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1. センターへの長期社会体験研修員派遣の経緯について(概要)

1988 年本学生涯学習センター(当時)の設立に対しては、和歌山県教育委員会からの期待 も高く、県教育委員会からのセンター準備委員会へのメンバーの参画を得て、約 3 年にわたり 先行事例の調査や、大学と県教委生涯学習の協働の在り方等の検討が重ねられた。協議のなか から構想され、実現されたのが、教員の長期社会研修員制度(和歌山県教育委員会教育センター 学びの丘)を活用した、センターへの教員派遣である。現職教員に学習センターでの研修をと おして、社会教育・生涯学習及び学校と地域の連携の理論、スキルを学び、学校現場や教育行 政の牽引車となっていくことを期待してのものであった。これまで、表Ⅰのとおりの派遣がな されてきた。計画的な教員研修の実績を有してきたといえる。

2. センターにおける研修内容

1)センター(高等教育機関の生涯学習)における研修の特色

① 研究員企画と実施(自らの研究テーマを明らかにし、生涯学習事業として企画化し、運 営、実施する。講師交渉なども研修の一貫して実施する)。テーマは、年間の研修の成 果をふまえた研修員による自主・創造的な企画を尊重し、実現する。過去の実績は、表

Ⅰのとおりである。センターでは、こうした企画を教員の指導・援助のもとに公開型の 主催事業として展開してきた。

② 上記事業の結果や研修成果を論文・研究レポートとして、取りまとめる。(論文作成に より、洞察力・考察力・文章力を培う)

とりまとめられた論文は、センター刊行物(『紀要』等)に収録するため、より高度で 専門的な検討が加えられる。

③ センター・部門は、和歌山県教育委員会をはじめ、県内自治体、NPO はもとより、幅 広い人的ネットワークを有している。大学センターに身を置き、自らも幅ひろい人脈、

多様なキャリア、領域に直接、間接的に関与することで、学校段階だけでない幅広い知 見を得ることができ、教員として求められるコミュニケーション力やコーディネート力 を養う。また、これらを復帰後の教育現場に還流させていく。さらに、研修後のキャリ アを支え、「生涯学習者」としての教員、研修と現場の知的循環を支える仕組みとして、

センターでは、「研修員 OB・OG 企画」という事業化支援を行っている。

④ 生涯学習にかかわる授業、演習に参加し、現役学生とともに学び、研鑽を深める。

⑤ その他。センター、部門の一員として、各種事業における運営(司会)、記録化(ニュー ス発行)、その他事務的な業務を経験する。

教員の長期社会体験研修員

特別企画「死と向き合い、生を考えるつどい」

平成 15 年度研修員であった児玉恵美子氏による「研修員 OG 企画」である、「死と向き合い、

生を考える集い」は、死というものを身近に感じることで、ヒトははじめて自分の人生を大切 にするようになるをコンセプトに、第一線で活躍する医師、ジャーナリスト、がん患者当事者 を講師として、毎年一回継続し、17 回開催された。

フラワーフォーラム

平成 13 年度研修員であった村崎隆志氏による「研修員 OB 企画」である「フラワーフォーラム」

は、花を育てることが、人を育てることをコンセプトに、平成 13 年度の研修終了後から現在 まで毎年 1 回のフラワー・フォーラムが継続して開催されている。

3. 社会教育主事講習(文部科学省主催)

センターでは、平成 12(2000)年度より 3 年に一度文部科学省「社会教育主事講習」を開催し、

和歌山県をはじめ、近畿地区における社会教育主事の養成を進めてきた。当該年度にあたる研 修員には、講習の実務補助、受講とともに各回の司会進行を託してきた。これらをとおして社 会教育主事の任用資格の取得につなげてきた。有資格者となった研修員が、県社会教育行政に おいての発令者(社会教育主事)として、社会教育行政推進の中核的な役割を果たしている事 例も生まれている。また、学校現場に戻った研修員においても、学校と地域の連携推進のリー ダーとしての活躍がみられる。

特別企画「死と向き合い、生を考える」集い

講 師 伊藤 浩二 氏( )

■ 定 員:100名

※事前申込をして下さい。12月5日(金)締切

■ 受講料:無 料

■問い合わせ・申し込み先 和歌山大学生涯学習教育研究センター 〒641-0051和歌山市西高松1丁目7番20号

TEL 073-427-4623 FAX073-427-7616 E-mail lifelong@center.wakayama-u.ac.jp 後援:生と死を語る会/和歌山県教育委員会

/和歌山県立医科大学

私は、地域医療を担う一人の医師と して、約 20 年終末期医療をライフワー クにしてきました。その間、多くの人 と出会い別れを経験してきました。

8年前、兄を悪性脳腫瘍で亡くし家 族としての苦悩を経験しました。そし て、今自分が進行がん患者となり毎日 を生きています。

今まで私が医療者、家族、患者のそ れぞれの立場で経験し考えてきたこと をお話し、みなさんと「いまを生きる」

ことの意味を考えたいと思います。

(伊藤浩二)

白浜はまゆう病院副院長 緩和ケアチームリーダー

長期社会体験研修員派遣実績一覧

年度 氏名 2017年4月現在 研修員企画事業名

H10 1998 1 中野 一三 教・文化財センター 吉田 千秋 高・きのくに青雲高校 H11 1999 2 音川  進 教・県立図書館 H12 2000 3 中村 憲司 教・県立紀南図書館

雑賀 敏浩 教・県立近代美術館

H13 2001 4 村崎 隆志 高・きのくに青雲高校 花づくり・学校づくり・まちづくり H14 2002 5 若野 俊朗 高・耐久高校

H15 2003 6 児玉恵美子 教・生涯学習課

「死と向き合い、生を考える」

①ホスピス医からみたドラマ 「僕の生きる道」

②在宅ホスピスの現場から「おおきに」ゆうて逝きたいな

③death educationについて考える

H16 2004 7 岩崎 隆明 和・向陽中

「夢をチカラに今を生きる」

①若者の本音を聞こうやないか

② NPOから学ぶ活きるチカラ 夢を見つけるヒントがつ まっている

H17 2005 8 米田 眞由美 和・日進中 障害者の自立

~障害者も住みよい社会をめざして~

H18 2006 9 山下 真二 和・本町小 メディアと市民の上手な付き合い方

~今、なぜメディアリテラシーか~

H19 2007 10 仲岡 儀員 退職 書とサウンドセラピーを紡ぐつどい

~手書き文字に想いをこめて~

H20 2008 11 瀬岡 美景 和・和歌山高 幸せって何だろう −村田早耶香の伝えたいこと−

H21 2009 12 辻本 敦子 有・糸我小 共に育ちあう地域づくりと”つながり力”

~上富田っ子は地域で育ちあう H22 2010 13 佐藤 智子 退職 「からだ」ってなに?

~からだの視点からコミュニケーションを考える~

H23 2011 14 林下 勝一 高・橋本高 高大地域連携を考える 

~学校に地域の力を貸してください!~

H24 2012 15 平井 雅人 高・箕島高 現代の若者とどう向き合うべきか 

~異世代の交流への提言~

H25 2013 16 栗本千香子 発達障害の理解からいじめをなくすために

~青年期に焦点をあてて~

H26 2014 17 久保田貴子 有・たちばな支援 ないものは自分でつくる。

~地域の生活課題を解決する仕組みづくり~

H27 2015 18 中村三重子 和・紀北支援 学びたい!話したい!楽しみたい!

~障碍者の青年期教育の充実~

H28 2016

H29 2017 19 山本 勝利 長期社会体験研修員 「現代父親考」~父親のこれまでとこれから

センターが松下会館という市街地に立地する利点を生かして、定点・定時の講座を「土曜講 座」という形式で行われてきた。(※ 1999 年 6 月 5 日~ 2015 年 3 月 5 日まで)。開催は、基本 的に第一土曜日の、午後 2 時から 4 時で実施されてきた。これは、月に一度センターに足を向 けてくれる層を確保したいということであり、また、この講座の情報が受講者を通じて発信さ れることを願ってのことである。講師は、全学の協力により設定し、時には内外のネットワー クを駆使して外部から招へいした講師によって担われた。

講師を引き受けてくださる教員には「専門知識がなくてもよくわかり、専門的教養があって も興味がもてる」ものにしていたただきたいと講義内容、方法についてきびしい注文をしてき た。市民向け講座においては、評価者は受講者市民であるからである。受講者からのアンケー ト結果は、担当教員にフィードバックするようにしている。さいわい担当の教員は、綿密に準 備されており、受講者からは高い評価を得ている。99 年開講以来、毎講座 100 人前後が受講し、

その約 6、7 割がリピーターの受講者である。学習意欲の高いシニアが中心であるが、「高大連 携講座」としても位置づいており、毎年約 10 人の高校生が受講している。この講座は「ニュー ス和歌山」社(以前はラジオ局和歌山放送との共催 ) との共催であり、月末の刊行の紙面に講 師自身が執筆する要約が掲載されている。テーマによっては、毎日広告社の企画記事として毎 日新聞に掲載されている。

 本学教員 300 人余で月一回の講座を、一定のテーマを設定しながら、毎年ラインナップする ことはかなりの困難であるが、さきにふれたように本学の研究者の背後に存在するネットワー クを本センターのこうした事業に組み込むことも意味あることだと考えて、近年では転出した 元教員、本学教員と共同研究を行っている。またそのテーマの最先端の研究者などにも加わっ ていただいている。こうした学外の研究者に和歌山の課題、本センターの事業にコミットして もらいながら研究者ネットワークを広げることも本センターの任務だと考えている。

   山本健慈「年報・第 4 号刊行にあたって」『和歌山大学生涯学習教育研究センター年報・

第 4 号』和歌山大学生涯学習教育研究センター発行、平成 17 年 9 月より

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