第 2 章 災害対応の整理(ヒアリング[市民・市職員]調査)
3 災害対応の問題点と課題
(1) 災害対策本部の対応 ア ヒアリング内容
項目 回答者 回答内容
人員の配置
市職員
・地震後の後片付けや余震による市庁舎内の点検等 の対応に追われるなか、津波が襲来し、市職員が 犠牲となった。応急活動の中心となる市職員が不 足していた。
活動状況 市職員
・災害対策本部の設置場所である市庁舎や地区本部 が津波による被害を受けたため、初動時の情報収 集・伝達等が困難となった。
・消防庁舎が津波による被害を受け、資機材等が使 用不可能となった。また、消防庁舎内の各種デー タが消失した。
・災害対策本部が津波による被害を受け、指揮命令 系統が混乱した。
・市職員の避難等の行動基準が明確でなかった。
・発災後の一定期間ごと(1 週間や 1 か月単位)の 行動マニュアルが整備されていなかった。
・発災の時期、時間、災害規模に対応した各種マニ ュアルが整備されていなかった。
イ 問題点と課題の抽出
【問題点】
・災害対策本部を構成する市職員が津波により犠牲となり、災害対策本部の活動 人数が地域防災計画にもとづく計画人数より大幅に不足し、応急活動に支障を きたした。
・災害対策本部(市庁舎)、地区本部全 11 か所のうち 4 か所(今泉地区、高田地 区、小友地区、広田地区)、消防本部に津波が襲来し、応急活動に必要な資機 材等の流失や通信機器が停止したことが、災害対策本部機能の麻痺や混乱につ ながった。
【課 題】
・発災の初期においては情報が不足することを前提として、市が考慮すべき災害 の被害を想定し、想定結果を基準とした初動の人員配備などを行う必要がある。
・防災拠点はその機能を整備するだけでなく、災害に対して安全な立地条件にあ ること、また、災害により機能に支障が生じた場合の代替施設を想定すること
(2) 情報伝達
ア ヒアリング内容
項目 回答者 回答内容
防災行政無線
地区避難所関係者
・防災行政無線が津波により被災した所がある。
・聞き取りやすい場所、聞き取りにくい場所がある ので、防災行政無線の増設、または設置位置の検 討を行う必要がある。
・防災行政無線が聞き取れない場所が多いので、戸 別受信機を各戸に設置する必要がある。
・防災行政無線は聞き取りにくかった。
・市民へ危険を知らせるために、放送の仕方や内容 等を検討する必要がある。
・津波情報は車のラジオから取得した。
消防団員 ・早口で内容が不明瞭であった。
学校関係者 ・消防車両による広報で大津波警報を確認した。防 災行政無線は聞こえなかった。
在宅被災者
・防災行政無線の内容が分かりにくい。
・普段は防災行政無線の内容が伝わっていたが、実 際の避難の際には聞こえなかった。
情報収集・伝達
地区避難所関係者
・通信手段の確保、迂回路の確保が必要であると感 じた。
・災害時の周知(防災行政無線、衛星電話)を行う ための体制を構築する必要がある。
・災害時の情報収集や伝達方法を検討する必要があ る。
・避難した場所が分散したので連絡が取りづらく、
トランシーバーなどの無線機が必要だと感じた。
・携帯電話が使えず、災害対策本部などと連絡が取 れなかった。
・地震・津波により、停電及び電話が不通となった ため、通信手段が確保できなかった。
・災害対策本部が設置される市庁舎が、被害を受け た。
・今後、無線機等を避難所へ設置する必要がある。
保育関係者 ・保育園用の携帯電話を準備し、周知しておく必要 がある。
市職員
・市の施設の多くが被害を受けたため、通信手段の 確保が困難であった。
・職員間の情報共有が困難であった。
・災害対策本部との情報共有が困難であった。
・避難所との通信手段が確保されていなかった。
・消防庁舎の浸水により防災行政無線の放送が中断 し、市民へ情報の伝達が行えなかった。
イ 問題点と課題の抽出
【問題点】
・防災行政無線の一部が津波により被災したため、使用不能となった箇所があっ た。
・防災行政無線の内容が聞き取りにくい場所があった。
・津波により通信機器の多くが被害を受け、情報収集や伝達方法に支障をきたし た。
・津波により通信機器の多くが被害を受け、避難所の状況把握や避難所からの要 請等を伝達する手段がなく、応急活動に支障をきたした。
【課 題】
・防災行政無線以外の有効な広報手段を十分に検討する必要がある。
・防災行政無線の新設等にむけた整備計画が必要である。
・災害時に使用できる通信手段を確保するために、衛星電話等の災害に強い通信 機器の整備を行う必要がある。
(3) 避難
ア ヒアリング内容
項目 回答者 回答内容
指定避難所の立地
地区避難所関係者
・地区で決めていた避難先が津波により被災した。
・新たに安全な避難路を整備する必要がある。
・指定避難所が津波により被災したため、他の地区 の公民館に逃げざるを得なかった。
・指定避難所のうち、津波により被害を受けた避難 所があった。
消防団員
・指定避難所が津波により被害を受け、多くの犠牲 者が出た。
・避難路を確保する必要がある。
民生委員児童委員 ・一次避難所に指定されていた避難所で犠牲者が出 た。
病院・福祉関係者
・市民の安全を守る公的な施設(病院・福祉・教育)
等は、高台など安全な場所に移転する必要がある。
・公的な施設等が安全な場所に移転できない場合は 電源や備蓄品等は最上階に設置する必要がある。
学校関係者
・安全な場所に避難所を再指定する必要がある。
・林道を避難路として利用できるように整備が必要 である。
避難行動及び避難意識
地区避難所関係者
・風水害、土砂災害に対する意識は高いが、津波に 対する意識が低い。
・津波に対する避難の意識が全くなかった。
・津波が来ることを想定していなかった。
・チリ地震津波の時は津波が来なかったので、津波 が来ることを想定していなかった。
・自宅に戻り家の中に入っていたら、津波に気づか ずにのまれていたと思う。
・車で逃げれば良かったとも思うが、徒歩で逃げた ので結果的に助かった。
・防災訓練時には皆に「逃げなさい」と話していた が、実際には自分は逃げなかった。
・津波が足元まで来ても、これ以上津波が迫ること はないと思った。
・高台が近かったので、すぐに避難できた。
・津波は来ないだろうという思い込みで逃げなかっ た。
・たとえ小さな津波でも、とりあえず逃げる判断を する必要性を感じた。
・住んでいる自宅が昔、高台移転した場所のため津 波が来ないと思っていた。
項目 回答者 回答内容
避難行動及び避難意識
消防団員
・竹駒地区は海から遠く、過去の津波被害がなかっ たため、津波で避難するという意識が低かった。
・東北地方太平洋沖地震の 2 日前に、津波注意報が 発表されたが、実際には津波はほとんどなかった。
・海を見ている人がいた。逃げろといっても逃げな かった。
・県が想定した津波浸水想定区域をもとに災害対応 を想定していたため、巨大津波に対応することが できなかった。
・地震発生後に津波の危険がある地域へ向かってし まった。
・時間的には十分逃げられたが、逃げなかった。
・これまでの過去の津波といえば 50cm 程度であり、
甘くみていた。高田町に多くの被害が発生した原 因は、近くに高台などの逃げ場がなかったためと 考えられる。
・小友地区は高台に上がれる道路が複数あり幅員が 広い道路があったため、犠牲者が少なくて済んだ。
・午後 3 時 15 分頃、竹駒町字細根沢付近の国道 340 号が渋滞していた。
民生委員児童委員 ・避難誘導に携わった市職員、消防団員、区長、民 生委員児童委員が犠牲となった。
病院・福祉関係者
・チリ地震津波、昭和三陸津波を体験した人は、「津 波は家まで来ないので大丈夫」と話をしていた。
・高齢者、障がい者等の要配慮者を支援するなどし て犠牲となった。
在宅被災者
・大きな地震の後は高台へ避難すべきだが、津波が 襲来してから高台に避難する人がいた。
・指定避難所に一度避難したが、津波が襲来すると ころを見てさらに高台に避難した。しかし、踏切 で渋滞し、逃げ遅れた人がいた。
消防職員
・県が想定した津波浸水想定区域をもとに災害対応 を想定していたため、巨大津波に対応することが できなかった。
市職員
・県が想定した津波浸水想定区域をもとに災害対応 を想定していたため、巨大津波に対応することが できなかった。
・市外からの来訪者、外国人にも犠牲者が出た。
・避難行動をとらない市民が多数いた。
・車で避難し、渋滞に巻き込まれて犠牲者が出た。
・津波襲来後に、避難を開始して犠牲者が出た。