第3章 特定健康診査・特定保健指導の現状 / 32
4 医療費等の負担が少ない受診方法の
(1) ジェネリック医薬品の啓発 (2) 各種啓発事業
(啓発チラシ、啓発用品の配布)
(3) 医療費通知
<第1期計画の健康課題の状況>
第1期計画の健康課題に対する現在の状況は、次のとおりです。第1期計画策定 時から、状況の変化はあまり見られません。
第1期計画の健康課題 健康課題の状況・変化
①高齢化による 医療費の増加
○国民健康保険の被保険者数は、
年々減少傾向となっている一方 で、65歳以上の被保険者の割合が 増加しているため、生活習慣病予 防や後発医薬品(ジェネリック医 薬品)の使用促進等による医療費 の適正化が必要です。
◆被保険者数の減少傾向は続いています。
◆全体の医療費は減少傾向がみられるも のの、高齢化や医療の高度化により、
1人当たり医療費・受診件数は増加し ています。
◆ジェネリック医薬品の利用率は年々増 加しています。
②保険移行者が 多く、国民健 康保険だけで は生涯継続し た保健事業を 行えない
○65歳以降に被用者保険から国民 健康保険に加入する人が多く、ま た、若年層は短期間に保険を移行 する傾向があるため、保険を移行 しても継続できる健康対策が必 要です。
◆被用者保険の適用拡大により、64歳以 下の被保険者が減少しています。
③若い世代にも 生活習慣病の 発症者がみら れる
○生活習慣病の医療費の状況、重 症化の状況から、特定健康診査の 対象となる40歳よりも前から生 活習慣病のリスクを把握し、早期 予防につなげることが必要です。
◆30歳代の生活習慣病保有者率は上昇傾 向にあります。
◆「20歳時体重から10㎏以上増加してい る」人の割合は、国及び県より高く、
40歳未満で体重が増加している人が多 いと推測されます。
④ 生 活 習 慣 病 群・合併症群 の割合が高い
○被保険者を健康状態で分類する と、生活習慣病群と合併症群の割 合が高く、医療費に占める割合も 高いことから、生活習慣病の早期 治療とともに生活習慣病患者が 重症化しないための事業を優先 的に行うことが必要です。
○特定健康診査も医療も受診して いない人の中には、潜在的なリス ク保有者がいると推測されるた め、特定健康診査の受診促進も必 要です。
◆人工透析患者数、脳血管疾患、虚血性 心疾患患者数は横ばい傾向で、重症化予 防は引き続き重要課題です。
◆健診の受診率は上昇傾向にあり、国及 び県を上回っていますが、健診も医療 受診もしていない層も多いことから、
潜在的なリスク保有者がいると推測さ れます。
⑤運動習慣のな い人の割合が 高く、体重増 加の原因にも なっている
○運動習慣のない人の割合が高 く、運動不足が体重増加にもつな がっています。
○継続して運動を行うことができ るような仕組みづくりが必要で す。
◆特定健康診査の質問調査票によると、
「1日1時間以上の運動なし」、「1回 30分以上の運動習慣なし」、「歩行速度 が遅い」が50%以上と高くなっていま す。
◆特定保健指導の実施率は低迷していま すが、健康マイレージ事業の達成者は 大幅に増加しています。
<個別事業の状況>
1 自らの健康状態を把握するための機会の提供
(1) 特定健康診査特定健康診査等実施計画に沿って特定健康診査を実施しています。事業の実 施状況については第3章を参照してください。
【実施量・実施結果(アウトプット)目標】
指 標 基準値 現状値 目 標 受診率 42.1%
(平成26年度)
45.9%
(平成28年度)
60%
(平成29年度)
【仕組み・体制に関する評価】
・特定健康診査の実施機関として安城市医師会と委託契約。市内全域での受診が可能。
・特定健康診査を兼ねる安城市民ドックの実施機関として、市内4か所の健診センタ ー等と平成26年度から委託契約。事業開始当初は、件数が少なかったが、年々利用 者が増えている。(図表4-3)
平成28年度から4月と6月に分けて送付していた「受診票」を4月に一括して送付 するように変更。安城市民ドックは予約が必要なため、予約がとりやすくなり、受 診数が増加した。
【実施過程に関する評価】
・受診勧奨通知を、受診歴などでタイプ別に分類し、内容を変えて送付。
3月末までの受診期限を、平成27年度は安城市民ドックを2月末まで、平成28年度 は特定健康診査も2月末までと段階的に1か月短縮。受診歴のある人に受診期限通 知を送付するなどの周知を行った結果、期間を短縮しても受診率は増加した。
・特典(インセンティブ)事業として「特定健診キャンペーン」を平成27年度から実 施。受診票を送付する封筒にキャンペーンの内容を印刷するなどしてPRを行った が、平成27年度の過去5年間未受診の割合は前年度と同程度で、新規受診者確保の 効果は確認できなかった。(図表4-1)
【総合評価】
・受診勧奨通知の個別送付などにより、目標には達しないものの、受診率は伸びてい る。
・特定健診未受診でかつ医療受診もない人(図表4-2)の中には、健康状態の把握 ができていない潜在的な重症化予備群が含まれている可能性があるため、健診受診 につなげる対策を検討する必要がある。
20.9 22.6
16.5 20.0
19.0 16.2
43.6 41.2
0 20 40 60 80 100
愛 知 県 安 城 市
健診受診あり、生活習慣病受診なし 健診受診あり、生活習慣病受診あり
健診受診なし、生活習慣病受診あり 健診受診なし、生活習慣病受診なし
(%)
【今後の方向性】
・受診勧率の向上に効果があった受診勧奨通知の送付を、引き続き実施していく。
通知の効果を高めるために、未受診者の健診受診履歴、年齢などの状況によって対 象者を分類し、各分類ごとに内容を検討していく。
図表4-1 各年度における過去5年間の受診パターン
資料:AI cube
図表4-2 特定健康診査受診と生活習慣病受診の割合(10疾病)※注
資料:AI cube 平成28年度累計 ※注 10疾病は27ページ参照
図表4-3 特定健康診査の実施状況 単位:人、(%)
年 度
受診者数
年齢・性別
国保事業 健康増進事業
対象者数 国保事業
受診率 個別医療機関
人間ドック 市民ドック (26年度~)
その他 対象者数 個別医 療機関
平 成 26 年 度
40~44歳 2,970 (16.7) 449 48 0 58 9
45~49歳 2,118 (22.8) 441 42 0 34 5
50~54歳 1,843 (25.7) 433 39 1 63 5
55~59歳 2,261 (27.5) 552 70 0 59 5
60~64歳 5,643 (31.7) 1,573 213 1 76 12 65~69歳 8,251 (50.6) 3,775 392 5 91 15 70~74歳 7,061 (62.4) 4,125 273 5 111 16 計 30,138 (41.3) 11,348 1,077 12 492 67
平 成 27 年 度
40~44歳 男 1,479 (16.8) 196 52 0 30 3
女 1,319 (20.6) 234 38 0 22 5
45~49歳 男 1,108 (20.5) 184 43 0 22 2
女 1,012 (26.8) 232 38 1 17 1
50~54歳 男 925 (22.5) 166 41 1 36 3
女 924 (29.0) 235 33 0 27 2
55~59歳 男 924 (21.0) 164 30 0 53 4
女 1,246 (33.5) 363 54 1 15 3
60~64歳 男 2,071 (28.2) 494 88 3 55 7
女 3,045 (37.9) 977 176 0 32 3
65~69歳 男 4,287 (50.3) 1,821 337 0 68 9 女 4,357 (56.9) 2,182 294 1 42 8 70~74歳 男 3,559 (60.3) 1,902 238 6 50 7 女 3,759 (60.5) 2,104 166 3 52 10 計 30,015 (43.0) 11,254 1,628 16 521 67
平 成 28 年 度
40~44歳 男 1,234 (22.1) 199 47 0 26 1
女 1,109 (28.6) 250 44 1 19 4
45~49歳 男 1,112 (25.5) 213 46 0 24 1
女 1,025 (30.3) 242 48 1 19 1
50~54歳 男 940 (26.0) 166 36 1 39 2
女 922 (33.0) 245 33 1 20 5
55~59歳 男 855 (31.2) 174 33 0 58 2
女 1,171 (36.5) 348 60 1 15 5
60~64歳 男 1,874 (31.5) 434 92 4 56 4
女 2,714 (39.9) 884 166 4 28 2
65~69歳 男 4,419 (53.6) 1,890 396 4 67 10 女 4,728 (58.9) 2,387 346 1 46 7 70~74歳 男 3,520 (59.4) 1,786 245 4 54 3 女 3,616 (60.3) 1,950 174 2 53 3 計 29,239 (44.3) 11,168 1,766 23 524 50 (注) 「その他」は、市内契約実施機関以外での受診者。
資料:平成29年度保健事業年報
(2) ヤング健診
20歳以上39歳以下の安城市国民健康保険加入者及び社会保険被扶養者等を対 象として、特定健康診査に準じた健診を実施しています。健診の具体的な内容 は、診察、身体計測(身長、体重、腹囲、BMI)、尿検査(糖、蛋白)、血圧 測定、血液検査(脂質、肝機能、血糖、腎機能、貧血)です。
【実施量・実施結果(アウトプット)目標】
指 標 基準値 現状値 目 標
受診率 10.1%
(平成26年度)
10.5%
(平成27年度)
8.6%
(平成28年度) 前年度比増
【仕組み・体制に関する評価】
・ヤング健診の実施機関として安城市医師会と委託契約。特定健康診査も行う実施機 関が大半であるので、40歳到達後は、ヤング健診と同じ実施機関で特定健康診査を 受診できる。
・特定健康診査、安城市民ドックと健診の実施時期を統一し、分かりやすくした。
・国民健康保険加入者だけでなく、健診を受診する機会の無い被用者保険の被扶養者 も受診できる。(図表4-4)
・ヤング健診未受診者を対象としたスマホdeドックの利用状況(図表4-8)、ア ンケート結果(図表4-13)から、ヤング健診を利用しない理由の一つに医療機関 の診察時間帯に受診することが難しいと推測される。
【実施過程に関する評価】
・国民健康保険の加入者に受診券と受診勧奨通知を個別送付している。
加入手続き時に市への連絡で受診券を自宅へ郵送する旨を記載したチラシを渡し、
受診券発送後の加入者も受診できるように働きかけている。
・生活習慣の改善を促すため、受診後に健診結果の見方のパンフレット、健康づくり の小冊子及び栄養相談の案内を送付し、生活習慣の改善を促している。
・運動をはじめるきっかけづくりを目的とした「ボディメイクプログラム」の案内を 送付したが、利用者は少なかった。
【総合評価】
・対象とする年代は、医療機関へ行って行う健診や、市保健センター等の会場で行う 健康講座への参加が少ない傾向にある。ヤング健診とスマホdeドックの両方の長所 を活用できるよう工夫する必要がある。
・過去ヤング健診受診者が特定健康診査の対象者になり、特定健康診査を受診してい るケースもあるが、平成26年度から開始した事業であるため、ヤング健診が特定健 康診査の40歳~44歳の受診率の向上に役立ったかの検証は、もう少し観察が必要で あるが、上昇傾向が見られる。(図表4-5)
19.8
18.2
20.9
20.8
24.4 24.5
24.8
27.7
19.5
20.0 21.2
19.3
23.2 23.7
25.4
23.8
0 10 20 30
平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
安城市男性 安城市女性
愛知県男性 愛知県女性
(%)
【今後の方向性】
・ヤング健診から特定健康診査へ継続して受診してもらえるように、ヤング健診の受 診状況等を特定健康診査の受診勧奨通知にも活用する。
・ヤング健診とスマホdeドック双方の利点を活かせるよう、対象者が2つの事業の どちらかを選択しやすい通知を行う等、一体的に事業を検討する。
図表4-4 ヤング健診の受診状況 単位:人(%)
区 分 通知者数 受診者数
(受診率) 異常なし 放置可 要観察 要再検査 治療中
平成26年度 全体
国保加入者 生活保護受給者 社保被扶養者
6,820 55
- 823 691(10.1) 3 129
384 (46.7)
107 (13.0)
216 (26.2)
96 (11.7)
20 (2.4)
平成27年度 全体
国保加入者 生活保護受給者 社保被扶養者
6,343 65
- 850 667(10.5) 5 178
386 (45.4)
97 (11.4)
256 (30.1)
98 (11.5)
13 (1.5)
平成28年度 全体
国保加入者 生活保護受給者 社保被扶養者
6,114 59
- 746 524( 8.6) 5 217
337 (45.2)
94 (12.6)
224 (30.0)
74 (9.9)
17 (2.3)
資料:平成29年度保健事業年報
図表4-5 40~44歳の特定健康診査受診率
資料:国保データベース