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発がん性

ドキュメント内 40. Formaldehyde ホルムアルデヒド (ページ 41-44)

8.3 長期暴露と発がん性

8.3.2 発がん性

ホルムアルデヒドに吸入暴露した動物に対する主要な非腫瘍性の影響は、鼻腔と上気道 の組織病理学的変化(例えば、扁平上皮化生、基底細胞過形成、鼻炎)である。ほとんどの 慢性吸入毒性試験はラットで実施され、2 ppm(2.4 mg/m3)以上で鼻腔への組織病理学的影 響が認めらた(Swenberg et al., 1980; Kerns et al., 1983; Rusch et al., 1983; Appelman et al., 1988; Woutersen et al., 1989; Monticello et al., 1996)。経口暴露による主要な非腫瘍 性の影響は噴門洞と胃腺部内の組織病理学的変化であり、ラットでは1日当たり82mg/kg 体重で認められた(Til et al., 1989; Tobe et al., 1989)。

0.84、2.4、7.2、12、18 mg/m3)のホルムアルデヒドに6時間/日、5日/週で、最大24ヵ 月間まで暴露させた。鼻腔内の7部位での上皮細胞増殖(前部外側鼻道、後部外側鼻道、前 部中隔、後部中隔、前部背側中隔、内側上顎甲介、および上顎洞)が暴露の 3、6、12、お よび18ヵ月後に測定された。0、0.7、2、6、10、15 ppm(0、0.84、2.4、7.2、12、18 mg/m3) のホルムアルデヒドに暴露された動物の鼻部扁平上皮がんの全体的な発生率は、それぞれ 0/90、0/90、0/90、1/90(1%)、20/90(22%)、69/147(47%)であった。腫瘍は主として前部 外側鼻道、後部外側鼻道、中隔に生じた。

用 量 反 応 関 係 が 調 べ ら れ て い な い 限 定 的 試 験 で 、Sellakumar ら(1985)は 雄 の Sprague-Dawleyラットを0または14.8 ppm(0または17.8 mg/m3)のホルムアルデヒド に6時間/日、5日/週で、約2年間暴露させた。著者らは、鼻部扁平上皮がんの発生率の著 明な増大、すなわち、対照動物で0/99と暴露動物で38/100を報告している。これらの腫 瘍は主として鼻上顎甲介と鼻中隔から生じたと考えられた。鼻部扁平上皮がんの発生率の 増大はTobeら(1985)による試験でも報告されており、その報告では雄のF344ラット群が 0、0.3、2、14 ppm(0、0.36、2.4、17 mg/m3)のホルムアルデヒドに6時間/日、5日/週で、

28ヵ月間暴露され、鼻部扁平上皮がんは非暴露(対照)、低濃度、中濃度群では発生しなか ったが、高濃度群の32匹中14匹(44%)で発生していた。雄のF344ラットを0、0.3、2.2、

14.8 ppm(0、0.36、2.6、17.8 mg/m3)のホルムアルデヒドに6時間/日、5日/週で、最大 28ヵ月間まで暴露させた他の1件の試験では、鼻部扁平上皮がんの発生率の増大が高濃度 群で認められた(Kamata et al., 1997);これらのホルムアルデヒド暴露動物の鼻部腫瘍の 全体的な発生率は(死亡、あるいは試験中の 12、18、24、および 28 ヵ月目に屠殺された が)13/32(41%)であったのに、非暴露対照の2群では0/32と0/32であった。

非暴露対照に比べ、鼻部扁平上皮がんの発生率は0.1、1、9.8 ppm(0.12、1.2、11.8 mg/m3) のホルムアルデヒドに6時間/日、5日/週で、28ヵ月間暴露された雄のWistarで有意に増 大しなかった(すなわち、鼻部扁平上皮がんが発生したのは、対照動物で0%、9.8 ppm [11.8 mg/m3]暴露動物で4%であった)(Woutersen et al., 1989)。しかしながら、ホルムアルデ ヒドで誘発される鼻部の腫瘍における組織損傷の仮説的役割と呼応して、電気凝固法によ って損傷を鼻に受けた動物が同様に暴露された場合、この種の腫瘍の発生率は高濃度群で 著明に増大した(すなわち、0、0.1、1、9.8 ppm [0、0.12、1.2、11.8mg ホルムアルデヒ ド/m3]に暴露された動物では、それぞれ1/54、1/58、0/56、15/58)(Woutersen et al., 1989)。

ラットにおける他の試験では、鼻腔の腫瘍発生率の有意ではないがわずかな増大が、20

ppm(24 mg/m3)に13週間毎日暴露させて、その後130週まで観察したラットで認められ

ているが(Feron et al., 1988)、9.4 ppm(11.3 mg/m3)に52週間(Appelman et al., 1988)あ るいは12.4 ppm(14.9 mg/m3) に104週間(木材粉塵25 mg/m3の存在または非存在のど ちらの場合も)(Holmström et al., 1989a)暴露させたラットでは認められていない。これら の研究において腫瘍発生率の統計的に有意な増大が認められなかったのは、群のサイズが 小さかったためや暴露期間が短かったためかもしれない。

雌雄の B6C3F1マウスの群がホルムアルデヒド0、2.0、5.6、14.3 ppm(0、2.4、6.7、

17.2 mg/m3)に6時間/日、5日/週、24ヵ月間にわたり暴露され、その後6ヵ月間観察さ れた試験で、非暴露の対照群に比べ、鼻腔腫瘍の発生率の統計学的に有意な増大はなかっ た(Kerns et al., 1983)。(ホルムアルデヒドへの)24ヵ月の暴露後に、高濃度群の2匹の雄 マウスで鼻腔の扁平上皮がんが認められた。42~60 匹のC3Hマウス(性別不明)の群に0、

42、83、167 ppm(0、50、100、200 mg/m3)で、1週間当たり1時間暴露を3回、35週 間行った初期の試験の場合、肺腫瘍の発生率は増大しなかったが、高い死亡率のため高用 量群の投与は第 4 週目に中止されて、鼻部組織の評価はなされなかった(Horton et al., 1963)。(132匹の対照に比較すると、)10 ppm(12 mg/m3)のホルムアルデヒドに一生涯暴

露された88匹の雄のSyrianハムスターの気道腫瘍の発生率は、132匹の対照群に比較し

て増大しなかった(Dalbey, 1982)。

8.3.2.2 経口暴露

1日当たり最大で125mg/kg体重の目標摂取量を達成させると推定されたホルムアルデ ヒドを含む飲料水を最長で2年間投与した雌雄のWistarラットで確認されたもっとも広 範囲の試験では、非暴露の対照に比較して腫瘍発生率の有意な増大はなかった(Til et al.,

1989)。データは提示されなかったが、Tobe ら(1989)も非暴露の対照に比較して、最高で

5,000mg/Lのホルムアルデヒドを含む飲料水を投与(すなわち、1日当たり最高300mg/kg

体重の摂取量)した雌雄のWistarラットの小群で腫瘍発生率は増大しないことを報告した。

これとは対照的に、Soffrittiら(1989)が行ったSprague-Dawleyラットに0~1,500mg/L のホルムアルデヒドを含む飲料水を104週間投与して、ラットが死ぬまで観察した試験(推 定摂取量は1日当たり最高およそ200mg/kg体重)では、造血系の腫瘍の増加が報告された。

1,500mg/Lを含む飲料水を摂取したラットの場合、白血病(全てが「血リンパ細網系新生物

haemolymphoreticular neoplasias」、すなわち、リンパ芽球性リンパ腫とリンパ肉腫、免 疫芽球性リンパ肉腫、および「他」の白血病)を有する雄と雌の割合は、対照ではそれぞれ

4%および 3%であったが、それぞれ 22%と 14%に増大した。非暴露の対照と比較して、

ホルムアルデヒドを摂取したラットで胃腫瘍の発生率の用量依存性の増大はなかった。本 試験の限界は、腫瘍をタイプ別に分類しないでプールしたこと、統計解析の不足、および 非腫瘍性エンドポイント試験が限られていたことにある。補足的には、骨髄性白血病、全 身性組織球肉腫など造血系腫瘍の発生率が、飲料水で 1 日当たりホルムアルデヒド

109mg/kg体重を最大で2年間摂取したWistarラットで増大しなかったことに留意すべき

である(Til et al., 1989)。

ドキュメント内 40. Formaldehyde ホルムアルデヒド (ページ 41-44)

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