ですね。式(5.9)と式(5.10)を組み合わせると、
|fi=∑
n
|fnihfn|fi (5.11)
となります。フーリエの積分公式っていうのはこんな感じですよね。
ここで、二つの関数g1(x),g2(x)の和にたいして上のルールを適用してみます。
hg1+g2|Q(gˆ 1+g2)i = hg1|Qgˆ 1i+hg1|Qgˆ 2i+hg2|Qgˆ 1i+hg2|Qgˆ 2i (5.18)
hQ(gˆ 1+g2)|g1+g2i = hQgˆ 1|g1i+hQgˆ 1|g2i+hQgˆ 2|g1i+hQgˆ 2|g2i
= hg1|Qgˆ 1i+hQgˆ 1|g2i+hQgˆ 2|g1i+hg2|Qgˆ 2i (5.19) この2つは等しいので、
hg1|Qgˆ 2i+hg2|Qgˆ 1i=hQgˆ 1|g2i+hQgˆ 2|g1i (5.20) があらゆる関数g1,g2について成り立ちます。こんどは、g1+ig2 に対して、式(5.16)のルー ルを適用してみます。
hg1+ig2|Q(gˆ 1+ig2)i = hg1|Qgˆ 1i+ihg1|Qgˆ 2i −ihg2|Qgˆ 1i+hg2|Qgˆ 2i (5.21)
hQ(gˆ 1+ig2)|g1+ig2i = hQgˆ 1|g1i+ihQgˆ 1|g2i −ihQgˆ 2|g1i+hQgˆ 2|g2i
= hg1|Qgˆ 1i+ihQgˆ 1|g2i −ihQgˆ 2|g1i+hg2|Qgˆ 2i (5.22) この2つが等しいので、
hg1|Qgˆ 2i − hg2|Qgˆ 1i=hQgˆ 1|g2i − hQgˆ 2|g1i (5.23)
があらゆる関数の組g1,g2について成り立ちます。式(5.20)と(5.23)により、結局、
hg1|Qgˆ 2i=hQgˆ 1|g2i (5.24)
があらゆる関数の組について成り立つということです。
ちゃんとエルミート になってるでしょうか?たとえば 、位置演算子xˆは明らかにエルミー ト ですよね。
hf|xgˆ i =
∫
f∗xgdx
=
∫
(xf)∗gdx
= hˆxf|gi (5.25)
たしかに。では、運動量はどうでしょう?
hf|pgˆ i =
∫ f∗~
i d dxgdx
= [
f∗~ ig
]∞
−∞−
∫ ~ i
( d dxf∗
) gdx
=
∫ (~ i
d dxf
)∗ gdx
= hpfˆ |gi (5.26)
たしかに。虚数単位のiが絶妙ですな。無限遠方で関数がゼロになることを使いました。
もうちょっと、エルミート 演算子になれておきましょう。まず、エルミート 共役っていうの を定義しましょう。それは、ある演算子Oˆがあったとき、
hf|Oˆgi=hOˆ†f|gi (5.27) があらゆる関数f,gについて成り立つとき、Oˆ†はOˆのエルミート 共役といいます。エルミー ト 演算子とは
Qˆ†= ˆQ (5.28)
をみたす演算子ですね。
ちなみに、ある演算子Oˆにたいして、
hf|Oˆ†gi = hOˆ†g|fi∗
= hg|Oˆfi∗
= hOˆf|gi (5.29)
なので、
(Oˆ†)†
= ˆO (5.30)
ですね。それから、
hf|Oˆ†(a1g1+a2g2)i = hOˆf|a1g1+a2g2i
= a1hOˆf|g1i+a2hOˆf|g2i
= a1hf|Oˆ†g1i+a2hf|Oˆ†g2i (5.31)
ですので、Oˆ†は線形演算子です。
適当な線形演算子A, ˆˆ Bの和について考えてみましょう。
hf|( ˆA+ ˆB)gi = hf|Agˆ i+hf|Bgˆ i
= hAˆ†f|gi+hBˆ†f|gi
= h( ˆA†+ ˆB†)f|gi (5.32) つまり、
( ˆA+ ˆB)†= ˆA†+ ˆB† (5.33) 積はどうでしょうか?
hf|AˆBgˆ i = hAˆ†f|Bgˆ i
= hBˆ†Aˆ†f|gi (5.34) つまり、
(AB)†=B†A† (5.35)
です。順番が入れ替わることに注意です。
とくに、Qˆ1とQˆ2をエルミート 演算子とすると、
( ˆQ1+ ˆQ2)†= ˆQ1+ ˆQ2 (5.36) なので、「エルミート 演算子の和はエルミート 演算子」です。積については注意が必要で、
( ˆQ1Qˆ2)†= ˆQ2Qˆ1 (5.37) と順番が入れ替わります。つまり、Qˆ1Qˆ2= ˆQ2Qˆ1なら、Qˆ1Qˆ2はエルミート 演算子です。例え ば 、Qˆ21とかはエルミート 演算子です。Qˆ31も( ˆQ21)Q1とすれば 、エルミート であることがわか りますね。つまり、Qˆn1 (n= 1,2,3,· · ·)はエルミート 演算子です。ここから、ハミルト ニアン
Hˆ = pˆ2
2m +V(ˆx) (5.38)
は
Hˆ†= pˆ†2
2m +V(ˆx†) = ˆH (5.39)
となって、エルミート 演算子であることがわかります。
5.2.2 固有状態
定常状態っていうのやりましたよね。これって、エネルギーのきまった状態でした。それでは、
他の物理量Qˆの決まった状態っていうのも考えることができます。そういうのをQˆの固有状 態っていいます。
いま、Qˆの固有状態を|Ψiとすると、分散がゼロになるはずなので、
σ2Q = hQ2i − hQi2(hQiにqって名前をつける)
= h(Q−q)2i
= hΨ|( ˆQ−q)2Ψi(Qˆはエルミート 演算子なので、)
= h( ˆQ−q)Ψ|( ˆQ−q)Ψi
= 0 (5.40)
です。自分自身との内積がゼロになるのは、ゼロベクト ルのみなので、
|( ˆQ−q)Ψi= 0 (5.41)
つまり、関数の言葉では
QΨ =ˆ qΨ (5.42)
でなければなりません。これは、固有方程式ですね。つまり、ΨはQˆの固有関数で、qはその 固有値です。そうです、
ある物理量Qˆの決まった状態( 固有状態)とは、Qˆの固有関数 (5.43) なのです。Qˆの固有状態でQˆの観測をすると、いつもある値qとなります。
もちろん、例としては、ハミルト ニアンHˆ ですね。
|HΨiˆ =E|Ψi, ( ˆHΨ(x, t) =EΨ(x, t)の意味ですよ) (5.44)
っていうのを満たす状態Ψは
Ψ =ψ(x)e−iEt/~ (5.45)
でしたよね。ただし 、ψとEは時間によらないシュレーディンガー方程式の解とそれに対応す るEですね。