① 監査の視点
臨海地域開発に関する事業の管理及び財務事務の執行が ⅰ 関係法令に基づき適正に行われているか
ⅱ 法第2 条第 14 項の趣旨に則り、住民の福祉の増進に努めるとともに、
最少の経費で最大の効果を求めて行われているか
ⅲ 法第2条第15項の趣旨に則り、組織及び運営の合理化に努めて行われ ているか
に留意し、経済性、効率性、有効性の観点を重視して監査を実施した。
② 実施した主な監査手続
実施した主な監査手続は、以下のとおりである。
ⅰ 関係帳簿及び証拠資料の閲覧及び照合 ⅱ 関係者からの状況聴取
ⅲ 現地視察
ⅳ その他必要と認めた監査手続
(5)監査従事者
① 包括外部監査人 公認会計士 園 マリ
② 包括外部監査人補助者
公認会計士 大坪 秀憲 公認会計士 佐藤 洋平 公認会計士 岸 弘 公認会計士 庄司 末光 公認会計士 齋藤 禎治 公認会計士 竹村 純也 公認会計士 櫻井 靖洋 公認会計士 萩野 眞司 システム 会 計 士 補 武村 展英 監査技術者 岡村 和彦 税理士の資格
米国税理士 成田 元男 を有する者 沈 賢伊 一級建築士 加藤 達夫 認定ファシリティ
マネージャー 中藏 崇 (注) 資格ごとの五十音順
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(6)監査実施期間
平成17年7月1日から平成18年2月16日まで
(7)外部監査人の独立性(利害関係)
東京都と包括外部監査人及び補助者との間には、法第252条の28第 3項に定 める利害関係はない。
30 2 監査対象の事業概要
(1)臨海地域開発に関する港湾局の業務の概要
① 埋立地の造成と整備
東京港第6次改訂港湾計画(平成9年4月策定、平成10年4月一部変更)によ れば、埋立地の開発・処分の総面積は2,739haであり、開発事業費を含む総事業費
(計画額)は7,585億円である。平成17年3月末現在で、このうち2,330haが既 処分地であり、409haの埋立地が今後処分する必要があるとされており、開発の基 本方針に基づく埋立地全体の土地利用面積は、下記の土地利用面積表のとおりであ る。また、その土地利用計画は、土地利用計画表及び土地利用計画説明図のとおり である。
(表) 土地利用面積表 (単位:ha)
土地利用区分 全体面積 既処分地 開発予定地 都 市 の 物 流 サ ー ビ ス の た め の 用 地 720
(26%)
641 (28%)
79
(19%) 都 市 交 通 体 系 改 善 の た め の 用 地 618
(23%)
599 (25%)
19 (5%) 都 市 再 開 発 ・ 都 市 施 設 の た め の 用 地 579
(21%)
508 (22%)
71 (17%) 自然の回復・新しい街づくりのための用地 822
(30%)
582 (25%)
240 (59%) 合 計 2,739
(100%)
2,330 (100%)
409 (100%)
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(表) 土地利用計画表 (単位:千㎡)
大 分 類 都市の物流サービスのための 用地
都 市 交 通 体 系 改 善 の た め の 用 地
都市再開発・都市施設
の た め の 用 地 自然の回復・新しい街づくりのための用地 中 分 類 ふ 頭
施 設 用 地
港 湾 関 連 施 設 用 地
流 通 業 務 施 設 用 地
計 交 通 施 設
用 地
供給・処 理施設等 用 地
再 開 発 移 転 等 用 地
計 住 宅 施 設 用 地
商業・業務 施 設 等 用
地
公 共 空 地 用 地 計
合 計
京 浜 2 区 ― ― 855 855 233 11 ― 11 ― ― 78 78 1,177
京 浜 3 区 ― ― ― ― 126 266 158 424 ― ― 66 66 616
京 浜 6 区 ― ― ― ― 192 164 613 777 ― ― 68 68 1,037
大 井 ふ 頭 そ の 1 1,238 787 292 2,317 2,390 278 435 713 438 56 987 1,481 6,901 大 井 ふ 頭 そ の 2 214 90 ― 304 114 190 349 539 ― ― 167 167 1,124
1 3 号 地 765 530 ― 1,295 533 ― ― ― 190 662 624 1,476 3,304
1 0 号 地 そ の 1 295 ― ― 295 254 ― ― ― 148 474 165 787 1,336
1 0 号 地 そ の 2 506 130 ― 636 56 ― ― ― ― ― 9 9 701
1 1 号 地 66 ― ― 66 237 ― 303 303 56 ― 12 68 674
1 2 号 地 116 ― ― 116 68 ― 244 244 ― ― ― ― 428
7 号 地 ― 182 ― 182 245 28 ― 28 209 65 360 634 1,089
1 4 号 地 そ の 1 72 ― ― 72 760 152 1,323 1,475 ― ― 635 635 2,942
1 4 号 地 そ の 2 ― ― ― ― 18 133 ― 133 ― ― ― ― 151
1 5 号 地 415 69 ― 484 130 ― 371 371 ― ― 890 890 1,875
8 号 地 ― ― ― ― 40 40 318 358 25 28 50 103 501
越 中 島 ― ― ― ― 342 ― ― ― ― 108 ― 108 450
晴 海 ふ 頭 ― ― ― ― ― ― ― ― ― 120 ― 120 120
有 明 ― ― ― ― 268 51 ― 51 468 ― 231 699 1,018
中 央 防 波 堤 内 側 391 190 ― 581 177 189 172 361 ― ― 828 828 1,947 合 計 4,078 1,978 1,147 7,203 6,183 1,502 4,286 5,788 1,534 1,513 5,170 8,217 27,391
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(図) 土地利用計画説明図(出典:平成17年度港湾局事業概要)
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② 臨海副都心の開発
ⅰ 臨海副都心の当初の構想と計画
東京都は、第二次東京都長期計画(昭和 61 年 11 月)において、東京の一点集 中型の都市構造の転換を目的として、臨海副都心を7番目の副都心として育成して いく方針を定め、「臨海部副都心開発基本構想」(昭和62年6月)、「臨海部副都心 開発基本計画」(昭和63年3月)を策定し、これらの具体策としての「臨海副都心 開発事業化計画」(地区別実施計画Ⅰを含む。)」(平成元年4月)、良好な都市計画・
環境の形成を目的とする「臨海副都心・まちづくりガイドライン」(平成2年4月)、 住居系市街地全体に関する計画・建設・管理運営の基本的枠組み及び方向性を示す
「臨海副都心・住宅マスタープラン」(平成2年 4月)並びに始動期開発対象区域 における住宅系用地等の開発にあたり必要な事項を定めた「臨海副都心開発・地区 別実施計画Ⅱ」(平成2年4月)を策定し発表した。
しかし、平成3年第一回都議会定例会において、平成3年度臨海副都心開発事業 会計予算案は否決され、一般会計予算案についても、可決はされたものの、臨海関 連予算については、「再検討の間、その執行を凍結すること。」との付帯決議が付さ れた。
そこで、臨海副都心開発及び東京フロンティア計画の再検討を図ることを目的に、
平成3年6月に「臨海副都心開発等再検討委員会」が設置され、平成3年11月に 報告書を提出している。
当時、臨海副都心地域は、東京港の中心部に位置し、東京駅から5〜7キロメー トルの位置にあることから、国際化・情報化という時代の潮流に対応しつつ、一点 集中型の都市構造を是正し、職と住のバランスのとれた新たなまちづくりと、地価 高騰に対処するための土地供給策を有効に展開する場所として期待されており、開 発段階を始動期、創設期、発展期、成熟期の4つに分けて設定し、順次開発を進め、
21世紀初頭には成熟したまちになることを目指していた。
ⅱ バブル経済崩壊等の社会経済情勢の変化に伴う計画の見直し
しかしながら、当初の基本計画から8年を経過する過程で、バブル経済が崩壊し、
長引く景気の低迷、地価の大幅な下落、オフィス需要の減退など、社会経済状況が 大きく変化するなか、再度計画の見直しを余儀なくされた。このような経済・社会 状況のもと、平成 7 年第一回都議会定例会において、「始動期後の開発については 総合的に見直しを行うこと」との付帯決議がなされ、平成8年7月に、「臨海副都 心開発の基本方針」が決定されている。
この基本方針において、臨海副都心は職と住の均衡のとれた副都心として、また 東京の活力を担い都民生活を支えるまちとして、生活者の視点に立った東京の都市 づくりを目指すこととし、これを受けて平成9年3月に「臨海副都心まちづくり推
34 進計画」を策定し、現在に至っている。
「臨海副都心まちづくり推進計画」では、副都心広場周辺の街区、青海1区域南 側の街区及びシンボルプロムナードについて、対象区域にふさわしいまちの姿やシ ンボルプロムナードの作り方などを広く都民から募集し、すぐれた提案について、
その趣旨を具体的なまちづくりにいかす「まちづくり都民提案制度」を導入するほ か、開発計画の内容等について都民への情報提供と意見の反映を図り、行政と民間 の協働によるまちづくりを進めることとしている。
それを受けて、平成9年度に副都心広場及びその周辺街区、ウエストプロムナー ドについて都民提案を公募した。また、国際研究交流大学村の各施設間及び施設と 来訪者との交流と連携の促進を図るとともに、その優秀提案の趣旨をいかすため、
平成11年に青海GH・LM街区のまちづくりガイドラインが、さらに平成14年に 有明北地区の地権者と共同して有明北地区のまちづくりガイドラインが策定され ている。
また、開発スケジュールについては、都市の開発状況や、施設の整備状況にあわ せておおむね10年単位に区分し、柔軟で段階的な開発を基本とし、おおむね5年 ごとに必要に応じて見直しを行うこととしている。また、計画の対象期間は、副都 心としてまちが完成するまでの長期的な計画とするが、広域交通基盤整備がおおむ ね完了する平成27年度までを一応の事業目途としている。
「臨海副都心まちづくり推進計画」による、段階開発スケジュール、開発面積、
予想人口、土地利用計画は、以下のとおりである。