第 5 章 合成関数の微分法 (1) 37
6.5 演習問題
ら。ちなみに高専の教科書にはおそらく「逆関数の微分公式」
dy dx = 1
dx dy
というのが載っているが、いま紹介した逆関数の微分の微分の手法を理解出来ているのな ら、この公式は完全無視して構わない。
(4) x=y2+ 4y−1のとき、dxdy を求めよ。
(5) x ≧ 0で定義される関数 y = f(x) = xex とその逆関数g(x)について、g′(e)を求 めよ。
第 7 章
接線と法線の方程式
point
微分とは、簡単に言えば「ある点での接線の傾き」を求めることだった。この情報を もとにして、「接線の方程式」、さらには「法線の方程式」を求めることができる(ど ちらも「直線」なのだから、「1次関数」で表せるはず。だから、表してみよう!と いうこと)。さらに、この「接線の方程式」は、のちに「テイラー展開」というとて も重要な概念につながってゆく。
7.1 接線の方程式
関数y =f(x)の、x =aで引いた接線の方程式*1を求めよう。
*1接線は直線なので、1次関数として表せるはず。その式という意味。
O x y
a y=f(x)
まず、求める直線の式をy =mx+nと置く。x =aのときy =f(a)なので、接線は点 (a, f(a))を通る。さらに、x=aにおける接線の傾きはf′(a)なので、これらを直線の式 に代入しよう。
f(a)
|{z}
y
=f′(a)
| {z }
m
·|{z}a
x
+n.
nについて解くと、切片n=f(a)−af′(a)を得る。よって、求める直線の式は、
y=f′(a)x+ (f(a)−af′(a)).
整理すると、
y−f(a) =f′(a)(x−a).
これが、関数y =f(x)のx=aで引いた接線の方程式である。
接線の方程式
関数y=f(x)のx =aにおける接線の方程式は y−f(a) =f′(a)(x−a).
この式を無理して暗記する必要はない。というか、点(a, b)を通る傾きmの直線の方程 式が
y−b=m(x−a)
と書けることに納得ができれば、点(a, f(a)), m=f′(a)を代入すれば当たり前のほうに 出てくる式だし、もっと言えば、問題文で具体的な関数と具体的なxが与えられれば、「中 学校の1次関数の問題+ちょっとした微分」くらいの手数で接線の方程式を求めることが 出来る。具体的な例を見てみよう。
babababababababababababababababab
例題. 次の関数のx = 1における接線の方程式を求めなさい。
y=x2
【解法1】x= 1のとき、y= 1であるから、接線は(1,1)を通る。さらに、
f′(x) = 2x
なので、x = 1での接線の傾きはf′(1) = 2。あとは、y = mx+nに代入す ると、
1 = 2×1 +n
nについて解くと、n=−1。よって、求める接線の方程式は y= 2x−1.
【解法2】a= 1, f(x) =x2, f′(x) = 2xを接線の方程式 y−f(a) =f′(a)(x−a) に代入すると、
y−1 = 2(x−1).
整理するとy = 2x−1を得る。
まぁ、どちらでも良いのだが、どうも経験上、この「接線の方程式」の形はいつになっ ても暗記をできずに苦しんでいる学生が多いような気がする。しかし、具体的な問題は
「解法1」のように単なる1次関数の問題として解けば、接線の方程式の形を必死で暗記す る必要など全くない。
babababababababababababababababab
例題. 次の関数のx=−1における接線の方程式を求めなさい。
y=x3−2x
【解法1】x=−1のとき、y= 1であるから、接線は(−1,1)を通る。さらに、
f′(x) = 3x2−2
なので、x= −1での接線の傾きはf′(−1) = 1。あとは、y =mx+nに代入 すると、
1 = 1×(−1) +n
nについて解くと、n= 2。よって、求める接線の方程式は y =x+ 2.
【解法2】a =−1, f(x) =x3−2x, f′(x) = 3x2−2を接線の方程式に代入すると、
y−1 = 1(x−(−1)) 整理するとy=x+ 2を得る。
7.1.1 関数の一次近似
接線の方程式には実は、とても重要な意味がある。その理解のために、先程の例題の関 数y =x3−2xのx=−1における接線を考えよう。
接点付近に着目し、グラフを拡大してみる。
もっと拡大!!
お分かりいただけただろうか?「接点付近をものすごーく拡大」すれば、もとの関数と接 線は「ほぼ同じもの」だとみなせることに。そう、xが−1にとても近ければ、
x3−2x
| {z }
元の関数
≒x| {z }+ 2
x=1 での接線
という「近似」を行っても良いことがわかるのだ。ある点x=aにおけるy =f(x)の接 線の方程式を求めることは、「x=aに近い点で、関数y=f(x)を直線で近似している」
と考えることができる。すなわち、xがaに十分近ければ、
f(x)≒f′(a)(x−a) +f(a).
この近似式をy =f(x)のx=aにおける一次近似式と呼ぶ。
例えば、物理学で「単振り子」を学ぶ時、θが微小(θ が十分0に近い)のときだけ成り 立つ次のような近似式を使う。
sinθ≒θ.
これは紛れもなく、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
y = sinxのx = 0における接線の方程式がy=xになるという理由 で導かれる「一次近似式」なのだ。グラフ的にも、なるほど明らかである。
第 8 章
極値と増減表
第 9 章
関数の展開
第 10 章
オイラーの公式
第 11 章
定積分と不定積分
第 12 章
不定積分の基本公式
第 13 章
定積分と面積
第 14 章
置換積分法
第 15 章
部分積分法
第 16 章
広義積分
第 17 章
付録
本編で割愛した証明や解説などはこの付録にまとめた。
17.1 積の微分法則の証明
積の微分法則
f(x)g(x)
| {z }
f(x)とg(x) の積
′
=f′(x)
| {z }
ビブン
g(x)|{z}
しない
+f(x)
|{z}
しない
g′(x)
| {z }
ビブン
.
微分の定義より、
{f(x)g(x)}′ = lim
h→0
f(x+h)g(x+h)−f(x)g(x) h
= lim
h→0
f(x+h)g(x+h)−f(x+h)g(x) +f(x+h)g(x)−f(x)g(x) h
= lim
h→0
g(x+h)−g(x)
| {zh }
→g′(x)
f(x+h)
| {z }
→f(x)
+f(x+h)−f(x)
| {zh }
→f′(x)
g(x)
=g′(x)f(x) +f′(x)g(x).
以上により示された。
17.2 商の微分法則の証明
商の微分法則
f(x)
| {z }g(x)
f(x)とg(x) の商
′
= z }| {ビブン
f′(x)
しないz}|{
g(x)−
しないz}|{
f(x) z }| {ビブン
g′(x) {g(x)}2
| {z }
分母の 2乗
微分の定義より、
{ f(x) g(x)
}′
= lim
h→0
f(x+h)
g(x+h) − f(x)g(x) h
= lim
h→0
f(x+h)g(x)−f(x)g(x+h) g(x+h)g(x)
h
= lim
h→0
f(x+h)g(x)−f(x)g(x+h) h
1 g(x+h)g(x)
= lim
h→0
f(x+h)g(x)−f(x)g(x) +f(x)g(x)−f(x)g(x+h) h
1 g(x+h)g(x)
= lim
h→0
f(x+h)g(x)−f(x)g(x)− {f(x)g(x+h)−f(x)g(x)} h
1 g(x+h)g(x)
= lim
h→0
f(x+h)−f(x)
| {zh }
→f′(x)
g(x)−f(x) g(x+h)−g(x)
| {zh }
→g′(x)
1
g(x+h)
| {z }
→g(x)
g(x)
= f′(x)g(x)−f(x)g′(x) {g(x)}2 .
以上により示された。ちなみに、合成関数の微分法を用いれば、以下のように比較的簡単