第一章 液晶性化合物によるヒト巨核球及び血小板産生促進作用
3.3 液晶性化合物によって産生促進された血小板の機能解析
CD42aが発現しており、血小板と考えられる粒子を、TPO存在下、化合物2と17を添加
し培養した。そして、CD42及びADP-activated CD62Pの発現率をフローサイトメーターに より解析した。結果を図1-5に示す。血小板を活性化させるために、ADPを1 M添加した。
培養前に、CD34陽性細胞における、CD34とCD42a発現率は、それぞれ89%および1.5%
であったのに対して、培養後、CD34発現率は5-6%に激減した。このことから、多数の細胞 Control No.2 No.17
CD42 a
64.3% 63.7% 70.0%
ADP(-)
CD62P
63.9% 62.1% 69.1%
ADP(+)
CD62P
75.1% 69.8% 72.9%
図 1-5 液晶性化合物を添加することで産生促進された血小板表面における CD62Pの発現解析
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がCD42aが発現している巨核球へ分化したことがわかった。化合物2及び17を添加した場合
のCD42 発現率は、TPO 単独のコントロールと差がなかった。次に、産生された血小板の機 能について検討した。図1-5に示すように、化合物2と17を添加した系においても、コント ロールと同様に、ADPによってCD62Pの発現が観察された。よって、化合物2と17を添加 することで産生された血小板の機能は、機能的に生体内のものと同等であると考えられる。
本研究で評価した化合物2と17は、柔軟なアルキル鎖と剛直な芳香環、そして親水性部位 をもっている。このような両親媒性は、リオトロピック液晶の発現に寄与する。しかしながら、
血小板産生に及ぼす要因が、分子の両親媒性にあるのか、それに基づく集合体形成能によるも のなのかは、本研究においては明らかにすることができず、今後の課題である。
液晶性化合物の血小板産生過程に及ぼす影響を調べた報告は極めて少なく、ヒト巨核球産生 および血小板産生過程に新たなメカニズムによって影響を及ぼすことが期待される。さらに、
これまでの報告には、20 -100 pg/ml TPOほどで増殖可能なことが示されており[23]、低濃度 の TPOと化合物を組み合わせた場合の効果も、血小板産生過程に影響を及ぼしていると予想 される。液晶性化合物が、機能的な薬剤として、また、外部刺激に応答できることによる医療 応用など、生物学的に応用が発展することが期待される。
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§4. 結言
TPO存在下、液晶性化合物2と17がCD34陽性細胞の細胞数を有意に増やし、また、巨核 球から血小板産生過程を促進できることが分かった。また、産生促進されてできた血小板は、
ポジティブコントロールとして用意したIL-3やGM-CSFによって産生されたものと同等レベ ルの機能をもっていたことから、生体内で産生されるものと同等であるとわかった。一方で、
化合物2は巨核球数の増加には影響を及ぼさないものの、血小板数の増殖促進には影響を及ぼ しており、また、化合物 17 は巨核球数及び血小板数のいずれにも影響を及ぼしていた。化合 物2と17は、IL-3やGM-CSFとは異なったメカニズムで作用していると考えられる。
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§5. 参考文献
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