1.文字への関心
(1)文字への関心度は,高まりつつあるように見える。
[質問]Hlo調査Q12:あなたは,漢字や平仮名,片仮名など,ふだん使っている文字について,
どの程度関心を持っていますか。この中から選んでください。
「非常に関心を持っている」+「ある程度関心を持っている」 65.8%
「余り関心を持っていない」+「全く関心を持っていない」 33.6%
[質問]s52調査Q4:あなたは,漢字やひらがな・かたかななど,ふだん使っている文字につい て,どの程度の関心をお持ちですか。この中ではどうでしょうか。
「非常に関心を持っている」+「ある程度関心を持っている」 29.9%
「あまり関心を持っていない」+「全く関心を持っていない」 70.2%
H10調査において,無関心派(「余り関心を持っていない」と「全く関心を持っていな い」を併せた層)はS52調査の半数以下に減少し,3割程度になった。一方,「非常に関 心を持っている」は12.5%,「ある程度関心を持っている」が53.3%と大きく増加した。
選択肢のうちS52調査では「かなり関心を持っている」という箇所がH10調査では「あ る程度関心を持っている」と表現に微妙な違いがあるため,経年変化について明確な結論 を導くことはできないが,「非常に関心を持っている」と回答した人が増えていることから,
ふだん使っている文字への国民の関心が高まりつつあるといえよう。
(2)「漢字は大切で便利な文字」という意見が7割を占める。
[質問]Hlo調査Q13:あなたは,漢字についてどのような意識を持っていますか。この中から,
当てはまるものがあれば,幾っでも選んでください。
[過半数に選ばれた選択肢]
「日本語の表記に欠くことのできない大切な文字である」
「漢字を見るとすぐに意味が分かるので便利である」
「ワープロなどがあっても,漢字学習はしっかりとやるべきである」
[選択された割合が1割程度以下にとどまった選択肢]
「日本語の表記を難しくしている文字である」
「漢字の使い方についてはかなり自信がある」
「ワープロなどがあるので,これからは漢字を書く必要は少なくなる」
「漢字を覚えるのは大変なので,なるべく使わない方がよい」
72.8%
61.7%
52.0%
12.2%
11.9%
9.3%
3.7%
漢字は大切な文字であり,電子メディアが普及しても漢字学習はしっかりとやるべきだ
という,漢字に対して肯定的なイメージが定着している。
漢字はなるべく使わない方がよいとか,将来は漢字を書く必要がなくなるという人は,
1割にも満たない少数派である。
2.印刷文字の字体
常用漢字に入っていない漢字の印刷文字として,例えば「鴎(辞書と同じ字体)」と「鴎
(簡略字体)」のように異なった二つの字体が使われている場合があること(印刷文字の字 体の不統一)について,「不統一は望ましくない」という人の方が多い。
(1)ワープロでの印字・表示については,「鴎」のような簡略化された字体を容認する か否かで意見が半々に割れている。
[質問]H7調査Q20:ここに挙げた漢字についてお尋ねします。これらはいずれも「常用漢字表」
に入っていないものですが,ワープロを使って文書を作成(印刷)する場合,
Aのような形をした漢字が出てくることがあります。これらはBのような辞 書に用いられている形とは違っています。あなたは,このことについてどう 思いますか。
A:鴎B:鵬 A:掴B:掴A:麺B:麺A:黙祷B:黙備
「ワープロからAのような形の漢字が出てくることはかまわない」 42.0%
「ワープロからもBのような辞書に用いられているものと同じ形
の漢字が出てくる方がよい」 41.3%
(2)印刷文字の字体の不統一については,統一を望む意見が多い。
[質問]Hlo調査Q16:常用漢宇表(一般社会における漢字使用の目安)に入っていない漢字には・
これまで標準の字体が決められていませんでした。そのために, 「かもめ」
に対して「鴎」と「鴎」,「ぼうとく」の「とく」に対して「冒遭」と「冒 涜」のように,一部の漢字に異なった二つの字体が使われています。このよ うな印刷文字の字体の不統一について,あなたはどのように思いますか。
「不統一は望ましくない」 4g.8%
「不統一でも構わない」 39.4%
「分からない」 10.8%
3.異体字に関する印象
異体字に関する印象について,康煕字典体と略字体のどちらを多く見掛けるかは,字種 によって異なる。
12組の異体字(いずれも常用漢字表に入っていない漢字)について,どちらの字 体を見掛けることが多いと思うかの印象を尋ねた結果は以下のようであった。
(a)はいわゆる康煕字典体であり,(b)は手書き字体などに見られる略字体で
ある。
[質問]Hlo調査Q17:この中の(1)から(12)の漢字について,あなたは,ふだん,(a)と(b)のどちら の形を見掛けることが多いと思いますか。
「うさぎ」(a.兎/b.兎)
「だ」えん(a.楠円/b.楕円)
「めん」(a.麺/b.麺)
「あふ」(a.溢/b.溢)れる み「そ」(a.味日曾/b.味噌)
ぼう「とく」(a.冒漬/b.冒涜)
「へそ」(a.謄/b.月斉)
「あめ」(a.飴/b.飴)
「きゅう」しゃ(a.麿舎/b.厩舎)
き「とう」(a.祈禧/b.祈祷)
さか「だる」(a.酒樽/b.酒樽)
「う」かい(a.迂回/b.迂回)
3.2% :92.2%
6.6% :77.8%
24.5%:61.8%
24.5% :59.8%
57.3% :31.6%
35.0%:34.3%
40.7% :30.6%
28.5%:54.3%
7.2% :69.3%
40.3% :41.7%
47.9%:35.0%
24.5% :56.0%
4.「交ぜ書き」についての意識
「破綻」など常用漢字表にない漢字を含む語を「破たん」のように書く,いわゆる「交 ぜ書き」は,支持率が高くない。交ぜ書きに対する意識は,S52調査当時とは異なってい
るように見える。
[質問]s52調査Q8:ここにあげてあることばは,ひらがなの部分の字が当用漢字でないために,
新聞等で漢字とひらがなのまざった書き方が行われています。あなたは,こ のような書き方が読みにくいと思いますか,それとも別に読みにくいとは思 いませんか。
「洗たく,消火せん,けい光燈,き裂,は握」
「読みにくいとは思わない」61.9%
「読みにくいと思う」28.9°/e
[質問]H7調査Q19:ここに挙げた下線の言葉の書き表し方についてお尋ねします。 Aは「常用漢 字表」に入っていない難しい漢字は使わないようにして,漢字と仮名を交ぜ て書いたもの,Bは漢字で書いて振り仮名をつけたものです。あなたはA,
Bのどちらがよいと思いますか。
A B
がくぜん 真相を知ってがく然とした 真相を知って樗然とした 花模様の刺しゅう 花模様の鴇窟
動物のはく製 動物の{罰襲 {㌫
経営が破たんする 経営が破綻する
「漢字で書いて(交ぜ書きしないで)振り仮名をつける方がよい」 57.1%
「漢字と仮名を交ぜて書く方がよい」 35.2%
S52調査と比較して,最近は交ぜ書きに対して,何らかの違和感をおぼえる人が増えて いる可能性もある。ただし,S52調査とH7調査では質問項目および言い回しが異なるた め,注意が必要である。
5.ワープロ・パソコンによる文書作成
(1)ワープロやパソコンによる文書作成を経験した人は,H4調査で3割, H 7調査 では4割,H10調査で5割と増加傾向にある。(F4はフェースシートの意)
[質問]H4調査F4:あなたは,ワープロやパソコンをつかって文章を作成したことがありますか。
「ない」 68.0% 「ある」 32.0%
[質問]H7調査Q18:あなたは,ワープロやパソコンを使って文書を作成したことがありますか。
「ない」 60.1% 「ある」 39.9%
[質問]H10調査Q14:あなたは,ふだん,文書作成のためにワープロやパソコンを使っています か。
経験なし 52.2% 経験有り 47.6%
ニューメディアの普及により,パソコンや携帯電話などによる電子メイルの利用を経験 したことがある人は,H10調査よりもさらに増加している可能性がある。
(2)ワープロやパソコンで文書を作成したことがある人(39.9%)に感想を聞いたと
ころ,肯定的イメージと否定的イメージが交錯していることが分かった。
[質問]H7調査Q18:あなたは,ワープロやパソコンを使って文書を作成した経験から・どのよう な感想をお持ちですか。この中から三つまで選んでください。
(回答数の多いもののみ抜粋)
「視力を使うので,疲労しやすい」
「文章の中で漢字を多く使うようになった」
「漢字の書き方を忘れることが多くなった」
「文章が速く作れるようになった」
「文章を作るのに時間がかかるようになった」
48.4%
38.7%
38.5%
22.1%
18.3%