第 5 章 ライフライン通信システム 45
2. ライフライン通信の流れ
2.1 発信側端末の起動
発信側端末は、起動あるいはネットワークを移動したときなどにおいて、今回 のシステムにおいては、IPアドレスの取得、SIPにおける登録動作、ならびに、
地理的位置情報の取得を行なう。
図 5.2 発信側端末画面
2.1.1 IPアドレスの取得
発信側端末の起動または移動において、最初にIPアドレスを取得することになる が、これはライフライン通信とは無関係に、インターネットを利用するために必要 である。今回の例では、DHCPによって、IPアドレスの取得(2001:200:169:242::20) と、DNSサーバのIPアドレスの取得が完了している。
2.1.2 SIPにおける登録
SIPを利用するユーザ端末は起動あるいは移動した際に、自分のホームドメイ ンのSIP登録サーバへと認証登録を行なう。これはSIPにおける標準的な動作で あり、ここでは自分が現在用いているIPアドレスで構成されたSIPアドレスで あるsip:usr1@2001:200:169:242::20をコンタクトアドレスとして、自分の固有の SIPアドレスであるsip:[email protected]の登録更新を行なっている。これによっ て、自分の端末が移動してIPアドレスが変化した場合でも、それに関わらず一 定した自分固有のSIP:ユーザ@ドメインのアドレスで呼び出しを受けることが可 能となる。
図5.2において、プロトコル表示の行01から行04がこのSIP
による登録(REG-ISTER)プロトコルを示している。なお、このSIPの登録プロトコルではチャレ
ンジ‐レスポンス方式を利用したダイジェスト認証が行なわれているため、最初 の行01の登録送信に対して、行02
の受信においては一旦、認証エラー(Unau-thorized)となり、再び行03にて認証付で登録送信を行ない、行04においてコン
タクトアドレスの登録が成功となっている。この一連の部分は、SIPにおける標 準的なプロトコルのやり取りである。この認証は、自分のホームドメイン(この
例ではtest.demoドメイン)での認証であり、そのユーザとそのホームドメイン
との間で事前にパスワード付与などによって利用可能となっているものである。
2.1.3 地理的位置情報の取得
発信側端末は起動した時、あるいは、新たなネットワークに移動して接続した 時などに、自分の新たな地理的位置情報をインターネットから入手する。これは、
自分がインターネットへのアクセスに用いているローカルネットワークを管轄と する地理的位置情報管理サーバから、地理的位置情報証明書の発行を受けること で、そのローカルネットワークが把握しているおよその地理的位置情報を入手す る。もしも発信側端末が移動体であれば、定期的に、あるいは、随時必要な時に、
新たな地理的位置情報を入手することができる。
図5.2において、プロトコル表示の行05が地理的位置情報証明書の発行リクエ ストであり、行06で地理的位置情報証明書を入手している。地理的位置情報証明
書自体はS/MIME形式となっており、地理的位置情報管理サーバからの入手にお
いてはHTTPのGETメソッドを用いた簡単な通信プロトコルで実装している。
この地理的位置情報証明書の取得においては、自分が用いているIPアドレス への発行となるため、認証を必要としない。つまり、ユーザは移動先の接続ネッ トワークにおいても、そのネットワークへの接続自体の認証の有無とは無関係に、
ネットワーク接続後は自分の地理的位置情報を入手することができる。
以上のSIP登録と地理的位置情報の入手により、端末の起動時(あるいは移動 時)の初期化が完了する(図5.2の行07)。