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⑸ 独立性に関する追加の検討

 社外取締役および社外監査役について、有意な結果が得られなかった理由 として、独立性が不十分であることが1つの理由ではないかということを述

(125)前田雅弘「監査役会と三委員会と監査・監督委員会」江頭憲治郎編『株式会社法大系』

(有斐閣、2013年)265頁、松中学「監査役のアイデンティティ・クライシス」商事法務 1957号(2012年)6頁。

(126)コントロール変数を含むすべての変数について、強い相関関係がないことを確認してい る(さらに、Stataのvifコマンドを用いた場合、すべての変数がvif<3であった)。

   なお、表4の社取人数の回帰係数の符号はプラスになっている一方で、社取人数の相関 係数の符号はマイナスになる。そこで取締役人数を除いたモデルであらためてロジス ティック回帰分析を行ったところ、社取人数の符号はマイナスになり、その場合でも有意 でないことを確認している。

表5

モデル5 モデル6 モデル7

取締役人数 -0.1151 -0.1278 -0.1041

[-1.23] [-1.35] [-1.21]

改社取人数 0.1806

[0.60]

監査役人数 0.1715 0.0178 0.0951

[0.34] [0.04] [0.20]

改社監人数 -0.0708

[-0.21]

改専門家人数 -0.4165

[-0.68]

改社取ダミー 0.5109

[0.87]

改専門家ダミー -0.7091

[-1.27]

改社取割合 1.7707

[0.85]

改社監割合 -0.2259

[-0.20]

改専門家割合 -1.3939

[0.82]

監査法人 0.1898 0.2832 0.205

[0.41] [0.63] [0.44]

ストック・オプション -0.9607 -0.9786 -1.0221

[-1.67]* [-1.67]* [-1.81]*

赤字 1.3581 1.3339 1.3597

[2.52]** [2.30]** [2.38]**

発行 1.714 1.7647 1.7573

[2.59]*** [2.93]*** [2.73]***

役員持株割合 -1.4171 -1.4139 -1.3874

[-1.00] [-0.94] [-0.98]

上場年数 -0.0369 -0.0375 -0.0375

[-1.35] [-1.35] [-1.40]

大株主割合 -3.0517 -3.2223 -3.0932

[-1.77]* [-1.85]* [-1.69]*

外国法人割合 -2.5511 -2.624 -2.7178

[-1.32] [-1.25] [-1.37]

N 138 138 138

Prob > chi2 0.0053 0.0012 0.0036

Pseudo R2 0.31119 0.3251 0.3167

aic 91.8239 88.5552 91.3607

* p<0.1,** p<0.05,*** p<0.01

〔モデル〕

・ モデル5:社外性の要件を厳しくした上で、社外取締役や社外監査役、専門 家社外監査役の人数が不正会計の発生確率に与える影響を測定するためのモ デル

・ モデル6:社外性の要件を厳しくした上で、社外取締役がいる場合とそうで ない場合、専門家社外監査役がいる場合とそうでない場合に、それらが不正 会計の発生確率に与える影響を測定するためのモデル

・ モデル7:社外性の要件を厳しくした上で、取締役会に占める社外取締役の 割合、監査役会に占める社外監査役の割合、監査役会に占める専門家社外監 査役の割合が不正会計の発生確率に与える影響を測定するためのモデル

べた。それでは、社外取締役および社外監査役の社外性の要件を厳しくした 場合、どのような結果になるのだろうか。さらに、専門家社外監査役につい ても、公認会計士のみを専門家とした場合、どのような結果になるのだろう か。

 表5は、社外性の要件を以下のように変更した上で、条件付きロジスティ ック回帰分析を行った結果である。

  改社取(人数・ダミー・割合)=平成26年改正前会社法の社外取締役の要件に、

「親会社の取締役・支配人・その他使用人でないこと(以下、取締役等でない こと)および当該会社の取締役の配偶者または二親等内の親族でないこと(以 下、親族等でないこと)」という要件を加えたものを「社外取締役」とする(127)

  改社監(人数・ダミー・割合)=平成26年改正前の社外監査役の要件に、「親 会社の取締役等でないことおよび当該会社の取締役の親族等でないこと」と いう要件を加えたものを「社外監査役」とする

(127)有価証券報告書に記載される関係会社には、必ずしも兄弟会社が含まれていないケース もあるなど、平成26年改正会社法の社外取締役の要件と同一の定義で確認することはでき なかった。社外監査役も同様である。

  改専門家(人数・ダミー・割合)=公認会計士の資格を保有する社外監査役

 表5の実証結果からは、社外性の要件を厳しくした場合でも、社外取締役 および社外監査役は、不正会計の防止には役立つとはいえない。さらに、公 認会計士の資格を保有する専門家社外監査役についても、不正会計の防止に 役立つとはいえない。

第4節 結 論

 本稿の実証結果を踏まえると、現行法のもとで、単に社外取締役や社外監 査役の人数・割合を増やしたところで、不正会計の防止という効果は期待で きないといえそうである。それは、専門家資格を保有する社外監査役を選任 した場合も同様である。たとえば、法ルールによって、社外取締役を2人選 任することや、取締役会に占める社外取締役の割合を増やしても、不正会計 の防止に役立つとはいえない。

 不正会計の発生確率に影響を与えるという意味では、企業が(本稿の定義 にもとづく)赤字である場合や株式・社債の発行を行う場合のインセンティ ブが関係しており、取締役会や監査役会の構成は特に重要でないということ になるだろう。むしろ、社外取締役や監査役会の役割 ・ 権限を見直すほうが よいのかもしれない。

 また、社外取締役や社外監査役の社外性を厳しくした場合にも、不正会計 との間に有意な結果は認められなかった。少なくとも、不正会計との関係で、

社外取締役や社外監査役の独立性が問題であるとはいえないだろう。

 もっとも、本稿のサンプルデータでは、わずかな例外を除いて、監査役会 に占める社外監査役の割合は、ほぼすべての企業が50%以上であった。その ため、本稿の社外監査役に関する実証結果は、社外監査役が監査役会の半数 以上を占める前提であることに留意する必要があるだろう。もし、社外監査 役が半数以上の場合とそうでない場合で、それらの事情が不正会計の発生確 率に別途影響を与えていると考えるのであれば、その影響を考慮しなければ

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