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留数定理の定積分への応用(続き), Riemann 球面

函数論 No. 14

を得る.そこで,まず,S → ∞とすることで,R2

R1 Q(x)

P(x)eiλxdx−2πi∑n j=1Res

(Q(z)

P(z)eiλz, αj)

M λR1 +λRM

2 となる.次に,R1R2をそれぞれR1→ ∞, R2→ ∞として,式(14.1)を得る.

注意:f(z)はH:={z=x+iy∈C|y≥0}を含む開集合上で,Hに含まれる有限個の点α1, . . . , αn

を除いて正則であるとする.さらに,ある正の数Aとある定数M >0が存在して,任意のz C

|z| ≥Aであるものについて,|f(z)| ≤ M|z|を満たしているとする.このとき,命題14.1の Q(x)P(x)eiλxf(x)eiλxに置き換えて,同じ結論が成り立つ(証明も同じである).

14.2 λ >0とする.実多項式P(x), Q(x),α1, . . . , αnは命題14.1と同じとする.

(1) Q(x)

P(x)が偶関数ならば,

0

Q(x)

P(x)cos(λx)dx=πi

n j=1

Res (Q(z)

P(z)eiλz, αj )

(2) Q(x)

P(x)が奇関数ならば,

0

Q(x)

P(x)sin(λx)dx=π

n j=1

Res (Q(z)

P(z)eiλz, αj

)

例:

0 xsinx

1+x2dxを求める.1+xx2 は奇関数なので,∫R 0

xsinx

1+x2dx = 12R

R xsinx

1+x2dxである.そこで,

zeiz

1+z2 を考える.ここで,1 +z2の 複素上半平面における根はz=iだけである.1+zzeiz2z=iに1位 の極を持つので,Res

(zeiz 1+z2, i

)

= limzi(z−i)1+zzeiz2 = ie2i−1 = 2e1 となる.よって,命題14.1より,

−∞

−∞ xeix

1+x2dx= 2πi2e1 となる.ここで,両辺の虚部をとって2で割れば,∫

0 xsinx

1+x2dx=2eπ となる.

[III-2]P(x)が実数の根を持つ場合(簡単のために,P(x)は実軸上の1x=dだけに1次の零点を もつとする )

命題14.3 λ >0とする.P(x), Q(x)は実多項式で,degQ+ 1degPであり,P(x)は実軸上の1 点x=dだけに1次の零点をもつとする(Q(d)̸= 0も仮定する).このとき,P(x)の根で,上半平面 H:={z=x+iy∈C|y >0}に含まれるものをα1, . . . , αnとおけば,次の等式が成り立つ.

(14.3)

lim

ε0

{∫ dε

−∞

Q(x)

P(x)eiλxdx+

d+ε

Q(x) P(x)eiλxdx

}

=πiRes (Q(z)

P(z)eiλz, d )

+2πi

n j=1

Res (Q(z)

P(z)eiλz, αj )

証明:ε >0は十分小さくとる.Cε(t) =d+εei(πt)t [0, π])とおく.[III-1]の積分路γ2, γ3, γ4 は同じにとる.閉区間[−R1, R2]の代わりに,[−R1, d−ε]Cε,[d+ε, R2]をつなげた曲線を考える

(図参照).このとき,留数定理より,

{∫ dε

R1

Q(x)

P(x)eiλxdx+

R2

d+ε

Q(x) P(x)eiλxdx

} +

Cε

Q(z)

P(z)eiλzdz+

4 k=2

γk

Q(z) P(z)eiλzdz

= 2πi

n j=1

Res (Q(z)

P(z)eiλz, αj

)

が成り立つ.[III-1]と同じ議論をして,

(14.4)

{∫ dε

−∞

Q(x)

P(x)eiλxdx+

d+ε

Q(x) P(x)eiλxdx

} +

Cε

Q(z)

P(z)eiλzdz= 2πi

n j=1

Res (Q(z)

P(z)eiλz, αj

)

を得る.ここで,仮定より,P(z)はz=dで1次の零点をもつと仮定しているので,P(z) = (z−d)P1(z) と書けて,P1(d)̸= 0である.このとき,Res

(Q(z) P(z)eiλz, d

)

= limzd(z−d)Q(z)P(z)eiλz = PQ(d)

1(d)eiλdと なる.よって,

Cε

Q(z)

P(z)eiλzdz=

π 0

Q(d+εeit)

εeitP1(d+εeit)eiλ(d+εeit)εieitdt=−i

π 0

Q(d+εeit)

P1(d+εeit)eiλ(d+εeit)dt

−→ −πiQ(d)

P1(d)eiλd=−πiRes (Q(z)

P(z)eiλz, d )

0) である(PQ(z)

1(z)eiλzz=dで連続である).よって,(14.4)でε→0として(14.3)を得る.

(14.3)の左辺を,Cauchyの主値(principal value, valeur principale)といい,p.v.

−∞

Q(x)

P(x)eiλxdxと 書く*2

例:No. 11の演習問題の 4 )∫

0 sinx

x dxを求める.∫R ε

sinx

x dx= 12{∫ε

R sinx

x dx+∫R ε

sinx x dx

} であ る.そこで,eziz を考える.ここで,ezizz= 0で1位の極を持つから,Res

(eiz z ,0

)

= limz0zeziz = 1 である.よって,命題14.3より,limε0{∫ε

−∞eix

x dx+∫

ε eix

x dx }

=πiRes (eiz

z ,0 )

=πiとなる.

ここで,両辺の虚部をとれば,∫

0 sinx

x dx=π2 となる.

Riemann球面

Riemann球面について,簡単に触れたい.複素平面Cに理想的な1 点を付け加え,z → ∞

|z| → ∞を意味するようにしよう.

複素平面の原点において複素平面に接し,3次元空間にある直径1の球面Sを考える(Sは垂直成分が0 以上の部分に含まれるものをとる).S上の点(0,0,1)を北極といい,Nで表す(図参照).複素平面上 の点zに対し,zN を結ぶ直線がSと交わる点をZとすると,対応C∋z7→Z∈Sは,CS∖N の間の全単射を与える.ここで,|z| → ∞とすれば,Zは北極Nに近づく.そこで,点Nを無限遠点

(point at infiniy)とよんで,記号で表す.この対応によって,Cを球面Sの部分集合とみなし,この

球面SRiemann球面とよんで,Cb :=C∪ {∞}, または,P1(C) :=C∪ {∞}で表す.

• ∞の近くでの様子をみるには,w=1z と変数変換するとよい.の近傍は,w平面のw= 0の近傍で あると定める.f(z)が|z|> R上で定義された正則関数のとき,f(1

w

)は0<|w|< R1 上で定義され た正則関数である.そこで,z=f(z)の除去可能特異点(極,真性特異点)というのを,w= 0 がf(1

w

)の除去可能特異点(極,真性特異点)であることで定める*3

時間の関係で説明できないと思うが,a, b, c, d C ad−bc ̸= 0 を満たす複素数とするとき,

f(z) :=az+bcz+d はP1(C)からP1(C)への全単射な写像で,ff1も正則になる.f はCの円または直 線を,Cの円または直線にうつす(円々対応).

練習問題

14.1 a >0, b >0とする.留数定理を用いて,

0

cos(ax)cos(bx)

x2 dxの値を求めよ.

ヒント:命題14.3がそのまま使える形ではないが,eiazeibz

z2 = i(azb) +h(z)h(z)は正則関数)と表せるので,命 題14.3と同じ積分路をとって求めることができる.

14.2 [IV]対数関数logzや累乗関数zαの主値の不連続性を利用するもの ここでは[IV]の例として,0< α <1のとき,∫

0 xα−1

1+xdxを求める.f(z) = (1+zz)α−1 を図の積分路に沿っ て積分する.ただし,(−z)α1は多価関数なので,分枝をとってe1) Log(z)を主値として選ぶ.(積分路

*2一 般 に ,a < d < b と し て ,φ(x) [a, b]上 で x = d を 除 い て 連 続 と す る .こ の と き ,積 分

b a

φ(x)dx =

εlim10

dε1 a

φ(x)dx+ lim

ε20

b d+ε2

φ(x)dxは収束するとは限らない.しかし,ε := ε1 = ε2 > 0として,ε0に近づ けた lim

ε→0

{∫ dε a

φ(x)dx+

b d+ε

φ(x)dx }

は収束することがある.この場合,この極限値をCauchyの主値(principal value, valeur principale)といってp.v.b

aφ(x)dxで表す.例えば,広義積分

1

1

1

xdx= lim

ε1→0

ε1

1

1

xdx+ lim

ε2→0

1 ε2

1

xdxは発散す るが,Cauchyの主値p.v.

1

−1

1

xdx= lim

ε0

{∫ε

−1

1 xdx+

1 ε

1 xdx

}

= 0は存在する.

*3 No. 13の脚注に述べたように,留数は1-形式について定まると考えるのが良い.f(1

w

)d(1

w

)=f(w1)

w2 dwに注意して,f(z) z=での留数はRes(f(z),) = Res(f(w1)

w2 ,0)として定められる.

は,正確には,実軸よりわずかに上または下にあるものとし,ε±δi,R±δiδ >0)の間の積分とする.その 後でδ→0とする.)特に,γ1上では(eπiz)α1,γ2上では(eπiz)α1z >0)の値をとる.

(1) 留数定理を使って,

R 0

eπi(α1)xα1

1 +x

R 0

eπi(α1)xα1 1 +x +

C(R)

f(z)dz+

C(ε)

f(z)dz= 2πiRes(f(z),1) であることを示せ.さらに,Res(f(z),1) = 1であることを示せ.

(2) C(R)に沿う積分は,0< α <1に注意して,∫

C(R)f(z)dzRRα1を満たすことを示せ.

(3) C(ε)に沿う積分は,∫

C(ε)f(z)dz1εαεを満たすことを示せ.

(4) ε→0,R→ ∞とすることで,

0

xα1

1 +xdx= π

sin(πα) を示せ.

14.3 CS∖Nの対応を具体的に表せ.つまり,z=x+iy C,Z= (X, Y, U)S∖N とおくとき,

(X, Y, U)を(x, y)で表せ.(Sの定義多項式は,X2+Y2+U2=U である.)

No. 10 – No. 14 の復習問題

*4

A.7 次の命題はいずれも正しくない.正しい命題に修正せよ.

(1) D を領域,f(z) をD 上の正則関数とする.このとき,任意の区分的 になめらかな単純閉曲線 γ: [a, b]→Dに対して,∫

γf(z)dz= 0となる. (?)

(2) Dを領域,f(z)をD上の正則関数とする.点列{an}n=1は収束列で(つまり,α:= limn→∞anが存 在する),任意のnに対してan∈Dとする.また,α̸=ann= 1,2, . . .) も仮定する.このとき,任 意のnについてf(an) = 0であれば,fD上で恒等的に0である.(?)

(3) f(z) = z11 とおく.f(z) = 1z−1z−1 =∑

m=1zm=∑1

n=−∞znとなるから,∑1

n=−∞znf(z)z= 0を中心とするLaurent展開である.(?)

B.11 f, gは 領域D上の正則関数とし,積f gD上で恒等的に0であるとする.このとき,fまたはgD上で恒等的に0であることを示せ.(この問題はNo. 9の一致の定理の復習問題である.)

B.12 f, gはC全体で定義された正則関数(つまり,整関数)とし,任意のz∈Cについて|f(z)| ≤ |g(z)| を満たすとする.また,gは恒等的には0でないとする.

(1) α∈Cg(z)の零点とする.このとき,z=αf(z)g(z)の除去可能特異点であることを示せ.(ヒント:

恒等的に0でない正則関数の零点は孤立していることに注意する(系9.2参照).除去可能特異点に関す るRiemannの定理(問12.2)を使う.)

(2) f(z)とg(z)はどのような関係にあるか?

B.13 この問題では,f(z) := (z1)3z2(z+1)1 2z= 1を中心としたLaurent展開を求める.

(1) まず,f(z)の部分分数展開を求める.(z1)3z2(z+1)1 2 = (zA1)+(zB1)2+(z+1)C +(z+1)D 2A, B, C, D∈C とおいて,A, B, C, Dを求めよ*5

(2) f(z)のz= 1を中心としたLaurent展開を求めよ.(問B.2も参照せよ.)

*4問題番号は,No. 5 – No. 9の復習問題に続く.

*5有理関数の部分分数展開について:f(z) :=Q(z)

P(z)(P(z), Q(z)は複素数係数の多項式でdegQ <degP)の分母P(z)の相異な る根がαj(1jk)で,αjの重複度がmjであるとき,f(z) =k

j=1

mj m=1

cjm

(zαj)m(ただし,cjmC)と表される.

B.14 (1) [II]の広義積分∫

−∞Q(x)

P(x)dxを求めるときに,複素上半平面に半円周を描いた.このかわり に,複素平面のImz <0の部分に半円周を描いて求めることができるか? ただし,Q(x)P(x) は命題13.2の 仮定を満たしているとする.

(2) [III]の広義積分∫

−∞

Q(x)

P(x)eiλxdxを求めるときに,複素上半平面に長方形を描いた.このかわりに,複 素平面のImz <0の部分に長方形を描いて求めることができるか? ただし,Q(x)P(x)eiλxは命題14.1の仮 定を満たしているとする(特に,λ >0である).また,λ <0のときは,広義積分∫

−∞

Q(x)

P(x)eiλxdxはど う求めればよいか.

B.15 各自のもっているテキストに,留数定理を用いて実関数の積分を計算する練習問題がのっていると 思う.それらを解く.

函数論 期末試験 問題

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