4.4 Visual SLAM を用いたシミュレーション
4.4.4 混雑緩和策の検討
待ち行列は,利用率が 1 に近づくと急激に増えていく性質を持つため,利用率をできる だけ小さく抑えることが混雑緩和に繋がる. 下に利用率を下げる施策の例をいくつか挙げ る.
.到着のコントロール
ここでは到着のコントロールについて議論することにする.サービス関係のコントロール は,現在,利用時間を夏 間は2時間,冬期間は 3時間とし,すでに平均サービ ため,これ以上のサービス時間の短縮は不可能である.
た,窓口数の増加は§4.3ですでに述べているため,ここでは省略する.
その男女比を調べる必要がある.時間帯別来客者数はすでに§4.3の図4.3に示した おりである.以下に示す図4.20は,図4.3を利用者区分によって分けたものである.
以
a
予約制の導入 :到着が一定間隔になるようにする オフピークの導入 :一時的な集中を避ける努力をする b.サービス関係のコントロール
平均サービス時間のコントロール 窓口数の増加
c.その他の施策
サービス時間の少ない人に優先権を与える その場合は低い優先度の客の救済方法を考える
において 期
ス時間のコントロールを行っている ま
到着のコントロールとして,オフピークの導入があげられる.オフピークとは一時的な集 中を避け,空いている時間に利用してもらうことである.したがって,現状の時間帯別来客 者数と
と
- 30 -
0.0%
6.0%
一般男性 中以下男 一般女性 中以下女
1.0%
2.0%
3.0%
4.0%
人数比率
5.0%
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 時刻
図4.20 利用者区分から見た時間帯別来客者数
図4.20から,昼食時の前後に来客のピークがきており,16:00 以降は落ち着いているの が分かる.また,どの利用者区分も同じような形のグラフであるため,ピーク時に全ての利 用客が集中していることが分かる.
このことから有効な混雑緩和策として,夏期間のみではあるが,16:00以降に入場する客 については割引となるチケットの発売が考えられる.以下の図4.21,図4.22,図4.23はそ の割引チケットを利用する客数の変化を示す.移動する客の対象は 16:00 前に来館した客 のみとし,どの時間帯も同じ比率で移動するものとする.
0.0%
2.0%
6.0%
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 時刻
4.0%
5.0%
1.0%
3.0%
人数比率
一般男性 中以下男 一般女性 中以下女
図4.21 客の移動率5%
0.0%
1.0%
2.0%
3.0%
4.0%
5.0%
6.0%
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 時刻
人数比率
一般男性 中以下男 一般女性 中以下女
図4.21 客の移動率10%
0.0%
1.0%
2.0%
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 時刻
3.0%
4.0%
5.0%
6.0%
人数比率
一般男性 中以下男 一般女性 中以下女
図4.21 客の移動率20%
16:00 までに来館している客のうち 10%〜20%でも割引チケットを利用するようになれ
ば,来客は平均化し,昼間のピークは解消される.
§4.4.3 で議論したとおり,来客を平均化することによって,1時間あたりの来客者数を 多くても300人前後に抑えること,ゆとりを持つという意味では250人前後にコントロー ルすることができれば,来客者にとって快適なプール施設の利用が可能となる.
- 32 -
第 5 章 まとめ
本研究では屋内水泳プールの利用統計データを分析することにより,1日の来客者数を予 測し,それに基づいた最適券売機数の導出,Visual SLAMを用いたシミュレーションを行 った.1日の来客者数の予測は補正
R
2値が0.79と高い数値が得られたが,来客者数が3000 人などの非常に混雑するときの数値は予測できなかった.これは非常に混雑する日のサンプ ル数が少なく,また,冬の平日時などの来客者数が少ないデータが多くあることに原因があ ると思われる.最適券売機数の導出とVisual SLAMによるシミュレーションにより,効率 的な屋内水泳プールの運営が可能になり,1日の客の利用状況が視覚的に分かるようになっ た.今後の課題としては,より正確な夏期間の来客者数の予測をすることである.また,混雑 緩和策として挙げたオフピークの導入により,時間帯別来客者数がどのように変化するかを 把握し,分析することによって,更なる快適なプール施設を目指すことが挙げられる.
謝辞
卒業論文を作成するにあたり,多くのご指導,ご助言をいただいた指導教授である,中 大学理工学部情報工学科の田口東教授に感謝の意を表します.また,いろいろと協力,助 をいただいた研究室の皆様にも感謝します.
央 言
- 34 -