イ ン ド ネ シ ア
一 一 国家統制の破綻 一一
(1) 外貨取引の一部自由化。
年末には 1万〜1万2000ノレピアにまで高騰したと報ぜられた閲ドル相場は, ここ 1
〜
2ヵ月において6000〜
7000ノレピアに持直して来ているといわれてし、る。 これは12月 中旬に1ドル7500;レピアであった生産奨励証書(SPP)一一輸出業者に対して輸出高 の20%の割合で自動的に与えられる外貨割当ーーが2月にいたって4250ノレピア程度に 持直していることからも首肯できることである。かかるノレピア相場の持直しは,年末 において多額の借款が中国から行われるという噂(3〜4億ドル稜度〉が拡まった時 にも一時的にみられた現象であるが, 今度のノレピア相場の持直しは2月1日にはじま る外貨取引の一部自由化に原因しているようである。昨年4月17日における輸出入,物価統制に関する経済法令の改正によって, 政府はノレピアの為替平価の実質的切上げ を行ない, これに伴って予測される輸出の停滞を防止するため,輸出業者に対しては その輸出高の5 %という従来の外貨割当に加えて, 20%の生産奨励証書の割当を規定 したω しかしマレーシア対決にもとづく輸出 ・生産活動の停滞,米国援助の停止等に よって生じた外貨不足は, 国内におけるドノレ為替の投機活動を刺激して,今や何らか の対策が講ぜられなければならない段階に来ていたと思われる。今度の外貨取引の一 部自由化は,極度のドノレ不足の現状からして厳しい外国為替管理が外貨の逃避, 投 機 活動の激化を助長するのみでマイナス効果しかもちえないことを政府が自認したこと
を明らかにするものである。外貨取引法の改正点は,(1)政府の指定する為替銀行取引 業者ば外国に銀行勘定を設けることができる。(2)自由保有外貨の種類を拡大する。た とえば輸出産品に関しては外貨取引用(BLLD)一−[日貿易外貨局(BDP)ーーがチ ェック ・プライスを設け, 輸出価格がチェック ・プライスを超過した場合には,その 超過分を従来と異り外貨基金に引渡す必要はなく, 輸出業者がこれを自由に保有する ことができることになった。その他外貨取引局に引渡す必要がなくなった外貨は, (a) 外貨取引局が規定する輸入価格以下で、輸入した場合にはその節約分の外貨。(b)外国に 対するサービスの提供による取得外貨の内, 1965年2月9日のBLLD規則第9号に規 定する,外貨基金に引渡す必要のない外貨。 (c)外国からの外貨による贈与(民間送金 その他〉。(d)銀行券を含めて外国あるいは閣内における保有外貨。(
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)その返済が外貨基 金に負担をかけなν
、現金借款(例えばP.S借款のごとく3 借款の返済を生産物で行う‑105‑ 一( 35 )‑
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場合などはこれに該当すると思われる〉である。(3)指定業者および為替銀行に対して 特定外貨の取引が自由化される。 以 上の改正によって従来不当な間値をよびまた外|羽 に逃避していた外貨がかなり自由に流通するようになったこ とは疑いない。
(2) 国営企業の払下げ
しかしインドネシアのインフレの主要原因が政府の赤字財政にあることは明らかで あり,財政負担の軽減,歳入の増加の経済政策が基本的には不可欠の条件である。こ の意味で, 関営企業の払下げ問題,税制の改記は注目すべきである。まず前者につい てみると, 政府はほとんど全産業部門にわたって大小様々の国営企業を有して
ν
、るが その内プランテーショ ン,鉱山等少数の例外を除く他の多くは,政府の予算の浪費,経 営管理の不手際等と相まって政府の財政負担をぼう張させており,政府は軽工業を中 心とする企業の払下げを行うことを決意した。 そしてさらにはルピア資金不足 〈毎年 政府紙幣を瀧発する政府がノレピア資金不足に悩んでヤるのは皮肉な現象であるが,政 府が支出するノレピアはまたたく聞に商人達に吸い取られてしまう〉によって実行出来 ない外国借款によるプロジェクト建設・運営を民間の手にゆだねる結果となっている。(3) 税法改正
昨年12月に法人税・所得税法が改正された。改fr_の主眼点は,(1)税収の増加,(2)生産 の刺激,(3)徴税手段の簡素化,(4)インフレへの対応にあるとしてし、るが, 上記の問題 との関連で注目すべきは法人税の改正である。(1)税率。従来の法人税法によると、設 立5ヵ年未満で年間利潤が50万ノレピア以下の企業は40%, 設立5ヵ年以上の企業は40
〜52.5%の法人税が課せられていたが,改正によってその年間利潤が250万ノレピア以下 の企業に対する税率は10%に切下げられ, !手
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間が5億Jレピア以上の企業に対しての み従来の52.5%の税率が課せられることになった。(2)免税。(a)民族資本によって新設 された農業, エステート,漁業,牧畜,鉱泉,製造業は生産開始から 3ヵ年聞を最高 期限として免除措置をうける。生産分与方式(P.S)にもとづく事業は 5ヵ年を最高 期限として,生産物による外国借款の返済を行う期間について免税措置をうける。 こ の改正による減税は法人税所得税について50%といわれており, 64年において640億/レ ピアの法人税が半分に切下げられることは民間企業にとって喜ばしいニュースにちが いない。しかし改正はこの生産奨励の側面とあわせて, インフレに対応する税率の設 定,あるいは減税によって被課税者が税金を払いやすくし,全体としては税額増収を見 込んでいることにも注意すべきである〈例へば63年における法人税の申告者は3880件 であるが,納税義務者の数は7000におよんでおり滞納,納税忌避が多いことを示して いる〉。上記の3点は, 国家統制経済の破綻 ・民間経済活動の奨励という傾向をある態 度うかがわせてくれる。イ ン ド ネ シ ア 日 誌
1965年2月1日
v中国の軍事援助は創作,ス外相一一一中共訪問を終え31日ジャカルタに帰着した スパンドリオ外相は「インドネシアと中共との新しい 軍事協力 には武器,軍事 施設,軍事要員は含まれていな
ν
、Jと述べ,さらに次のように語った。1. 今回の北京会談では中共のインドネシアにたいする軍事援助の問題は全く 討議されなかった。インドネシアにたいする中共の軍事援助は西側の新聞の創作
にすぎない。
1. 中共は長い眠りからちょうどさめようとしている民人だ。東南アジアが安 全と平和を欲するなら,問地域のすべての国々にたいして中共と善隣政策で協力 するよう要請する。これはわれわれが共産主義を恐れるからではなく,これが適 当だからだ。
l. 外国でのインドネシアの威信は非常に高ヤ。外部および内部からインドネ シア革命を崩壊させようとする試みは失敗に終わるだろうと確信する。
〔東京〈朝) 2. 2〕
V訪日なお検討中,ス外相一一ースバンドリオ外相は, スカノレノ大統領に対し, 1 月の中国, ビノレマ,タイ訪問につレ、て報告したのち「私の日本訪問は日本政府の招 待によるものであるが,なお検討中である」と述べた。 〔朝日〈朝) 2. 2〕
v日・イで経済枢軸を,ス大統領一一スカルノ大統領は,河北新報のーカ副社長 との会見で「インドネシアの国連脱退は,米国を含む諸外国との関係に影響しな
ν
、J との持論を強調,さらに「日本との協力関係は国連脱退により強化されねばならぬ と考える」と語った。同大統領はまた「両国の経済は相互に補う関係にあるため,両国の経済協力は双 方の経済強化に役立つ。自分は日本とインドネシアは,アジアにおける経済枢軸に なると思う」と述べた。 〔朝日(朝) 2. 2〕 2月 2日
v米,インドネシアの核武装に疑問一一米政府当局者は,インドネシア陸軍軍需 局長ノリレトノ准将の「インドネシアは,現在初の原爆計画を推進しており, 10月の
3軍記念日には 意外な贈り物 をする」との声明に対し次のように反論した。
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インドネシアには核兵器を製造するための能力はないし,それに必要な学術研 究など何もやっていないD (朝日〈タ) 2. :3]
V国連事務総長,脱退問題でインドネシアに回答一ーワ ・タント国連事務総長は インドネシアの国連脱退通告の正式文書に対レ慎重な検討を加えてきたが,@国連 憲章に脱退規定はないが,カ日開国が脱退を望む場合これを認めるほかない。 ②しか し憲章第 2条第 6項の規定に基・づき,インドネシアは脱退後も憲章の拘束を受ける ーーとの国連本部としての態度を決定,近日中にこれを正式回答としてスカルノ大 統領にあてて送ることになった。 〔朝日(朝) 2. 4J ' 10月に原爆計画で・発表か一一インドネシアのアンタラ通信が報ずるところによ ると,陸軍兵器部長のノVレトノ准将は向通信に「インドネシアでは最初の原爆の開 発のために200人の科学者が働ヤており, 10月の 国防軍デー に原爆計画に関し て 驚くようなニュース があるはずであるjと述べた。ハノレトノ准将はこれ以上 くわしい言明はしなかったが,昨年12月に 「インドネシアは1965年に最初の原爆を 爆発させるjと述べたのは問准将で、ある。
インドネシアにはバンドンに米国の援助でつくられた原子炉があり,またジャカ ノレタ西南のセノレプノにソ連の援助で2番目の原子炉が建設中である。これらの炉は いずれも原子力の平和利用のためのものといわれる。 〔東京(朝) 2. 3〕
インドネシア訪問今はムリ,川島副総裁一一自民党の川島副総裁は記者会見で 次のように語った。
佐藤首相およびスカルノ大統領らからインドネシアを訪問するよう希望されて いるが,国会がはじまったばかりでもあり,党の外交調査会の考え方も固まって いないので,いま訪問するつもりはなU、。 〔読売(朝) 2. 3]
2月3日
大統領,米国に警告一一H.R.紙はスカルノ大統領の演説を次のように報じて いる。
大統領はアメリカに対し我々が独自で生きていくことを放置し決して干渉、し ではならないと要求し,ベトナムの現状は,アメリカの干渉の結果であると語っ た。また大統領はかつてアメリカ人協会で, 私はアメリカに対し友好的である が,アジア諸国におけるアメリカの干渉は好まない と語ったことを明らかにし た。
また大統領はアメリカに干渉を放棄し,アジアの問題をアジア人が解決するま まにまかせよと要求し, 従って,ベトナムが共産主義国になることを希望する